ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ広島

カジースキがサーブで5得点を奪い、攻守にわたって活躍。西田も63.9パーセントの決定率をたたき出し、セット終盤の接戦をものにする

 早くも1レグのハイライトが訪れた。JTサンダーズ広島との全勝対決である。勝って勢いに乗りたいのは共通する思いだろう。終わってみれば第1セットを除き、すべてが最少得点差の難しいゲームになった。カジースキの言葉を借りるなら、「バトル」が繰り広げられた。チーム一丸となってつかんだ勝利の価値は、計り知れないほど大きい。

 ジェイテクトSTINGSは西田にトスを集めて先行した。2週間ぶりにコートに戻ってきた饒が速攻を決め、カジースキのサービスエースで5−3とリードを奪う。さらに浅野が1枚でJT広島のエドガーをシャットアウト。饒もサービスエースを決めて、8−7で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 西田も好調を維持。強烈なスパイクをたたき込むと、浅野が再びブロックポイントを奪う。伏見の速攻でサイドアウトを切り、カジースキのスパイク、伏見のブロックで3連続得点。13−8と完全に試合の主導権を握った。
 こうなると今シーズンのジェイテクトSTINGSは強い。カジースキがサーブで攻めて、確実に得点を積み重ねる。18−14から怒涛の4連続得点。小林がサーブで相手にプレッシャーをかけ、西田、伏見がブロックで仕留める。このあと4連続失点を喫したものの、カジースキが立て続けに決めてセットポイント。最後は西田のスパイクで、ジェイテクトSTINGSが第1セットを25−18と圧倒した。

 第2セットの序盤もジェイテクトSTINGSが走った。西田のバックアタックを皮切りに、カジースキの連続サービスエースなどで5連続得点。7−2と先行した。
 しかし、中盤はミスが出て、12−9から3連続失点で同点に追いつかれる。西田が相手の前を突くサービスエースを決めるが、レセプションが乱れると再び16−16の同点に。そこからは一進一退。ジェイテクトSTINGSは伏見のフェイントや浅野のバックアタックで確実にサイドアウトを切っていく。しかし、レセプションを崩されて相手に先行を許すと、サービスエースを決められて22−24。西田のスパイクで一矢報いるが、23−25で失セットを喫した。

 第3セットも序盤はシーソーゲームを展開。伏見、饒のミドル陣が機能して接戦に持ち込む。しかし、4連続失点で6−10となったところで、セッターを小林から中根にスイッチ。ゲームの流れを引き寄せにかかった。
 采配が功を奏し、伏見のブロックでブレイクポイント。浅野がサーブで攻めると、返ってきたチャンスボールを西田がたたき込んで3連続得点。カジースキの活躍などで僅差をキープしたまま試合を進めていく。リベロの本間もレセプション、ディグで安定感を発揮。声でチームを鼓舞した。
 終盤に入り、ジェイテクトSTINGSの反撃が始まる。饒の速攻でサイドアウトを切ると、西田のサービスエースなどで3連続得点。19−19の同点に追いついた。
 圧巻はカジースキのブロックで20−20としたあとだ。浅野のスパイクでブレイクポイントを獲得。カジースキのノータッチエースでリードを2点に広げた。ここでJT広島は2回目のタイムアウトを要求。なおもたたみ掛けるジェイテクトSTINGS。浅野のスパイクはチャレンジによって相手の得点となったが、饒が決めて23点目。レセプションを崩されて同点に追いつかれたが、タイムアウトで嫌な流れを断ち切ると、西田が決めてセットポイント。伏見が値千金のブロックを決めて、25−23で第3セットを奪った。

 全勝対決にふさわしい熱戦となった。第4セットは、カジースキのスパイクで先制。饒がサイドアウトを切ると、このセットのスタートから入った中根がブロックで追加点を奪う。西田が強烈なスパイクを真下にたたきつけて7−7。相手のスパイクミスを誘い、1点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎える。
 浅野のサービスエースで9−7。11−11の同点に追いつかれるが、カジースキ、西田のスパイクで相手に圧力をかけていく。ベンチワークも機能。14−14の場面ではチャレンジが成功して1点のリードを奪った。ここからは、西田とカジースキにトスが集まった。浅野の好レシーブからカジースキが決めて17−17。さらにコートの外に出たボールを中根がつないで、チームに勢いをつける。
 窮地に追い込まれても、チームは落ち着いていた。西田も高さを維持していた。金丸を送り出して高さを生み出した。流れは悪くなかった。
 西田がレフトからクロスにたたき込み22−22。ここでカジースキのブロックが炸裂する。JT広島がタイムアウトを要求。1点を返されたが、西田が豪快に決めてついにマッチポイント。コートに送り込まれたのはリリーフサーバーの袴谷だ。“間”を嫌ったJT広島が2回目のタイムアウトを要求する。いつものルーティンから放った袴谷のサーブが相手を崩した。中根がカバーに入る。浅野のハイセットをカジースキが決めてゲームセット。ジェイテクトSTINGSがセットカウント3−1で4連勝を飾った。

 タフな一戦を勝ち切った。開幕4連勝だ。ヒーローインタビューに立ったカジースキは、「素晴らしい雰囲気の中でプレーできて嬉しいです。首位対決だったので、勝ててよかった」と笑顔を見せた。「勝者のマインド」がチームの快進撃を生み出した。このまま一つずつ階段を上がっていけば、まだ見たことのない景色が見られるはずだ。

高橋慎治監督

試合を通してお互いに質の高いプレーを出し、いい試合ができたと思います。接戦を勝ち切れたことは、チームの成長につながる。価値のある勝利をつかむことができました。選手一人ひとりが意識を変え、“仲のよさ”をいい方向に置き換えながら切磋琢磨できています。昨シーズンの悔しさを繰り返したくないという思いも、今の結果につながっているのでしょう。練習の時から意識が高く、一つひとつのプレーに妥協がありません。気の抜けたプレーに対しては、お互いに指摘し合える雰囲気ができています。それが、こういう接戦の場面でも生きているんだと思います。

カジースキ マテイ

今日の試合は自分たちのベストを尽くすことが大事でした。現時点でパフォーマンスが高いチーム同士の対戦だったので、勝つことができてよかったです。第1セット以外は、すべてのセットでバトルになって難しい展開になりました。個人的には少し乱れる場面もあったけど、チームとしてはいいレセプションが続いています。ただ、これから相手は、攻撃の選択肢を減らすために強いサーブを打ってくるでしょう。それに対抗する戦い方をしなければいけません。4連勝ですが、もちろん修正しなければいけないところはたくさんあります。特にスタートから出ている選手は若く、ここからさらに伸びていくチームです。リーグが始まったばかりということを考えても、いいバレーができていると思います。

伏見大和

移籍をする時はすごく悩んだけど、決断した以上は自分が活躍しなければ東レにも恩を返せないと思いました。何が何でもレギュラーを狙うという強い気持ちで来たし、日々の練習に取り組んできた。周りに支えられながらも自分自身を鼓舞し、その結果が出ていると思います。去年まではスパイクが得意じゃなかったけど、今年は新しい自分を見せると決めたので、小林や中根とも毎日話し合いながら練習しています。だから、第3セットからセッターが変わっても不安はありませんでした。欲を言えば、もっと自分を使ってくれたら、西田もマテイさんも楽になる。これから相手も対策を立ててくると思うけど、それでも決め続けられるように、オールマイティに活躍していきたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

カジースキが語る、終盤の競り合いを制している理由とは?

セット終盤の粘りが目覚ましい。第2セットこそ落としたが、第3、4セットは怒涛の攻撃で競り勝っている。終盤の集中力の高さはどこから来るのか。「理由は3つあります」とカジースキが答えてくれた。「一つは、新しい選手が加入して、チーム全体のレベルが上がったこと。いい練習ができているのが二つ目の理由です。チーム全体が高いレベルを保てている。そして、三つ目の理由は戦う精神。難しい状況の中でも、お互いに信頼感があるので勝つことができています」。ここ一番での決定力の高さには目を見張るものがある。第3セットは伏見のブロックで決着をつけた。第4セットのマッチポイントでコートに入った袴谷も集中していた。見事なサーブで相手を崩した。カジースキがあげた3つの理由に、もう一つ加えたい。それは、チームのベクトルだ。全員が同じ方向を向いているチームは、間違いなく強い。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ広島
第1セット 25 - 18
第2セット 23 - 25
第3セット 25 - 23
第4セット 25 - 23
第5セット
日付 2019年11月9日(土)
試合 Vリーグ レギュラーラウンド 第4戦
場所 北九州市立総合体育館
メンバー 伏見、饒、カジースキ、小林、西田、浅野 L本間
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