ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ

第1セットこそ落としたものの、西田、カジースキのサーブが機能して逆転。途中出場の中根も安定したトス回しで攻撃陣をけん引した

 5連勝をかけた堺ブレイザーズとの一戦。前日の勝利でつかんだ勢いを発揮したかったが、試合の入り方に苦しんだ。足が重く、コートの上で笑顔が見えない。立ち上がりこそ軟打を絡めた西田の得点で先行したが、レセプションの乱れからすぐに同点に追いつかれる。カジースキもスパイク、サーブで活躍したが、しかし、この日のジェイテクトSTINGSはなかなか波に乗ることができない。
 追いつ追われつの展開が続く。セッターの小林は西田にトスを集めた。さらに小林が堺のトーレスをシャットアウト。饒の速攻でサイドアウトを切った。しかし、あとが続かない。14−13から3連続失点。浅野のスパイクも止められた。
 息を吐いたのが西田だ。強烈なスパイクをたたき込んで、調子の上がらないチームを鼓舞。カジースキも豪快に決めてギアをトップに入れる。相手に先にセットポイントを許したが、浅野の連続得点で1点差まで追い上げた。23−25でこのセットを落としたものの、巻き返しを期待させる内容だった。

 チームに焦りはない。浅野のサーブからスタートした第2セットも、ジェイテクトSTINGSが序盤から攻勢に出た。饒のブロックでラリーを制した。西田、カジースキも抜群の安定感を発揮。饒が決めて6−5となったところで、小林に代わって中根がコートに入る。これでムードが変わった。西田がスパイク、ブロックで連続得点。2点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 伏見もサービスエースを決めて11−8。ここで堺がタイムアウトを要求した。我慢の時間が続いても、目の前のチャンスを得点につなげていった。セッターの中根が巧みなトスワークを見せ、要所で饒、伏見を使ってサイドアウトを切っていく。
 チームの守備も安定していた。サーブで狙われたリベロの本間も、粘り強くパスを返していく。フロアディフェンスも機能し、好レシーブを連発。つないだボールは西田が確実に決めた。
 饒のBクイックが決まって20−17。これでチームに火がついた。西田の豪快なサーブが決まって21点目。さらに相手を崩し、カジースキが決めて22点目。西田のバックアタックも冴えていた。最後は相手のミスを誘って25−21。ジェイテクトSTINGSがセットカウントを振り出しに戻した。

 第3セットも、西田、カジースキの2枚看板が満員の会場を沸かせた。口火を切ったのがカジースキのブロックだ。さらに1−3から4連続得点。西田がサーブで攻めると、カジースキがスパイク、ブロックで得点を量産した。
 ジェイテクトSTINGSの勢いは止まらない。カジースキが連続でサービスエースを決めるなど、5−5から4連続得点。早くもこのセットの主導権をつかみかけた。
 しかし、堺もホームの大声援を背に受けて、一気呵成に攻めてくる。サイドアウトの応酬が続いた。西田、カジースキにトスを託した。要所で浅野が決めて、15−11と突き放したかに思われた。しかし、ここから4連続失点で再び同点に。カジースキが相手のブロックにつかまり始めた。
 それでもタイムアウト明けのプレーでカジースキがフェイントを落とし16−15。徐々に息を吹き返す。17−16の場面では浅野がブロックを決めてブレイク。西田のブロックなどで3連続得点を奪い、21−17とリードを広げた。
 バレーボールにセーフティリードはない。1点ずつ確実に取っていくことが重要だ。相手のミスで22−19。西田のブロックで23点目を奪った。西田が決めてセットポイント。藤中を投入して一気にこのセットを決めにいく。相手に1本で切られてしまったが、最後は相手がサーブミス。25−21でこのセットを奪った。

 第4セットは、伏見に代わって福山が入った。相手の注意をミドルにも集めたかった。カジースキのブロックで先制。西田が技ありのスパイクで続いた。福山のブロックも成功して4−0。ここで堺が1回目のタイムアウトを要求した。
 しかし、ここから5連続失点で逆転を許す。ミスもあった。互いにペースをつかみ切れない。流れを変えたのが福山だ。速攻でサイドアウトを切って5−5。饒が決めると、西田にサーブが回ってきて再びブレイクのチャンスを迎える。西田がサーブで攻めて饒がブロックで仕留めた。ようやく本来のジェイテクトSTINGSの形が見えてきた。さらに西田のサービスエースで8−6。その後も勢いは止まらず、カジースキのスパイクや西田のサービスエースなどで11−6と点差を広げる。
 饒、浅野もスパイクを決めた。16−9で2回目のテクニカルタイムアウトを迎えると、その後もジェイテクトSTINGSのペース。カジースキが決めてサイドアウトを切り、西田のバックアタック、浅野のスパイクで21−14と勝利まであと一歩に迫った。
 ここで浅野に代わって郡がコートイン。郡は今シーズン初めての出場だ。互いに1点ずつを取り合う展開。西田がレフトからスパイクを決めて24−17とマッチポイントを奪う。相手に1点を返されて浅野がコートに戻ってきた。フィニッシュは福山だ。キレのある速攻を決めて25−18とし、逆転勝利をつかんだ。

 開幕5連勝。無敗で単独トップに立った。しかし、今のチームに浮かれる者は一人もいない。浅野が言う。
「ここからは『負けたくない』というちょっとしたプレッシャーを背負うことになります。でも、今のチームはまだそこまで意識していません。本当にゲームを楽しんでいる。カジースキがいるのも大きいし、西田も成長した。本間もいて、自分もいる。全員がキャプテンになれる。中根も小林もしっかりとコミュニケーションが取れています。だからこそ、特別なことをするのではなく、今の自分たちがやるべきことを徹底すれば、このまま勝ち続けられると思います」
 一人ひとりが自分の役割を全うする。これが今のジェイテクトSTINGSのスタイルであり、勝ち続けられる要因である。

高橋慎治監督

最初は相手のペースで進みましたが、途中から自分たちのバレーが展開できたことが勝利につながりました。第1セットを落としたときも、自分たちのペースさえ作れたら必ず逆転できると思っていました。セッターにこんな言い方を使うのはおかしいかもしれないけど、小林には爆発力があって、いい展開のときは誰にも止められないトス回しをします。一方、中根には抜群の安定感がある。スタートからでも、あるいは途中からでも、いつものプレーを見せてくれます。2人にはそういう特徴があるので、うまく起用していきたいと思っています。大事なのは、相手どうこうではなく、自分たちのバレーを徹底して出すこと。最高のパフォーマンスを出すために、しっかりと準備をしたいと思います。

浅野博亮

レセプションは基本的に、自分と本間がマテイを助ける形です。今日は本間も苦しかったと思うけど、しっかりと耐えてくれました。本間は強気の姿勢を崩さないリベロ。苦しくても、常に強気の指示を出してくれます。攻撃に関しては、自分に上がってくるのは割れたトスが多いので、無理をしないことを心がけています。リバウンドを取ったり、決められるときは決めにいく。今日はシャットされる場面もあったけど、ああいうところをなくしてリバウンドを取り続けたら、自分の価値も出てくると思う。心の中ではもっと打ちたい気持ちもあるけど、今はこの戦い方がジェイテクトSTINGSのスタイル。レセプションが崩れたら存在価値がなくなるくらいの重要なポジションだと思っています。

本間隆太

第1セットは、相手がサーブでプレッシャーをかけてきました。サーブで崩していい展開に持っていくという、うちがやりたいバレーをやってきた。ただ、負けたといっても2点差だったので、サイドアウトを我慢して、サーブを修正していけば必ず勝てると思っていました。勝っているときほど普段の練習が大事です。今日の試合でも、反省するべき点はたくさんある。悲観的になる必要はないけど、僕らはもっと成長できます。もちろんスタートの7人だけで首位をキープするのは難しい。それに現状で満足していたら、もっと下の順位で終わってしまうでしょう。個人としても、チームを統率するなどやらないといけないことはたくさんある。1日1日、日々、成長していけるように頑張ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

少し重かった試合の入り。コンディションの調整が連勝のカギを握る

コートに入った選手から、少し“重さ”のようなものを感じた。無理もない。JT広島との激戦からわずか19時間後の一戦だ。コンディションを完全に整えるには、あまりにも時間が短すぎた。試合の入り方に少なからずの影響があったことは否めない。「アクティブな動きができなかったことが、入りの悪さにつながってしまいました。だけど、体は疲れていてもいつものようにコミュニケーションを取っていれば、勝てるシステムは構築できている。そうすれば、今日のような出だしにはならないと思います」。試合後にこう振り返った浅野。苦しい中でも勝ち切れたことは明るい材料だ。確かに今のジェイテクトSTINGSには、劣勢を跳ね返すだけの底力がある。しかし、レギュラーラウンドはまだ20試合以上も残している。コンディションの調整が、連勝のキーファクターになりそうだ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ
第1セット 23 - 25
第2セット 25 - 21
第3セット 25 - 21
第4セット 25 - 18
第5セット
日付 2019年11月10日(日)
試合 Vリーグ レギュラーラウンド 第5戦
場所 北九州市立総合体育館
メンバー 伏見、饒、カジースキ、小林、西田、浅野 L本間
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