ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ

西田がサーブで7得点の活躍。セッター小林が巧みなトスワークを見せ、相手に付け入る隙を与えなかった

「今日のゲームは、ひとことで言えば“西田”という感じでした」
 試合後の記者会見で、浅野が開口一番、こう振り返った。確かに苦しい場面で流れを引き寄せた西田のサーブの印象は強い。しかし、伏見が87.5パーセント、饒が85.7パーセントとミドル陣が高い決定率を残している。セッターの小林も終始安定していた。代わって入った金丸も持ち前のブロックで見せ場を作った。文字通り、チーム一丸でつかんだ会心の勝利だった。

 立ち上がりは、ジェイテクトSTINGSがイニシアチブを取った。古巣の東レアローズから伏見が速攻をたたき込んだのだ。西田の状態も仕上がっていた。サービスエースでブレイクを獲得。さらにカジースキも相手の意表を突くスパイクで3連続得点を演出した。
 ジェイテクトSTINGSの勢いは止まらない。浅野がフェイントを織り交ぜながら得点を加算。西田がレフトからスパイクをたたき込み、饒の速攻でサイドアウトを切る。守備面ではリベロの本間が存在感を発揮した。
 中盤に4連続失点を喫したがチームに焦りはない。タイムアウトで流れを変え、再び自分たちのリズムに持ち込んだ。小林は調子のいい伏見にトスを集めた。僅差をキープしたまま終盤まで進行した。
 明暗を分けたのは、やはり西田のサーブだった。17−18で回ってくると、強烈なサーブで東レのレセプションを崩した。エースも奪った。タイムアウトを取られても、サーブに乱れはなかった。カジースキのスパイクをお膳立て。21−18と一気に逆転に成功した。
 これが、ジェイテクトSTINGSの勝ちパターンだ。浅野が決めてセットポイント。ここで入った金丸が大きな仕事を成し遂げる。相手のスパイクをシャットアウト。盤石の試合運びで、第1セットを25−21で制した。

 続く第2セットは、ジェイテクトSTINGSが一方的な展開に持ち込んだ。浅野のサービスエースで先制。カジースキのスパイクでサイドアウトを切ると、西田のサーブから3連続得点を奪う。1点目はエース。2点目は相手のレセプションのミスを突いて、カジースキがダイレクトスパイクを打ち込んだ。3点目は小林がブロックを決めている。
 ここで東レは1回目のタイムアウト。流れは完全にジェイテクトSTINGSが握っていた。西田のバックアタックでサイドアウトを切った。饒の速攻、小林のブロックでブレイク。伏見の速攻やカジースキのブロックで得点を重ねていった。
 圧巻は14−10から。西田がワールドカップの活躍を彷彿させる3連続サービスエースを決めた。強烈なスピンがかかったボールが立て続けに相手コートの奥に突き刺さる。その度に、満員のこのはなアリーナがどよめいた。
 あとは確実にこのセットを終わらせるだけだった。浅野が粘り強く得点を決めた。伏見もネット際で体を張った。リリーフサーバーの袴谷がコートに入った。最後は西田のブロックでフィニッシュ。25−15でジェイテクトSTINGSが2セットを連取した。

 第3セットもジェイテクトSTINGSのサーブが走った。1−3から西田のサービスエースを含め4連続得点。カジースキのスパイク、饒のブロックも機能した。ここから3連続失点を喫するが、カジースキのサービスエースで再びリード。8−7で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 セッターの小林が高い集中力を保った。多彩なトスワークで、東レのブロックを翻弄。浅野はサーブでプレッシャーをかけ、相手のミスを誘った。要所で使うセンター線の速攻も効果的だった。2回目のテクニカルタイムアウトを、4点のリードで迎えた。
 完全にジェイテクトSTINGSの流れだった。カジースキがスパイク、サーブで得点を奪い19−13。西田が高く上がった二段トスをうまく相手コートに沈めた。浅野が決めてブレイク、21点目を奪った。
 リードして迎えた終盤は、確実にサイドアウトを切っていった。西田が決めてマッチポイント。リリーフで入った袴谷がサーブで攻めた。相手のレセプションを崩す。返ってきたボールを饒がダイレクトでたたき込み、ジェイテクトSTINGSが25−18でストレート勝ちした。

 開幕から無傷の7連勝。試合後の選手の表情も明るかった。西田が言う。
「サーブがやっと本調子に戻りました。その中で、チーム全員が自分の役割に徹したことが、いい展開につながったと思います。個人的には、東レさんには日本代表選手がたくさんいるので、絶対に負けたくなかった。闘争心を前面に出すことができてよかったです」
 いよいよ来週は、今シーズン初のホームゲームをウィングアリーナ刈谷で迎える。チームカラーの『白』に染まった会場で、たくさんのファンと喜びを分かち合いたい。

高橋慎治監督

ホームの東レさんに負けないくらい、たくさんの方がジェイテクトSTINGSの応援に足を運んでくださいました。声援を力に変えて、終始自分たちのバレーを展開することができたと思います。試合を通して集中力を保った選手も素晴らしかった。第1セットの立ち上がりは少し落ち着かないところがあったけど、それ以降は安定していたと思います。見ている我々にも、「選手たちは必ずやってくれる」という信頼感があった。来週は我々のホームゲームですが、勝敗や相手にかかわらず自分たちのバレーを曲げずに戦っていきたい。しっかりと準備をして臨みたいと思います。

浅野博亮

この2日間、うまくいかないこともあったけど、周りのサポートもあって最低限のレセプションはできました。ただ、攻撃の面では、もっと貢献できるように反省しなければいけません。セッターのコンビネーションが合わなかったり、早く入りすぎてしまうなど、自分のミスがありました。ムキになって点数を取りにいくのではなく、フェイントで相手を崩したり、リバウンドを取ることを意識して今日の試合に臨みました。来週はホームゲームですが、変に意識することなく戦いたい。いつも通りやれば勝てると思うので、まずはそこを徹底していきたいと思います。

伏見大和

地元の静岡で、しかも相手は古巣の東レさん。これまでやってきた成果をコートの上で表現できればという気持ちで臨みました。いいイメージでプレーすることができ、西田選手もサーブを決めてくれたのでとてもいいゲームができました。試合に出て活躍することもそうですが、東レさんに勝つことができて、ようやく一歩踏み出した気持ちです。ここからガンガン行けるかな、というのが今の心境です。昨日の大分三好戦を経て、試合に出たいという気持ちがより強くなりました。また、アップゾーンで声を出している選手を含め全員で戦っていると感じられたので、そこはいい収穫になったと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

出だしからエンジン全開。先週の反省が生かされた

試合の入り方を少し心配していた。先週の北九州大会の2日目は、明らかに出だしが重かったからだ。昨日が第2試合で16時スタート、今日が第1試合で12時スタートとシチュエーションも似ていた。試合間が短く、コンディションをいかに戻すかが大事だと思っていた。しかし、杞憂に終わった。ジェイテクトSTINGSは出だしからエンジン全開だった。「先週の試合がいい経験になりました」とは浅野の言葉だ。さらに昨日の夜、西田が全員に向けて「コンディションを作るのも自分たちの仕事」と話したという。高橋監督も「1試合目からベストパフォーマンスを出せるように、各自がしっかりと調整してくれた」と笑顔。チームは確実に進化を遂げている。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ
第1セット 25 - 21
第2セット 25 - 15
第3セット 25 - 18
第4セット
第5セット
日付 2019年11月17日(日)
試合 Vリーグ レギュラーラウンド 第7戦
場所 このはなアリーナ
メンバー 伏見、饒、カジースキ、小林、西田、浅野 L本間
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