ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ

今シーズン初のホームゲームにスタンドがSTINGSホワイトに染まった。しかし、サーブが機能せず、終始、ペースを握られる

 ウィングアリーナ刈谷が真っ白に染まった。今シーズン初めてのホームゲームは、パナソニックパンサーズとの首位決戦だ。公式記録による観客数は2949人。試合開始を告げるホイッスルが鳴らされると、その視線が一点に集中した。

 ジェイテクトSTINGSが西田のスパイクで先制した。立ち上がりからエンジン全開。このまま走るかに思われた。しかし、相手は試合巧者のパナソニック。サーブで押されて、なかなかサイドアウトを切ることができない。3−4から4連続失点。サービスエースも奪われ、5点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 中盤もペースを握ったのはパナソニックの方だった。セッターの小林は西田にトスを集めるが、サイドアウトの応酬が続いた。西田にサーブが回ってくる。会場の期待が高まるのを感じた。一瞬の静寂ののちに放たれるサーブ。しかし、相手のコートに入らない。8−13。ここからパナソニックのサーブに崩されて4連続失点を喫した。浅野、カジースキの2人の名手をもってしても、パナソニックの勢いは止められなかった。
 見せ場は11−18の場面。西田のスパイクを相手がブロックで弾いた。高く上がったボールを浅野がダイレクトでたたき込んだ。
 明暗を分けたのはサーブだ。パナソニックの深津に2本連続でサービスエースを決められた。相手にセットポイントを取られたところでセッターを小林から中根にスイッチ。さらにリリーフサーバーの藤中が攻めて、3連続得点を演出する。しかし、前半で開いた点差は埋められず、第1セットを17−25で落とした。

 ようやく硬さが取れたジェイテクトSTINGSが第2セットの序盤から攻勢に出る。西田のサービスエースも飛び出した。カジースキ、饒のスパイクでサイドアウトを切ると、伏見のブロックでブレイク。浅野もスパイクを決め、2点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。第1セットの終盤に入ったセッターの中根が落ち着いたトスワークで個性豊かな攻撃陣を操った。
 我慢の時間が続くが、カジースキが粘り強く決めてパナソニックの追撃をかわす。しかし、12−11から3連続失点。スパイクミスも響いた。
 西田のスパイク、カジースキのバックアタックで徐々に勢いを取り戻す。一時は16−16の同点に。まだ反撃の糸口は残されていたと言っていい。
 しかし、18−19からパナソニックの清水に3本連続でサービスエースを決められた。タイムアウトでも流れを変えることができなかった。さらに西田のスパイクが止められて18−23。金丸の投入も流れを変えることができず、21−25で失セットを喫した。

 2セットビハインドとなり、あとがなくなった。カジースキのスパイクで先制した第3セットも、流れは徐々にパナソニックへと傾いていく。饒の速攻は機能した。相手の目を中央に集めて、西田がサイドから立て続けに決めていく。中根のトスワークが奏功した。しかし、7−9から3連続失点。またもサーブレシーブが崩された形だ。ここで1回目のタイムアウトを消化した。
 伏見に代わって福山がコートに入った。カジースキのブロックで1点を返した。しかし、ミスが続いて10−16。さらに1点を奪われたところで、袴谷、小林を二枚替えで投入する。流れが変わった。袴谷のサービスエースでブレイクポイントを奪った。中根をコートに戻すと、西田、カジースキが決めてビハインドを4点に縮めた。
 福山の速攻でサイドアウトを切った。17−21。諦める者は一人もいない。リベロの本間も声でチームを鼓舞した。しかし、反撃及ばず19−25。今シーズン初黒星を喫した。

 完敗だった。自分たちがやりたいバレーをパナソニックにやられてしまった。しかし、太刀打ちできる場面もあった。敗れたからといって、下を向いている選手はいない。
 試合後の記者会見で西田が言った。
「今日の敗戦は学ぶところがたくさんありました。7連勝でそれなりにプレッシャーはあったけど、相手がパナソニックさんということで挑戦者の気持ちで臨むことができました。負けるとすれば、今日のような負け方しかない。そこをどう攻略していくか。それを見つけられたことを、前向きにとらえています」
 大事なのは、同じ負け方を繰り返さないこと。立て直しに向けて、明日のVC長野戦は極めて重要な意味を持つ。

高橋慎治監督

パナソニックさんが質の高いバレーをしてきた中で、逆に自分たちは硬さが出てしまいました。自分たちのバレーができず、それが試合を通して出た結果だと思います。特にサーブです。逆に相手のサーブが完璧で、全員がいいサーブを打っていた。やりたかったバレーを逆にやられてしまいました。今シーズン初のホームゲームですが、来場者数は今までで一番だと思います。こうして多くの方に足を運んでいただくのは、本当にありがたいこと。しっかりと切り替えて、明日は結果を出したいと思います。負けたことをマイナスにばかり考えず、先につなげていけるように頑張ります。たくさんの声援、ありがとうございました。

本間隆太

まずパナソニックさんがすごくいいバレーをしてきたということは認めなければいけません。今まで西田とカジースキのローテーションでブレイクを多く取り、他のローテーションでサイドアウトを頑張って切るというパターンを作っていました。しかし、サーブが入らない日ももちろんあります。それが見つかったのは、いい収穫だったと思います。明日で1レグは終わりますが、その先も試合は続きます。大事なのは、こういう時でも勝てるチームを作ること。西田、カジースキに頼らず、チーム全員で修正して頑張りたい。たくさんの人が会場に足を運んでくれたので、まずは明日の試合に勝って感謝の気持ちを伝えたいと思います。

金丸晃大

スタートから出ていたわけではありませんが、外から見ていて1点を取るのに急ぎすぎていたように感じました。中で戦っているメンバーには伝えましたが、それが今日はうまくいかなかったと思います。パナソニックさんは日本代表メンバーを含め、スキルの高い選手がたくさんいます。今日は僕たちのバレーをさせてもらえませんでした。(Vリーグ通算230試合を達成しましたが)たくさんの方々の支えがあったから、この年齢までできていると思っています。まずはその方々に感謝したいです。あと何年できるかわかりませんが、松本慶彦選手(堺)の日本記録を超えられるくらいまで頑張りたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

明暗を分けたサーブ。この敗戦を反発力にして、さらに勢いを加速させたい

悲観する必要はない。パナソニックとはレギュラーラウンドだけであと2度対戦する。今日の負けを克服し、次の試合に生かせばいいのだ。とりわけ、サーブの修正が大きいだろう。今日の試合、西田はサーブだけで7失点。効果率は-8.3という数字だ。エースは1本にとどまった。それでも、「サーブは入らなかったが、明日までにしっかり修正したい」と前向きに語っている。「サーブが入らない日もある」と言ったのは本間だ。「例えば、西田やカジースキは7割くらいの力で相手の弱いところを狙い、他の選手がリスクを負ったサーブを打つなど戦い方は他にもある」。チームは間違いなくいい方向に進んでいる。この敗戦をブレーキにするのではなく、反発力を生かしてさらに勢いよく加速すればいい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ
第1セット 17 - 25
第2セット 21 - 25
第3セット 19 - 25
第4セット
第5セット
日付 2019年11月23日(土)
試合 Vリーグ レギュラーラウンド 第8戦
場所 刈谷市総合運動公園体育館
メンバー 伏見、饒、カジースキ、小林、西田、浅野 L本間
Photo