ジェイテクトSTINGS VS VC長野トライデンツ

先発の藤中、中根がチームをけん引。西田もスパイク、サーブで活躍し、終始、試合のリズムをつかむ

 前日のパナソニック戦で、今シーズン初の黒星を喫した。一夜で敗戦のショックは払拭できたのか。今日のVC長野トライデンツ戦は重要な意味を持っていた。そのことは、コートに立った誰もが理解していたはずだ。
 果たしてジェイテクトSTINGSは、見違えるような動きを見せることになる。

 藤中がスタメンに抜擢された。守備を得意とするルーキーが攻撃面でも活躍。スパイクだけでチーム最多の10得点をたたき出した。個性豊かなアタッカー陣をリードしたのは、同じく今シーズン初スタメンのセッター中根だ。
「藤中が点を取ると、2点を取ったようなノリがチームに生まれる。調子がよかったことに加えて、チームを盛り上げる意味でもトスを集めました」
 試合後にこう振り返った中根。1回目のテクニカルタイムアウトを4点のリードで迎えた。さらに9−5からカジースキのスパイク、伏見のサービスエース、西田のブロックで3連続得点。要所で饒の速攻を駆使して、確実に点差を広げていった。
 6点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えると、たたみかけるように攻め込んだ。伏見のブロック、西田のスパイクで18−10。完全に試合の流れを掌握した。
 終盤もジェイテクトSTINGSのペースは変わらない。郡、袴谷を続けて投入。郡のスパイクでサイドアウトを切ると、西田のサービスエースで22点目。饒がブロックを決めて、23−16とした。最後は相手のミスが続き、第1セットを25−16と大きく突き放した。

 第2セットの前半は一進一退。ジェイテクトSTINGSは西田のスパイクで先制した。さらにカジースキの硬軟織り交ぜたスパイクで、確実に得点を重ねていく。軟打を交えた攻撃によって、相手の守備を翻弄した。藤中、西田のスパイクで押し切ると、1回目のテクニカルタイムアウトを8−6。いいリズムで試合を進めていった。
 ジェイテクトSTINGSらしい攻め方で得点を重ねていったのは9−8から。饒の速攻でサイドアウトを切ると、西田のサービスエースでブレイク。饒が決めて12−8となったところで、VC長野は1回目のタイムアウトを要求する。
 その後もジェイテクトSTINGSのペースは崩れない。西田、カジースキによるサーブのリレーも効果的だった。相手のレシーブミスを誘い16−9。チームのボルテージは、早くも最高潮に達していた。
 我慢の時間帯は、藤中にトスが集まった。藤中のブロックで20点目を奪うと、カジースキに代えて郡をコートに送り出す。リベロの興梠も入って守備が安定した。郡、饒が立て続けにブロックを決めて23−14。さらに小林を投入。相手のスパイクミスでセットポイントを奪うと、相手を16点に抑えてジェイテクトSTINGSが2セットを連取した。

 第3セットのスタートから福山が入った。饒がブロックを決め、カジースキがサイドアウトを切った。悪くない入り方だった。4−5から4連続得点。相手のミスが続いた。さらに藤中がネット側に上がったボールをたたき落として8点目を奪った。
 ジェイテクトSTINGSの勢いが止まらない。福山がサイドアウトを切ると西田のスパイクで10−6。ここでVC長野が1回目のタイムアウトを要求する。ジェイテクトSTINGSの集中力は高かった。西田のブロックに続いて、藤中が難しい二段トスを決めて12−6。粘るVC長野を一気に突き放しにかかる。
 福山も高い決定率を残した。郡がコートに入り攻撃が活性化。さらに入ったばかりの金丸がブロックを決めて、17−9とリードを広げる。チャレンジも成功し、体育館のムードが一気に高まった。袴谷に続いて、小林をコートに送り込んだ。袴谷のスパイクで19−11。金丸が速攻を決め、郡のスパイクで22点目を奪った。
 あとは落ち着いて試合を進めていくだけだった。袴谷が高い打点からキレのあるスパイクをたたき込み23−15。試合を締めくくったのも袴谷だ。強烈なスパイクで25−16。コートに歓喜の輪が広がった。

 大事なホームゲームの2戦目。しっかり気持ちを切り替えて臨んだ。1レグは8勝1敗。首位こそ逃したが、会心の内容だ。
 高橋監督は言う。
「昨日の試合は、負けはしたけど形になっていないわけではなかった。気持ちをしっかり切り替えて、全力で勝ちにいくことを全員で再確認して臨みました。8勝は確かに素晴らしい成績ですが、先を見すぎることのないように、2レグ以降も目の前の試合を全力で勝ちにいきます」
 ジェイテクトSTINGSは強い。この日、ウィングアリーナ刈谷を埋め尽くした3100人のファンが、その証人になった。

高橋慎治監督

藤中はディグ、サーブレシーブの能力が高く、それを今日の試合でしっかりと出してくれました。他のアタッカーも生きたし、藤中自身も攻撃力をいい形で発揮してくれたと思います。今日はパーフェクトでした。また、セッターの中根は、途中からコートに入っても抜群の安定感があります。今日はスタートからでしたが、試合をマネジメントする能力が高く、安心して試合を見ていられました。これまで出場機会が少なかった選手も、自分の持ち味を出してくれたと思います。信頼し、安心して託せることを再確認しました。そういう意味でも、いい試合になりました。今は白星の数を伸ばしていますが、奢ることなく全力で戦うスタイルを貫かなければいけません。そういう姿をこれからも見ていただきたいと思います。

中根聡太

僕は緊張しないことがなくて、常に緊張しています。それでも、スタートから入るのは、気持ち的にも大きく違う。自分のレベルが少しずつ上がってきているのか、第1セットから安定した立ち上がりを見せることができました。そこはよかったと思います。大事なのは、思い切ってやること。勝ち負けは、あとからついてくるものです。勝ちたいとか、負けたくないという気持ちを持つと欲が出るので、そういう感情を一切捨ててプレーしています。今シーズンは、途中からコートに入って試合を作るのが僕の仕事です。もちろんスタートから出たい気持ちはあるけど、これも大切なポジションで、やりがいを感じています。今は相手うんぬんではなく、いつも通りのパフォーマンスをすること。1週間1週間、しっかり強化できるように頑張ります。

藤中優斗

入る時は緊張しました。でも、自分のやるべきことに集中できたので、途中からは大丈夫でした。周りのサポートのおかげで自分のプレーはできたけど、まだまだミスをしてしまった場面もあります。そういうところを、これから詰めていきたいですね。チームは昨日の試合に負けたけど、誰一人として引きずらず、まずは負けを認めて今日の試合で頑張ろうということになった。みんなが切り替えていたので、僕も勉強になりました。中根選手とは練習が終わったあともずっと合わせていたので、コンビネーションは問題なかったと思います。ただ、パイプが練習の時から合っていなかったので、今後、そこを克服していきたいと思います。先輩たちがすごく盛り上げてくれたので、僕も率先してチームを引っ張っていけたらと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

先発に抜擢された藤中。その堅実なプレーは、チームの大きな武器になる

藤中の先発起用は驚いたが、その働きぶりはファンを納得させるものだったに違いない。守備型のアウトサイドヒッターという点でも、浅野とタイプが類似する。この日は、スパイクだけで10得点を奪い、83.3パーセントという高い決定率を残した。受ける数こそ少なかったものの、サーブレシーブも成功率80.0パーセントと安定している。「これまではリリーフサーバーとして出ることが多かったけど、周りの期待に全く応えられていませんでした。どんな役割でもコートに立った時はしっかり果たせるように、練習から頑張っていきたいと思います」。決して派手なパフォーマンスがあるわけではない。しかし、その堅実なプレーは、これからチームが上位で戦ううえで大きな武器になるはずだ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS VC長野トライデンツ
第1セット 25 - 16
第2セット 25 - 16
第3セット 25 - 16
第4セット
第5セット
日付 2019年11月24日(日)
試合 Vリーグ レギュラーラウンド 第9戦
場所 刈谷市総合運動公園体育館
メンバー 藤中、伏見、饒、カジースキ、西田、中根 L本間
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