ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ

西田がスパイクだけで30得点。伏見、饒のミドル陣も機能し、接戦をものにする

 2レグがスタートした。ジェイテクトSTINGSは、8勝1敗の2位で1レグを折り返した。しかし、ここからは一戦一戦がさらに重みを増してくる。タフな試合が続く。東レアローズとの一戦も、張り詰めた空気の中ではじまった。

 第1セットはジェイテクトSTINGSが先取した。立ち上がりから、センター線を駆使して相手に圧力をかけた。ラリーが続けば西田が確実に決めた。先週からスタメンに入っている藤中も抜群の安定感を発揮。伏見が速攻を決めて、4点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 セッターの小林は西田、カジースキの二枚看板にトスを集めた。カジースキが技ありのスパイクを決めるなど、試合のリズムを掌握。カジースキがサーブで攻めると、小林のブロックで15−10。2回目のテクニカルタイムアウトを16−11で迎える。
 その後もジェイテクトSTINGSのペースで試合が進んだ。藤中も攻守にわたって活躍。リベロの本間、カジースキとともにレセプションを安定させた。伏見のブロックで19−14。ここで東レが2回目のタイムアウトを要求する。流れは完全にジェイテクトSTINGSに傾いていた。
 20点目を取ったところでリリーフサーバーの袴谷を投入。采配が功を奏し、西田のブロックでブレイクポイントを奪った。さらに西田のバックアタックでサイドアウトを切ると、ブロックの切り札として金丸をコートに送り込む。23−18から3連続失点を喫したが、タイムアウトで嫌な流れを断ち切った。
 饒の速攻でセットポイント。藤中に代わって郡が入る。24−21。饒が相手の強打を体で受け止めた。最後は小林が相手のスパイクをブロック。東レを21点に抑えたジェイテクトSTINGSが第1セットを奪った。

 勢いに乗りたかったジェイテクトSTINGSだが、第2セットは東レのペースでスタートする。カジースキ、饒のスパイクが立て続けに止められた。西田の強打で取り返すが、1回目のテクニカルタイムアウトを5−8。1点を返したものの、そこからさらに3連続失点を喫した。
 9−14となったところでセッターを小林から中根にスイッチ。カジースキにトスを集めて得点を積み重ねる。西田の軟打も効果的に決まった。持ち味を発揮したのが15−19で西田にサーブが回ってからだ。カジースキが連続で得点。西田のサービスエースで19−19の同点に追いつく。しかし、この後がもったいなかった。西田のサーブがダイレクトで返ってきたが、誰も反応できず失点。ここから再び突き放される。4連続失点。饒がブロックポイントを奪うが、22−25で悔しい失セットとなった。

 第3セットも苦しい展開になった。西田が立て続けに止められた。流れが一気に東レに傾いていく。ジェイテクトSTINGSにとっては我慢の展開。サーブで狙われたカジースキのミスもあった。それでも、最大4点のビハインドから、西田のサービスエースなどで1点差に迫る。
 中盤以降は、伏見の速攻でサイドアウトを切った。16−21で袴谷がコートイン。懸命につないだボールを西田が決めた。18−22で前衛に金丸を投入。サーバーは西田。ここで東レがタイムアウトを要求する。揺さぶりにも西田が集中力を切らすことはなかった。相手のレセプションを崩すと、金丸、饒が立て続けにブロック。さらにチャレンジによってジェイテクトSTINGSの得点が認められ、21−22と再びビハインドを1点とした。
 西田のバックアタックはタイミングが合わなかったが、強引に押し込んで22−23。最後まで粘りを見せた。しかし、ブレイクポイントが奪えず、23−25で失セットを喫した。

 あとがなくなった。第4セットは、カジースキ、西田のブロックなどで4−2とリード。3連続失点を喫するが、3連続得点を奪い返して再び2点をリードする。カジースキのサーブが冴え、中根がブロックを決めた。
 一進一退から、中盤は東レにペースを握られる。10−10から4連続失点。カジースキのレセプションは安定していたが、決め手を欠いた。西田のサーブをきっかけに、反撃が始まった。12−15でサーブが回ってくると、ネットインでエース。圧巻は、テクニカルタイムアウトが開けたあとだ。相手のスパイクをリベロの本間が上げた。中根がライト側に下がりながらトス。西田のスパイクが相手の指先をかすめてコートの外へと飛んでいった。
 本間の好レシーブから中根がアンダーでトスを上げ、それを西田がバックライトから豪快にたたきつける。
 さらに西田のスパイクでサイドアウトを切ると、ここからジェイテクトSTINGSが猛ラッシュをかけた。サーブは中根。相手のスパイクがアウトになると、藤中が1枚で東レのルジェをシャットアウト。西田のスパイク、伏見のブロックで集中力をキープした。西田のブロック、中根のノータッチエースでジェイテクトSTINGSが流れをつかむ。怒涛の9連続得点で24−18。西田がレフトから決めて、25−20でこのセットを締めくくった。

 第5セットは一進一退。点差が2点以上、離れない。饒の速攻、カジースキのバックアタックで得点を積み重ねていく。サイドアウトの応酬が続いた。西田のバックアタックで9−9。カジースキがサーブで攻め、饒の速攻でブレイク。このセット初めてジェイテクトSTINGSが先行した。
 ここから互いに1点ずつを奪い合う。伏見が決めて12−11。体育館が緊張感に包まれる。12−12から西田が決めてジェイテクトSTINGSがリード。苦しい体勢から放ったカジースキのスパイクは相手に止められた。
 13−13。やや乱れたレセプションを、中根が片手でセット。それを伏見がたたき込んでマッチポイントを奪った。最後は相手のスパイクがアウト。ジェイテクトSTINGSが苦しい試合をものにして、勝点2を確保した。

「セットカウントで相手に先行され、『このまま終われない』という気持ちを全員が出してくれました。第5セットは我慢比べでしたが、よく勝ち切ることができたと思います。全員の力で、劣勢から這い上がることができました」
 高橋監督の言葉が拮抗した試合内容を物語っていた。それでも、フルセットでしっかり勝ち切ったことは、明るい材料だ。明日のFC東京戦に、この勢いをつなげたい。

高橋慎治監督

前半は東レさんに勢いがあり、それを止められるだけのものがありませんでした。相手の対策に対応できなかったことはスタッフ陣の反省点です。1レグで通用したことが通用しなくなっており、対策されていることを前提に戦っていかなければいけません。それでも、フルセットで勝ち切ることができたのは、全員が強い気持ちを出してくれたからです。ただし、シーズンを通して考えれば、固定のメンバーだけで戦うことはできません。全員の力を結集し、明日のFC東京戦もしっかりと準備して臨みたいと思います。

伏見大和

2レグのスタートということで、1レグのデータがある程度出ている状態で戦わないといけません。簡単なゲームなどないということは、チームの中でも話し合ってきました。今日は全員の最後まで諦めないという気持ちで、勝ち切ることができたと思います。ジェイテクトSTINGSはミドルブロッカーが機能して初めて他の選手がのびのびプレーできる。サーブも迷いながら打つことがありましたが、今日は最後の局面でしっかり打てました。強い気持ちで攻められるように、地道に練習を積み重ねていきたいと思います。

饒書涵

苦しい試合になりましたが、全員が力を合わせて勝ち切ることができました。ただし、サーブミスが多かったことが反省点。また、レシーブが乱れ、ハイセットになってしまうことも多かった。個人的にはスパイクで9点、ブロックで2点を取りましたが、まだまだ最高のパフォーマンスではありません。試合に出続けることで、チームの戦い方にも慣れてきました。ここからさらにコンディションを上げていき、ベストな状態で試合に臨めるようにしていきたい。チームを優勝に導けるように、これからもベストを尽くします。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

勝負の分かれ目になったサーブ。本来の持ち味を取り戻して接戦を制した

タフな一戦だった。原因の一つがサーブだろう。伏見が言う。「前回の対戦よりも、サーブが機能しない状況が続きました。東レはセッターがうまいので、パスを返されて苦しい展開になった。僕自身も、今日はブロックで絞り切れませんでした。ただ、後半に入ってサーブが機能し始めると、うまく回っていくようになったと思います」。西田とカジースキ――、2人のビッグサーバーだけではない。試合の流れをひっくり返したのは、第4セット終盤の中根のフローターサーブだ。伏見のサーブも後半になるにしたがって機能しはじめた。本来の持ち味を見つめ直した一戦となった。自分たちのバレーがブレなければ、どれだけ劣勢でも必ず勝機は見つかるはずだ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ
第1セット 25 - 21
第2セット 22 - 25
第3セット 23 - 25
第4セット 25 - 20
第5セット 15 - 13
日付 2019年11月30日(土)
試合 Vリーグ レギュラーラウンド 第10戦
場所 シシンヨーオークアリーナ
メンバー 藤中、伏見、饒、カジースキ、小林、西田 L本間
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