ジェイテクトSTINGS VS FC東京

第1セットを失うものの、サーブが機能して第2セットを奪取。饒をはじめミドル陣の活躍で、本来の持ち味を取り戻した

 前日の東レ戦は、フルセットの末に勝点2をもぎ取った。最後は我慢の展開から、粘りに粘って逆転。全員でつかんだ価値ある勝利だった。果たして、熱戦の余韻は勢いとなって表れるのか、それとも――。FC東京との一戦は、試合の入り方に注目が集まった。

 第1セット、1回目のテクニカルタイムアウトを6−8で落とした。カジースキのスパイクがネットにかかった。西田も相手のブロックに止められた。それでも、饒の速攻で反撃開始。相手の攻撃を何度もしのぎ、カジースキのスパイクでラリーを制した。しかし、サーブレシーブが安定せず連続失点。藤中、西田のスパイクでサイドアウトを切るが、FC東京が勢いで上回っていた。
 中盤はジェイテクトSTINGSにも流れがきた。西田のスパイク、饒のブロックで3連続得点。一度は相手に先行されたが、饒の活躍で12−11と再びリードを奪う。レセプションに入った藤中が難しいサーブをうまく上げ、カジースキが決めてサイドアウトを切った。2点のビハインドで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えたが、戦う気持ちは失っていなかった。
 藤中のスパイクで16−16の同点に追いついた。しかし、ここから4連続失点。カジースキのサーブレシーブは安定していたが、細かいミスが続いた。タイムアウトでも流れを変えられなかった。
 伏見の速攻でサイドアウトを切った。カジースキも続いた。饒も高い決定力を見せた。袴谷、金丸を立て続けにコートに送り込むが、ブレイクポイントが奪えない。最後までスコアを覆すことができず、21−25で失セットを喫した。

 第2セットもすぐに好転しなかった。我慢強くチームをリードしたのが、スタメンで入ったセッターの中根だ。レセプションが乱れてもすばやくボールの下に入り、アタッカーの能力を活かしたトスを上げる。序盤は西田にトスを集めると、要所でセンター戦の速攻を使って確実に得点を積み重ねた。
 ジェイテクトSTINGSらしいバレーを展開しはじめたのは、中盤に入ってからだ。西田がスパイク、ブロックで得点を奪い9−8と逆転に成功。さらにサービスエースも飛び出して、11−9とリードを広げる。
 カジースキも躍動した。12−10でサーブが回ってくると、サービスエースでブレイク。ここでFC東京が1回目のタイムアウトを要求する。集中力が切れないカジースキは、ノータッチエースで14点目。相手のレセプションを崩すと、西田がバックアタックを決めたところでFC東京が2回目のタイムアウトを消化する。3本目のサービスエースで16点目。17−10と大きくリードを広げた。
 その後は1点ずつ取り合う展開となったが、ジェイテクトSTINGSは危なげなく試合を進めていった。セッターの中根も、藤中、伏見、カジースキ、西田とバランスよくトスを配球した。西田が右手で押し込んで24−16とセットポイント。最後も西田のスパイクが決まり、FC東京を18点に抑えたジェイテクトSTINGSが第2セットを取り返した。

 第3セットのスタートから、伏見に代わって福山が入った。果たして主導権を握ることはできるのか。序盤はサイドアウトの応酬。饒が速攻を決め、西田もバックアタックをたたき込んだ。
 西田が3本連続でスパイクを決めて7−6と逆転。福山も速攻を決めて、1回目のテクニカルタイムアウトを8−7で奪う。キレのある動きをキープした西田。カジースキも決めた。13−12から3連続得点。藤中、西田のスパイクに、中根がサービスエースで応戦した。
 ジェイテクトSTINGSが完全にペースを取り戻した。藤中がライトから決めて17−13。カジースキのスパイクでサイドアウトを切ると、西田が2本のサービスエースを決める活躍で4連続得点。会場となったシシンヨーオークアリーナから、感嘆の声が挙がった。
 23−17となったところで藤中に代わって郡がコートイン。さらに浅野を送り込んだ。あとは落ち着いて試合を進めるだけだった。
 郡のスパイクでラリーを制してセットポイント。4点差まで追い上げられたが、ジェイテクトSTINGSに焦りはない。最後は西田のスパイクでフィニッシュ。25−20でセットカウントを2−1とし、勝利に王手をかけた。

 しかし、V.LEAGUEに簡単に勝たせてくれる相手はいない。第4セットも序盤はFC東京が先行した。西田が止められ、藤中のスパイクもアウトになった。第3セットからコートに入った福山が果敢に攻めるが、なかなか点差が縮まらない。西田が何度もスパイクを放ち、ようやく相手ブロックの隙間にボールをねじ込んだ。攻撃の手を緩めるわけにはいかなかった。
 流れを変えたのは、西田のサーブだ。饒の速攻につなげた。サービスエースを決められたが、タイムアウトで負の連鎖を断ち切った。
 中盤はゲームの流れが両者の間を激しく行き来した。西田、カジースキに加え、福山も効果的に速攻をたたき込んだ。しかし、ブレイクポイントを奪われて18−22となったところで、2回目のタイムアウト。チームを救ったのは饒だ。さらにカジースキのサービスエースで2点差。相手はここで2回目のタイムアウト。カジースキのリズムを崩しにかかる。
 22−24でFC東京のセットポイント。福山の速攻で1本目はしのいだ。
 23−24。藤中がFC東京のプレモビッチを1枚ブロックで止めた。背番号「1」の会心のガッツポーズに、アリーナが今日一番の歓声に包まれた。
 その後、西田のスパイクで相手のセットポイントを2度しのいだ。カジースキが決めてアドバンテージを奪った。西田が決めて2度目のマッチポイント。ここで西田にサーブが回ってくる。
 ドラマチックな幕切れだった。強烈なスピンがかかったボールが相手の手元を弾いてエース。29−27で熱戦を締めくくった。

 早くも10勝目を挙げた。しかし、楽な戦いは一つもない。だから、全ての試合が全力投球だ。幸いにもチーム全員のベクトルは同じ方向を向いている。
「昨日、今日と2連勝できたことは自信になります。藤中もよく頑張った。プレッシャーがかかる中、パスもよく我慢したし、スパイクもいいところで決めてくれた。最後のブロックはみんなが救われました。改善点はありますが、彼が成長できた2日間だったと思います」
 ルーキーを手放しで称えたキャプテンの本間。チームが一つにまとまり、さらなる成長を感じさせる一戦となった。

高橋慎治監督

ここ3試合に先発している藤中ですが、持っている力はしっかり出してくれたと思います。彼の一番いいところは、現状に満足することなく「やってやるぞ」という気持ちを常に出してくれるところ。まだまだ期待できます。第4セットは相手も死に物狂いで攻めてきましたが、自分たちは受け身に回ることなく、我慢して攻め続けることができました。その結果、最後に逆転できたので、第1セットは取られたもののいい内容のゲームができたと思います。今後につなげていける部分と、改善しなければいけない部分がある。リーグ戦が続く中で、カジースキの能力を生かすレセプションシステムも構築しなければいけません。そこを見極めて、練習にフィードバックしていきたいと思います。

本間隆太

昨日の疲れがあるとはいえ、試合の入り方に関しては、キャプテンとして反省しなければいけないところだと思います。誰かのせいではなく、いつもなら決まっているボールが決まらなかったり、いつもなら拾えているボールが拾えていなかったり、ブロックカバーの足が止まっていたりした。そういう積み重ねが、そのセットを落とす原因になりました。ただ、自分たちのバレーをすれば、どこが相手でも簡単に負けることはありません。サイドアウトは我慢して、サーブからブレイクを奪う。大事なのは、フローターサーブを打つ選手が、どれだけ相手を苦しめられるか。サービスエースは少なくても、ミスを少なくして相手が嫌がるところを徹底して狙っていきたい。そういうバレーをやっていきたいと思います。

西田有志

決していい内容ではなかったですが、最後まで踏ん張れたことは、チームにとって成長につながると思います。高いところを求めるのであれば、日頃の練習からしっかりと準備していかなければいけません。コンディションも重要です。この2日でそこに気づけたので、来週からまたいいバレーが展開できると思います。第4セットは拮抗した展開になりましたが、僕としては上がってきたトスを決めるだけでした。これも、ワールドカップの経験があったからこそ。決まらなかったことを「どうしよう」と考えるのではなく、次のことを考えながらプレーすることができました。コンスタントにいいサーブが打てたことも、自分にとっては「成長なのかな?」と思っています。その「?」を確信に変えられるように、来週の試合につなげていきます。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

饒、伏見、福山が抜群の安定感を発揮。上位進出の鍵を握るのはミドルの活躍か

ミドルの決定率が高い。今日のFC東京戦は、饒が16本のスパイクを放って12本決めている。決定率は75パーセントだ。先発した伏見は、打数こそ少なかったものの5本中3本。途中出場の福山も5本中4本を決めた。ミドルの決定率が上がれば、相手のブロックを中央に引き寄せられるのでサイドにかかる負担が減らせる。「今日はミドルがいい働きをしてくれました。セッターの使いどころもよかったし、チームで勝てた一戦になったと思います」。こう話したのは西田だ。リベロの本間もミドルを使う効果についてこう話している。「サイド一辺倒になるとブロックが2枚つくので、たとえ西田が決め切ったとしても、フルジャンプしてスパイクを打たないといけません。パスをする立場としては、相手のビッグサーブが来ても、アタックラインくらいに返して『クイックがあるぞ』というのを見せていきたい」。伏見も「マテイさんや西田の負担を減らすためには、僕の成長が鍵になる」と言っていた。サーブ、そしてミドルが、ジェイテクトSTINGSを勝利に導くキーストーンになりそうだ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS FC東京
第1セット 21 - 25
第2セット 25 - 18
第3セット 25 - 20
第4セット 29 - 27
第5セット
日付 2019年12月1日(日)
試合 Vリーグ レギュラーラウンド 第11戦
場所 シシンヨーオークアリーナ
メンバー 藤中、伏見、饒、カジースキ、西田、中根 L本間
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