ジェイテクトSTINGS VS 大分三好ヴァイセアドラー

集中したプレーでセット序盤を優勢に進める。サーブで相手を崩して連続得点。地元出身の選手もコートに立ち、チームに勢いをつけた

 今シーズンのジェイテクトSTINGSは強い。しかし、自信が過信になると、自分たちの戦い方を見失い、奇襲を受けることがある。それが、1レグにおける大分三好ヴァイセアドラーとの対戦だった。
 チームは間違いなく成長している。そのことを、今日の試合で証明してみせた。

 第1セットはカジースキのスパイクで先制した。西田のサーブが相手のレセプションを崩した。饒のスパイクが決まり、4−1と序盤で引き離した。相手のミスが続いたのも、ジェイテクトSTINGSがブロックでプレッシャーをかけていたからだ。伏見が速攻を決めて、1回目のテクニカルタイムアウトを2点のリードで奪った。
 伏見のサーブでリズムをつかむと、カジースキ、西田が決めて11−7と突き放す。中根のブロックも成功。セッターの中根はバランスよくトスを配球し、攻撃陣を巧みにコントロール。饒の速攻などで確実に得点を重ね、16−11とリードを広げた。
 その後もジェイテクトSTINGSの集中力は途切れない。リベロの本間は声でチームを引っ張った。藤中も守備面で持ち味を発揮する。
 19−14となったところで、浅野と柳澤が同時にコートに送り込まれた。これでチームが一気に引き締まった。西田のサービスエースで22−15。饒の速攻でサイドアウトを切ると、金丸を投入してセットを締めくくりにかかる。浅野の得点でセットポイント。最後は西田のスパイクが決まり、ジェイテクトSTINGSが第1セットを25−19で先取した。

 第2セットは、ジェイテクトSTINGSが追いかける形でスタートした。1回目のテクニカルタイムアウトを6−8。決して油断していたわけではない。藤中、カジースキを軸にレセプションも安定していた。しかし、サーブミスが続いたこともあって、なかなかリズムがつかめなかった。
 西田のスパイクをきっかけに流れを引き戻した。西田がサーブで攻めて、中根のブロックでブレイク。相手のミスを誘い、10−9と逆転に成功する。ここで大分三好が1回目のタイムアウト。ジェイテクトSTINGSは西田にトスを集めてサイドアウトを切っていく。相手のスパイクがラインを割って連続得点。大分三好のチャレンジも失敗し、ジェイテクトSTINGSがリードを広げた。
 伏見のサーブも機能した。うまくコントロールしたサーブで、エースを2本連続で奪う。これで完全に流れをつかんだ。終盤は再び柳澤を投入し、スタンドの声援を味方につけた。饒、伏見の速攻でサイドアウトを切った。柳澤のスパイクでブレイク。2点差まで迫られたが、西田のスパイクでセットポイントを奪った。最後は伏見のブロックで25−21。ジェイテクトSTINGSが2セットを連取した。

 1レグの対戦は、この第3セットで失速した。しかし、この日のジェイテクトSTINGSは違った。集中が途切れない。西田のスパイクで先制。饒の速攻でサイドアウトを切った。カジースキもサーブに変化を加えて、相手からリズムを奪っていく。
 圧巻は5−5からだ。中根のサーブが機能すると、カジースキのバックアタックで連続得点。伏見のブロック、藤中のスパイクで8−5とリードを広げた。
 さらに8−7から怒涛の7連続得点。西田がレフトから決めてサイドアウトを切ると、伏見のブロック、カジースキがそれに続く。藤中のサーブも功を奏した。西田がバックアタック、ブロックで追加点。相手のミスを誘って15−7と完全に試合の主導権を握った。
 試合の締めくくり方も、ジェイテクトSTINGSらしさが表れていた。ミドルブロッカーを饒から金丸にスイッチ。セッターの中根に代えてオポジットの袴谷を投入すると、オポジットの西田に代えてセッターの小林をコートに送り込む。変則的な二枚替えでチームが活性化。袴谷がライトから強烈なスパイクを打ち下ろすと、ここで柳澤がコートに入る。伏見のスパイクで23点目。袴谷が決めてマッチポイントを奪い、最後は相手のスパイクがミスになって25−18。ジェイテクトSTINGSがストレート勝ちを決めた。

 4連勝で11勝目を奪った。地元・長野県での試合に初めて出場した小林は、記者会見でこう話した。
「開幕からここまでうまくいかないことも多かったけど、この長野大会を機に成長し、チームに貢献していきたい。僕がこの街を懐かしいと思うように、今日の試合で僕のことを覚えてくれる人もいると思います。そういう人のためにも、元気を与えられるように精一杯頑張ります」
 明日はホームのVC長野と対戦するが、臆することはない。自信を持って、堂々と立ち向かっていくことが重要だ。

高橋慎治監督

スタートから出た選手も、途中から出た選手も自分が持っている力を出してくれました。誰が出てもいつもと同じ展開が作れたことはよかったと思います。課題はサーブの精度。チームのリズムがいいときはみんながいいコースに打てているが、今日の第2セットはサーブが緩くなる場面もありました。毎回同じところに打つのではなく、終始、いろいろ考えながら大事にサーブを打っていかなければいけません。西田、カジースキのビッグサーバー以外も、全員がいいサーブを持っています。もっといいサーブが打てるように、意識を高めていきたいと思います。

浅野博亮

1レグで苦戦したこともあり、今回はそうならないように練習から意識して取り組んできました。サーブで攻めてうまく切り返すことができたので、いいゲームになったと思います。自分が見ている限り、スパイクは西田が頑張っています。また、キャプテンの本間が周りに声をかけることで、リバウンドなどの細かいプレーが機能している。饒も絶好調で、中根が速攻をうまく使っていることでサイドアウトが切れています。細かいフォローと速攻を使えていることが、好調の要因だと思います。個人的にはスタートから出たいという気持ちがありますが、少しでも長野県のコートに立つことができてよかったです。

柳澤広平

ジェイテクトSTINGSのいいバレーを地元の方に見せられるように、先週から練習に力を入れてきました。チームとしても、2レグから再び勝ち進めるバレーをしようと気合いを入れてきたので、今日はストレートで勝ててよかったです。体育館や街の風景には思い入れがあり、まるでホームのようにのびのびとプレーすることができました。個人的な内容はあまりよくなかったけど、決まらなかったプレーにさらに磨きをかけていきたいと思っています。昨年から課題にしているディグやサーブレシーブは崩れなかったので、自分の持ち味であるスパイクを改良していきたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

集中した入り方でペースをつかみ、勝負どころで一気に突き放した

どのセットも集中した入り方をしていた。1レグの戦い方が布石になっていることもあるだろう。何より圧巻だったのが、1回目のテクニカルタイムアウトが開けた直後だ。すべてのセットで連続得点を奪い、一気に走り抜けている。第1セットは、カジースキ、西田が活躍。第2セットは、西田のサーブで相手のレセプションを崩し、中根がブロックを決めた。第3セットは藤中がサーブで相手を揺さぶり、攻撃力のある西田、伏見、カジースキが前衛に並んでいる。相手は2度のタイムアウトを消化し、一気に試合を決めた。「セットの入り方は最近の課題にもあがっています。そのスタートをしっかり戦えたことが、第2、3セットにつながりました。相手がどこであれ、自分たちのリズムを作らなければいけません。そのことをいつも言っているので、今日もしっかり意識できたと思います」。試合後にこう話した高橋監督。勝負どころで点が取れるのは強者の証だ。一つひとつ白星を重ねるごとに、チームの成長は上昇カーブを描いている。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 大分三好ヴァイセアドラー
第1セット 25 - 19
第2セット 25 - 21
第3セット 25 - 18
第4セット
第5セット
日付 2019年12月7日(土)
試合 Vリーグ レギュラーラウンド 第12戦
場所 松本市総合体育館
メンバー 藤中、伏見、饒、カジースキ、西田、中根 L本間
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