ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ

西田の4連続エースなどで2セットを連取。フルセットに持ち込まれるが、セッターの小林が攻撃のリズムを変えて接戦を制す

 ジェイテクトSTINGSのホームゲーム、V.LEAGUE徳島大会が開催された。チームはここまで5連勝。会場はSTINGSホワイトに染まった。相手はムセルスキーを擁するサントリーサンバーズ。簡単に勝てる相手でないことはわかっている。試合前からスタンドのボルテージは最高潮に達していた。

 サントリーのサーブでスタートした第1セット。西田のスパイクでジェイテクトSTINGSが先制した。その後もセッターの中根はエースにトスを集めてくる。要所で饒、伏見の速攻を使ってサイドアウトを切った。レセプションで苦しむ場面はあったものの、中根のトス回しが機能して好調をキープしたまま試合を進めていった。
 流れを引き寄せたのが5−5からだ。藤中のサーブが相手を崩し、カジースキのブロックが成功。さらにブロックで粘り強くワンタッチを取って、西田のスパイクで加点する。8−5で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。その後も、ジェイテクトSTINGSがペースを握る。藤中のサーブがコーナーいっぱいに決まり、10−5とリードを奪った。
 西田もサーブで魅せた。12−7でサーブが回ってくると、ここから4本連続でエースを決める。相手の腕を弾き飛ばすと、2本目はノータッチで相手のコートをたたいた。強烈なスピンがかかったボールが相手を襲う。勢いが止まらない。テクニカルタイムアウトが開けると、西田のバックアタックでリードを10点に広げた。
 試合の趨勢は決した。ジェイテクトSTINGSは藤中にトスを集めてサイドアウトを切っていく。伏見の速攻も決まった。リリーフサーバーの袴谷を送り込んで、セットを締めくくりにかかった。西田がサーブで攻めると、相手のスパイクがアウトになってセットポイント。ジェイテクトSTINGSが25−15で第1セットを圧倒した。

 第2セットは互いに1点ずつを取り合う展開。ジェイテクトSTINGSは西田がブロック、スパイクで活躍した。しかし、我慢の時間が続く。藤中、中根は地上戦で踏ん張った。リベロの本間も懸命に体を張ってボールをつないだ。激しい攻防が続いた。
 相手のブロックをサイドに引き寄せて、中央から饒が速攻を決めた。これで流れをつかんだ。サントリーのムセルスキーのサーブ時は、西田を含めた4人がレセプションに入った。11−11の場面では中根のブロックが成功。藤中も決めて、3連続得点を奪った。西田のスパイクでサイドアウトを切ると。ブロックでプレッシャーをかけてムセルスキーからスパイクミスを誘う。4点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 伏見がブロックを決めると、藤中がサーブで攻めて3連続得点。19−14。ベンチワークも機能した。代わって入った袴谷がサーブで攻めた。金丸が入ってネット際に高さを生み出した。23−19の場面では、西田がトスの高さと相手コートを見て、うまくフェイントに切り替えた。セットポイントを奪ったところで柳澤を投入。最後は相手のサーブがアウト。ジェイテクトSTINGSが25−20で2セットを連取した。

 王手をかけた。しかし、ここで甘さが出た。第3、4セットを続けて奪われたのだ。油断していたわけではない。相手の変化に対応できなかった。
 入り方もよくなかった。第3セットは西田のスパイクで先制したものの、そこから3連続失点。カジースキのサービスエース、西田のスパイクで得点を重ねるが、2点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎える。カジースキのスパイクが立て続けに止められた。柳澤がコートに入るが、流れは変わらない。サーブレシーブも乱れた。
 袴谷、小林をコートに送り込むが、この時点で8−22。反撃するには、あまりにも点差が離れすぎていた。

 わずか11点で第3セットを落とした。続く第4セットもサントリーを追いかける展開。3連続失点で2−6となったところで、高橋監督は早くもタイムアウトを要求する。
 5−9となったところで、セッターを中根から小林にスイッチ。ここから徐々にペースを引き戻しにかかる。9−13の場面では、小林が鮮やかなツーアタックを決めた。これでサントリーは1回目のタイムアウトを要求。さらにカジースキがサーブでコースを狙って、ネット際に上がったボールを饒がダイレクトスパイク。2点差に詰め寄った。
 終盤は一進一退。西田のスパイクでラリーを制した。カジースキもスパイクを決めた。西田のバックアタックで18−21。最後まで粘ったが、20−25で失セット。勝負の行方は第5セットに持ち込まれた。

 振り出しに戻った。運命の第5セット。しかし、流れはサントリーにあった。西田のサーブからスタートした。ジェイテクトSTINGSはカジースキと藤中のポジションを入れ替えて臨んだ。西田がバックセンターからスパイクを決めるなど変化を見せた。しかし、1−5と出遅れる。
 ここまでか。しかし、チームに諦める者は一人もいなかった。気を吐いたのが西田だ。上がってきたトスを渾身の力でたたき込んだ。集中していた。
「ブロックの上から打ってもコースを狙えると思っていました。止められる感じがしなかった。『トスを全部持ってきて』というコールをさせていただいて、それを決め切ることができたのは、自分の成長につながると思います」
 試合後にこう話した西田。7−10から饒の速攻でサイドアウトを切った。藤中がサーブで攻めて、相手のミスを誘った。さらにサービスエースを決めて10−10。ついに同点に追いついた。
 ここからカジースキがパフォーマンスを上げていく。ムセルスキーとの打ち合いになった。12−13。伏見が打ち、返ってきたボールをカジースキがダイレクトでたたき込んだ。先にマッチポイントを奪ったのはサントリー。西田のスパイクでしのいだ。ジュース。中根がリリーフサーバーとして入った。ムセルスキーのスパイクからワンタッチを取った。つないだボールを西田が決めた。逆にマッチポイントを奪った。
 15−14。サントリーがタイムアウトを要求する。1点を返された。西田の強打で再びマッチポイント。サーブは西田。ムセルスキーのスパイクはアウトになった。苦しみながら、ジェイテクトSTINGSが勝利をつかんだ。

 壮絶な一戦だった。試合後に見せた西田の渾身のガッツポーズがそれを物語っていた。
「第5セットはスタッフからも『1点を決めたときは大きなアクションでチームに流れを持ってこい』と言われました。それを全員が同じようにできたことで、4点差をひっくり返すことができたと思います。チーム全員のハードワークによって勝利をつかむことができました」
 連勝を6に伸ばした。全員が同じ方向を向いている。だが、タフな戦いはこれからも続く。気を緩めることなく邁進していきたい。

高橋慎治監督

厳しい戦いになることは予想していましたが、セットごとに流れが極端に変わりました。第1、2セットはいい流れでしたが、第3セットから流れを失い、自分たちのリズムが取れなくなった。第5セットも最初は劣勢でしたが、そこから立て直した選手はすごいと思うし、感謝しています。いい流れのバレーを最初から最後までやり切ることが自分たちの課題。それができればもっといい展開の試合ができると思うので、今日の経験を次につなげたいと思います。たくさんの方に足を運んでいただき、いい雰囲気の中でバレーボールをやらせてもらいました。とても幸せなことで、その中で勝つことができてとても嬉しく思います。応援ありがとうございました。

本間隆太

第3、4セットを取られて切り替えるのは難しかったけど、最後は一人ひとりのモチベーションが同じ方向を向きました。それによってジェイテクトSTINGSらしいバレーができたことが、勝利につながったと思います。ムセルスキー選手にいい状態でスパイクを打たれたら、ある程度は決められても仕方がない。相手のレシーブが乱れたときにどれだけムセルスキー選手の効果率を下げられるかをテーマにしていました。結果的にかなりの本数を決められたので、苦しい展開になったと思います。たくさんのファンの方に来ていただいて、とてもやりやすい雰囲気でした。明日も今日よりいいバレーができるように頑張ります。

藤中優斗

厳しい戦いでしたが、みんなで切り替えて、一つの方向に向かって戦えたことが勝利につながったと思います。第5セットは、決していい雰囲気ではなかったので、点が決まったらしっかり喜んでいこうと心がけていました。スパイクやレセプションに派手さはいりません。我慢し続ければいいという思いで臨みました。これまでは、サーブは「入れていく」スタイルでしたが、本間選手から「攻めていけ」と言われて腹をくくって攻めようと思いました。結果的に1試合を通して攻め続けられたので、サーブに関してはよかったと思います。たくさんの観客の中でバレーボールができるのは幸せなこと。期待に応えられるように頑張ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

苦しんだ第3、4セット。全員のハードワークで勝利をつかんだ

タイムアウト中のベンチから「ハードワーク」という声が飛び交っていた。一人ひとりがチームのために全力を尽くす。その献身が、勝利という形で身を結んだ。キャプテンの本間が言う。「僕はキャプテンなので、第3、4セットの劣勢時にどれだけチームを支えられるかを意識しました。第4セットは、たとえ取られても、第5セットにつなげるセットにしなければいけません。第5セットの最初はリードされたけど、諦めたらそれで終わり。チームを鼓舞するという意味では、最後まで踏ん張れたと自分では思っています」。試合時間は2時間を超えた。技術、戦術を超越した試合を制したのは、全員が見せたハードワークだった。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ
第1セット 25 - 15
第2セット 25 - 20
第3セット 11 - 25
第4セット 20 - 25
第5セット 17 - 15
日付 2019年12月14日(土)
試合 Vリーグ レギュラーラウンド 第14戦
場所 徳島県立産業観光交流センター
メンバー 藤中、伏見、饒、カジースキ、西田、中根 L本間
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