ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ

シフトチェンジが功を奏して、第2セットを逆転で奪取。第3セットも本間を軸にボールを拾い、守備で堺を圧倒した

 13勝14敗。勝点41。これが昨シーズンのレギュラーラウンドの成績だ。上位陣からはほとんど白星を奪うことができなかった。
 ジェイテクトSTINGSは1年で大きく変化した。レギュラーラウンドの折り返し地点に差し掛かった段階で13勝1敗の勝点40。高橋監督は「メンバーが変わっただけで上に行けるとは思っていない」と断言している。選手、スタッフ、チームに関わる全ての人のベクトルが同じ方向に向かっている証だ。チームは間違いなく一つ「ONE」になっている。

 堺ブレイザーズとの一戦は、ジェイテクトSTINGSのブレイクからはじまった。西田のスパイクで先制すると、饒の速攻で加点。カジースキのスパイクなどでサイドアウトを切り、藤中がライトから決めて8点を先取した。
 8−6。入り方は悪くなかった。中根が片手で上げたボールを、西田が相手コートにふわりと落とす。カジースキがサーブで攻め、相手のミスを誘ってブレイク。藤中のサーブレシーブから福山が速攻を決めるなど、確実に得点を積み重ねていった。リベロの本間を軸に守備も安定していた。西田のブロックで16−12とリードを広げた。
 さらにチャレンジが成功して1点を加える。福山はスパイクだけでなく、ブロックでもワンタッチを取って守備に貢献。チャンスボールをカジースキが決めると、西田がフェイントを決めて20−14と主導権を握った。ここで堺が、1回目のタイムアウトを要求する。
 中根のトスワークも冴えていた。饒が決めると、リリーフブロッカーの金丸を投入。最後は西田が意地を見せた。一時は21−18と3点差まで詰め寄られるが、西田が決めて嫌な流れを断ち切った。相手のクロススパイクがアウトになって23−18。ジェイテクトSTINGSの勢いは止まらない。西田がバックアタックを決めてセットポイント。1点を返されたが、西田がレフトから決めて25−20で第1セットを先取した。

 藤中のサーブではじまった第2セットは一進一退。ジェイテクトSTINGSの1点目はやはり西田。カジースキも高い打点から相手の空いたエリアを巧みに突く。しかし、堺の気迫が徐々に点数になって表れた。西田が強烈なスパイクをエンドライン際にたたき込むが、5−8で1回目のテクニカルタイムアウトを落とした。
 力は拮抗していた。西田のスパイクが止められた。しかし、すぐに西田が右手一本で取り返す。堺のトーレスに対するブロックが機能しはじめた。西田が相手のブロックを弾き飛ばして9−11。カジースキがサーブで相手を崩して1点差に詰め寄った。
 11−12とジェイテクトSTINGSが追いかけている段階で堺がタイムアウトを要求。西田のスパイクで12−13。相手が返し切れず13−13。カジースキが上げたハイセットを西田が豪快にたたき込んでついに逆転に成功する。積極的に西田にトスを集め、ジェイテクトSTINGSが16−15とリードを奪った。
 しかし、ここから3連続失点。ノータッチエースも決められた。勢いに押され、ジェイテクトSTINGSがこの試合初めてタイムアウトを要求する。ともに集中していた。サーブで攻めた西田が、自らのバックアタックでブレイク。19−19の同点に追いついた。食らいつきたかったが、堺にブレイクされて20−22とリードを奪われた。
 懸命にボールをつなぐが、21−24とセットポイントを許した。藤中のスパイクで1点を返す。西田のスパイクはアウトになったかに思われたが、チャレンジが成功して再びしのいだ。堺のトーレスのスパイクを、クロス側にポジションを取っていた本間がつないだ。カジースキがアンダーで上げたトスを、西田がうまく落として24−24。土壇場で同点に追いついた。
 西田のブロックでアドバンテージ。1点を返されたが、西田がレフトから決めて再びリードを奪った。本間が拾ったボールをカジースキが決めて27−25。ジェイテクトSTINGSが大逆転でこのセットを奪った。

 第3セットも西田のスパイクで先制した。カジースキのスパイクでサイドアウトを切ると、本間、西田がつないだボールを藤中が決めて4−2とリードを奪う。一時は同点に追いつかれたが、西田のバックアタック、福山のブロックで一気に突き放した。セッターの中根も要所で福山の速攻を使い、ジェイテクトSTINGSが8−6で1回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 中根も抜群の守備力を発揮。本間も身を挺してボールをつないだ。この日も全員がハードワークを見せた。中根が2本目を打ち込んでラリーを制すと、タイムアウト明けに西田のサービスエースが決まって12−8。饒のBクイックでサイドアウトを切り、カジースキのサービスエースで14点目。西田にやや疲れが見えはじめたが、3点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎える。
 ここからは意地と意地のぶつかり合い。18−16の場面で、福山が値千金のサービスエースを決めた。さらに西田のブロックで20−16。堺が2度のタイムアウトを消化した。ここからカジースキがエンジン全開。高い打点から強烈なスパイクをたたき込む。
 22−18となったところで伏見を投入。その伏見がブロックを決めて23点目を奪った。饒の速攻でマッチポイント。最後は相手のスパイクがアウトになり、ジェイテクトSTINGSがストレート勝ちを決めた。

 ホームの徳島大会で連勝を決めた。早くも昨シーズンの勝利数を上回った。
「カジースキ選手、西田選手はさすがに疲労が溜まっている印象があったけど、今日の試合も高い決定率を残してくれた。全員でハードワークした結果が、3−0の勝利につながったと思います」
 本間は記者会見でそう振り返った。2019年の公式戦も来週のJT戦を残すのみ。しっかり勝って、2020年をいい形で迎えたい。

高橋慎治監督

昨日に引き続きたくさんの方が応援に来てくれて、その中で連勝することができてホッとしています。この徳島で熱い応援をしてくれた人、いいプレーをしてくれた選手、しっかりと準備をしてくれたスタッフに感謝しています。第2セットの相手にリードされているときは、自分たちのブロックとディグの関係が崩れていました。第2セットの終盤あたりからそこを修正できたと思います。普段はリリーフサーバーを入れることもありますが、今日は全体的にサーブが安定していました。交代するとしたらブロックでしたが、いいところで伏見がブロックを決めてくれてよかったです。この勝利をきっかけに勢いをつけて、来週以降に向けてまた準備していきたいと思います。

カジースキ マテイ

素晴らしい試合になりました。プレッシャーがかかる中、チームが一丸となって戦えたことが今日の勝利につながったと思います。苦しい展開でしたが、チームには巻き返す力がありました。昨日も今日も西田選手にかかる負担が大きかったけど、自分は第3セットの終盤になってもまだ体力が残っていた。いい状態でスパイクが打てたと思います。コンディションは100パーセントではなかったけど、こうして勝てたことはチームの成長につながります。大事なのは、経験を積み、学ぶこと。白星を積み重ねていますが、チームにはまだ伸び代があります。チームを信じているし、強いメンバーも揃っている。とにかくベストを尽くします。年内はもう1試合残っているので、そこに向けてしっかり準備していきます。

西田有志

昨日の疲労が抜けていなくて、失点が目立つ試合になりました。ただ、第2セットをああいう形で取り切れたのは、チームにとって大きな収穫です。勢いが出て、第3セットも全員がやるべきことをやれた。こういう試合を重ねないと、チームとしても成長しません。今日はフェイントを多用したことが一つのポイントになりました。それから、堺のトーレス選手のスパイクをできるだけたくさん上げようと思っていた。そうすれば、相手にとってストレスになります。中盤になって自分の決定率も下がっていたので、できるだけディフェンスで貢献しようと思っていました。大事なのは、チームが勝つためにどうするかを考えること。タフな試合が増えてくるので、しっかりコンディションを整えて臨みたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

大事なのは2本目のつなぎ。今年のジェイテクトSTINGSはディフェンスがすごい

勝敗を分けたのは第2セットの終盤だろう。チャレンジが成功して相手のセットポイントをしのぎ、23−24としたあとだ。堺のトーレスに対してブロックでストレート側を封じ、クロス側に入っていた本間がボールを上げた。これを西田が決めてジュース。このセットの逆転勝ちにつなげた。特に第3セットは、守備力のある本間、中根、藤中が粘り強くボールを拾って、アタッカー陣につないだ。本間は言う。「今のチームには決めてくれる選手がいます。特に今日は、レシーブで盛り上げてやろうと思っていた。ただ、ディフェンスが目立ったけど、最もよかったのは2本目のつなぎ。改めて2本目の精度が大事だと感じました」。派手なスパイクやサーブに目が行きがちだが、今年は細かい守備の積み重ねから点を取っている。攻守がガッチリと噛み合ったジェイテクトSTINGSに死角は見当たらない。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ
第1セット 25 - 20
第2セット 27 - 25
第3セット 25 - 19
第4セット
第5セット
日付 2019年12月15日(日)
試合 Vリーグ レギュラーラウンド 第15戦
場所 徳島県立産業観光交流センター
メンバー 藤中、福山、饒、カジースキ、西田、中根 L本間
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