ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ広島

カジースキ、西田が猛打で勝利に貢献。落としたセットも、袴谷、小林ら途中から入った選手が流れを引き寄せる

 年内最後のゲームは、2019年を締めくくる大一番になった。相手は2レグに入って勝ちっ放しのJTサンダーズ広島。ここまで8連勝と好調を維持している。互いの意地と意地がぶつかり合った一戦。会場となった東広島運動公園体育館は、試合前から最高の盛り上がりを見せていた。

 ジェイテクトSTINGSはカジースキにトスを集めて主導権を握った。打点が高い。バックアタックでブレイクポイントを奪うと、サービスエースも決めて5−3。ゲームの流れを一気に引き寄せた。要所で饒の速攻が決まる。8−6で1回目のテクニカルタイムアウト。勢いはジェイテクトSTINGSにあった。
 西田のブロックも冴えていた。さらにカジースキのスパイクで11−8。サイドを中心に攻撃を展開し、西田のバックアタックを絡めてリズムをつかむ。サービスエースを奪われるシーンはあったものの、悪い流れを引きずらないのが今のジェイテクトSTINGSだ。守備の要、リベロ本間のサーブレシーブも安定していた。藤中が決めて15点目。2点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 西田が硬軟織り交ぜたスパイクで確実に得点を奪う。一度は止められたカジースキをその直後に使うなど、セッター中根も強気のトスワークを見せた。圧巻は伏見のブロックだ。JT広島のエドガー、陳を立て続けに止めて相手の勢いを寸断。カジースキのスパイクでラリーを制し4連続得点。21−16とリードを広げた、
 西田のプッシュで22点目。ここで袴谷が入ると、サーブで饒のブロックをお膳立て。さらに袴谷のサービスエースでセットポイントを奪う。最後は相手のサーブがミス。ジェイテクトSTINGSが25−19で第1セットを先取した。

 しかし、一転して第2セットは追いかける展開。西田のスパイクやブロックで4点を先行するが、ミスもあってすぐに追いつかれる。JT広島のサーブにも苦しんで7−8。伏見のブロックで流れを取り戻すが、相手の高いブロックに攻撃が遮られ10−12と再びリードを許した。
 流れを変えたのは、途中から入った小林、郡、そして浅野だ。最大で13−19と6点のビハインドがあった。しかし、小林が巧みにアタッカー陣をコントロールして16−19。カジースキのサーブも機能した。郡も得点を決めるなど、チームがうまく回り始めていた。
 伏見の速攻で19−22。最後は3連続失点でこのセットを落としたが、終盤は互角のバレーを展開していた。

 スタートの布陣を戻して第3セットがスタート。西田のブロックなどで2点をリードして入った。饒の速攻や西田のバックアタックで得点を重ねる。1回目のテクニカルタイムアウトを5−8で落としたものの、逆転の可能性は残されていた。
 口火を切ったのが伏見だ。速攻を決めると、カジースキがトップフォームを取り戻して次々と得点を奪っていく。饒の速攻や藤中のスパイクなどで3連続得点。13−12とし、ついに1点をリードした。
 しかし、ここから3連続失点。短時間で流れが大きく入れ替わるセットになった。我慢の時間が続く。伏見のスパイクでラリーを制して17−18。さらに本間のトスを西田が決めてサイドアウトを切る。ここから西田が2本連続でサービスエース。ジェイテクトSTINGSが本領を発揮し、20−19と逆転に成功した。
 カジースキもサービスエースを決めてリードを2点に広げた。一時は同点に追いつかれるが、タイムアウトで嫌な流れを断ち切った。采配も機能した。饒が決めて23−22。そこから1点ずつ取り合い、ジェイテクトSTINGSがセットポイントを奪ったところでJT広島がタイムアウト。しかし、集中力は途切れない。西田がレフトから決めて25−23。ジェイテクトSTINGSが勝利に王手をかけた。

 勝負の分かれ目になったのが第4セットだ。ジェイテクトSTINGSは1点を追う展開。西田、カジースキにトスを集めてサイドアウトを切った。しかし、3−3から3連続失点。西田のスパイクも止められた。カジースキの強打でブレイクポイントを奪い、僅差をキープしたまま6−8で1回目のテクニカルタイムアウトを迎える。
 西田が豪快なスパイクをたたきつけた。流れを引き寄せたかに思われた。しかし、8−10から4連続失点。カジースキ、西田、饒のスパイクが立て続けに止められた。西田が決めてサイドアウトを切ったところで、中根に代わって袴谷がコートイン。さらに西田に代わって小林を送り込む。この二枚替えで流れが変わった。ビハインドは最大7点。袴谷のスパイクでブレイクを奪った。12−18から怒涛の5連続得点。袴谷がサーブで相手を崩し、自らのバックアタックで得点を加算した。相手のミスも誘い、17−18と1点差まで詰め寄る。
 21−25で落としはしたが、第5セットにつながる戦いだった。

 メンバーを戻した第5セットは、ジェイテクトSTINGSが走った。カジースキのスパイクで先制。西田も続いた。西田がサーブで相手にプレッシャーをかけた。カジースキがサーブで攻め、4−2から4連続得点。西田が巧みに相手コートにボールを落とし、要所で藤中もスパイクを決める。
 饒はネット際で高さを発揮。伏見のブロックも機能した。西田も意地でスパイクをねじ込んだ。12−7でリリーフサーバーの袴谷が入った。コートの空気が一変した。相手のスパイクミスで14−7。今シーズン、フルセットでは負けなしのジェイテクトSTINGSが勝負強さを発揮した。
 最後は西田がダイレクトでスパイクをたたき込みゲームセット。15−8で勝利をつかんだ。

 8連勝で15勝目を奪った。2019年の最後を飾る価値ある勝利だった。キャプテン本間のコメントが、チーム状態のよさを物語っている。
「レギュラーラウンドを1位で通過するか、2位で通過するかなんて誰も考えていません。もちろん、今日の勝利は大きい。ただ、意識してもいいことは何もないんです。とにかく目の前の一戦を勝ち抜くこと。それをキャプテンとして、チームのみんなに言い続けたいと思います」
 年末年始をはさみ、次戦は2020年1月11日のウルフドッグス名古屋戦。一戦必勝――、まずは目の前の試合に全力を注ぐ。

高橋慎治監督

第1セットは、セッターの中根がカジースキのコンディションやプレーを見て、レフトを多めに使いました。中根のゲームメイクが機能しました。取られた第2、4セットは、相手のブロックやサーブに苦しんだ。ただ、スパイクがブロックされてもフォローできる場面はあったし、強いサーブが来てもエースは取られない技術をジェイテクトSTINGSの選手は持っています。それを我慢できたセットは、最後に勝ち切ることができました。選手はもちろんスタッフもそう。全員が頑張っていることで、勝つことができています。いい流れを崩さないためにも、もっと勝ち星を増やせるように頑張ります。相手がどこであろうと自分たちのバレーができるよう、しっかりと準備していきます。

本間隆太

カジースキの調子がよかったことが、いい入り方ができた要因だと思います。また、JT広島さんがカジースキのマッチアップを変えていたこともあり、積極的に行くしかないと思っていました。勝ち方を知っている選手が増えてきたように思います。第4セットは取れなかったけど、途中から入った袴谷さんの活躍でチームが少し変わりました。逆に先週のサントリー戦は第3セットの敗戦を第4セットまで引きずっていた。その点では、先週よりも今日の方がチームとして成長できたと思います。僕は連勝についてはあまり考えていません。大事なのは、その日その日の相手にどう勝っていくか。まずは次のウルフドッグス名古屋戦に全力を注いで、しっかり戦い抜くように準備したいと思います。

袴谷亮介

昨年、30歳になり、いい意味で緊張しなくなりました。練習も試合も変わらないプレーができる精神状態になってきたように思います。練習でいいサーブが打てていたので、今日の試合もいつも通りの感じで打つことができました。今、西田は安心して見ていられます。特にワールドカップで活躍してからは、よほどのことがない限り崩れることがありません。でも、僕もどんな状況でも試合に出たい。常に動いて準備し、いつでも出られるようにしています。連勝はあまり気にしていません。ただ、やはりパナソニックさんに勝たないと、1位には上がれないという思いがあります。どこも強いけど、特に年明けのパナソニック戦に向かう気持ちは強いですね。いつでも同じようにプレーできる状態を作りつつ、たとえ出られなくてもチームを盛り上げられるように後ろからバックアップしていきます。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

流れを引き寄せた第4セット。途中から入った袴谷、小林の集中力が高かった

第4セットが始まるまでは、どちらに転んでもおかしくない展開だった。流れを引き寄せたのは、失った第4セットだろう。途中から入ったオポジット袴谷、セッター小林の集中力が極めて高かった。ずるずると点差を離されていたら、第5セットは違った展開になっていたに違いない。いい形で引き継いだ袴谷と小林の活躍が光った一戦だった。袴谷が言う。「第4セットの苦しい場面で小林と二枚替えで出て、そこから点差を詰めることができました。チームの雰囲気がよくなり、西田も落ち着かせることができた。スタッフがメンバーチェンジをうまくやってくれたと思います。第5セットはコンディションが戻った選手が活躍してくれました」。誰が出ても本来の力を発揮できるチームが、本当に強いチームだ。練習での切磋琢磨の証でもある。その意味でも、今のジェイテクトSTINGSは間違いなく強い。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ広島
第1セット 25 - 19
第2セット 19 - 25
第3セット 25 - 23
第4セット 21 - 25
第5セット 15 - 8
日付 2019年12月21日(土)
試合 Vリーグ レギュラーラウンド 第16戦
場所 東広島運動公園体育館
メンバー 藤中、伏見、饒、カジースキ、西田、中根 L本間
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