ジェイテクトSTINGS VS ウルフドッグス名古屋

第2セットから本領を発揮。代わって入った浅野、久保山、福山が活躍し、要所でカジースキ、西田が強打をたたき込む

 3週間の中断を挟み、V・レギュラーラウンドが再開した。相手は1レグで3−0と快勝したウルフドッグス名古屋。しかし、同じようにいかないのがリーグ戦の難しさだ。予想通り、タフな一戦になった。

 第1セットはWD名古屋の勢いに押された。1回目のテクニカルタイムアウトは6−8。カジースキ、西田の得点で3−1と先行したものの、その後はWD名古屋のペースで試合が進んだ。
 相手のサーブが徹底してカジースキに集まった。6−4から6連続失点。カジースキの返球は悪くなかったが、なかなかリズムがつかめない。むしろWD名古屋の勢いが優っていたと言える。本間、藤中もカバーに入った。タイムアウトを取っても流れは変わらず、7−14とリードを広げられた。
 13−18となったところで、久保山が今シーズン初めてコートに入った。カジースキがサーブで攻めてビハインドを3点差まで縮めた。しかし、16−19から4連続失点。これで勝負あった。第1セットを18−25で失った。

 落ち着きを取り戻した第2セットから反撃に出る。西田のブロックで先制。カジースキが決めてブレイクポイントを奪った。サイドアウトの応酬が続く。要所で饒がスパイクを決めた。さらにアウトと判定された饒のスパイクは、チャレンジによって得点が認められた。カジースキのバックアタックが決まり、8−7で1回目のテクニカルタイムアウトと迎えた。
 その後も点の取り合いが続く。ジェイテクトSTINGSは一人の選手に偏らず、西田、カジースキ、饒がバランスよく得点。伏見がこの試合初めてスパイクを決めた。真ん中の攻撃を相手に印象付けて、西田がサイドから叩き込む。17−14と徐々にリードを広げていった。
 大事な場面で饒がブロックポイント。ジェイテクトSTINGSのリードが4点に広がったところでWD名古屋がこのセット初めてのタイムアウトを要求する。ジェイテクトSTINGSにも不安はあった。ラリーを取ることができない。19−21。リードが2点に縮まった。
 しかし、藤中がサーブで相手の守備を揺さぶると、カジースキ、西田のブロックなどで4連続得点。このセットを一気に締めくくった。

 第3セットも追いかける展開。先制後に3連続失点を喫した。サーブレシーブは上がっていたが、なかなか決め切ることができない。饒の速攻も相手に反応された。伏見がサイドアウトを切るが、5−8とリードを許した。
 藤中が攻守にわたって奮起する。ライトからスパイクを決めると、好レシーブを連発してチームをフォロー。西田も強打を叩き込み、一進一退の展開に持ち込んだ。11−14の場面では西田、中根が好レシーブを見せた。気迫も伝わってきた。しかし、15点目を奪われたところでジェイテクトSTINGSはタイムアウト。ミドルブロッカーを伏見から福山に代えた。
 我慢の時間が続く。代わったばかりの福山が決めてサイドアウトを切った。カジースキが強打をたたき込み、西田も続いた。饒のスパイク、カジースキのサービスエースなどで3連続得点。18−19と1点差まで詰め寄った。さらに福山がブロックでワンタッチを取り、つないだボールを西田が決めて22−22。追いつかれたWD名古屋がタイムアウトを取った。
 このセットを取るまであと一歩だった。一度は相手のセットポイントをしのいだ。しかし、最後はカジースキのスパイクが止められて、24−26でこのセットを失った。

 第4セットは立ち上がりに4点を奪われた。チームを救ったのはセッターの久保山だ。0−4でコートに入ると、カジースキが決めてサイドアウトを切った。その後も調子のいいカジースキ、西田にトスを集めて得点を積み重ねる。サーブでも攻めた。4−6でカジースキにサーブが回ってくると、2本連続でサービスエース。その後、サイドアウトを繰り返し、7−8で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 久保山は要所で饒を使った。福山がブロックを決めて9−9。さらに10−11となったところで、藤中に代わって浅野がコートイン。福山のサービスエース、カジースキのスパイクなどで4連続得点を奪った。
 西田が尻上がりに調子を取り戻し、福山のブロックなどで21−16。カジースキが柔らかいボールを落として22点目。饒のスパイクでサイドアウトを切ると、西田がサーブで攻めてカジースキが得点を奪う。ジェイテクトSTINGSの勝ちパターンに持ち込み25−19。勝負の行方をフルセットに持ち込んだ。

 勢いで優っていたのはジェイテクトSTINGSの方だった。浅野、久保山が第4セットから引き続きコートに入った。西田がブロックを決めると、カジースキのスパイクでラリーを制す。西田が決めて4−1。WD名古屋が1回目のタイムアウトを要求した。
 さらにカジースキの強打が炸裂した。6−5から西田、浅野、カジースキが立て続けに決めて4連続得点。ブロックとレシーブの関係が機能し、粘り強くボールをつなぐ。WD名古屋は2度のタイムアウトを消化した。
 ジェイテクトSTINGSの11点目になったラリーも見事だった。福山のブロックでブレイク。1点差まで詰め寄られたが、西田のスパイクでサイドアウトを切った。ボールの譲り合いから嫌な失点を喫したものの、西田が決めて悪い流れを断ち切った。
 マッチポイント。最後はネット際に上がったボールを饒が押し込んで15−12。苦しみながらもフルセットの接戦をもぎ取った。

 大きな勝利だった。今シーズン、フルセットにもつれ込んだ試合は一度も落としていない。勝負強いチームになった。明日は2レグの最終戦。パナソニックとの直接対決だ。
「あまり意識しすぎず、1試合1試合に全力を尽くしたい。対策をしっかり立てて、明日の試合に臨みます」
 高橋監督は静かに燃えている。いよいよ2レグの集大成だ。

高橋慎治監督

気持ちの面でも体力の面でも少し疲れが溜まっていたので、年末年始は一度、後半戦に向けて回復する機会を入れました。その中でも課題の克服や細かいプレーについて、しっかりと練習してきました。ただ、今日の第1セットは相手の勢いを受けてしまったように思います。流れを変えたのは、福山や浅野、久保山ら代わって入った選手。さらに最初から出ていた選手を含めて、全員で勝ち切った試合になりました。課題はサーブ。崩しても、ブレイクできないケースが多かった。なかなか波に乗ることができませんでした。崩しているのにバタついてしまったり、普段だったら出ないようなプレーが出てしまったこともあります。そこは明日に向けて修正したいと思います。

久保山尚

今シーズン初めてベンチに入りましたが、今まで勝ってきた中で、自分が出て負けたらどうしようという不安もありました。でも、自分にできることは限られています。それをしっかりやれば、勝ちにつながると思っていました。ワールドカップからファンの熱も違うし、昨シーズンまでのVリーグとは歓声の大きさも違う。この中でどういうバレーができるのか、という思いはありましたが、実際にコートに入ったら周りのことを気にすることなく、今までやってきたことが出せたと思います。久しぶりで、しかも負けている状況から入って勝てたことは、自分にとってもよかった。明日のパナソニック戦もチーム全体で戦って、3レグにつなげていきます。

福山汰一

3週間の中断がありましたが、特にいつもと変わらず過ごしていました。年明けから普通に練習もあったので、試合でパフォーマンスを発揮できるように準備してきました。今日は第1セットを取られたけど、チームのムードは決して暗くなかった。外から見ていても、心配はしていませんでした。個人的には、ブロックがよかったと思います。つなぎの部分でミスはありましたが、自分が「行く」とはっきり意思表示できればよかった。パナソニックさんは、速いバレーを展開してきます。セッターの深津さんはいろいろなところにトスを散らすので、追いつくのも難しい。まずはコートの外で配球などをしっかり見て、コートに入ったらいいワンタッチを取るなど、そういうところで活躍できるように頑張ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

守備が機能した一戦。ブロックで粘り強くワンタッチを取り、ボールをつないだ

象徴的だったのが第5セットだ。守備が機能した。福山を軸にブロックで粘り強くワンタッチを取り、後ろで守る選手がしっかりとボールをつないだ。シャットアウトもあった。もちろん対策も立てているのだろうが、個々の駆け引きにおいても素晴らしい対応を見せた。「一度、反応できなかったので、それ以降は相手のパイプ攻撃を警戒していました。速攻に対しては、最低でもワンタッチが取れたらいい。また、サイドの警戒も強めにしていました。シャットアウトすることは考えず、上がったトスに反応して手を前に出そうと思っていました」。試合後にこう振り返った福山。チーム全体が粘り強さを発揮した。お見合いなどはあったものの、ダメージは大きくない。クライマックスに向けて、さらに磨きをかけていきたいところだ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS ウルフドッグス名古屋
第1セット 18 - 25
第2セット 25 - 19
第3セット 24 - 26
第4セット 25 - 19
第5セット 15 - 12
日付 2020年1月11日(土)
試合 Vリーグ レギュラーラウンド 第17戦
場所 広島県立総合体育館
メンバー 藤中、伏見、饒、カジースキ、西田、中根 L本間
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