ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ

西田がスパイクだけで30得点と大爆発。ブロックとレシーブの関係も機能し、攻守にわたってパナソニックを圧倒する

 いよいよパナソニックパンサーズとの首位決戦だ。前回の敗戦から無敗で這い上がってきた。16勝1敗で迎えた2レグの最終戦。心の準備はできている。あとはコートの中で最大限のパフォーマンスを発揮するだけだ。

 スターティングラインナップに若干の変化があった。センター線の一角に、今シーズン初めて金丸が入ったのだ。試合は激しいラリーから始まった。西田のスパイクが連続でワンタッチを取られる。しかし、相手のスパイクはアウト。金丸のサーブから、つないだボールを西田が決めてブレイクポイントを奪った。相手の速攻を金丸が体で止めた。いい流れをつかみかけていた。
 しかし、西田に対するマークが厳しい。4連続失点。それでもセッターの中根は、徹底して西田にトスを集めた。要所でカジースキが決めて4−4。さらに饒が決めて逆転に成功した。その後は激しい点の取り合い。藤中のブロックが成功して7−5。2点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 得点源の西田、カジースキが後衛に下がるローテーションでも、我慢強く得点を重ねた。西田のバックアタックが炸裂した。パナソニックのクビアクにサービスエースを奪われたものの、カジースキのスパイクでブレイクを取り返した。
 ジェイテクトSTINGSは、サイドアウトを確実に取っていく。僅差のリードをキープ。藤中がアンダーでつないだボールを西田が中に切れ込んでスパイクを放ち得点。16−13とリードを広げた。
 西田の集中が高かった。強打だけでなく、プッシュやフェイントを織り交ぜながら、得点を積み重ねていく。対策を立てられても、ブロックの上からスパイクを打ち抜いた。要所で饒が速攻を決めた。サーブも走り、ジェイテクトSTINGSのペースで試合が進んだ。
 チャレンジが成功して西田の得点が認められた。1点ずつ取り合う展開。西田がサーブで相手を崩すと、カジースキのブロックが成功してセットポイント。最後は相手のスパイクがネットにかかり、ジェイテクトSTINGSが25−20で第1セットを先取した。西田は第1セットだけで13得点を決めている。

 好ゲームを展開した。第2セットは、カジースキ、饒のスパイクでサイドアウトを切った。2−1で西田にサーブが回ってくると、立て続けにサービスエースを決めた。鋭い回転がかかったボールで、クビアクの腕を弾き飛ばした。これで5−2。パナソニックが1回目のタイムアウトを要求した。
 ジェイテクトSTINGSの勢いは止まらない。饒がうまく相手のコートにボールを落として7−5。一時は同点に追いつかれたが、7−7から5連続得点で一気に点差を広げる。西田が強打をたたき込んだ。ブロックでプレッシャーをかけて相手からミスを誘った。中根のノータッチエースで11点目。西田が右手を振り抜いて得点を決めた。12−7になったところで、パナソニックは2度のタイムアウトを消化した。
 1点を返されたが、そこから3連続得点。カジースキがバックアタックを決めた。本間が身を挺してつないだボールを西田がたたき込む。15−8と大きくリードを広げた。
 あとは落ち着いて1点ずつ重ねていけばよかった。饒がブロックポイント。金丸もレシーブでチームに貢献した。要所で饒を使って、相手のブロックを翻弄した。19−15でこの試合初めてのタイムを取った。しかし、ジェイテクトSTINGSは崩れない。饒のサービスエースで21点目。金丸の速攻も決まった。西田がレフトからストレートにうまくボールを落とした。
 最後は西田のフェイントで25−19。ジェイテクトSTINGSが2セットを連取した。

 第3セットは、ジェイテクトSTINGSの一方的な展開と言っていいだろう。序盤は相手のミスで得点を重ねた。2−3から6連続得点。そのうち、カジースキが2本のサービスエースを決めている。中根は徹底して西田にトスを上げた。メンバーを入れ替えて粘るパナソニックを、力でねじ伏せた。
 要所で饒が速攻を決めた。西田のジャンプ力も衰えない。ブロックがよく見えていた。カジースキが1枚でパナソニックのクビアクをシャットアウト。対策も万全だった。饒のブロックが成功して、16−9で2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 流れがパナソニックに傾きそうになったが、西田のスパイクで取り戻した。18−12となったところで中根に代えてワンポイントで伏見を投入する。伏見のバックトスを西田が決めて19点目。さらに金丸に代えて福山をコートに送り込んだ。西田が豪快に決めて20点目。藤中が1枚でパナソニックの清水を止めた。福山のブロックも決まった。
 これで試合はほとんど決した。相手のミスがあってジェイテクトSTINGSがマッチポイント。最後は相手のスパイクがアウトになって25−14。ジェイテクトSTINGSがストレート勝ちを決めた。

 会心の勝利だ。得点源の西田だけではない。全員がしっかりと役割を果たした。
「ジェイテクトSTINGSが強みにしているサーブが走れば、そのあとのブロックとレシーブの関係にもしっかり生かせます。西田とカジースキが目立つが、他の選手もいいサーブを打ってくれたし、全体的によかった。それが自分たちのペースを作れた要因だと思います」
 試合後にこう話した高橋監督。10連勝で17勝1敗。直接対決を制して再び首位に躍り出た。しかし、慌てたり勝ち急ぐ必要はない。これからも今までと同じように、一つひとつ白星を積み重ねていくだけだ。

高橋慎治監督

今日は選手たちが高い集中力を保ち、自分たちのペースで試合を進めることができました。2レグが終わって17勝1敗。これだけのいい成績を残せているのも、選手たちがしっかりと努力し、スタッフが対策を立ててくれているおかげです。全員が力を合わせたことで得られた成果だと思っています。もちろん課題はあります。調子の波もあります。大事なのは、自分たちのペースで試合を進められないときに、どれだけ我慢できるか。相手にペースを持っていかれる前に、自分たちのペースを作ることが今の課題です。今日の勝利に甘んじることなく、来週から始まる3レグも、一試合一試合を全力で戦えるように頑張ります。

金丸晃大

緊張もありましたが、しっかりと準備をして臨むことができました。ブロックのステップや横の動きが自分の武器だと思っているので、それを試合で発揮することを考えていました。ブロックポイントはなかったけど、相手のスパイクに寄れていたし、チームが勝てたからよかったと思います。確かに今日の勝利はチームにとって自信になったかもしれませんが、フルセットの試合もあるし、一歩間違えたら負けている試合も多い。過信はせず、挑戦者の気持ちを忘れずに戦っていきたいと思います。来週のホームゲームもたくさんのファンの方が見にきてくれると思うので、「ジェイテクトSTINGSのバレーは楽しいな」と思ってもらえるように勝ちにいきます。

西田有志

昨日はいい状態で試合に入れなかったけど、チームのみんながいい感覚を取り戻したことで前向きになることができました。今日、こういう試合運びができたのは、チームにとって成長だと思います。第1セットは相手のブロックにワンタッチを取られたけど、徐々にいい状態になってきてコースの打ち分けができるようになってきました。相手のディフェンスがすごく深いところを守っていたので、プッシュなど多くの点数の取り方が自分の中でできたと思っています。収穫を得られた試合でした。パナソニックさんに勝ったことで、自分たちの勝ちパターンも見えてきた。これをもっとレベルアップさせていけば、できることも増えてくると思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

相手のブロックをよく見て、コースに打ち分け。西田がトップフォームを取り戻した

西田が覚醒した。スパイクだけで30得点。マークされながらのセット平均10得点は驚異的な数字と言っていいだろう。強打だけではない。相手のブロックをよく見て、プッシュやフェイントを織り交ぜながら得点を重ねていった。「攻撃のバリエーションを増やす」ことは、今シーズンの最初に西田が掲げていた課題だ。それを克服しつつある。印象的だったのは第2セットの終盤。レフトから、2枚ブロックの外側をストレートで抜いた。強打で相手のブロックをクロスに集め、空いたストレートを抜いた形だ。「パナソニックさんは最初、ライン(ストレート)を締めてきました。インナーに打つことで徐々にクロスを締めてきたので、今度は逆にラインが空いてきた。そこでラインに打っても決まるようになりました。相手のコートがよく見えていたので、そうやって試合の流れの中で対応できたのだと思います」。西田のコメントからも充実感が伺える。来週から3レグに入るが、今のチームに不安要素はない。エースが引っ張るジェイテクトSTINGSは間違いなく強い。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ
第1セット 25 - 20
第2セット 25 - 19
第3セット 25 - 14
第4セット
第5セット
日付 2020年1月12日(日)
試合 Vリーグ レギュラーラウンド 第18戦
場所 広島県立総合体育館
メンバー 藤中、金丸、饒、カジースキ、西田、中根 L本間
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