ジェイテクトSTINGS VS VC長野トライデンツ

サーブレシーブが乱れて第2セットを失セット。途中から入った浅野、辰巳、興梠らが活躍し、後半は粘るVC長野を引き離す

 先週の広島大会でパナソニックに快勝し、首位で3レグの初戦を迎えた。17勝1敗。パーフェクトと言っても申し分ない成績だが、満足している者はチームに一人もいない。すべては2月29日のファイナルを最高の形で迎えるため。そのためにも、一戦一戦に全力を出し切ることが重要である。
 それを証明するかのように、今日のVC長野トライデンツ戦も全員がコートに立つ総力戦になった。

 試合の入り方は悪くなかった。西田のスパイクでブレイクポイントを奪うと、福山、カジースキのブロックが立て続けに成功。さらに西田がスパイクを決めて、いきなり5点をリードする。西田がサーブで攻めて、カジースキが決めた。最強のパターンで得点を重ねた。1回目のテクニカルタイムアウトを挟んで7−4から3連続得点。粘り強くボールをつないでラリーを制した。
 中盤以降もジェイテクトSTINGSがペースを握った。セッターの中根は要所でセンター線の速攻を使った。その期待に伏見が応えた。西田が決めて14−8となったところでVC長野が1回目のタイムアウトを要求する。リベロの本間を軸にサーブレシーブも安定していた。福山が決めて、16−11で2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 しかし、ここから風向きが変わった。代わって入った袴谷が決めて17−11とするが、5連続失点を喫して1点差まで追い上げられる。久保山をコートに送り込んでも、流れは変わらない。西田、中根をコートに戻し、藤中のブロックなどで再びリードを広げるが、3連続失点で19−19と同点に追いつかれた。西田のスパイクがブロックされるなど、主導権は徐々にVC長野に傾きはじめていた。
 救ったのは、西田だ。自ら3本連続で得点を決め、23−20と突き放した。西田がレフトから決めてセットポイント。最後はカジースキが決めて、苦しみながらも第1セットを25−22で奪った。

 しかし、続く第2セットは終始、VC長野にペースを握られる。決して慢心があったわけではない。その証拠に、序盤は西田、カジースキのスパイクなどで8−6とリードを奪っている。福山の速攻もあった。流れが変わりはじめたのは中盤以降だ。サーブレシーブの失敗が続いた。藤中に代わって浅野が入ったが、12−13から4連続失点。サービスエースを決められるなど、立て直すことができなかった。
 終盤も押される展開が続いた。明るい材料は辰巳が今シーズン初めてコートに立ったことだろう。チームの雰囲気が変わった。西田のサーブで相手を崩し、カジースキが決めてブレイクポイント。21−25で落としはしたが、先につながるセットになった。

 第3セットは伏見に代わって、金丸が投入された。さらに浅野、久保山もこのセットのスタートから入った。浅野のサーブレシーブからカジースキが決めて先制に成功。西田も続いた。浅野の初得点で4−4とすると、その後も着実に加点。西田がブロックを決めて、2点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 西田もサーブで攻めた。10−8でサーブが回ってくると、サービスエースを2本決めた。ジェイテクトSTINGSのビッグサーバーは西田だけではない。カジースキのサーブも火を噴いた。福山のブロックなどで16−9。大きく点差を広げた。
 相手がメンバーを入れ替えてきても、ジェイテクトSTINGSは慌てない。セッターの久保山は、金丸の速攻など攻撃に変化を加えながら得点を重ねていく。ラリーを制すなど、勝負強さも発揮した。浅野のバックアタックが決まって22−14。ここで福山に代わって辰巳が再びコートに入った。ブロックで相手にプレッシャーをかけた。
 カジースキが決めて24−16。ここでVC長野がタイムアウトを要求した。一度はサイドアウトを切られたものの、ジェイテクトSTINGSの集中力は途切れなかった。最後は辰巳が速攻を決めて25−17。勝利に王手をかけた。

 浅野のサーブからはじまった第4セットも、西田のブロックやカジースキのスパイクなどで3点を先制する。サイドを軸に着実に加点。西田のサービスエースなどで6−3と点差を広げた。福山の速攻、浅野のスパイクで確実にサイドアウトを切り、3点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 ジェイテクトSTINGSのペースで試合が進行した。西田がレフトからスパイクを決め、カジースキのブロックなどで4連続得点。カジースキが上げた難しいトスを西田がしっかりと打ち抜く場面もあった。久保山、浅野は好レシーブでファイティングスピリットを見せた。
 リベロの興梠がコートに立ち、チームにエンジンがかかった。西田のサービスエースが決まって18−11となったところで、VC長野は2度目のタイムアウトを要求。中根、袴谷が二枚替えでコートに入った。終盤は代わって入った辰巳にトスが集まった。相手のブロックを翻弄する。さらに23−16の場面で郡がコートに入った。相手のサーブミスでマッチポイントを奪った。郡のスパイクでフィニッシュ。25−20でジェイテクトSTINGSが勝利をつかんだ。

 3レグのスタートを勝利で飾った。ベンチ入りメンバーを含め、14人全員がコートに入った。高橋監督が言う。
「悪い展開になった時も、途中からコートに入った選手が活躍してくれる。それに加えて、スタートから出ている選手も、勝つための準備をしっかりしてくれています。チームのレベルが全体的に上がっている。全員が勝つための準備をしていることで、いい結果が出ていると思います」
 V・レギュラーラウンドの4位以上が確定し、V・ファイナルステージの進出が決まった。しかし、目指しているのはそこではない。頂天に向かって一歩一歩、階段を登っていくのみだ。

高橋慎治監督

自分たちのバレーができないまま試合の中盤くらいまで進んでしまいました。しかし、代わって入った選手が活躍して、優位に試合を進めることができました。最初から出ていた選手もそうだし、途中から入った選手もこうして活躍してくれるので、今のチームが強い状況でいられるのだと思います。いい部分を生かし、もっとスタートから自分たちのバレーを展開できるように準備していきたいと思います。V・ファイナルステージの進出は決まりましたが、メンバーを大きく変えることはないでしょう。勝つために必要な選手を起用していきたい。全員の力を借りながら戦って、勝利をつかみたいと思います。目の前の試合に100パーセントの力を注げるように準備していきます。

浅野博亮

第2セットは、チームを落ち着かせることを意識して入りました。数字を見ると、スパイクもサーブレシーブも個人的にはよくなかった。ただ、雰囲気を変えるという意味では、みんなを明るくすることができました。流れは変えられたと思っています。もちろん3レグも全勝を目指しますが、上位はもちろん、V・ファイナルステージの枠を争っているチームは今まで以上に気持ちが変わってきていると思う。どこのチームもがむしゃらに向かってくるでしょう。どの試合も苦しい展開になると思うけど、自分たちもフルセットの試合を勝ち切るなど粘り強さがついてきました。そこを自信にしていけば、簡単に負けることはありません。勝つべき試合を確実に勝利につなげられるように頑張ります。

西田有志

今日の試合は決していい内容ではなかったけど、第3、4セットで切り替えて全力で攻撃できるようになったことはよかった点だと思います。守備面ではもっと上げられるボールがあったし、ブレたトスに対して対応できなかったことが反省点。ジェイテクトSTINGSが負けないチームになるためには、小さいミスも出してはいけません。一方で、自分たちが攻めるという強い意志を見せることも大事です。サーブに関しては、トスのブレを修正したことで、第3セットから徐々にいいサーブが入り、相手を崩せるようになってきました。そこをクリアにできてよかったと思っています。明日につながる試合になったので、チームとしてもっとレベルアップできるように頑張ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

14人全員がコートで躍動した。同じ方向を向いていれば、大崩れすることはない

全員が同じベクトルを向いていることが、好調の要因と言えるだろう。代わって入ったすべての選手が活躍した。第2セットの途中から入った浅野がチームを盛り上げた。辰巳は安定したプレーを見せた。リベロの興梠も、雰囲気を変えている。スタートから入っていた選手も、自分の役割をしっかりと果たした。14人全員でつかんだ勝利だ。「カジースキと西田というエースがいて、ミドルブロッカーに大きな選手がいる。それ以外にも、自分と同じポジションには藤中がいたり、ミドルブロッカーには(福山)汰一や金丸さん、今日で言えば辰巳さんなど、誰が出ても適切に自分の役割を全うすることができる。そこが、今のチームの強みだと思います」。試合後にそう語った浅野。全員が高いモチベーションを維持している限り、チームが大崩れすることはない。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS VC長野トライデンツ
第1セット 25 - 22
第2セット 21 - 25
第3セット 25 - 17
第4セット 25 - 20
第5セット
日付 2020年1月18日(土)
試合 Vリーグ レギュラーラウンド 第19戦
場所 ジェイテクトアリーナ奈良
メンバー 藤中、伏見、福山、カジースキ、西田、中根 L本間
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