ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ

浅野がムードを変えた。西田はサーブで7得点。中根のトスワークも冴え、相手に付け入る隙を与えなかった

 一人ひとりが役割を全うすることで、チームはこんなにも強くなるのか。それを証明するような試合内容だった。
 終始、東レアローズを圧倒した。サーブが走った。トスワークも冴えていた。フロアディフェンスも安定していた。何より、ホームの大声援がチームの背中を押した。試合時間の1時間16分の中に、ジェイテクトSTINGSの魅力が凝縮された一戦となった。

 チームの引き締めたのは、12試合ぶりに先発した浅野だ。第1セットの立ち上がりから好レシーブでチームの雰囲気を盛り上げた。ベテランの働きに触発されて、西田がスパイク、ブロックで連続得点。3−3で西田にサーブが回ってくると、2本連続でサービスエースを決めるなど6−3とリードを奪う。相手のサーブミスもあって3点のリードで1回目のテクニカルタイムアウト。会心の入り方で、早くも試合の主導権を握った。
 その後もジェイテクトSTINGSが着実に加点していく。セッターの中根は巧みにトスを散らし、相手のブロックに的を絞らせない。浅野、カジースキが決めてサイドアウトの応酬に持ち込んだ。
 13−9。西田がここからサーブで魅せる。カジースキのブロックをお膳立てすると、テクニカルタイムアウトを挟み3本連続でサービスエース。相手のレシーブを弾き飛ばし、スタンドがどよめきに包まれた。
 ワンポイントで伏見を投入すると、終盤もジェイテクトSTINGSのペースに持ち込む。西田が決めて21−12となったところで、東レは2度目のタイムアウトを要求。浅野がライトから決め、カジースキのブロックで23−13。最後は西田のブロックが決まり、ジェイテクトSTINGSが25−14で第1セットを圧倒した。

 続く第2セットも、ジェイテクトSTINGSのペースで進んだ。カジースキのスパイク、西田のブロックなどで3連続得点。饒がブロックで高さを発揮し、浅野のスパイク、福山の速攻で8−3とリードを奪う。
 何より、この日はセッター中根のトスワークが冴えていた。相手ブロックの意識をサイドに集め、福山の速攻で奇襲をかけた。中根のサービスエース、福山のブロックなどで5連続得点。完全に試合のイニシアチブを握った。相手にサービスエースを奪われる場面はあったものの、カジースキのブロックで16−7。大きくリードを広げて、2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 このままリードをキープすればよかった。カジースキが高い打点から強打をたたき込み、饒のスパイクでブレイクポイントを奪った。西田がバックアタックを打ち抜いた。浅野が決めて21−13。
 しかし、ここから福山、西田のスパイクが相手のブロックに阻まれる。5連続失点。それでもアドバンテージはジェイテクトSTINGSの方にあった。西田が強烈なスパイクをたたき込んで嫌な流れを断ち切った。カジースキが巧く相手コートにボールを落として23点目。西田のスパイクでセットポイントを奪うと、最後はカジースキが決めて25−20。ジェイテクトSTINGSが2セットを連取した。

 第3セットはサイドアウトの応酬になった。我慢の時間が続く。中根はトスを散らして得点を重ねていった。芯がブレなければ、チームが大きく崩れることはない。その意味で、本間のリーダーシップも効果的だった。
 饒、浅野が決めてサイドアウトを切っていく。西田がレフトからボールを押し込むと、浅野のノータッチエースで7−7。7−8から西田のブロック、福山のサービスエースなどで3連続得点を奪い、前半で逆転に成功した。
 中根はサイドにトスを集めた。西田が高い打点からスパイクを放つ。サービスエースも決めた。4点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 要所で浅野、カジースキが得点を奪った。19−15になったところで東レは2度目のタイムアウト。それ以降も西田の高さを生かしたスパイクが容赦なく襲いかかる。この日、7本目のサービスエースを決めた。伏見を投入するなど、ジェイテクトSTINGSが一気にたたみかけた。カジースキのサービスエースでマッチポイント。相手のスパイクがラインを割り、ジェイテクトSTINGSが25−20。落ち着いた試合運びで、ストレートの勝利をものにした。

 結果はもとより完璧な試合内容だった。西田は「フロアディフェンスで負けなかったことが勝因」と言った。
「今日のような攻撃の組み立て方、スパイクの打ち方をしていけば、相手に隙を突かれることなく試合を進めていける。少しずつ変えながら、対戦する相手に合わせて対応していきたい」
 こう振り返った高橋監督。勝って驕らず、なおも進化し続けるジェイテクトSTINGSの視界は極めて良好だ。

高橋慎治監督

終始自分たちのペースで試合を進めることができました。選手一人ひとりが自分の持ち味を発揮し、相手に隙を与えないバレーを展開しました。久しぶりにスタメンに入った浅野も期待以上のものを出してくれました。レシーブ面もそうだし、アタックも高い決定率を残してくれた。セッターの中根にもいい影響を与えたと思います。普段の練習の質も上がっています。試合に出ていない選手が頑張っていることがチーム全体のレベルアップにつながっている。全員で戦えていると感じます。今日はスタートで走ったことが、試合をリードできた要因の一つ。こういう試合を繰り返せるよう、来週に向けてしっかり準備していきます。

本間隆太

昨日のVC長野戦は、チームとして反省する部分がありました。私からもみんなに対して、試合の入り方や相手に対して尊敬の気持ちを持って戦おうという話をしました。今日の試合では、その成果が出せたと思います。3レグに入って、相手は私たちのストロングポイントを潰しにきます。今日も相手は途中からサーブを全力で打ってきました。どこのチームも必死になって向かってきます。そこで私たちが受けてしまうと、相手がどこであっても苦戦は免れません。今日のように、持ち味のサーブで相手を崩し、自分たちの一番得意なブロックとディフェンスで相手を圧倒する。その形でこれからも勝っていきたいと思います。

中根聡太

チームとしてはサーブがよく走りました。ジャンプサーブは西田選手とカジースキ選手、フローターサーブは僕や福山選手がいいサーブを打っていた。個人としては昨日の試合を壊してしまったと思っているので、今日は何とかいいゲームを作ろうと思って頑張りました。所々で悪いトスはありましたが、アタッカーがしっかり処理してくれて勝ちにつなげることができました。意識しているのは、いいトスを上げることです。アタッカーにしっかりたたかせること。そこが僕の中で一番の課題だし、セッターとして大切にしていることです。アタッカーに最高の打点でたたかせることを、しっかりやっていきたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

抜群のトスワークでアタッカー陣を牽引。中根の献身なくして今の成績はない

この試合のマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)を選ぶなら、セッターの中根を推したい。確かに得点源の西田、カジースキの働きは素晴らしかった。浅野もチームの雰囲気を変えた。フロアディフェンスの軸になったのはリベロの本間だ。しかし、個性豊かなアタッカー陣を統率した中根の献身は計り知れない。前半はサイドを中心に攻撃を仕掛け、第2セットはミドルブロッカーの速攻を使って中央に風穴を開けた。最後は西田にトスを集めて試合を締めくくっている。完璧と言ってもいいトスワークだった。「中根がトスでゲームメークしてくれたおかげで、相手のブロックに的を絞らせなかった。サイドアウトもそうだし、ブレイクチャンスのときもしっかり考えてトスを上げてくれたことがこの結果につながった」と高橋監督。タイムアウト時も大きな声でチームを鼓舞している。「自分はあまり影響力がない」と謙遜する中根の存在なくして、今の成績はなかっただろう。それだけは、間違いない。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ
第1セット 25 - 14
第2セット 25 - 20
第3セット 25 - 20
第4セット
第5セット
日付 2020年1月19日(日)
試合 Vリーグ レギュラーラウンド 第20戦
場所 ジェイテクトアリーナ奈良
メンバー 福山、饒、カジースキ、西田、中根、浅野 L本間
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