ジェイテクトSTINGS VS ウルフドッグス名古屋

攻守がかみ合って2セットを連取。フルセットに持ち込まれるが、カジースキ、西田のサイド陣にトスを集めて勝ち切る

 レギュラーラウンドも残り7試合となり、V・ファイナルステージに進むチームが続々と決まりつつある。先週の試合で早くも5位以内を確定させたジェイテクトSTINGSだが、目指しているのはそこではない。目の前の一戦一戦を全力で戦い、ファイナルにつなげることがチーム全員に共通する思いだ。

 試合はいきなり動いた。ジェイテクトSTINGSが西田の強打で先制。2−1の場面では、コースに入っていた西田が立て続けに相手のスパイクを上げた。カジースキが決めてブレイク。アンラッキーな失点で同点に追いつかれたものの、セッターの中根がセンター線を巧みに使ってサイドアウトを切っていく。饒、福山のスパイクで加点。浅野のスパイクでラリーを制し、8−6で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 その後もジェイテクトSTINGSが好調をキープ。浅野が看板にぶつかりながらボールを上げるなど、凄まじい気迫を見せた。10−6となったところで、ウルフドッグス名古屋が1回目のタイムアウト。西田が相手コートに背中を向けたままスパイクを放つなど、会場に足を運んだファンを魅了した。
 セッターの中根が個性豊かなアタッカー陣を巧みに操った。攻撃の組み立ては、ほとんど完璧だったと言っていい。リベロの本間は、声とプレーでチームを鼓舞。16−14で2回目のテクニカルタイムアウトを迎えると、西田が相手のスパイクをシャットアウトした。ここでWD名古屋は2回目のタイムアウトを要求した。
 17−14。あとは落ち着いて試合を進めていくだけだった。西田のバックアタックで20−16。一時は1点差まで追い上げられたが、タイムアウトで嫌な流れを断ち切った。ここで伏見をワンポイントで投入。相手に1点を返されたが、福山の速攻ですぐに取り返す。最後まで集中力を切らさなかったジェイテクトSTINGSがカジースキのスパイクで25−22とし、第1セットを先取した。

 続く第2セットは、ジェイテクトSTINGSが一方的な展開に持ち込んだ。カジースキのスパイク、ブロックで確実に得点を重ねた。
 浅野は守備で魅せた。ネットに当たって落ちそうになった相手のサーブを、体を投げ出してつないだ。それを西田が決めて4−3。このプレーをきっかけにジェイテクトSTINGSが7連続得点を奪う。西田が高い打点からスパイクを放ち、饒がブロックでネット際に立ちはだかった。カジースキのバックアタックも機能。極めつきはセッターの中根だ。浅野が上げたトスを打ち切って10点目。早くも7点のリードを奪った。
 ジェイテクトSTINGSの勢いが止まらない。福山、西田が決めてリードは8点。16−8で2回目のテクニカルタイムアウトを迎えると、福山がサービスエースを決めた。西田がサーブで攻め、饒、カジースキのスパイクで3連続得点。21−10になったところで、郡、藤中を立て続けに投入する。饒のサービスエースで23−11。郡のスパイクでセットポイントを奪った。最後は相手のスパイクがアウト。ジェイテクトSTINGSが相手に12点しか与えず、このセットを圧倒した。

 しかし、第3セットから流れが一気に変わった。WD名古屋がガスパリーニをスタートから投入したのも要因の一つだろう。ジェイテクトSTINGSの内容が悪かったわけではない。実際、第3セットは1回目のテクニカルタイムアウトを4点のリードで奪っている。カジースキは絶好調だったし、西田も尻上がりにパフォーマンスを上げていた。WD名古屋のチャレンジでスコアが移行する場面はあったものの、すぐに西田が流れを取り戻した。
 相手にセットポイントを奪われながらも、饒のサービスエースでジュースに持ち込んだ。25−27でこのセットを失ったが、内容は紙一重だった。
 逆に第4セットは、一方的な展開に持ち込まれた。6−6から8連続失点。途中、藤中、久保山をコートに送り込んだ。2度のタイムアウトを使い切っても、流れを変えることはできなかった。
 終盤は連続得点と連続失点を繰り返した。藤中が連続サービスエースで意地を見せる。しかし、サーブレシーブが乱れて最後は4連続失点。16−25で勝負の行方は第5セットに持ち越しとなった。

 今シーズンのジェイテクトSTINGSはフルセットで負けていない。絶対的な自信が、序盤に表れる。浅野のサーブでスタートした第5セット、西田がサーブで攻め、カジースキの連続得点で3−2とリードを奪った。さらにカジースキが強烈なサーブでエース。リードを広げた。
 饒がサーブで相手を崩し、浅野のダイレクトスパイクで7−5。ここからは西田、カジースキの独壇場だ。西田のスパイク、カジースキのブロックなどで3連続得点。12−8とリードを広げた。カジースキが高い打点から強烈なスパイクを放ちマッチポイントを奪う。浅野がサーブレシーブを上げ、最後はカジースキがスパイクを決めてゲームセット。15−10とし、ジェイテクトSTINGSがフルセットの接戦をものにした。

 タフな一戦を制した。どのチームよりも早く20勝に達した。西田はヒーローインタビューで「今後につながる試合になった」と言った。
「残り試合は少なくなっていくが、もっと熱い試合を見せていきたい。その中でジェイテクトSTINGSが成長しているところをしっかり見せていきたいと思います」
 目の前の階段を一つずつ登り、チームは確実に進化を遂げている。ジェイテクトSTINGSの進路を阻むものはない。進むべき方向に、間違いなく進んでいる。

高橋慎治監督

いいスタートを切ることができましたが、第3セット以降は自分たちがリズムを失い、相手の思い通りに試合が進んでしまいました。自分の反省もありますが、どこかで(悪い流れを)食い止めなければいけなかった。ただ、気持ちを切り替えて第5セットを取り切ったことは大きいと思うし、今後につながる試合になったと思います。今シーズン、フルセットになった試合は負けていませんが、大きいのは気持ちの面です。もちろんどのチームも勝ちにいく気持ちは強いでしょう。でも、ジェイテクトSTINGSのメンバーは第5セットの緊迫した場面でも自分たちのプレーをしっかり出すことができる。そこが第5セットに強い要因の一つだと思います。

中根聡太

第1、2セットを先に取りましたが、第3セットのリードしたところからチームとしてミスがありました。そこから逆転されるまで、受けに回ってしまったと思います。このセットを絶対に取りたいという強い思いが、逆に自分たちのプレーを悪くしてしまったのかもしれません。ここまでフルセットでは負けなしですが、第5セットに入ってもうあとがないから、「腹をくくっていくしかない」という気持ちで思い切り戦えているのが要因の一つだと思います。いいトスを上げれば、西田選手もカジースキ選手も必ず決めてくれると思っていました。チャレンジャーとして戦うことが大事で、負ける可能性をどれだけ少なくするかが今後の課題です。

西田有志

本来なら3−0で勝たないといけない試合でしたが、小さいミスが重なってフルセットまでいってしまいました。自分のパフォーマンスも、つなげなければいけないボールをアウトにするなどミスが多かった。感情のコントロールができない未熟さもありました。ただ、ジェイテクトSTINGSは第5セットになると、やけに盛り上がります。アドレナリンがすごく出る選手ばかりで、会場の盛り上がりをコートの中で感じることができた。一気にチーム内の悪い雰囲気を払拭することができました。ただし、フルセットで勝つことはできましたが、第4セットで切り替えていたらもっといいバレーができていたと思います。反省点が多い試合になりました。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

饒、福山が攻守にわたって活躍。ミドルブロッカーの献身がチームを救った

サイド陣の活躍であまり目立たなかったが、数字に表れない饒、福山のファインプレーがチームを勝利に導いた。饒の決定率は72.7パーセント。福山も66.7パーセントをたたき出している。セッター中根のトスワークも抜群だった。相手のブロックをサイドに散らし、隙を見て真ん中から得点。第4セットは途中でコートから出たが、アップゾーンですぐに切り替えた。「客観的に見てどうなっているかを金丸選手に伺い、自分の中に落とし込むようにしています。饒選手へのトスが少なく見えると言われたけど、第5セットは西田選手とカジースキ選手で押し切ろうと思っていた。序盤は西田選手にトスを集め、終盤はカジースキ選手で押し切りました」。たとえボールが来なくても、相手の注意を引くために全力で助走に入る饒と福山の献身ぶり。ミドルブロッカーの台頭が、チームの躍進を支えていると言っても過言ではない。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS ウルフドッグス名古屋
第1セット 25 - 22
第2セット 25 - 12
第3セット 25 - 27
第4セット 16 - 25
第5セット 15 - 10
日付 2020年1月25日(土)
試合 Vリーグ レギュラーラウンド 第21戦
場所 丸善インテックアリーナ大阪
メンバー 福山、饒、カジースキ、西田、中根、浅野 L本間
Photo