ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ

終盤の連続失点で第1セットを失うと、続く第2セットは一方的な展開に。ミスもあり、最後までリズムを取り戻せなかった

 タフな試合になることはわかっていた。相手はサントリーサンバーズだ。ここまで2連勝しているが、いずれもセットを取られている。特に徳島で行われた2レグの対戦は、2セットアップからフルセットに持ち込まれるなど苦しんだ。第5セットも終盤までリードを許したが、最後は執念で勝利をもぎ取った。
 力の差はない。どれだけ強くこの試合に勝ちたいと思えるか。ネットを挟んで、両者の意地と意地が激しくぶつかり合った。

 浅野のサーブではじまった第1セットは、立ち上がりから我慢を強いられた。ジェイテクトSTINGSの1点目は西田。さらに西田のブロックでサイドアウトを切った。饒が速攻で続く。饒のサービスエースで5−4とリードを奪った。その後も、伏見、カジースキのスパイクなどで得点を重ね、1点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 しかし、ここから徐々に試合の流れがサントリーへと傾いていく。リベロの本間を軸に安定したサーブレシーブを見せていたものの、追いかける展開が続いた。アクシデントもあった。ブロックを決めた伏見が右手を負傷。交代を余儀なくされたのだ。代わって入った福山は気持ちのこもったプレーを見せたが、一度失った流れは変わらない。重たい空気がチームを包んだ。
 それでも、西田のバックアタックなどで16−17と1点差まで追い上げた。ここでサントリーは1回目のタイムアウトを要求。その後もカジースキ、西田のスパイクなどで僅差をキープする。
 反撃のチャンスはあった。しかし、19−19から6連続失点。19−25で第1セットを失った。西田のスパイクが立て続けに止められ、2度のタイムアウトでも流れを変えることができなかった。

 伏見がコートに戻ってきた。第2セットは、連続得点と連続失点を繰り返した。序盤はカジースキが粘り強く決めて得点を重ねた。止められても止められても、諦めずに立ち向かっていった。コートの奥から浅野が上げたハイセットを打ち切った西田のプレーは圧巻だった。
 サーブレシーブの乱れもあったが、すぐに立て直した。6−7の場面では、饒のサーブが相手の守備を崩した。返ってきたチャンスボールを西田が巧みに決めて同点。1点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えたが、入り方は決して悪くなかった。伏見のブロックなどで懸命に食らいついた。
 しかし、中盤以降はサントリーに一方的に攻め込まれた。ミスもあった。カジースキのスパイクがアウトになって11−16。苦しい展開が続いた。
 ベンチも動いた。2回目のテクニカルタイムアウトが明けると、セッターを中根から久保山にスイッチ。さらに14−20になったところでカジースキに代えて郡をコートに送り込む。しかし、郡のバックアタックはネットにかかった。西田のスパイクもエンドラインを割った。これで趨勢は決した。相手のサーブミスで1点を返したものの、ここから3連続失点。15点しか取れず、第2セットを失った。

 このまま終わるわけにはいかない。意地を見せたのがカジースキだ。第3セットの立ち上がりからトスが集まった。懸命に右腕を振り下ろし、強打をたたきつけていく。第3セットのスタートから入っている藤中は、守備で健闘した。セッターの中根は要所で饒、伏見のセンター線を使った。7−8で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えたものの、チームに笑顔が戻ってきた。
 一進一退の展開が続く。ジェイテクトSTINGSはカジースキ、西田のスパイクでサイドアウトを切った。9−9の場面では、ボールを追った中根がベンチに激突。勝利への飽くなき執念を見せた。カジースキのスパイクでサイドアウトを切ると、相手のミスを誘って12−11と逆転に成功。ブレイクポイントは奪われたが、饒のブロックで嫌なムードを断ち切った。
 しかし、波に乗り切れない。カジースキのスパイクがアウトになって14−16。高さのあるブロックでプレッシャーをかけてくるサントリーが、粘るジェイテクトSTINGSを引き離しにかかる。
 17−19で西田にサーブが回ってくると、ようやくこの試合初めてのエースが出た。カジースキもフェイントを駆使して相手コートの空いたスペースを突いた。伏見のブロックで21−23。袴谷をワンポイントで投入して高さを生み出した。しかし、西田のスパイクが止められて万事休す。最後はサントリーのムセルスキーに決められて22−25。ストレートで敗れた。

 連勝が「13」で止まった。悔しい敗戦である。しかし、下を向く必要はない。伏見の言葉は厳しいが、チームが一つになるための金言である。
「普段の練習から、ミスに対してなあなあで済ませてしまうところがありました。僕も含めてみんなにあった。そこに気づかせてもらえたという点では、大きなプラスになった試合だったと思います。レギュラーラウンドは、残り5試合。とにかくやるしかない。普段の練習からしっかりとコミュニケーションを取って、『できなかったこと』と『やりたいこと』を明確にしなければいけません。もう一度、チームとして戦っていくために、大事な試合になったと思います」
 来週はFC東京とのホームゲームだ。今シーズン初めて平日のナイターで行われる。もう一度、ジェイテクトSTINGSらしさを取り戻し、一歩一歩、前に進んでいきたい。

高橋慎治監督

ひと言でいうなら、サントリーさんに完全にやられた試合でした。終始、相手のペースで試合が進み、自分たちのバレーが展開できないまま終わってしまった。しかし、この試合をマイナスにとらえることなく、次につなげるきっかけにしてこれからも取り組んでいきたいと思います。(連勝は「13」で止まったが)能力自体が上がっているのは、目に見えてわかります。それ以上に、気持ちの面で一人ひとりが同じ方向を向き、目の前の試合に全力で臨むことができている。試合に出る出ないに関わらず、ジェイテクトSTINGSに関わるすべての人が一つになっているからこそ、今の好成績につながっているのだと思います。

伏見大和

僕が怪我をして抜けたタイミングが、第1セットの勝敗を分けたと思っています。その意味でも責任を感じるし、悔しい気持ちが残っています。第2セットの雰囲気はそれほど悪くなかったけど、自分たちがやりたいと思っていたことがやれなかった。戦術を徹底できませんでした。日頃の練習から甘いところがあったように思います。もう少し徹底できていたら、流れを取り戻せていたかもしれません。チームとしてどこか気の抜ける瞬間があるので、それを終始出さないことが大事です。いい意味でピリついた雰囲気を出していかないと、来週のホームゲームも苦しい試合になるでしょう。僕たちは「ONE」というスローガンを掲げているので、それをもう一度、見つめ直す必要があります。まずは来週の試合に全力を出して、残りの試合につなげていきます。

藤中優斗

昨日も途中から出場しましたが、むしろチームにとってマイナスになってしまうところがありました。準備はしていたけど、気持ちの面で受け身になっていたのが原因です。今日は「第3セットから行くぞ」と言われたときに腹をくくって、少しでもチームのプラスになれるように頑張ろうと思いました。相手がブロックのシステムを変えてきたこともありますが、それ以上に自分たちのコンビだったり、3本目のフィニッシュができなかった印象です。試合後に本間選手も話していましたが、これからたくさん練習をしたからといって急に技術が上がるわけではありません。それよりも一つひとつのクオリティを高めて、来週の試合に臨むことが大事です。今はまだ自分のプレーができていないので、もう一度、気持ちの面から作り直していきます。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

完璧に対策を立ててきたサントリー。この悔しさは、V・ファイナルステージで晴らすしかない

サントリーが完璧に対策を練ってきた。象徴的だったのが、ブロックの位置取りである。普段はサイドで跳ぶムセルスキーが真ん中からブロックを仕掛けてきたのだ。セッターにプレッシャーがかかり、必然的にトスがサイドに偏った。そこを何度も仕留められた。高橋監督が言う。「ムセルスキー選手が真ん中にいることで、セッターからすると真ん中の攻撃が使いづらい状況ができてしまいます。そこから攻撃に偏りが生じました。セッターやアタッカーに正確にアドバイスを伝えられたらよかったけど、それができなかったのが自分の反省点です」。課題ははっきりしている。むしろ、早めに課題が浮き彫りになったことは、ポジティブな要素としてとらえたい。サントリーとはV・ファイナルステージで対戦する可能性も残されている。今日の雪辱は、そのときに果たせばいい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ
第1セット 19 - 25
第2セット 15 - 25
第3セット 22 - 25
第4セット
第5セット
日付 2020年1月26日(日)
試合 Vリーグ レギュラーラウンド 第22戦
場所 丸善インテックアリーナ大阪
メンバー 伏見、饒、カジースキ、西田、中根、浅野 L本間
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