ジェイテクトSTINGS VS FC東京

サイドのカジースキ、西田にトスを散らし、要所でセンター線を駆使。セッター中根が巧みに試合をコントロールする

 先週のサントリー戦で、今シーズン2度目の黒星を喫した。誰もが悔しい思いをした。しかし、問題は負けたことではない。敗戦で学んだことを、いかに翌週の試合につなげるかだ。その点で今週のジェイテクトSTINGSは、完璧な試合運びをした。FC東京にストレート勝ち。問題点を修正する価値ある勝利だった。

 ジェイテクトSTINGSのメンバー構成に若干の変化があった。浅野とカジースキのポジションが入れ替わったのだ。サーブ順も変わり、セッターの中根からはじまるS1でスタート。これが功を奏したか、ジェイテクトSTINGSが幸先よくリードした。
 福山の速攻でサイドアウトを切ると、西田、浅野が続いた。さらに5−4から3連続得点。カジースキのスパイクなどで8−4とリードを奪った。
 さらにカジースキのブロックなどで着実に得点を積み重ねていく。前日の1月30日に二十歳の誕生日を迎えた西田も躍動した。カジースキのサービスエースで13−7。ここでFC東京が1回目のタイムアウトを要求する。要所で饒の速攻が機能。16−9の大差で2回目のテクニカルタイムアウトを奪うと、西田がサーブで攻めて饒の速攻をお膳立て。さらに西田のサービスエースで、18−9と大きくリードを広げた。
 途中3連続失点を喫したが、チームに焦りはなかった。袴谷をワンポイントで投入。饒の速攻や西田のスパイクでこのセットを締めくくりにかかる。相手に付け入る隙を与えなかった。浅野が決めて25−18。ジェイテクトSTINGSが第1セットを先取した。

 第2セットは互角の展開だった。立ち上がりこそ4−1とリード。カジースキのブロック、サービスエース、浅野のブロックもあって勢いに乗った。しかし、5−3から3連続失点。失いかけた流れを取り戻したのは、ミドルブロッカーの饒だ。高さのあるブロックでサイドアウトを切ると、セッターの中根は積極的にセンター線の速攻を駆使。相手の守備を翻弄した。
 一時はビハインドが3点に広がったが、カジースキのサービスエースなどで3連続得点を奪い12−12の同点に追いつく。リベロの本間を軸にサーブレシーブも抜群の安定感を見せていた。
 互いにサーブミスもあり、得点が交互に加算されていく。1点のビハインドで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えたが、饒の速攻ですぐに同点。福山のスパイクでサイドアウトを切ると、カジースキのブロックで18−17と逆転に成功した。
 西田のスパイクでリードを2点に広げ、饒の速攻で22−20。さらに西田がサービスエースを決めたところで、FC東京は2度目のタイムアウトを要求する。
 僅差のまま終盤までもつれ込んだが、西田のスパイクでジェイテクトSTINGSが先にセットポイント。金丸もコートに入った。相手のサーブがミスになり、25−22でフィニッシュ。セットカウント2−0と優位に立った。

 第3セットも点の取り合いになった。西田のスパイクで先制。福山、浅野がサイドアウトを切った。饒のブロックも決まった。カジースキに続いて西田が決めてブレイク。好調のカジースキにトスが集まり、2点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 チャレンジによってスコアが覆る場面はあったが、落ち着いて試合を進めていたと言っていい。10−9から3連続得点。西田がこの日、3本目のサービスエースを決める。ウィングアリーナ刈谷のボルテージが最高潮に達した。
 さらに2回目のテクニカルタイムアウトを挟んで3連続得点。試合の前半で相手のブロックを真ん中に引き寄せ、勝負がかかった後半はカジースキ、西田のスパイクで得点を稼いでいく。セッター中根の巧みな試合運びが光った。
 終盤は浅野が攻守にわたって活躍した。サーブレシーブで抜群の安定感を見せ、攻撃では高い決定力を発揮。リリーフサーバーの辰巳も相手の守備を崩した。浅野のスパイクでマッチポイント。最後は相手のスパイクがアウト。25−17でこのセットを奪ったジェイテクトSTINGSがストレート勝ちを決めた。

 サントリー戦の負けを払拭する勝利だった。チームとしての一体感を感じさせた。浅野が言う。
「先週の負けから気持ちを入れ替えて、今日の試合に勝ち切れたことはよかったと思います。本間選手やカジースキ選手らベテランがしっかりしているので、劣勢になったときも全員が声を出している。それが今シーズンの好調の要因だと思います」
 勝っても気を緩めることがない。勝利に貪欲な姿勢が、今シーズンのジェイテクトSTINGSの強みでもある。来週はパナソニック、JT広島との上位対決だ。ファイナルまで一気に突っ走りたい。

高橋慎治監督

先週の試合でサントリーさんに負けましたが、短い時間の中、選手たちがしっかりと気持ちを切り替えて今日の試合に照準を合わせてくれました。特にセンター線や全体的なアタッカーの使い方を、セッターとスタッフで話し合ってきました。中根選手がこの試合でその成果を見せてくれたことは、本人にとっても成長だし、チームにとってもプラスの材料だと思います。いい形で勝つことができてうれしく思うし、選手たちを頼もしく思える試合でした。これだけ多くの方に応援していただいたことも我々の力になりました。本当に感謝しています。来週以降も大事な試合が続くので、一戦一戦を全力で戦っていきたいと思います。

本間隆太

先週はサントリーさんにストレートで負けましたが、連敗するわけにはいかないという気持ちで戦っていたので、勝つことができてよかったです。特に先週の試合は、相手にやられたというよりも、こちらの攻撃がうまくいかなかった印象がありました。ムセルスキー選手が前にいると、僕がセッターでも真ん中を使いたくない。今日の試合で積極的に真ん中を使って攻撃したことは、中根選手にとって成長につながったと思います。普段練習している体育館も近く、このウィングアリーナ刈谷で試合をするのは特別なこと。3000人を超える人が来てくれて、私たちとしてもいいパフォーマンスを出せるきっかけになったと思います。

カジースキ マテイ

勝てたことは満足しているし、ポジションを入れ替えてもプレーが安定したところがよかったと思います。先週はいいプレーができなかったので、今日はうまくいかなかったことを改善することが重要でした。浅野選手とポジションを入れ替えた効果はまだなんとも言えませんが、これまで練習では試してきました。今回、初めて試合で試しましたがうまくいったと思います。チームとしては今後、細かいところを改善していかなければいけないし、ファイナルに入ってくると完璧なプレーを自分たちに求めなければいけません。ファイナルを目前に控えた今は、とても大事な時期です。ファイナルも、楽しみにしています!

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

レフト対角のポジションチェンジは、ファイナルに向けた新たなオプションとなるか

カジースキと浅野、レフト対角の表裏が入れ替わったことで、様々な発見があった。一つはサーブ順が変わったことだ。これまでは、西田、カジースキとビッグサーバーを並べることで相手にプレッシャーをかけていた。それが、セッターが後衛ライトからはじまるS1ローテーションでスタートすることで、西田にサーブが回ってくる回数が減る可能性があった。しかし、今日の試合に限っては、サービスエースを3本ずつ決めるなど悪影響はない。さらに西田とカジースキが距離を置くことで、「セッターがトスを上げやすくなる」と高橋監督は言う。「ジェイテクトSTINGSとして何パターンも持っておけば、試合の中で変えることができる。そういう意味でもトライしました」。もちろん課題はある。カジースキ、浅野のバックアタックが「0」だったことだ。カジースキにかかる守備の負担が大きくなったことが要因だろう。ブラッシュアップは必要だが、ファイナルに向けたジェイテクトSTINGSの新たなオプションとして期待したい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS FC東京
第1セット 25 - 18
第2セット 25 - 22
第3セット 25 - 17
第4セット
第5セット
日付 2020年1月31日(金)
試合 Vリーグ レギュラーラウンド 第23戦
場所 ウィングアリーナ刈谷
メンバー 福山、饒、カジースキ、西田、中根、浅野 L本間
Photo