ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ

カジースキがサーブで狙われて攻撃の選択肢を失う。本間、浅野がカバーに入るが改善には至らず、最後までペースを取り戻せなかった

「完敗という印象です」
 試合後の会見で、キャプテンの本間は開口一番こう振り返った。勝った方がレギュラーラウンドの1位通過に向けて、大きなアドバンテージを得る。まさに天王山と言える一戦だ。
 しかし、パナソニックパンサーズに終始ペースを握られて0−3。悔しい敗戦になった。

 試合の入り方は悪くなかった。ジェイテクトSTINGSは先週のFC東京戦で入れ替えた浅野とカジースキのポジションを元に戻してきた。序盤は西田の得点でサイドアウトを切った。饒も高い決定率を発揮。カジースキのサービスエースでブレイクポイントを奪い、4−4の同点に追いついた。
 しかし、相手はパナソニックだ。定石通り、カジースキにサーブを集めてくる。ブロックとレシーブで西田を徹底マーク。細かいミスも響き、5−7から4連続失点を喫した。カジースキのサーブレシーブが乱れ、浅野のスパイクも相手のブロックに止められた。
 奮起したのがカジースキだ。ハイセットも強烈なスパイクで打ち抜いた。ストレート、クロスと冷静に打ち分けた。リベロ本間の鮮やかなバックトスを、ノーマークで相手コートに突き刺した。西田のサービスエースが決まり11−14。逆転のチャンスはあった。カジースキがサーブで攻め、一時は14−15と1点差まで迫った。
 2回目のテクニカルタイムアウトで息を吹き返したのはパナソニックの方だった。ここから連続失点。西田のスパイクがアウトになり、カジースキのバックアタックも封じられた。ジェイテクトSTINGSが2回目のタイムアウト。パナソニックの精度の高いバレーの前にミスが続いた。
 浅野のスパイクで一旦は嫌な流れを断ち切ったが、開いた点差は大きかった。コンビミスもあった。リリーフサーバーの袴谷を投入し、西田がブロックを決めるが反撃もここまで。20−25で第1セットを失った。

 第2セットは、福山に代えて金丸を投入した。立ち上がりは一進一退。ジェイテクトSTINGSはカジースキ、饒のスパイクでサイドアウトを切っていく。饒のサーブで相手を崩すと、西田が豪快に決めてブレイク。セッターの中根は西田にトスを集め、1回目のテクニカルタイムアウトを8−7で奪った。
 ようやくジェイテクトSTINGSが本来の調子を取り戻した。しかし、3連続失点で8−10。西田がうまくプッシュを決めて流れを変える。饒の速攻も安定していた。カジースキ、西田が立て続けに決めて12−12。金丸が速攻を決めると、ルーズボールを西田がたたき込んでブレイクポイントを奪う。15−14とリードを奪った。
 しかし、ここから5連続失点。ジェイテクトSTINGSは二度のタイムアウトを消化した。西田のスパイクでサイドアウトを切ったものの、簡単にはブレイクポイントを取らせてもらえない。カジースキ、饒のスパイクでサイドアウトを切るのが精一杯。西田、カジースキのサーブでもブレイクが奪えず、第2セットは19−25で失った。

 第3セットは浅野とカジースキのポジションを入れ替え、先週のFC東京戦と同じシフトでスタートする。西田のブロック、饒の速攻などで加点。しかし、5−4からテクニカルタイムアウトを挟んで5連続失点を喫する。ミスも響いた。
 セッターを中根から小林にスイッチ。西田、カジースキにトスを集め、要所で金丸の速攻を駆使して得点を重ねていく。カジースキのサービスエースで2点差まで迫った。しかし、西田が万全の体勢からスパイクを打てない。9−13の場面で浅野に代えて藤中を投入。サイドからの打数を増やして、西田、カジースキの負担を減らしたかった。
 金丸がサーブで崩し、西田がダイレクトで押し込んだ。しかし、西田のサーブがネットを越えない。12−16で2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。饒のブロックも止められて13−18。ビハインドが開いた。
 15−21でジェイテクトSTINGSが2回目のタイムアウト。この日のパナソニックは完璧だった。カジースキをサーブで狙われて苦しくなった。ミスから流れも失った。最後まで集中力を維持したがスコアを覆すことはできず、このセットは19−25。ストレート負けを喫した。

 悔しい敗戦だ。本間は冒頭のコメントの後、振り絞るようにこう語った。
「前回(2レグ)は私たちが3−0で勝ちました。しかし、今日はパナソニックさんが立ててきた対策通りの試合結果になったと思います。でも、まだ終わったわけではありません。パナソニックさんとはファイナルでまた戦うチャンスがあるので、そこで今回のリベンジをするしかないと思っています」
 ファイナルの舞台に立つには、そこまでの試合に勝ち続けることが重要だ。まずは明日のJT広島戦。アウェイでのタフな戦いになるが、確実に勝利をものにしてレギュラーラウンドの2位以内を確定させたい。

高橋慎治監督

負けはしましたが、試合中の雰囲気はそれほど悪くなかったという印象です。細かい一つひとつのプレーの精度がいつもより落ちていました。加えてパナソニックさんの一つひとつのプレーの精度が高く、押さえ込まれたまま試合が終わってしまいました。西田が相手のブロックにマークされて、止められるケースも増えました。セッターがトスを散らせば、西田だけでなく他のアタッカーの負担も減ってくるでしょう。そこはセッターの課題でもあります。アタッカーとしては、一発で決めにいったことがかえってよくない方向に行ってしまったかもしれません。コンディションや気持ちの面でしっかりと準備し、明日の試合に備えたいと思います。

浅野博亮

自分たちがやりたかったことを、パナソニックさんが対策を立てて封じてきました。ただ、今まで勝っていたバレーをやり続けてきたことで、少し単調になっていた部分もあります。こちらも戦術をいろいろ変えていかなければいけないと改めて感じました。レセプションに関してはカジースキ選手が狙われていたので、そこはリベロの本間選手と自分とでもう少しカバーできていたらよかったと思います。自分のスパイク本数もすごく少なかった。西田選手は相手のブロックが1枚半になったら100パーセント決めるような男なので、セッターとも話をしたい。パナソニックさんに比べて戦術的な部分が足りないので、そこを詰めていきたいと思います。

西田有志

チームとしてはいい場面もありました。ただ、それ以上に相手が対策を立ててきて、自分たちのリズムが作れないまま終わってしまった印象です。自分としてもミスが多く、反省点が多い試合になりました。リバウンドの取りにいき方が悪く、相手の得点になるケースもありました。悪い流れを変えるのがオポジットの役目です。まだまだ自分は未熟で、流れを変えられるプレーヤーではないということがわかりました。今日は負けましたが、明日の試合に勝つためにどういう準備をすればいいかを考える時間になりました。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

プレーの精度が1位と2位の差。ファイナルに向けて、この差を埋めなければならない

ミスが勝敗に直結した。ミスによる失点は、パナソニックの「10」に対してジェイテクトSTINGSの「26」。攻めにいった結果とはいえ、その開きはあまりにも大きい。高橋監督は言う。「一つのトスに対して、しっかり打ち切れているかどうか。連携面では、コールはしているのにお互いに見合ってしまうなど、ちょっとした“間”ができてしまうことがあった。ボールに行こうという意識は全員が持っているが、それが少しずつ噛み合わなくなって失点につながったと思います」。パナソニックは完璧な試合運びをしてきた。これが1位と2位の差だ。頂点に立つためには、この差を埋めなければならない。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ
第1セット 20 - 25
第2セット 19 - 25
第3セット 19 - 25
第4セット
第5セット
日付 2020年2月8日(土)
試合 Vリーグ レギュラーラウンド 第24戦
場所 岡山県総合グラウンド体育館
メンバー 福山、饒、カジースキ、西田、中根、浅野 L本間
Photo