ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ広島

西田がスパイクだけで29得点。4本のサービスエースを決める活躍。一人ひとりが役割に徹し、チーム一丸で勝利をつかんだ

 勝てばレギュラーラウンドの2位が確定する。この一戦の価値を知らない者は、コートの中に一人もいない。前日の敗戦は払拭した。目の前の試合に全力を尽くす。それが今シーズン、ジェイテクトSTINGSが貫き通してきた戦い方だ。
 チャレンジャーとして、再び王者への挑戦権を得るために――。負けられない一戦が、スタートした。

 伏見が0−3で敗れたサントリー戦以来のスタメン出場を果たした。さらにカジースキの対角には藤中が入った。構成に変化はあったものの、今のジェイテクトSTINGSに不安や迷いはない。
 藤中がレセプションで抜群の安定感を見せ、自らの役割を遂行した。セッターの中根は、センター線の速攻を果敢に使ってきた。その期待に饒が応える。伏見のブロックなどで3連続得点。チャレンジによって8点目は相手に入ったが、試合の入り方は決して悪くなかった。
 好調をキープしたジェイテクトSTINGSが、西田のスパイクでサイドアウトを切る。藤中のサービスエースでブレイク。一度は逆転を許したが、西田がこの試合1本目のサービスエースを決めて再びリードを奪った。中根のトスワークも冴えていた。相手の意識を西田に集め、要所で饒がサイドアウトを切る。西田は決定率64.4パーセントとハイアベレージをキープ。藤中のスパイクで2回目のテクニカルタイムアウトを3点のリードで奪った。
 後半は一進一退。ジェイテクトSTINGSは西田、カジースキで確実に得点を重ね、粘るJTサンダーズ広島を引き離しにかかる。ワンポイントで袴谷、金丸を投入するなど攻撃に変化を加えた。リベロの本間も声とプレーでチームを鼓舞。最後は藤中にトスを集めたジェイテクトSTINGSが、25−21で第1セットを先取した。

 藤中のサーブからスタートした第2セット、ジェイテクトSTINGSは伏見のスパイクで1点目を奪った。西田も強烈なスパイクをたたき込んだ。饒も積極的にトスを呼び込んだ。西田のスパイクでサイドアウトを切ると、藤中のサーブがネットイン。8−7で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 圧巻は西田のスパイクで10−10としてからだ。ショータイムがはじまった。サーブが回ってくると、3本連続でエース。JT広島を13−10と引き離した。
 さらに西田、カジースキにトスを集め、丁寧に得点を積み重ねていく。伏見のブロックで勢いに乗った。西田のスパイクで20−15。ここでJT広島が2回目のタイムアウトを要求する。3連続失点で2点差に追い上げられたものの、饒のブロックなどで23−19。西田のスパイクでセットポイントを奪うと、最後は饒が決めてこのセットを25−21とした。

 勝利に王手をかけた。しかし、第3セットはJT広島の逆襲を受けることになる。ジェイテクトSTINGSは西田にトスを集めるが、連続得点が継続しない。流れは完全にJT広島へと傾いていた。
 ベンチも動いた。11−17となったところで小林、袴谷を同時に投入。カジースキがライトから決めるなど徐々に点差を詰めていった。袴谷も強烈なスパイクで、ジェイテクトSTINGSの攻撃陣を援護射撃。伏見もコンスタントにスパイクを決めていた。18−25でこのセットを落としたが、反撃のチャンスは十分に残されていた。

 第4セット、1点を先行されたものの0−1から3連続得点。西田のスパイク、伏見のサービスエースなどで一気に勢いをつかんだ。
「思い切って(サーブを)打つコースを変えました。強気で行って、入らなかったら仕方がないという割り切りができた。第4セットの大事な序盤で連続してサーブが入り、来週以降につながる大きな1点になりました」
 試合後にこう振り返った伏見。勢いに乗ったジェイテクトSTINGSがその後も走った。センター線の速攻も機能。西田はスパイクに緩急をつけて得点を重ねた。カジースキのサービスエースで15−11。4点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた、
 ジェイテクトSTINGSは最後まで高い集中力を発揮した。西田にトスを集めて手がたくサイドアウトを切っていく。相手のチャレンジが成功する場面はあったが、ダメージは最小限に食い止めた。この日のジェイテクトSTINGSに負ける要素はなかった。
 カジースキが2本連続でサービスエースを決めてマッチポイント。最後は西田が締めくくり、ジェイテクトSTINGSが25−19で勝利をつかんだ。

 レギュラーラウンドの2位が確定した。しかし、チームに慢心はない。中根が言う。
「今週のパナソニック、JT戦で自分たちの課題が見つかり、それがミーティングで共通理解されたと思います。コートの中でプレーしているのは6人かもしれないけど、チームとしての課題という部分に落とし込めている。特に昨日の負けは薬になりました」
 レギュラーラウンドも残り2試合。来週の奈良大会で最高のバレーをし、ファイナルで待つパナソニックにプレッシャーをかけたいところだ。

高橋慎治監督

選手にとってはプレッシャーがかかる状況でしたが、それを感じさせないくらい自分たちのバレーに徹した結果が勝利につながったと思います。各々が役割をしっかりと果たしてくれました。セッターの中根は饒を効果的に使っていました。藤中、伏見の本数は多くないが、いい場面で使っていたと思います。第3セットは少し偏りが見られましたが、第4セットではしっかりと修正していた。いいトス回しだったと思います。2位が確定しましたが、レギュラーラウンドは来週も残っています。今シーズン最後のホームゲームなので、しっかりと勝ち切っていい形で終われるようにしたいと思います。

伏見大和

サントリー戦以来の出場になりましたが、僕の中では怪我をしたタイミングが試合の流れを変えてしまったと考えています。次の週は出られず、昨日のパナソニック戦も外から見るという状況でした。自分が出たときにどういう仕事ができるか。大事な場面でブロックを決められるようにしっかり準備をしてきました。ここで勝てなかったら優勝もないというくらい、強い気持ちを持って臨みました。スパイクの本数が少なかったので、西田やマテイさんの負担を減らすためにも、もっと決められるようにしたい。日々の練習でセッターとの信頼関係を築いていきたいと思います。僕らはチームとしての歴史も浅いし、経験値も決して高いわけじゃない。チャレンジャーの意識を持って臨むことが重要です。

中根聡太

昨日のパナソニック戦は、自分たちに何が足りないかが明確になった試合でした。今日のJT 戦は、その課題がいくつかの点で克服できたと思います。特に昨日は、相手云々の前に自分たちのことができていませんでした。自分たちのサーブレシーブが返っていない。自分たちのコンビが合っていない。自分たちがやらないといけないことをやってから相手に対応しなければいけません。ジェイテクトSTINGSは西田とマテイさんの負担を減らすためにも、ミドルブロッカーを含め他の3枚のアタッカーを有効に使っていくことが重要です。藤中とは普段からコンビを合わせているので、ある程度は決まると思っていました。今日は「頼む」という思いでトスを集めました。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

大事なのは、全員のベクトルを合わせること。チームは今、本当の意味で一つになろうとしている

パナソニックにストレートで負けた日の夜、チーム全体でミーティングを開いたという。今日のJT戦の重要性について話し合った。自分は何をやらないといけないのか。一人ひとりのやるべきことを明確にした。西田が言う。「今まで勝っていたことで、おろそかになっていたところがあると思います。そこを再確認することができました。(ミーティングを)やってよかった。次の試合にもつながるし、何をしないといけないかが明確になった。初心にかえることができました」。背伸びをする必要はない。大事なのは、一人ひとりが自分の役割をまっとうすること。そして、ベクトルを合わせることだ。「パナソニック戦は個人個人で戦っていたが、そこを見つめ直してチームとして戦うようにした」と高橋監督。悔しい敗戦とそれを覆す勝利を経て、チームは本当の意味で一つになろうとしている。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ広島
第1セット 25 - 21
第2セット 25 - 21
第3セット 18 - 25
第4セット 25 - 19
第5セット
日付 2020年2月9日(日)
試合 Vリーグ レギュラーラウンド 第25戦
場所 岡山県総合グラウンド体育館
メンバー 藤中、伏見、饒、カジースキ、西田、中根 L本間
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