ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ

ベンチ入りメンバーは11人。途中出場の袴谷がキレのあるスパイクで流れを変えるなど、最後まで全力で戦い抜いた

 コンディション不良のため、レギュラーラウンドの最終週をベンチ入りメンバー11人で迎えることになった。正念場の一戦だ。スタメンはセッターが中根、オポジットが西田、レフトにカジースキと藤中が入った。センター線の対角を組んだのは饒と福山。リベロは今シーズン初スタメンの興梠が躍動した。

 立ち上がりはカジースキと饒が魅せた。1−1の場面では、藤中がアンダーで上げたハイセットをカジースキがうまく決めた。セッターの中根が饒にトスを集めて得点を重ねていく。6−3となったところで堺ブレイザーズは早くも1回目のタイムアウト。ジェイテクトSTINGSが4点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。しかし、試合の流れが徐々に堺ブレイザーズへと傾いていく。
 福山の速攻が決まって11−8。ここから4連続失点で逆転を許した。サービスエースを奪われ、西田のスパイクも攻略された。11−12となったところでジェイテクトSTINGSがタイムアウト。ブロックで的を絞れず、堺のトーレスに立て続けに決められた。
 我慢の時間が続く。藤中が決めてサイドアウトを切ると、相手のミスを誘ってブレイク。2点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 ここからは互いに1点ずつを取り合う展開。ジェイテクトSTINGSは藤中のスパイク、福山のブロックなどで得点を積み重ねていく。一時は同点に追いつかれたが、サイドアウトを切ることに集中した。リベロの興梠を軸にサーブレシーブは安定していた。西田が強打をストレートにたたき込んだ。カジースキも続いた。カジースキ、饒のブロックでジェイテクトSTINGSが一歩リード。ワンポイントブロッカーの伏見を投入した。しかし、突き放すことができない。
 ジュースにもつれ込んだ。西田のスパイクでフィニッシュかと思われたが、相手選手の負傷によってノーカウント。再びジュースに持ち込まれ、饒が決めて4回目のセットポイントを奪った。最後はカジースキのノータッチエースで28−26。ジェイテクトSTINGSが第1セットを先制した。

 しかし、ここから2セットを連続で奪われた。第2セットは中盤から引き離された。セッターを中根から小林にスイッチするが、流れを変えることができない。
 奮起したのが、西田に代わってコートに入った袴谷だ。積極的にトスを呼び込み、キレのあるスパイクを何度もたたき込んだ。第2セットは17−25と点差が開いたが、それ以上に袴谷がインパクトを残したセットになった。
 第3セットの立ち上がりは、西田が相手のブロックに捕まった。徹底マークに苦しんだ。7−9で袴谷を投入し、10−14で小林をコートに送り込んだ。セッターの小林はセンター線を駆使し、要所でサイドにトスを散らしてサイドアウトを切る。攻撃陣をうまくリードし、一時は2点差まで縮めた。しかし、最後はサービスエースを決められて19−25。2セットを連続で失い、逆に王手をかけられた。

 あとがなくなった第4セット、ジェイテクトSTINGSは伏見、小林、袴谷をスタートから起用するなど変化を加えてきた。立ち上がりから攻めたのはカジースキだ。スパイク、ブロックで加点。袴谷もブロックで続いた。藤中のサーブも効果的だった。
 饒もスパイク、ブロックで活躍。5点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えると、ここからカジースキが爆発した。一時は1点差まで詰められたが、試合のペースまでは相手に与えない。カジースキがうまく相手のブロックに当てて14−11。同点に追いつかれても、藤中のブロックですぐに突き放した。
 伏見がネット際で相手にプレッシャーをかけ続け、19−17と2点のリード。リリーフサーバーとして入った西田にエースが飛び出し、饒のブロックなどで23−18。これで勝負あった。最後は饒のスパイクでフィニッシュ。25−20で勝負の行方を第5セットに持ち越した。

 運命の第5セット。序盤はジェイテクトSTINGSが一歩リードした。袴谷のスパイクが立て続けに決まった。7−5。あとはこのままサイドアウトを切っていけばよかった。しかし、カジースキが相手のブロックに捕まった。サーブレシーブは悪くなかったが、相手の術中にハマった。5連続失点で7−10。さらに8−11からサービスエースを決められて、4点のビハインドと苦しくなった。
 内容は悪くなかった。全員が持てる力を最大限に発揮した。カジースキがサービスエースを決めて11−13。しかし、反撃もここまで。フルセットの末に、12−15で惜敗した。

 コンディション不良というエクスキューズはあるが、勝ちたい試合だった。途中から入った選手の活躍を鑑みれば、勝たなければいけない試合でもあった。しかし、敗戦の中にも収穫はある。
「ベンチ入りが11人とチーム全体としてコンディションがよくない中、今いるメンバー全員が一丸となって頑張ってくれました」
 こう振り返った高橋監督。明日の大分三好戦はいよいよレギュラーラウンドの最終戦だ。最高の形で締めくくり、V・ファイナルステージに乗り込みたい。

高橋慎治監督

負けはしましたが、いいところもたくさんあったし、次につながる試合になったと思います。特に袴谷選手の活躍が光りました。今シーズンはなかなか出場機会がない中で、途中から出場しても活躍してくれたことはプラスの材料になったと思います。また、相手に流れが行ってしまいましたが、気持ちを切り替えて第4セットを取り切ったこともプラスに考えていいでしょう。第5セットを取れなかったのは残念ですが、11人でしっかり戦い抜いたことは評価できると思います。いい形でレギュラーラウンドの最終戦を締めくくりたいと思います。ホームゲームも最後なので、明日の大分三好戦を大成功で終え、翌週のV・ファイナルステージにつなげられるようにしっかり準備していきます。

興梠亮

今日は今シーズン初のスタメンとしてコートに入りましたが、自分のやるべきことはサーブレシーブをしっかり返すこと。そこを重点的にやろうと思いました。コンディションが悪くなかなか練習ができていない状況だったので、少しでもAパスに近いパスを返して、セッターからコンビを組んでサイドアウトを切れるようにしようと思っていました。苦しい状況が続いていたので、ミスをせず何度も繰り返してやることが重要でした。最後の1本を取られたのは悔いが残りますが、それまではうまくやれたと思います。とにかく次に向けてやっていくしかない。明日はレギュラーラウンドの最終戦なので、しっかり勝ってV・ファイナルステージを迎えたいと思います。

小林光輝

チームとして十分な練習ができていませんでしたが、今出せる最高のパフォーマンスで臨もうと思っていました。いつも以上にチームとして戦うことを心がけました。自分の中では真ん中から攻めていこうというのがあり、速攻とパイプ攻撃に加えて、調子のいい袴谷選手を中心に攻めようと思っていました。第2、3セットを取られた中で、フルセットに持ち込んだことは収穫だと思いますが、最後に勝ち切れなかったのは自分の責任です。しっかりと受け止めて、次につなげていきます。勝てた試合で、とても悔しいです。大事なのは、まずは明日の試合。応援してくださるファンの皆様のために、しっかり勝ち切ってV・ファイナルステージに勢いをつけていきたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

最も悔しい思いをした二人のセッター。この敗戦を次への糧にしたい

セッターは過酷で、孤独で、報われないポジションかもしれない。バレーボールでは、「勝てばアタッカーのおかげ、負ければセッターの責任」とよく言われる。この敗戦でもっとも悔しい思いをしたのは、中根と小林の二人だろう。間違いなく、勝つチャンスはあった。勝負どころの一つが、第5セットの中盤だ。カジースキが立て続けに止められた。状況が悪かったとはいえ、早めにサイドアウトを切っておきたかったシーンである。「その前に速攻のミスがありました。あそこで一気に相手の方に流れが行ってしまった。自分たちも少し守りに入っていたかもしれません」。小林はこう振り返った。高橋監督にも同じシーンを回想してもらった。「(エースに)トスを託したかった気持ちはすごくわかります。ただ、その選択が本当によかったかどうかは確認しなければいけません」。ありきたりだが、気持ちを切り替えることが重要だ。中根と小林の会心のガッツポーズを、もう一度、見たい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ
第1セット 28 - 26
第2セット 17 - 25
第3セット 19 - 25
第4セット 25 - 20
第5セット 12 - 15
日付 2020年2月15日(土)
試合 Vリーグ レギュラーラウンド 第26戦
場所 ジェイテクトアリーナ奈良
メンバー 藤中、福山、饒、カジースキ、西田、中根 L興梠
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