ジェイテクトSTINGS VS 大分三好ヴァイセアドラー

西田が決定率72.0パーセントと大暴れ。サービスエース4本。セット終盤に最大限の集中力を発揮し、チームを勝利に導いた

 レギュラーラウンドの最終戦を迎えた。今シーズンの集大成である。相手は大分三好ヴァイセアドラー。来週からはじまるV・ファイナルステージへ弾みをつけるためにも、結果だけでなく内容が問われる一戦だ。

 第1セットは、立ち上がりからジェイテクトSTINGSが持ち味を発揮した。伏見がサーブで崩し、カジースキのブロックでブレイク。西田もサービスエースを奪った。リベロの興梠は抜群の安定感を発揮。要所で福山の速攻を使い、サイドアウトを切った。西田のスパイクで7−3となったところで大分三好は1回目のタイムアウト。3点をリードして、1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 伏見の速攻も効果的に決まった。相手の意識を真ん中に集め、手薄になったブロックの隙を突いて西田が決める。サーブレシーブが乱れて1点差まで追い上げられたが、ベンチワークも冴えていた。タイムアウトで嫌な流れを断ち切り、福山のブロックなどで3連続得点。セッターの中根を軸に多彩な攻撃を繰り出し、藤中のバックアタックなどで18−12とリードを広げた。
 落ち着いた試合運びを見せた。袴谷をワンポイントで投入し、このセットを締めくくりにかかった。1点を返されたものの、20−15から5連続得点。最後は西田にトスを集めた。藤中のブロックも決まった。会心の内容で、ジェイテクトSTINGSが第1セットを先取した。

 第2セットは一転して苦戦を強いられる。立ち上がりは西田、カジースキのスパイクなどで5点を先制した。伏見の速攻も決まった。相手のミスなどもあって8−4とリード。このまま一気に攻め込みたいところだった。
 しかし、1回目のテクニカルタイムアウトのあとから、メンバーを入れ替えてきた大分三好の反撃を受ける。我慢の時間が続いた。細かいミスもあった。ポジティブなのは、西田が好調をキープしていたことだ。ブロックでも相手のスパイクをシャットアウト。カジースキは高い打点から鋭角にスパイクをたたき込んだ。15−11となったところで、セッターを中根から小林にスイッチ。福山の速攻が決まって、4点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを折り返した。
 その後も福山のブロックが機能した。西田のスパイクが決まって19−15。しかし、ここから4連続失点を喫する。大分三好のバグナスにサービスエースを決められた。高橋監督はタイムアウトを要求するが、苦しい体勢から放った西田のスパイクが止められるなど、大分三好の勢いが加速してきた。
 さらに21−20から4連続失点と、一気にセットポイントを与えることになる。ヤカンにサーブで攻められた。集中力が途切れたわけではない。しかし、タイムアウトでも立て直すことができなかった。
 崖っぷちからチームを救ったのは西田だ。強烈なスパイクでサイドアウトを切った。ここで西田にサーブが回ってくる。相手のレシーバーを弾き飛ばして1点差に詰め寄った。なおもサーブで攻め、返ってきたボールを西田がたたき込む。
 ジュースにもつれ込んだ。カジースキのスパイクで25−25。西田のバックアタックでアドバンテージを奪った。この勝負強さが、今シーズンのジェイテクトSTINGSだ。福山の速攻で2度目のセットポイント。ブロックで粘り強くボールをつなぐと、最後は西田が決めて28−26でこのセットを制した。

 第3セットは小林がそのままコートに入った。しかし、大分三好に先行を許す苦しい展開。カジースキのバックアタック、伏見のブロックで流れを引き寄せるが、サーブレシーブの乱れもあって連続失点。6−8で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 さらに大分三好の粘りに押され、ビハインドは最大5点に広がった。ここでも流れを変えたのが西田だ。強烈なサーブでプレッシャーをかけ、相手からミスを誘った。自らのバックアタックで11−12と1点差まで迫った。その後は一進一退。福山のブロックは依然として冴えていた。2点のビハインドで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えたが、カジースキのバックアタック、藤中のサービスエースで同点に追いついた。
 17−17の場面で、久保山をリリーフサーバーとして投入。ブロックでワンタッチを取ると、西田が決めて逆転に成功した。
 ショータイムがはじまった。19−18で西田にサーブが回ってくると、セッターの小林がブロックを決めて20点目。サービスエースで21−18となったところで大分三好は2回目のタイムアウトを要求する。しかし、西田の集中力は途切れない。相手のサーブレシーブを崩し、返ってきたボールをカジースキが強打。さらにカジースキが1枚でヤカンのスパイクをシャットアウトする。西田のサービスエースでマッチポイント。最後はカジースキが決めて、ジェイテクトSTINGSが7連続得点で締めくくった。

 今シーズンを象徴するような試合だった。サーブが走り、ブロックが機能した。一人ひとりがしっかりと役割を果たした。セット終盤の勝負強さは圧巻だった。
「今日は最後のホームゲームということで、しっかりと勝ってレギュラーラウンドを締めくくれたことをうれしく思います。(23勝は)プレーしている選手たちが一戦一戦を全力で戦った結果。来週のセミファイナルまでいい時間を過ごし、しっかりと準備したいと思います」
 高橋監督はヒーローインタビューでこう話した。23勝4敗でレギュラーラウンドを終えた。個人では、西田が得点王とサーブ賞の二冠を達成。いずれも日本人最高記録だ。さらに饒がアタック決定率で、カジースキがサーブ効果率で、本間がサーブレシーブ成功率で2位に入っている。
 会心のレギュラーラウンドを経て、来週からV・ファイナルステージがスタートする。悲願成就へ。いよいよ機運は高まった。

高橋慎治監督

相手の勢いに押される場面もありましたが、セットの終盤から自分たちのバレーを出すことができました。それがストレート勝ちにつながったと思います。(23勝でレギュラーラウンドを2位通過したが)変わったのは選手一人ひとりの意識です。意識が変わらないと、プレーや練習の精度は上がりません。特に練習中も選手同士で指摘し合う場面が昨シーズンに比べて増えました。日々の練習の精度が上がったことが、一番の要因だと思います。チーム内での細かいシステムなどを再確認してセミファイナルに備えたい。大事なのは、相手に関係なく自分たちのバレーをすること。特に今シーズンはチャレンジャーとして一戦一戦を全力で戦ってきました。その気持ちを忘れず、目の前の一戦に全力を注ぎます。

福山汰一

第1セットはいい試合ができましたが、第2セットから相手のサーブに苦しめられました。メンバーを代えるなどしましたが、後半まで少し引きずってしまったと思います。(レギュラーラウンドを振り返って)個人的には、伏見選手と饒選手といった高さのある選手が加入したことで、ブロックのステップやリードブロックでしつこくがタッチを取るということを一生懸命やってきました。それが今日の試合でもしっかり出せたと思います。セミファイナルに向けて、来週からの練習でしっかり詰めていきたい。これまでやってきたサーブからのブロックという部分で各選手が能力を発揮すれば、勝機は近づいてくるでしょう。そういうところをしっかり練習して、来週の試合に臨みたいと思います。

西田有志

レギュラーラウンド最後の試合をストレートで勝てたことはよかったですが、内容はまだまだ甘いところがありました。イージーミスもたくさんあった。この課題を個人として、またチームとしてクリアにしていくことが、来週のV・ファイナルステージにつながると思います。昨シーズンから大きく変わったのは、一人ひとりのコミュニケーション能力が上がったこと。チーム内での会話が増え、細かいミスが減りました。個人としては、プレーに対する自信が出てきたことが大きな成長だと思います。まずは来週のセミファイナルに向けて、どれだけ質の高い練習ができるか。自分たちはまだ一度もチャンピオンになっていません。チャレンジ精神をしっかり持ち、闘争心をむき出しにして臨みたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

昨シーズンの7位から大きく躍進。一人ひとりの意識改革がチームを強くした

23勝4敗でレギュラーラウンドを終えた。惜しくも1位のパナソニックには届かなかったが、昨シーズンの7位から大きな飛躍を遂げた。その要因について、福山はポイントを3つ挙げている。「本間選手の存在が大きいと思います。彼がキャプテンになり、選手の意見とスタッフの意見を聞きながら、しっかりコミュニケーションを取ってくれた。また、ワールドカップから戻ってきた西田選手の成長もチームにとって大きなプラス。昨シーズンに比べて粗いミスがなくなり、難しいトスに対してフェイントなど緩急をつけて打てるようになりました。そして、カジースキ選手が戻ってきて、彼の経験を伝えてくれたことがこの結果に結びついたと思います」。それに加えて、変わったのは“意識”だ。今シーズンのスローガン「One ~Change One's Mindset~」にもあるように全員の意識が大きく変わった。高橋監督が言う。「一人ひとりの意識です。日頃の練習から意識を変えて取り組んだ結果、一つひとつの試合に勝ちたいという意識が強くなりました。そういう意識の面で選手たちが強くなったと思います」。頂点まであと二つ。まずは来週のセミファイナルである。相手がどこであろうと、最後までジェイテクトSTINGSらしく目の前の一戦に集中したい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 大分三好ヴァイセアドラー
第1セット 25 - 15
第2セット 28 - 26
第3セット 25 - 18
第4セット
第5セット
日付 2020年2月16日(日)
試合 Vリーグ レギュラーラウンド 第27戦
場所 ジェイテクトアリーナ奈良
メンバー 藤中、伏見、福山、カジースキ、西田、中根 L興梠
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