ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ

西田がサービスエース3本を含め、両チーム最多の39得点。第2セットから入った柳澤もチームに安定感をもたらした

 今日の日を迎えるにあたって、たくさんの人たちの尽力とバレーボールファンの後押しがあったことを忘れてはならない。待ちに待った2020-21 V.LEAGUEが開幕した。舞台はホームのジェイテクトアリーナ奈良。連覇を狙うジェイテクトSTINGSは、初戦で東レアローズと対戦した。

 第1セットは、郡の強烈なスパイクで幕を開けた。さらに相手のスパイクを藤中がつなぎ、西田のバックアタックで連続得点。このまま勢いに乗るかに思われた。しかし、力みが見られて、ここから連続失点を許す。西田のスパイクはアウト、郡も相手に止められた。福山のクイックもセッター久保山との呼吸が合わず、1回目のテクニカルタイムアウトを4−8で失った。
 藤中のスパイクで連続失点を止めるが、ゲームの流れは依然として東レのまま。サーブレシーブを藤中と本間の2枚で対応するなど、まずは守備の安定を図った。伏見のスパイクが決まり、西田も強打をたたき込んでブレイク。郡も1本目のスパイクを決めて追撃態勢を整える。しかし、9−16で2回目のテクニカルタイムアウト。守備のスペシャリストの浅野を投入するが、開いた点差は縮まらない。西田が奮闘してスパイク、ブロックで得点を稼ぐが、最後は14−25の大差で押し切られた。

 第2セットのスタートから郡に代えて柳澤を投入。エンジンがかかり出した。西田、福山のブロックで2点を先取する。セッターの久保山は迷わず西田にトスを集めた。柳澤が守備を安定させ、確実にサイドアウトを切っていく。西田のストレートが決まり、藤中が1枚で相手のスパイクを止めて6−4。2点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 中盤もジェイテクトSTINGSが優勢に試合を進める。福山のクイックなどで3連続得点。特に印象的だったのが、12点目につながった柳澤の一連のプレーだ。ラリー中、相手のレシーブが直接返ってくると、柳澤がオーバーで高さのあるボールを久保山に返球。すぐに助走に入り、鮮やかにバックアタックをたたき込んだ。藤中がブロックを決めると、ここで東レが1回目のタイムアウトを要求する。
 その後はブロックが機能した。2回目のテクニカルタイムアウトを挟んで西田、藤中のブロックなどで3連続得点。伏見のクイックでサイドアウトを切ると、リリーフサーバーの袴谷を送り込んで勝負に出る。終盤は浅野を投入して守備を固め、金丸がネット際に立ちはだかった。久保山が西田にトスを集めてフィニッシュ。25−22でこのセットを取り返した。

 第3セットも拮抗した。立ち上がりはジェイテクトSTINGSが5点を先制。西田がサービスエースを決め、福山のクイックも機能。ゲームのイニシアチブを握った。サイドにトスを散らし、要所でミドルブロッカーのクイックが炸裂。久保山が抜群のトスワークを見せる。柳澤も調子を上げ、11−6とリードを奪った。しかし、ここから東レの反撃に遭う。4連続失点で1点差。ここで高橋監督は1回目のタイムアウトを要求した。
 嫌な流れを切ったのは西田だ。ノータッチエースで13−10。一時は14−14と追いつかれたが、福山もサービスエースを決めて16−14と再び突き放した。
 ここから一進一退。伏見のクイックなどで僅差のリードをキープする。袴谷のサーブでリズムをつかんだ。西田のバックアタックも決まった。浅野、金丸を投入して、攻守の安定感が増した。西田が決めてセットポイント。ジュースにもつれ込んだセットは、最後は西田のスパイクで26−24とした。

 開幕戦の勝利に王手をかけた。第4セットのスタートも拮抗した。西田、福山のスパイクなどで確実にサイドアウトを切っていく。テクニカルタイムアウトの直後のプレーで西田が決めてブレイク。しかし、東レのチャレンジが成功して再び9−9の同点に追いつかれる。
 中盤は西田にトスを集めた。エンジンがかかってきた14番は、「100パーセントに近いジャンプが連続で跳べるようになって、高さも上がっていた。必然的に相手のブロックも見えるようになってきた」と振り返っている。フェイントを織り交ぜながら確実に得点を重ね、3点のリードで2回目のテクニカルタイムを折り返した。
 17−15の場面で袴谷がコートイン。強烈なサーブをたたき込むと、相手のミスを誘って連続得点。勢いに乗ったジェイテクトSTINGSは、西田のサービスエースで先に20点目を奪う。福山のクイック、柳澤のサービスエースでブレイク。さらに終盤に入った金丸がブロックを決めてマッチポイント。最後は伏見が1枚でシャットアウト。25−19としたジェイテクトSTINGSが開幕戦を勝利で飾った。

 立ち上がりこそ硬さが見られたが、ジェイテクトSTINGSらしいバレーで逆転勝ちを収めた。
「第1セットは、相手にやられたというより、自分たちから相手に得点を与えていた。全員が同じ認識だったので、そこを修正し、第2セットから切り替えられた」
 試合後にこう振り返った高橋監督。大事なのは、次の試合にどう臨むか。一つずつ、しかし、着実に勝利を重ね、最終的に大きな目標を達成したい。

髙橋慎治監督

立ち上がりは選手に硬さが見られて、自分たちのバレーが出せないまま第1セットが終わってしまいました。その後、修正して自分たちのバレーを展開できたことが勝利につながったと思います。大変な状況が続いていますが、こうしてバレーボールができること、こうして試合ができること、こうしてお客様に来ていただけることは本当に幸せなことだと改めて感じました。昨シーズンも先を見過ぎずに、目の前の一戦一戦を戦ってきました。今日の試合に勝ったあとも、明日の試合をどうするかを考えていました。試合に勝つために、いかに自分たちのミスを出さないかというところを意識して戦っていきたいと思います。

本間隆太

お客さんが入ったところで試合をするのは、昨シーズンのセミファイナル以来です。ホームゲームということで力みがあり、なかなかリズムが作れないまま第1セットが終わりましたが、第2セット以降は柳澤選手がチームにエネルギーを与えてくれて、西田選手も思い切りのいいスパイクでチームを引っ張ってくれた。自分たちらしいバレーができるようになったと思います。明日も同じ相手になりますが、私たちにやりづらさはありません。相手も同じバレーをしてくるわけではないし、それに対して自分たちが対応しないといけない。明日はスタートからしっかり戦い、まずは第1セットを取れるように準備したいと思います。

柳澤広平

今シーズンは4レグの長丁場ということで、スタートした時からAチームだけでなく控え選手も一丸となってやっていくという話をしていました。その点では、途中からの出場になりましたが、自分の役割を果たすことができたと思います。僕はめちゃくちゃディフェンシブな選手でもないし、かと言ってオフェンスに特化しているわけでもありません。本間さんや西田のようにゲームを円滑に回すこともできない。だけど、ミスを出さないこと、サーブレシーブの返球率をある程度のパーセンテージまで持っていくこと、トスが上がってきたときに効果率の高いスパイクを打つことが僕の役割だと思っています。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

ゲームを落ち着かせた柳澤。今シーズンの戦い方が見えてきた

第2セットから入った柳澤がゲームの流れを変えた。いや、落ち着かせたと言ったほうがしっくりくるか。サーブレシーブが安定し、攻撃もそつなくこなした。試合後、高橋監督に「開幕戦に向けて、どういうことを意識して取り組んできたか」と聞くと、「ミスのところですかね」という答えが返ってきた。「チームの中でミスの本数に関するルールを決めて、ミスを少なくしていきましょうということでやってきました。第1セットはミスで取られてしまったけど、第2セット以降はそこを少なくできたことが勝ちにつながったと思います」。終盤も浅野、金丸という守備、ブロックのスペシャリストを投入することで、チームの安定感が増した。袴谷のサーブも安心して見ていられた。ミスのない堅実なバレー。今シーズンのジェイテクトSTINGSのバレーが、少しだけ見えてきた。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ
第1セット 14 - 25
第2セット 25 - 22
第3セット 26 - 24
第4セット 25 - 19
第5セット
日付 2020年10月17日(土)
試合 2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第1戦
場所 ジェイテクトアリーナ奈良
メンバー 藤中、伏見、福山、郡、西田、久保山 L本間
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