ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ

サーブが機能せず、第2、3セットを連続で奪われる。西田の活躍で接戦を制したが、課題が残る一戦になった

 前日の試合で活躍した柳澤がスタメン入りを果たした。同じメンバーでスタートした東レアローズに対してどう戦っていくのか。土日で同一カードが組まれた今シーズンは、総力戦で戦っていくことが重要な鍵を握る。今後の試金石とも言える一戦が幕を開けた。

 第1セットは落ち着いた試合運びを見せた。その点では、前日の課題を修正したと言える。柳澤が決めて先制。西田のバックアタックでサイドアウトを切ると、藤中も攻撃参加の高い意識を見せた。一時は3連続失点を喫したが、ブロックが機能して4連続得点を奪い返す。柳澤、西田が相手の攻撃を止め、伏見が決めて8−7で1回目のテクニカルタイムアウトを折り返した。
 その後も攻撃の手を緩めない。8−8から4連続得点。西田が決めてサイドアウトを切ると、藤中のバックアタックが炸裂する。さらに柳澤のフェイントが決まったところで東レは1回目のタイムアウトを要求。西田のブロックで、12−8と突き放した。
 西田がサービスエースを決めてゲームのリズムをつかんだ。福山のクイックで16−13。西田、伏見のブロックも冴え、東レの攻撃陣にプレッシャーをかけ続けた。20−16となったところで東レは2回目のタイムアウト。終盤の粘りが東レの強みだ。安全圏と言えるリードはない。セッターの久保山は終盤、福山にトスを集めた。ベンチも動いた。金丸、浅野を続けて投入。福山のクイックでセットポイントを奪うと、最後は藤中が決めて25−20。第1セットを先取した。

 しかし、第2、3セットは東レに連取される。決して安心したわけではない。内容も悪くなかった。明暗を分けたのは、勢いの差だ。得点を奪ったときの東レの盛り上がりに、押される場面が何度もあった。
 そして、サーブにも差が出た。髙橋監督は試合後、「途中で少しサーブが弱くなる場面があった。そこから東レさんのコンビにやられてしまったところがある」と分析している。第2セットは、ジェイテクトSTINGSが16−15で2回目のテクニカルタイムアウトを奪った。そこから柳澤のスパイクや福山のブロックなどで19−17と引き離した。特に相手のクイックを止めた福山のブロックで、勢いは完全にジェイテクトSTINGSの方にあると思われた。
 しかし、西田のスパイクで21−20としてから5連続失点。2度のタイムアウトでも負の連鎖を断ち切ることができなかった。
 第3セットも1回目のテクニカルタイムアウトを1点のリードで奪っている。中盤は西田のサービスエースもあった。福山のブロックも機能した。しかし、あとが続かない。第1セットはバックアタックを決めるなど積極的な姿勢を見せた藤中も、「もっと攻撃に参加していくべきだった」と試合後に振り返っている。
 終盤は柳澤が攻守にわたって奮起したものの、このセットを21−25で失った。

 あとがなくなった。西田は試合後、「もっとバレーボールの質を上げていかないといけない」と自戒した。
 第4セットの立ち上がりも一進一退。ジェイテクトSTINGSは西田のスパイク、福山のクイックなどでサイドアウトを切った。藤中がライトからスパイクを決めるなど、機動力が機能しはじめた。本間を軸にサーブレシーブも安定し、9−8とリードを奪う。さらに久保山のブロックなどで3連続得点。13−10となったところで東レが1回目のタイムアウトを要求した。
 西田にトスを集めて得点を重ねた。粘る東レを突き放したのは終盤に入ってからだ。福山、藤中のブロックなどで3連続得点。コートに選手の雄叫びが響いた。スタンドの拍手がチームの背中を押した。藤中が決めてセットポイント。最後は西田がレフトから角度のあるスパイクを叩き込み、勝負の行方を第5セットに持ち込んだ。

 最終セット。西田のスタミナは衰えることがなかった。高い打点からスパイクを決めて2点を先取。さらに伏見もサービスエースを決めて、3−0とリードを広げた。
 しかし、東レも粘りを見せる。柳澤のスパイクは止められたが、福山がブロックで取り返した。5−5。西田のスパイクがアウトになって1点のビハインド。久保山の得点で同点に追いつくと、藤中、西田が決めて再逆転に成功する。
 8−6。コートが入れ替わると、ここからは西田の独壇場だ。鬼気迫る勢いで、確実に得点を重ねていく。ブレイクを許して1点差に追い上げられたところで1回目のタイムアウトを要求する。一時は13−13と同点にされたが、ジェイテクトSTINGSに焦りはなかった。
 先にマッチポイントを奪うと、西田のスパイクでフィニッシュ。15−13とし、死闘に決着をつけた。

 苦しい試合だった。勝ち切ったことが何よりの収穫だ。
「第4セット以降は、西田だけでなく他の選手も効果的なサーブを打っていた。それが、第4、5セットの勝利につながったと思います」
 試合後にこう振り返った髙橋監督。連勝スタートとなったが、開幕ダッシュという言葉にはあえて水を差した。「気の抜ける試合は一つもない。こういう形で試合を積み重ねていき、成長につなげたいと思います」。2020-21シーズンのV1男子はまだはじまったばかり。チームのベクトルを合わせ、前に進んでいきたい。

髙橋慎治監督

今日は東レさんの多彩なコンビに苦しめられて、2セットを失いました。ただ、そこから選手たちが立て直し、緊迫した状況の中でも第4セット以降は自分たちのバレーを出してくれた。今後につながる大きな勝利になったと思います。今シーズンは試合数が大幅に増えるので、コンディションがすごく大事になります。選手の起用法にも気を配りながら、長いシーズンを乗り越えていかなければいけません。去年も味わったことですが、こういうしんどい試合がこれからも続くので、コンディションをしっかり整えてチームの成長につなげたいと思います。

福山汰一

厳しい戦いになるのはわかっていました。サーブのクオリティを上げていこうという話は出ていたけど、練習のときに打っているようなサーブは出ていなかったと思います。その結果、思うようなバレーができず、西田が一人で立て直してくれた。他の選手がもっとプラスになる部分を増やしていかなければいけないと感じました。データの上では昨シーズンよりよくなっているけど、僕の場合、試合を重ねるごとに悪くなる傾向があります。そこをどうキープするか。また、去年一年間で取り組んできたブロックのステップや手の出し方を今シーズンも継続していきたい。高さがない分、一本でも多くタッチを取ろうと思っています。

藤中優斗

勝ち切れたことは収穫ですが、個人的にはとても課題が残る2試合でした。そこをもっと追求して、来週以降、修正できるように頑張っていきたいと思います。今シーズンは特に、サーブレシーブを昨年以上に返すことを意識して取り組んできました。もちろん、攻撃面は僕にとって一番の課題です。西田選手や他の選手の負担が大きくなるので、1点でも多く取ろうという気持ちで試合に入っています。今日の試合は気持ちを切り替えることができ、昨日よりも得点を取れたのでよかったです。ただ、もっと貢献できるので、攻撃面も強い意識を持って取り組んでいきたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

誰もが初めて経験する土日での同一カード。メリットを生かして優位に立ちたい

今シーズンのV1男子は、土日で同じチームと対戦する。おそらく全ての選手が初めて体験することだ。髙橋監督が言う。「自分も同じ相手と2日連続で対戦するという経験はありません。どんな感じになるのか、想像もできませんでした。ただ、うちもそうだし、東レさんも1日目と2日目で全く同じバレーはしないと思っていた。昨日の試合で通用した攻撃が今日は通用しないということも頭に入れながら、次の手をしっかり考えることを意識して臨みました」。公式記録を見ると、前日と比べて数字が下がっているのがサーブ効果率だ。チーム全体では8.7パーセントから6.4パーセントへ。サービスエースを決めた伏見の効果率は上がっているが、福山や柳澤、西田は大幅に下げている。「今日はサーブのスピードやコースが甘く、しっかり攻めていくことができませんでした。そのため、相手にパスを返される状態で進んでしまった」と福山。見方を変えれば、改善点がはっきりしていることはメリットとも言える。土日を乗り切るためには、駆け引きも重要なポイントになりそうだ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 東レアローズ
第1セット 25 - 20
第2セット 21 - 25
第3セット 21 - 25
第4セット 25 - 19
第5セット 15 - 13
日付 2020年10月18日(日)
試合 2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第2戦
場所 ジェイテクトアリーナ奈良
メンバー 藤中、伏見、福山、柳澤、西田、久保山 L本間
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