ジェイテクトSTINGS VS VC長野トライデンツ

ブロックが機能して2セットを連取。第3セット以降はサーブでリズムがつかめず、苦戦を強いられた

 楽な戦いなど一つもない。改めてそう感じさせられた。敵地で行われたVC長野トライデンツとの一戦は、2セットを連取したあとに予想外の展開が待っていた。

 第1セットは、VC長野のサーブではじまった。セッター久保山のファーストチョイスは伏見のクイック。しかし、切り返されて、VC長野に先制点を許す。さらに西田、藤中の攻撃も止められて、追いかける展開でのスタートとなった。
 3点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。西田の連続得点などで1点差に迫った。本間、藤中、柳澤を軸にサーブレシーブは安定していた。しかし、サーブミスが多く、いつものようにリズムが作れない。それでも、久保山のブロック、西田のスパイクで14−14の同点に追いついた。
 後半はジェイテクトSTINGSのペースでゲームが進行した。西田のスパイクでラリーを制して、17−16と逆転に成功。藤中もバックアタックを決めて、さらに勢いをつかむ。福山のブロックポイントで20−18としたところで、VC長野が1回目のタイムアウトを要求。松本市出身の柳澤も好守にわたって活躍した。
 その柳澤がバックに回ったところで、守備力のある浅野にスイッチ。22−20の場面では、ミドルブロッカーの伏見がレフトからスパイクを決める。ここでVC長野は2回目のタイムアウト。一時は2点差に迫られるが、髙橋監督がすかさずタイムアウトを要求すると、最後は西田が決めて25−22で逃げ切った。

 続く第2セットも、ブロックが機能してペースをつかむ。柳澤、西田がサイドから得点を重ね、福山もクイックをたたき込んで確実に得点を奪った。4−5から4連続得点。藤中のブロック、西田のスパイクなどが決まり、3点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 その後も攻撃の手を緩めない。伏見のブロックなどで3連続得点。セッターの久保山がバランスよくトスを散らし、個性豊かなアタッカー陣がその期待に応える。ミドルブロッカーの伏見、福山もネット際に立ちはだかり、VC長野に圧力をかけ続けた。得点こそならなかったが、西田が背面ショットを披露して会場を沸かせた。福山のクイックで16−9。あとは落ち着いて試合を進めていくだけだった。
 18−12となったところで浅野を投入。藤中のスパイクでサイドアウトを切った。20−15になると、セッターの小林がコートに入った。西田に続いて柳澤が決めてブレイク。22−17でVC長野が2回目のタイムアウトを取った。
 西田のブロックで23点目。最後は相手のサーブミスが続き、25−20でセットを連取。勝利に大手をかけた。

 第3セット、新外国人のフェリペがコートに入った。しかし、10分のインターバルで気持ちの切り替えに成功したのはVC長野の方だった。セッターの久保山は藤中を積極的に使って攻撃を展開した。フェリペも徐々にフィットしていくのがわかった。しかし、福山のクイックが止められるなど3連続失点。フェリペ、藤中のスパイクでサイドアウトを切り、リリーフブロッカーの金丸を投入。取り返しにかかったが、最後は西田が止められて22−25で失セット。
 第4セットに入っても悪いムードを引きずった。2点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウト。コンビネーションが機能せず、なかなか連続得点が奪えない。しつこくサイドアウトは切っていたが、10−11から3連続失点。西田のスパイクが止められたところで、髙橋監督は1回目のタイムアウトを取った。
 さらにセッターの小林を再び投入。流れを変えたかったが、サーブミスが響いて依然としてVC長野のリズムが続いた。フェリペのバックアタックも決まらず、12−17とビハインドが広がった。サービスエースを決められて14−20。さらに苦しくなった。
 一進一退の展開に持ち込んだが、覆すには開いた点差は大きく、最後は西田のスパイクもアウト。18−25でこのセットを落とし、勝負の行方は第5セットに持ち込まれた。

 第5セットも緊迫した展開が続いた。西田のスパイクで先制。フェリペのスパイクが立て続けに止められるが、粘り強くサイドアウトを切っていく。福山のクイックが決まった。藤中のジャンプも衰えていなかった。伏見の得点で8−8。しかし、フェリペのスパイクが止められたところで、8−10とリードを広げられた。
 救ったのは西田だった。うまくブロックアウトを誘って10−11。さらに鋭く回転がかかったサーブで相手の腕を弾き飛ばして同点。フェリペのスパイクが決まり、ついに逆転に成功した。
 どちらに転んでもおかしくない試合だった。最初にマッチポイントを握ったのはVC長野。西田の強烈なバックアタックでデュースに持ち込んだ。ここで金丸を投入。采配が功を奏し、相手のスパイクはアウトになった。一度はサイドアウトを切られたものの、藤中が決めて2度目のマッチポイント。最後は相手のスパイクがアウトになり17−15。苦しみながらもジェイテクトSTINGSが勝利をものにした。

 試合時間は2時間16分。文字通りの死闘だった。
「厳しい試合だったが、勝てたことが大きな収穫。ただ、僕たちは徹底して勝ちにいくことを目指している。そういった点では反省点が多い試合になりました」
 試合後に伏見はこう振り返った。チームが会場を離れる頃、時計の針は22時を回っていた。大事なのは、まずはコンディションを整えること。その上で、今日を上回る試合を明日は披露したいところだ。

髙橋慎治監督

VC長野さんの粘り強いバレーに、我慢できない展開が続きました。最終的に勝てましたが、終始苦しい試合でした。チームとしては、この展開で勝ち切ったことは今後につながると思います。フェリペ選手に関しては、チームに合流して時間が少ないにもかかわらず、あれだけのプレーをしてくれたことは「さすが」としか言いようがありません。本当に素晴らしいと思います。すぐに次の試合があるので、修正できるところは修正し、明日の試合に臨みたい。今日は夜遅くからの試合で、明日は昼の試合。相手も条件は同じですが、厳しい状況でどれだけ力を出せるか。自分たちの強さが試されます。

伏見大和

サーブで相手を崩せず、好きなようにやられてしまいました。そこが一番の反省点。しっかり直したいと思います。(ブロックでの得点が増えている点について)昨シーズンの準備段階よりも練習で積み重ねてきたし、自分の武器でもあると思っています。そうは言いつつも、昨シーズンはそれほど貢献できませんでした。今シーズンはブロックによるディフェンスでチームに貢献できるよう、練習から意識して取り組んできた成果だと思います。優勝したチームはどうしても、他のチームから対策を練られます。簡単に勝てない試合も多いでしょう。プレーというよりも気持ちで辛抱強く戦っていきたいと思います。

久保山尚

内容的には自分たちがやりたいバレーができず、逆にVC長野さんはいいバレーを展開していました。今日は効果的なサーブを打つことができなかったので、明日はサーブで攻め、ブロックでタッチを取ったり、そこから切り返して得点を重ねていきたい。個人的には、フェリペ選手も入ってきたので、コンビの精度をもっと上げていきたいと思っています。試合の中でしっかりコミュニケーションを取りながらやっていきたい。フェリペ選手は攻撃が速いので、徐々にコンビを合わせていけたらと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

サーブが機能せず苦戦を強いられる。意識を変えて明日の試合に臨みたい

苦しんだ要因は、言うまでもなくサーブだ。全体にミスが多く、なかなかリズムがつかめなかった。サーブ効果率はVC長野の「3.3」パーセントに対して、ジェイテクトSTINGSは「0.2」パーセント。サービスエースは西田の1本に留まっている。「サーブで相手を崩せない状況が続き、逆に相手のサーブに乱されてこちらの攻撃が単調になった。それがフルセットに持ち込まれた要因だと思います」と髙橋監督は試合後に振り返った。慣れない体育館、新しくなった照明などミスの原因は様々だ。しかし、課題ははっきりしている。スキルは急に変えられないが、意識はすぐに変えられる。まずは明日の試合で、しっかりと課題を克服したい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS VC長野トライデンツ
第1セット 25 - 22
第2セット 25 - 20
第3セット 22 - 25
第4セット 18 - 25
第5セット 17 - 15
日付 2020年10月23日(金)
試合 2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第3戦
場所 松本市総合体育館
メンバー 藤中、伏見、福山、柳澤、西田、久保山 L本間
Photo