ジェイテクトSTINGS VS VC長野トライデンツ

セッター小林が巧みにトスを散らして相手のブロックを分散。西田、柳澤が得点を量産し、粘るVC長野を振り切った

 前日は苦しみながらフルセットの勝利をもぎ取った。迎えたVC長野トライデンツとの第2戦。ジェイテクトSTINGSのメンバーに若干の変化があった。セッターの小林が今シーズン初スタメンを果たしたのだ。

 西田のスパイクで先制した。前日との違いを、一発で印象づけた。相手のサーブミスもあり、その後はサイドアウトが続く。本間が安定したサーブレシーブで、攻撃陣を援護した。7−6の場面で西田が決めてブレイク。2点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 8−7から3連続得点。福山のクイックでサイドアウトを切ると、柳澤のブロックで加点する。西田のサービスエースで11−7となったところでVC長野が1回目のタイムアウトを取った。
 攻撃の手を緩めない。この日もブロックが機能した。柳澤のサーブも効果的だった。小林のブロック、藤中のスパイクが決まる。15−8でVC長野は2回目のタイムアウトを消化した。さらに藤中が1枚で相手のスパイクをシャットアウト。16−8のダブルスコアで2回目のテクニカルタイムアウトを折り返した。
 早めに金丸を投入して勝負に出た。セッターの小林は巧みにトスを散らし、相手ブロッカーに的を絞らせない。伏見がスパイク、ブロックで連続得点。これでこのセットの勝敗はほぼ決まった。久保山をリリーフサーバーに送り出す。確実にサイドアウトを切っていった。
 柳澤のスパイクで24−14とセットポイント。最後は相手のサーブがミスになり、25−16でジェイテクトSTINGSがこのセットを圧倒した。

 第2セットの立ち上がりも走った。相手に先制点を許したが、そこから6連続得点。西田が立て続けに強打をたたき込み、柳澤も要所で硬軟織り交ぜたスパイクを決めた。VC長野は早くも1回目のタイムアウト。その後も確実にサイドアウトを切り、8−3とリードを奪った。
 前日はサーブが安定しなかったが、1日でしっかりと修正した。本間、藤中、柳澤の3人で守るサーブレシーブも鉄壁だった。セッターの小林が落ち着いて試合を進めていく。16−12で2回目のテクニカルタイムアウト。点差以上に、ジェイテクトSTINGSが盤石の試合運びを見せていた。
 柳澤がバックに回ったところで、浅野とスイッチ。伏見が決めてサイドアウトを切ると、ネット際で西田が押し込んでブレイクポイントを奪う。リベロの興梠も今シーズン初めてコートに立った。ラリーを制して23−18。西田のスパイクでセットポイントを奪うと、福山のクイックで25−20としたジェイテクトSTINGSが2セットを連取した。

 10分間のハーフタイムを終えて、選手たちがコートに戻ってきた。表情は集中していた。「昨日も2セットを連続で取ってから、第3セット以降に流れが変わった。選手全員が第3セットの入りを意識して臨めたと思います」と髙橋監督。西田も生き生きとしたプレーで、コートの上を躍動した。
 中盤は西田にトスを集めた。この日の西田は「23」本のスパイクを決めて、67.6パーセントの決定率をたたき出している。なおかつ打数も「34」と、これまでの試合に比べて負担が少ない。まずはトスを散らして相手のブロックを分散し、勝負どころで西田に託す。小林のゲームマネジメントが光った一戦だったと言える。
 12−13から西田、藤中のブロックなどで3連続得点。その後、3点を連続で取り合い、18−16となったところでVC長野が2回目のタイムアウト。藤中のサーブも機能し、相手の守備を崩すことに成功した。
 終盤も点の取り合いになった。西田はスパイク、ブロックで活躍。22−19の場面では後ろからきたハイセットをしっかり打ち切り、23点目を奪う。藤中が決めてマッチポイント。金丸が入って、フロントの壁が厚くなった。藤中のブロックで25点目。VC長野の得点を21点に抑え、ジェイテクトSTINGSが3−0で勝利を収めた。

 今シーズン初のストレート勝ちは、あらゆる課題を短時間で修正した成果だ。サーブは安定していたし、小林のトスワークも冴えていた。第3セットに入る時も、選手一人ひとりが集中していた。
「こういう展開はこれからも続いていくと思いますが、1日目と2日目の気持ちの切り替え方を、この松本大会で学ぶことができました。これを今後の試合につなげていきたいと思います」
 試合後の会見でこう話した髙橋監督。来週はいよいよウィングアリーナ刈谷で、昨シーズンのファイナルを戦ったパナソニックと対戦する。早くも前半戦の大一番だが、勢いに乗った今のジェイテクトSTINGSに死角は見当たらない。

髙橋慎治監督

昨日は夜の試合で、なかなかこちらのペースで進められませんでした。短い時間でしたが、選手一人ひとりが気持ちを切り替えて、今日の試合に集中してくれたと思います。特に何かを変えたわけではありません。ただ、選手だけでなくスタッフも、昨日の試合で自分たちのバレーができていないことは理解していた。セッターの小林は真ん中を使いつつ、西田だけでなく他のメンバーにもトスを回して、相手のブロックを分散していました。それによって、西田の決定率も上がったと思います。来週のパナソニック戦は結果にこだわり、お客様に「見に来てよかった」と思っていただける試合をしたいと思います。

西田有志

昨日はレベルの低いバレーをしてしまいました。僕たちのポジションでやるべきバレーではない。そこはチームの中でも反省したし、しっかりと意思統一することができました。今日の試合は、自分たちの準備をしっかりして、一バレーボーラーとして戦い抜くことを意識して臨みました。ただし、もっとレベルアップしなければいけません。来週のパナソニック戦は、どれだけファンの方が来てくださるかわかりませんが、その中でも今日よりレベルアップしたバレーを展開していきたいと思っています。パナソニックさんと対戦するのも今シーズン初めてなので、挑戦者として戦っていきたいと思います。

小林光輝

苦しい展開になった昨日の試合は、全員が受け身になってしまい、自分たちのバレーができませんでした。今日の試合は、そこを修正することを意識して臨みました。大事なのは、自分が強気なトス回しをしていくこと。ミドルブロッカーに相手のマークが集まっていたので、いかにアウトサイドヒッターの2人を生かすかを考えました。最後まで攻め切った上に3−0で勝てたので、いいバレーができたと思います。今シーズンの個人的なテーマは“精度”です。トス回しは自分の強みだと思っているので、スパイカーにしっかりと打ち切らせることを目標にプレーしていきたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

課題を克服し、全員が効果的なサーブを打ち続けた

今日のサーブ効果率は「5.8」パーセント。前日の「0.2」パーセントに比べて飛躍的に向上している。まず失点が大幅に減った。サービスエースは西田の1本。得点こそ前日と同じだが、全員が効果的なサーブを打ち続けた。セッターの小林も立役者の一人だろう。抜群のトスワークで、VC長野のブロックを分散した。試合後の会見で西田が言った。「変わったのはトスの配分。久保山さんのトスも合っているし、小林さんのトスも自分には合っている。そこに対する感覚は変わりません。ただ、セッターの一人ひとりに特徴があるので、それを今日は生かし切れたと思います」。髙橋監督も「すごくいいトス回しができていた」と目を細めた。大事なのはこれからだ。いよいよ来週のパナソニック戦で真価が問われる。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS VC長野トライデンツ
第1セット 25 - 16
第2セット 25 - 20
第3セット 25 - 21
第4セット
第5セット
日付 2020年10月24日(土)
試合 2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第4戦
場所 松本市総合体育館
メンバー 藤中、伏見、福山、柳澤、小林、西田 L本間
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