ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ

欠場した西田に代わって袴谷が躍動。しかし、攻守の連携がかみ合わず、パナソニックに力の差を見せつけられる

 今シーズン初となるウィングアリーナ刈谷でのホームゲームだ。相手は昨シーズンのファイナルを戦ったパナソニックパンサーズ。いやが上にも気持ちは高ぶる。独特の緊張感の中、熱戦の火蓋が切られた。

 この日、オポジットの西田は怪我のため、大事を取って欠場。髙橋監督は試合後の会見で、「少し足を痛めた程度で、そこまでひどくはない。長いリーグを考慮して、今日はパスする形を取らせていただきました」と説明した。代わって入ったのは袴谷。立ち上がりから、キレのあるスパイクをたたき込んだ。
 初スタメンのフェリペも躍動。スピードのある攻撃で相手に揺さぶりをかけていく。ミドルブロッカーの福山も、ブロック、クイックでチームに貢献。13−16。僅差をキープしたまま、中盤までゲームを進めた。フェリペが緩いサーブで相手のサーブレシーブを崩し、セッターの小林がダイレクトスパイクを決めてブレイク。袴谷も続いて3連続得点を奪い、18−18の同点に追いついた。
 しかし、パナソニックの久原にノータッチエースを決められると、スパイクミスが響いて3連続失点。伏見のクイックで粘りを見せたが、タイムアウトでも流れを取り戻せず、第1セットを20−25で失った。

 続く第2セットも苦しい展開。フェリペがスパイク、ブロックで得点を重ねるが、確実にサイドアウトを切ってくるパナソニックの前になかなか連続得点が奪えない。それでも、伏見のブロックやフェリペのスパイクで1点差。しかし、10−11から5連続失点。オポジットの袴谷がバックに下がり、低くなったブロックを揺さぶられた。
 10−16でセッターを小林から久保山にスイッチ。ようやくサイドアウトを切り、そこから一進一退の展開に持ち込む。リベロの本間を軸にサーブレシーブが安定し、久保山のブロックなどで得点を重ねていく。
 袴谷もサービスエースを決めた。フェリペがサーブで相手を崩し、福山がダイレクトスパイクを決めてブレイク。しかし、中盤に開いた点差はあまりに大きく、第2セットを19−25で落とした。

 ジェイテクトSTINGSの反撃がはじまったのは第3セットだ。袴谷が大車輪の活躍を見せた。第2セットの途中からそのままコートに入った久保山も、袴谷を積極的に使った。福山がクイックで、フェリペがバックアタックで援護射撃。袴谷がフェイントを相手コートに落とし、3点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎える。
 その後も、袴谷にトスを集めてサイドアウトを切っていった。大事なところで藤中がブロックを決めてブレイク。フェリペのバックアタックなどで、16−12とさらにリードを広げた。
 中盤以降はフェリペが攻撃を引っ張った。さらに袴谷がこの日、2本目のサービスエース。20−16とすると、パナソニックがこの試合初めてタイムアウトを要求する。たたみかけたいジェイテクトSTINGSだったが、ここでミスが生まれて3連続失点。21−20と1点差に迫られる。
 さらに23−21から3連続失点。相手にマッチポイントを奪われた。しかし、このまま終わるわけにはいかない。救ったのは袴谷だ。24点目を奪ってデュースに持ち込むと、難しい二段トスを決めてセットポイント。最後はフェリペが締めくくって、27−25でこのセットを取り返した。

 しかし、反撃もここまで。第4セットは、立ち上がりに3点を与え、袴谷のスパイクも相手のブロックに止められた。4−8となったところで、藤中に代えて柳澤を投入。伏見のダイレクトスパイクで1点を返すが、袴谷が相手のブロックにつかまって5連続失点。5−13と大きくリードを広げられる。
 途中から入った郡が盛り上げるが、点差を縮めるには至らない。2回目のテクニカルタイムアウトを挟んで4連続失点。袴谷をコートに戻すが流れは変えられず、9−22と一方的な展開に。金丸のブロックで意地を見せるが。最後は3連続失点を喫し、11−25の大差で敗れた。

 今シーズン初の黒星。悔しい結果となった。しかし、主将の本間は冷静だ。
「フェリペ選手も新しく加入したので、ディフェンスの連携をもう少し高めていきたいと思っています。(合流して時間が短く)合わないのは当たり前。これから試合を重ねながら改善していきたい。チームとしてはもう少しスパイクを決めないと勝てないので、明日は改善できるようにチームで話し合いたいと思います」
 明日もパナソニックと対戦する。ホームで雪辱を果たしたい。

髙橋慎治監督

悔しいの一言です。メンバーがそろわない中での試合になりましたが、選手たちは今ある力を出し、セットを取るところまで行ってくれました。袴谷も先週は怪我でベンチアウトでした。そこからのスタメンと、厳しい状況での出場になりました。その中で、今できることを出してくれたと思います。フェリペもここからまだ上がってくるでしょう。今はまだコンディションと戦っている状態。時間が経つにつれて、調子を上げてくると思います。明日も試合があるので、気持ちを切り替えなければいけません。「明日は何をするか」。このあとの時間を使って、また新しい気持ちで臨みたいと思います。

袴谷亮介

納得のいくプレーではなかったし、西田選手の代わりに出るということで、特に第4セットはもうちょっと何とかできたんじゃないかと反省が残る試合でした。昨シーズンはスタートから試合に出ることがなく、本当に久しぶりでした。でも、「やってやろう」という特別な気持ちではなく、「いつも通りのプレーをしよう」という気持ちの方が強かったです。でも、心のどこかに西田選手の代わりを務めるんだという気持ちがあった。そこがうまくできず、悔しさが残ります。第1〜3セットは自分のプレーが発揮できたけど、それを最後まで続けられなかったことは反省しなければいけません。

フェリペ・フォンテレス

まずは今日の試合、チームメートが私のことをサポートしてくれたことに感謝します。そして、再びVリーグでプレーできることを誇りに思っています。日本のバレーボールだけでなく、日本の文化に非常に興味を持っています。前回の経験(2007年から2009年までパナソニックでプレー)から、ブラジル代表としてオリンピックやワールドカップを経験しています。そのため、今回の方が責任を感じています。もちろん、再び日本でプレーできるチャンスを与えてくれたことは本当に嬉しい。日本のバレーボールだけでなく、日本人の皆さんのためにもいいプレーを見せていきたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

敗因は西田の欠場にあらず。ここからパナソニックとの力の差を埋めていきたい

試合後の会見で、主将の本間がチームの思いを代弁してくれた。「袴谷選手もいいところで決めてくれました。西田がいたら勝てたかと言われると、僕は自信を持って『はい』とは言えません」。記者から「西田選手の不在の影響をどこで感じたか」という質問に対する答えだ。ちょうど、このコラムに同じことを書こうと思っていたので、溜飲が下がる思いだった。敗因を一つに絞るのは難しいが、あらゆる面でパナソニックが上回っていたと言える。例えば、攻撃の組み立て。サイドに偏っていたジェイテクトSTINGSに対し、パナソニックのセッター深津はバランスよく5人のアタッカーに配球していた。ブロックの低いところを突き、確実に得点を重ねていた印象だ。しかし、指をくわえてただ見ているわけにはいかない。フェリペも本格的に合流した。ここから一試合一試合、着実に連携を高めていきたいところだ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ
第1セット 20 - 25
第2セット 19 - 25
第3セット 27 - 25
第4セット 11 - 25
第5セット
日付 2020年10月31日(土)
試合 2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第5戦
場所 刈谷市総合運動公園体育館
メンバー 藤中、伏見、福山、フェリペ、小林、袴谷 L本間
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