ジェイテクトSTINGS VS 大分三好ヴァイセアドラー

袴谷が両チーム最多、スパイクだけで17得点。サーブが機能すると、終盤の連続得点で試合をひっくり返した

 連敗後の重要な一戦だ。しかも、ウィングアリーナ刈谷でのホームゲームである。絶対に負けるわけにはいかない。
 ジェイテクトSTINGSのスタートは、先週と同じ7人が顔を並べた。セッターは久保山、オポジットには袴谷が入った。ミドルブロッカーは伏見と福山が対角を組み、レフトはフェリペと藤中。リベロは守護神の本間だ。

 試合は大分三好ヴァイセアドラーの得点で幕を開けた。フェリペのスパイクが止められ、福山のクイックがシャットアウト。やや固さが見られた。しかし、慌てる者はチームに一人もいない。フェリペのスパイクでサイドアウトを切ると、セッターの久保山は袴谷にトスを集める。2点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えたが、袴谷のサービスエースが決まるなど随所に攻める意思が見られた。
 その後も袴谷の得点でサイドアウトを切っていく。サービスエースを決められて9−12となったところで、髙橋監督は1回目のタイムアウトを要求。その後もサイドアウトの応酬が続くなど、我慢の時間が続いた。
 反撃の口火を切ったのは福山だ。袴谷も決めて連続得点。さらにフェリペが決めて18−17と逆転に成功する。タイムアウトを挟んでフェリペのブロック。相手のミスもあって6連続得点を奪った。
 これで一気に流れをつかんだ。フェリペがサーブで攻めると、伏見のブロックでブレイク。セットポイントを奪ったところで柳澤がコートに入った。最後は福山のクイックでフィニッシュ。25−21で第1セットを奪った。

 第2セットは、ジェイテクトSTINGSが一方的な展開に持ち込んだ。フェリペのスパイクで先制。袴谷も好調を維持した。さらに、この日はサーブが安定していた。特にフローターサーブが効果的に入り、相手から何度もミスを誘った。ブロックも機能し、袴谷、伏見が連続で得点。8−3と大きくリードを広げる。
 袴谷のブロックを皮切りに5連続得点。福山のブロック、伏見のサービスエースなどでリズムをつかんだ。大分三好はストックトンに代えてルーキーの古賀を投入し、ゲームの流れを変えてくる。しかし、ジェイテクトSTINGSにブレはない。その後も袴谷のバックアタックなどで着実に得点を重ね17−6とした。
 あとは落ち着いて試合を進めていくだけだった。髙橋監督は安定した戦いを見せるメンバーを変えることなく、冷静に戦況を見守り続けた。フェリペのバックアタックで22−13。藤中が決めてラリーを制した。相手のミスでセットポイントを奪った。1点を返されたものの、福山のクイックでフィニッシュ。相手の得点を14点に抑え、第2セットを勝ち取った。

 第3セットも我慢の時間が続いた。相手のフローターサーブを福山が受け、自らクイックに入って先制点を奪う。久保山がサーブで相手を崩し、フェリペがブロック。伏見を軸にブロックで相手の攻撃をしのぐと、袴谷が決めてラリーを奪った。しかし、その後は連続失点が続く。サーブレシーブを崩され、相手にダイレクトスパイクを決められた。袴谷がライトから豪快にたたき込むが、テクニカルタイムアウトを挟んで4連続失点。6−10とビハインドが広がった。
 ずるずると引かないのが、今日のジェイテクトSTINGSだ。福山のクイックで嫌な流れを断ち切った。オーバーでさばいた藤中のサーブレシーブも安定していた。要所で袴谷が得点。フェリペがフェイントで相手を揺さぶった。
 互いに1点ずつ取り合いながら、ゲームは終盤まで進んでいく。15−20。ここから反攻がはじまった。袴谷がライトからバックアタックを決めた。相手のブロックを利用したスパイクも見事だった。久保山のサーブが相手の連携を乱し、フェリペもフェイント、強打と立て続けに決めていく。相手の連続得点で20−22とされたが、髙橋監督はすかさずタイムアウトを要求。これで再び流れを引き寄せた。
 フェリペがライトからストレートに決め、相手に連携ミスが出て同点に。伏見のブロックで再び逆転。さらに伏見が相手のスパイクをシャットアウトすると、最後は袴谷が決めて25−22。怒涛の5連続得点で試合を締めくくった。

 先週の連敗を払しょくする会心の勝利だった。
「第1、3セットは相手にリードされ、自分たちは我慢しなければいけない状況が続きました。今までだったら、そのまま崩れるケースが多かったけど、今日は我慢してチャンスのところでしっかり取り切ってくれた。今までとは違った、いいセットの取り方ができたと思います」
 試合後にこう振り返った髙橋監督は、明日の試合に向けて早くも気を引き締めていた。

髙橋慎治監督

今週は選手のコンディションを考慮しつつ、チームとしても1本1本のプレーの精度を上げるように意識してきました。あとはサーブですね。フローターサーブの選手もしっかりと効果を上げられるように練習してきました。まだ改善するところはありますが、全体的にいいサーブが打てていたと思います。相手にリードされる場面もありましたが、主将の本間を中心にしっかりと声をかけ合ってくれた。そのおかげで、チームとしても崩れることがなく、最後まで我慢できたと思います。ただし、相手のミスでセットを取らせてもらったところもあるので、自分たちから点を取りに行くという気持ちを出して、明日の試合に臨みたいと思います。

伏見大和

今日はスタートから気合いを入れてやっていこうと、みんなで話していました。少し固さもありましたが、相手にリードされた終盤も、チーム一丸となって粘り強く戦えたと思います。個人的には今シーズン、思ったようにプレーできない試合が続いて、モヤモヤした気持ちがずっとありました。何か一つでもいいからちゃんと結果を残したいという思いで、今週はとにかくブロックを我慢してきました。相手セッターのトスに反応してから行くという練習をしてきた成果が、いい感じに出せたと思います。饒も合流してようやく全員がそろいました。僕自身は、自分が活躍することで、チームの勝利も上がると勝手に思っています。僕が一つのキーマンだと思っているので、サーブも含めてもっと上げていけるように頑張ります。

藤中優斗

先週のパナソニック戦で2連敗し、チームとしてもう一度、いい形に持っていこうという中での大分三好戦でした。内容は100パーセントよかったとは言い切れないけど、3−0で勝つことができたのは収穫だと思います。個人的には、スパイクをしっかり決め切ることを課題として、この1週間取り組んできました。練習でもうまくいかないことがあったり、今日も少ない打数でしっかり決め切ることができませんでしたが、これから長いリーグを通して1点でも多く取れるように頑張っていきたいと思っています。明日の試合も楽に進めることはできないでしょう。大事なのは、自分たちのバレーを心がけて、しっかり勝ち切ること。また、一つひとつの課題を克服し、終盤に向けていいチームを作っていけるように頑張ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

フローターサーブで攻めて相手の守備を翻弄。本来のバレーを取り戻した

サーブが安定していた。特にフローターサーブの効果が高かった。得点こそ伏見、袴谷の1点ずつにとどまったが、大分三好のサーブレシーブ成功率を42.9パーセントまで抑えている。藤中が言う。「全体的にサーブで攻めることができました。序盤はサーブが弱くてブレイクが取れず、競った展開になりました。だけど、本間選手を中心に『もう一度、サーブで攻めていこう』という話になり、後半は徐々にサーブで攻められるようになった。そこは今日の収穫です。フローターサーブの精度はチームの課題でもあるので、今後ももっと追求していきたいと思います」。ブロックでの得点が多かったのも(9得点)、ひとえに攻めるサーブの成果と言えるだろう。本来のバレーが展開できれば、どこが相手でも簡単に負けることはない。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 大分三好ヴァイセアドラー
第1セット 25 - 21
第2セット 25 - 14
第3セット 25 - 22
第4セット
第5セット
日付 2020年11月7日(土)
試合 2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第7戦
場所 刈谷市総合運動公園体育館
メンバー 藤中、伏見、福山、フェリペ、袴谷、久保山 L本間
Photo