ジェイテクトSTINGS VS 大分三好ヴァイセアドラー

第2セットから入った西田が躍動。柳澤も攻守で活躍して第3、4セットを奪取。諦めない心が試合を決定付けた

 今シーズンから同一カードで土日の2連戦を戦うことになった。そのレギュレーションを有効に使ったのは、大分三好ヴァイセアドラーの方だ。特に外国籍選手のストックトンに自由を与えてしまい、2セットダウンの苦しい展開になった。

 立ち上がりこそ、袴谷の活躍などでリードした。伏見がクイックを決め、福山もブロックで追加点を奪った。藤中はネット際で勝負強さを発揮。2点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 しかし、ここから流れが大分三好の方に傾き出す。ノータッチエースを決められるなど、3連続失点で逆転を許した。袴谷のスパイクが止められて11−14。髙橋監督は1回目のタイムアウトを要求した。
 藤中、久保山が立て続けにブロックを決めて14−15と1点差に迫る。袴谷もキレのあるスパイクをライトからたたき込んでサイドアウトを切った。福山のサービスエースも決まった。終盤は伏見がクイックで応戦。しかし、袴谷のスパイクが再びつかまり、第1セットを20−25で失った。

 ついに西田が戻ってきた。袴谷に代わって、第2セットのスタートからコートに入ったのだ。最初の得点は1−3の場面。相手のブロックにうまく当てて、ボールを外に弾き出した。しかし、すぐにリズムはつかめない。西田のスパイクが相手のブロックに止められて、4点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを奪われた。
 藤中、伏見のスパイクなどでサイドアウトを切るが、フェリペが止められて7−12。髙橋監督はここで1回目のタイムアウトを要求する。しかし、悪い流れを断ち切ることができず、10−16と点差を広げられた。
 12−18となったところで、藤中に代わって柳澤がコートに入った。その柳澤がすぐに得点を奪った。セッター久保山も、相手のブロックをうまく揺さぶった。柳澤のサービスエースなどで3連続得点。3点差まで追い上げた。
 しかし、ここから一進一退。西田が徐々に調子を上げてくるが、開いた点差を縮めることはできず21−25で失セットを喫した。

 あとがなくなった。しかし、このまま終わるわけにはいかない。第3セット、反撃がはじまった。
 西田がネット際でボールを押し込んで先制。さらにバックアタックも決めて勢いをつかむ。このセットのスタートから入った柳澤も攻守にわたって活躍。リベロの本間とともにサーブレシーブを固めた。
 さらにテクニカルタイムアウトを終えたところで、フェリペに代わって藤中がピッチイン。柳澤のスパイクなどで同点に追いつくと、西田が連続で決めて11−10と逆転に成功する。藤中が入ったことで、サーブレシーブがより盤石なものになった。伏見が決めて16−15。ペースを取り戻したかに思われた。
 しかし、ラリーを取り切れず、ゲームの流れが両チームの間を激しく行き交う。勝負を決定付けたのは西田だ。18−18の場面でサーブが回ってくると、連続でサービスエースを奪取。20−18とリードを広げた。
 福山も気迫がこもったスパイクでチームを鼓舞した。22−21と1点差に追い上げられるが、すかさず髙橋監督はタイムアウトを要求。金丸を投入するなど、最後の勝負に出た。柳澤が決めてセットポイント。最後は相手にミスが出て、ジェイテクトSTINGSがこのセットを25−23で奪った。

 第4セットも、一瞬も目が離せない展開となった。立ち上がりこそ西田のスパイク、伏見のブロックなどで4連続得点を奪った。要所で藤中が決めて、3点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎える。柳澤もフェイントで相手の守備を揺さぶった。
 しかし、9−5から5連続失点。サーブレシーブは安定していたが、攻撃のリズムがつかめなかった。西田のスパイクも立て続けに止められた。
 12−13の場面でセッターが久保山から小林にスイッチ。攻撃に変化を加えると、西田のバックアタックなどで同点に追いつく。さらに福山のブロックなどで3連続得点。僅差のまま終盤にもつれ込んだ。
 小林のサービスエースで、20−18と一歩リード。本間の好レシーブもチームに勇気を与えた。西田のスパイクで23−20。3連続失点で同点に追いつかれたが、まだ優勢に試合を進めていた。福山が決めて25−24。最後は西田のスパイクで26点目を奪ったジェイテクトSTINGSが、試合を最終セットに持ち込んだ。

 第5セットは小林がそのままコートに入った。序盤はシーソーゲーム。西田、藤中、福山とトスを散らし、確実にサイドアウトを切っていく。柳澤に続いて西田が決めて、リードを3点に広げた。柳澤のサーブが相手のミスを誘い、9−5となったところで大分三好がタイムアウトを要求した。
 西田が相手のブロックをよく見て、スパイクを決めた。フェイントも決めて13−7。試合の趨勢が決まった。相手のミスでマッチポイント。試合を決めたのは柳澤だった。上がってきたトスを落ち着いて決めてゲームセット。15−9としたジェイテクトSTINGSが、フルセットの接戦を締めくくった。

 苦しみながらもホームで2連勝をあげた。
「大分三好さんもいいバレーをしてきたし、そこに対応ができなかったことが課題として残りました。声がなかったということも連鎖し、ああいう点数になったと思います。自分自身、第2セットからコートに入って流れをどう変えるかを考えていたけど、まだまだ力不足を感じました。第3セットに入って、『これがジェイテクトSTINGSのバレーだ』と言えるくらいのレベルに戻ってきたけど、まだまだ課題の多いチームだと思います」
 西田の言葉はチーム全員に共通する認識だと言えるだろう。来週は、アウェイでサントリーと対戦。気が抜けない試合が続く。しかし、先を見過ぎる必要はない。今はとにかく、一戦一戦を大事に戦う時だ。

髙橋慎治監督

最終的に勝つことができてよかったです。昨日よりも厳しい状況になりましたが、スタートから入っていたメンバー、途中から代わったメンバー、ベンチに入っていないメンバー、全員で戦って第3セット以降を取りに行くことができました。ただ、相手の外国人選手もそうだし、日本人選手にもかなりの確率で決められました。そこはスタッフの仕事として、できるだけ早くその場で対応しなければいけません。それができなかったことは、自分の反省として受け止めたいと思っています。それでも、フルセットで勝ったことをプラスに考え、修正すべきところを修正し、今後の試合につなげていきたいと思います。

柳澤広平

全体的に攻撃が決まっていなかったので、そこが自分の役割ということでコートに入ったのだと思っています。まずはトスを呼んで、アタックを決めることを意識していました。得点が決まったのは、セッターのトスがよかったからです。ほとんどの場面で、相手のブロックを1枚にしてくれました。やはり僕たちは、1枚のときはしっかり決めないといけない。そこはセッターに感謝しています。そこにつながる、レシーブやディグもよかった。結局、僕は最後に打っただけで、そこまでの過程がよかったのだと思います。ジェイテクトSTINGSは今シーズン、総力戦で戦います。誰がいても、どのような場面でもうまく対応して、結果を求めて頑張っていきたいと思います。

西田有志

昨日の試合は、いい内容とは言いにくいけど、3−0で勝てたことはよかったと思っています。その上で、今日はどういう入り方をするのかを外から見ていて、まだスローになっている感じがありました。そこはチームとしても課題だし、個人としても改善しなければいけないところだと思っています。僕は来年のオリンピックを見据えているし、そこに向けて目の前の一戦をどう戦い抜くかが大事になってきます。今日の試合で言えば、被ブロックが多かった。「やっている」と言い訳をするのではなく「やらないといけない」と自分に言い聞かせています。そういう役目だし、まだまだ自分は未熟だと思っているので。そこを克服し、ステップアップしながらこのリーグを戦い抜きたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

苦戦は必然か。まずは「勝つイメージをつける」ことが重要だ

大分三好が前日の敗戦からうまく切り替えてきた。特にストックトンの決定率が高く、対応に苦しむ時間が続いた。ある意味、苦戦は致し方のないことだと思っている。むしろ、逆転で勝ち切ったことを自信に変えなければいけない。流れを変えたのは、やはり途中から入った西田、柳澤、小林の3人だ。コート内に足りなかった「声」でチームを盛り上げた。西田は「勝つイメージをつけなければいけない」と言った。「僕たちは去年優勝しているけど、同じメンバーで戦っているわけではないので、きっとどこかで詰まってきます。そういう場面をできるだけ少なくし、打開していかなければいけません。泥臭くても勝っていかないといけないし、勝つイメージをつけていくことが今後に生きてくる」。来週のサントリー戦は前半戦の一つの山場になるだろう。今日の勝利をポジティブにとらえて、準備を進めていきたい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 大分三好ヴァイセアドラー
第1セット 20 - 25
第2セット 21 - 25
第3セット 25 - 23
第4セット 26 - 24
第5セット 15 - 9
日付 2020年11月8日(日)
試合 2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第8戦
場所 刈谷市総合運動公園体育館
メンバー 藤中、伏見、福山、フェリペ、袴谷、久保山 L本間
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