ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ

久保山が攻撃のリズムを変え、サーブで攻めて第2、3セットを奪取。敗れはしたが、西田もスパイクで21得点と活躍した

 昨シーズンのセミファイナル以来となるサントリーサンバーズとの一戦は、予想通り激しい点の取り合いになった。

 立ち上がりはやや硬さが見られた。サントリーは得点源のムセルスキーや復帰した柳田にトスを集めて攻撃を展開していく。ジェイテクトSTINGSは西田のスパイクで応戦。さらに今シーズン初出場の饒のクイックなどで得点を重ねていった。
 しかし、5−5から5連続失点。サーブレシーブを崩されてうまくコンビネーションを組むことができない。5−10となったところで1回目のタイムアウトを取った。
 相手のミスで3連続得点を奪ったものの、試合の流れを引き寄せるには至らない。嫌な流れを断ち切ったのは福山のクイックだ。さらに相手のスパイクがアウト。チャレンジでも判定は覆らず、10−12と2点差に追い上げた。
 さらに西田がサーブで相手を崩すと、フェリペがネット際で競り勝って1点差。僅差をキープし、2点のビハインドで2回目のテクニカルタイムアウトを迎える。
 しかし、終盤はペースダウン。西田、フェリペのスパイクが止められ、3連続失点が2度続いた。西田が軟打を織り交ぜながら攻めるが、最後は18−25と引き離された。

 相手のミスも多かっただけに、第1セットは取りたかったところだ。しかし、チームにショックを引きずる様子はない。セッターを小林から久保山にスイッチ。第2セットは、立ち上がりからジェイテクトSTINGSが主導権を握った。
 福山がサーブで相手を崩し、フェリペのスパイクなどで3連続得点。さらに4−3から西田がサービスエースで3連続得点。トータルで5連続得点を奪い、リードを大きく広げる。
 ジリジリとサントリーに差を詰められるが、藤中のスパイクなどで着実に加点。フェリペも本来のパフォーマンスを取り戻し、4点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 サントリーにアクシデントが起きたのは、藤中のブロックで17点目を取ったあとだ。プレー中にセッターが負傷。交代を余儀なくされた。ジェイテクトSTINGSは19−13で袴谷をコートに送り込むと、サービスエースで追加点。完全に流れをつかんだ。20−15から4連続得点。フェリペが難しいボールをたたき込んでセットポイントを奪い、25−17でこのセットを取り返した。

 第3セットは、西田が高い打点からスパイクを放ち、先制点を奪った。しかし、その後は追いかける展開。高さのあるサントリーのブロックに苦しんだ。饒のクイックは機能したが、4−4から3連続失点。3点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた
 その後は一進一退。セッターの久保山は、福山のクイックなど真ん中を積極的に使って攻撃を組み立てる。フェリペのスパイクに続いて、西田がサービスエース。粘り強く得点を重ねていった。
 反撃は12−16からはじまった。6連続得点で一気に逆転。藤中がいいところでサービスエースを決め、フェリペがブロックで相手のスパイクを寸断。ネット際の攻防を西田が制した。
 一度は追いつかれるが、再びジェイテクトSTINGSがリード。福山のクイックでサイドアウトを切ると、西田のブロックでブレイク。相手のスパイクがアウトになり、21−18と優勢に試合を進める。大事なところで饒が決めてサイドアウトを切った。ワンポイントブロッカーの伏見を投入。セットポイントを奪ったところで、リリーフサーバーの袴谷をコートに送り出した。
 デュースに持ち込まれたが、ここから西田が奮起した。レフトから強烈なスパイクをたたき込んで26−25。最後は相手のスパイクがアウトになり、逆転で勝利に王手をかけた。

 しかし、第4セットはサントリーの一方的な展開。ムセルスキーに連続でサービスエースを決められるなど、3−8で1回目のテクニカルタイムアウトを失う。5−12となったところで高橋監督はタイムアウトを要求し、ここでフェリペに代えて柳澤を投入した。
 ムセルスキーのスパイクをリベロの本間が好レシーブでつなぐと、柳澤が決めてブレイク。饒も高さのあるブロックで相手のスパイクを仕留めた。しかし、点差はなかなか縮まらない。小林、袴谷を二枚替えで投入したが、開いた点差はあまりに大きかった。
 福山がブロックで一矢報いるが、15−22から3連続失点。最後は相手にノータッチエースを決められた。

 運命の第5セット。フェリペ、西田のスパイクなどで立ち上がりから攻めた。アンラッキーな失点はあったものの、粘り強く戦った。4−5の場面では、藤中がネット際で競り勝った。西田がスパイク、ブロックで立て続けに得点を奪う。フェリペのブロックで10−7。完全にジェイテクトSTINGSのペースだった。
 しかし、終盤は流れが一気に傾いた。12−9から3連続失点。西田のスパイクもエンドラインを割った。西田がスパイクを決めて13−12。ここで袴谷を投入して勝負に出る。ムセルスキーに決められると、乱れたトスを西田が決め切れず逆転を許した。最後まで攻め続けたが、13−15で敗れた。

 内容は悪くなかった。明暗を分けたのはサーブだ。とはいえ、ジェイテクトSTINGSのサーブも機能していた。西田はサービスエースを4本も決め、チーム全体で8.1パーセントの効果率を残している。サントリーはそこを11.8パーセントで上回った。ほんのわずかな差が、結果になって現れた。
「今回は負けたけど、いい部分もあった。そのいい部分がどういう場面であったのかを把握すること。そして、どうして悪い部分が出てしまったのか。悪い部分が出ないよう、しっかり反省して明日の試合に生かしたいと思います」
 試合後にこう振り返った久保山。明日の試合はすぐに訪れる。できる限りの準備をして、リベンジを果たしたいところだ。

髙橋慎治監督

サントリーさんの強いサーブとムセルスキー選手の高さに圧倒される場面もありましたが、選手たちがしっかり耐えてくれました。ただ、最後は一歩及ばず、悔しい敗戦になりました。ジャンプサーブを打つ選手はサントリーさんほど多くはありませんが、ジャンプフローターサーブも精度にこだわった強いサーブが打てていたと思います。ただ、サーブが弱くなって相手にコンビを組まれ、サイドアウトを切られることも多かった。常に精度の高いサーブが打てるように準備していきたい。いい形のプレー、いい連携が出ているので、明日に向けてコンディションを調整したいと思います。

フェリペ・フォンテレス

第4セットを除けば、非常にレベルの高い試合でした。ポジティブに考えると、チームはまだ連携が取れていません。そう考えると、ここから伸びる可能性は非常に高いと思っています。もちろんいいプレーもあったけど、改善しないといけないプレーもありました。これからそこを詰めていきたいと思います。一番大事なのは、連携を詰めること。そのプレーが自然とできるようにならなければいけません。例えば、セッターは目を閉じていても、私が求めるトスを上げられるようにならないといけない。ハイボールに関してもそう。西田がどういうトスを要求しているのかはまだわからないし、西田も私がどういうトスを求めているかを把握していないと思う。ただ、3週間前に比べて、そうした連携は取れるようになってきました。時間はかかりますが、それを続けていけばプレーの質は上がっていくと思います。

久保山尚

試合の入りは若干の硬さがあり、うまくいかないところがありました。外から見ていて、点差以上にギクシャクするところがあったように感じました。自分がコートに入るときは、スパイカーを生かすことを考えていました。西田の3連続サービスエースもあり、いい流れで第2セットを取ることができたと思います。ムセルスキー選手がミドルブロッカーと入れ替わって真ん中に立ったり、西田選手の方に行ったりするのを感じながらプレーしていました。チームメイトもコールをしてくれたので、薄くなったときにミドルブロッカーを使い、他の選手を楽にできたらと思っていました。第5セットは、少し勝ち急いだかもしれません。先週は勝負どころで点を取ることができましたが、今日は自分自身もスパイカーも力んでしまうところがあったように思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

厚みが出たミドルブロッカー陣。苦しいときこそ攻撃の軸を担いたい

最後のピースがそろった。ミドルブロッカーの饒が今シーズン初出場。14本のスパイクを放ち7得点。攻撃の安定感が増した。ブロックでも相手にプレッシャーをかけ続けた。合流して間もないことを考えれば、非の打ち所がない内容と言える。セッターの久保山も「コミュニケーションをできるだけ多く取っていきたい。今日もいいコンビネーションがあったので、これからもっと精度を上げていきたいと思います」と手応えを口にしている。同じミドルブロッカーの福山も気迫のこもったプレーで攻守にわたって活躍した。今日は控えに回ったが、伏見も途中から入ってネット際に立ちはだかった。ベテランの金丸も健在。西田、フェリペの両エースが抑えられたときこそ、厚みが出たミドルブロッカー陣が攻撃の軸を担いたい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ
第1セット 18 - 25
第2セット 25 - 17
第3セット 27 - 25
第4セット 15 - 25
第5セット 13 - 15
日付 2020年11月14日(土)
試合 2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第9戦
場所 サントリー箕面トレーニングセンター体育館
メンバー 藤中、福山、饒、フェリペ、小林、西田 L本間
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