ジェイテクトSTINGS VS FC東京

途中出場のセッター小林が、真ん中の攻撃を駆使して流れを変える。最後はエース西田の活躍で締めくくった

 FC東京との第2戦。ジェイテクトSTINGSは前日と同じメンバーでスタートした。

 入り方は決してよくなかった。フェリペのスパイクが立て続けに止められた。相手のスパイクがアウトになって先制したが、序盤の勢いはFC東京がつかんだと言っていい。西田が難しいトスを決めてサイドアウトを切った。フェリペがうまくストレートを抜いてブレイク。その後も福山のブロック、藤中のスパイクなどで、3点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 気を吐いたのが福山だ。相手のクイックをコミットで止めてブレイク。さらにクイックのモーションからうまく押し込んで追加点を奪う。相手の意識を中央に集めると、フェリペ、西田が決めて12−7とリードを広げた。西田のサーブも効果的だった。相手を崩して返ってきたチャンスボールを饒が決める。勝負どころで西田が硬軟織り交ぜたスパイクをたたき込んだ。藤中も安定したプレーで援護射撃。16−13とゲームの主導権を握った。
 しかし、細かいミスがあり、なかなか突き放せない。FC東京の粘り強い守備にも苦しめられた。後半は一進一退。西田がサーブで相手を崩すと久保山がブロックを決めて21−17。この得点で一気に流れを引き寄せた。
 饒のクイックでサイドアウトを切ると、金丸をワンポイントで投入。勝負に出た。西田のスパイクは止められたが、チームに焦りはない。タイムアウトで悪い流れを断ち切った。福山が決めてセットポイント。最後は西田がレフトから決めて、25−23で第1セットを先取した。

 しかし、第2セットはFC東京のペースで進行した。最初に2点ずつ取り合うと、5連続失点を喫した。藤中を軸にサーブレシーブは安定していた。攻撃の連携が噛み合わない場面もあったが、それ以上にFC東京がよく拾っていた。それでも、まだセット序盤。慌てる展開ではない。西田のスパイク、フェリペのブロックなどで3連続得点を奪い、2点差まで詰め寄った。逆転の可能性は十分に残されていた。
 実際、久保山が巧みにトスを散らし、得点を加算。10−10の同点に追いついている。さらには、フェリペのブロックなどで3連続得点。13−11と逆転に成功した。
 難しい体勢から放ったフェリペのスパイクはアウト。サービスエースを決められて2点のビハインドで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 藤中が粘り強く得点を重ねるが、西田が止められて18−21。ノータッチエースでセットポイントを奪われると、フェリペが1点を返すので精一杯。21−25でこのセットを落とした。

 第3セットは激しい点の取り合いとなった。藤中が後ろから上がってきたハイセットを決めると、相手のスパイクをシャットアウト。3連続得点で勢いをつかんだ。1点を返されたが、再び3連続得点。饒がブロックの間を抜き、久保山がダイレクトでたたき込む。ブロックに当ててつないだボールを西田が決めて8点目。リードを5点に広げた。
 しかし、ここで流れがFC東京に傾く。藤中、福山、西田のスパイクが連続でアウト。代わったばかりの相手のミドルブロッカーに揺さぶられた。8−7となったところで高橋監督はタイムアウトを要求した。
 福山のブロックでブレイクポイントを奪い、立て直したかに思われた。しかし、再びスパイクミスが響いて3連続失点。10−10の同点に追いつかれた。
 藤中のサーブがサイドラインギリギリに決まって12−10。しかし、流れをつかみ切れない。象徴的だったのは、フェリペがサービスエースを決めて16−14としたあとだ。テクニカルタイムアウトが明けてから4連続失点。16−18となったところで、高橋監督は久保山に代えて小林をコートに送り込んだ。
 その小林は、最初のプレーで饒のクイックを選択。西田もバックアタックを決めた。一時は21−23とリードを許したが、このまま終わるわけにはいかない。タイムアウトで流れを変えた。西田のスパイクでサイドアウトを切ると、相手のスパイクがアウトになって同点。ここでFC東京が2回目のタイムアウトを取る。
 サーブは西田。饒のブロックでセットポイントを奪った。最後もクイックだった。饒が決めて25−23。ジェイテクトSTINGSが勝利に王手をかけた。

 第4セットも拮抗した。サイドアウトの応酬が続いた。フェリペ、西田にトスを集めて前半は先行。要所で福山のブロックも決まった。中盤も痺れるような展開だった。ジェイテクトSTINGSが1点を追いかける展開。藤中、福山のスパイクなどで粘り強く食らいついた。
 3連続失点で17−20と引き離されたが、久保山をリリーフサーバーで投入。金丸がワンポイントで入るなど、勝負をかけた。藤中が決めて20−20の同点に追いついた。さらに西田が連続で決めて22−21と逆転。ジュースに持ち込んだ。本間が足でレシーブするなど粘りを見せた。しかし、24−26で惜しくも接戦を落とした。

 第5セット、セッターの小林は真ん中を使って攻めた。サーブレシーブも安定していた。饒のクイックでサイドアウトを切る。相手のミスがあって5−3。ここでFC東京は1回目のタイムアウトを要求した。
 福山のブロックで7−4。しかし、8−5から3連続失点。福山のクイックも止められた。高橋監督はタイムアウト。西田のスパイクがチームを勢いづけた。相手にサービスエースを決められかに思われたが、高橋監督はすかさずチャレンジを要求。アウトと判定され、スコアが覆った。ここで西田が値千金のサービスエース。完全に流れをつかんだ。
 しかし、突き放せない。互いに1点ずつ取り合う展開。金丸、久保山を2枚同時に投入した。西田が止められて12−11と1点差。ここで小林が渾身のツーアタック。FC東京は誰一人、動けなかった。
 西田が決めてマッチポイント。1点を返されたが、最後は西田が強烈なスパイクを打ち抜いた。15−13でフィニッシュ。フルセットの末にジェイテクトSTINGSが勝利をつかんだ。

 接戦をものにした。課題はあるが、痺れるようなゲームでつかんだ勝利は勝点2以上の価値がある。
「映像を見直す必要はあるが、今週はコンビの部分にズレがあった。セッターだけでなくアタッカーにも修正点がある。今後の試合に向けて、コンビの精度を上げていきたい」
 試合後にこう話した高橋監督。来週は刈谷でのホームゲームだ。内容が伴った勝利で、天皇杯につなげていきたい。

髙橋慎治監督

FC東京さんの粘りあるディフェンスの前に、自分たちにもミスが出ました。なかなかリズムが作れないまま試合が進みました。それでも、途中から入った小林選手がコンビを使ってしっかりとチームのリズムを作ってくれました。フルセットまで行ったけど、最終的には小林選手が作ったリズムで勝つことができたと思います。小林選手は、真ん中のクイックの使い方など、トスの質がすごくいい。サイドの負担が減るなど、いい状態を作り出してくれました。フルセットの苦しい展開になりましたが、勝てたことが何よりも大きい。その中でもしっかりと課題を見つけ出し、今後に向けて修正して強いチームを作っていきたいと思います。

福山汰一

今日の試合は、特に競っている場面でのミスが今までにないくらい多かったと思います。ギリギリのところで西田選手、フェリペ選手、藤中選手が決まっていたからよかったけど、数字に表れないつなぎの部分などでミスが出ました。まだまだ意識して取り組んでいかなければいけないと感じました。正直なところ、1日でスパイクの修正をするのは難しいところがあります。確かに、セッターとは「こういうトスがほしい」「今日はこういう感じだったね」と話はします。試合のデータも見ます。それよりも、今日は肩の力を抜いて、低いところでリバウンドを取るなど、焦らない準備をして臨みました。大振りにならないよう、とにかく決めることを優先してプレーしました。

小林光輝

うまく回らない場面はありましたが、接戦になってもしっかり耐える力というか、そういう部分がチームに出てきたと思います。今後の課題はコンビの精度です。今年のチームは個々のレベルは高いけど、速い攻撃が多く、コンビの精度がよくないとチーム自体が回っていきません。そこは自分の課題でもあるので、トス回しなど自分の強みにもっと自信を持ちながらやっていきたいと思います。今日も自分が入ったときは、まずはミドルに決めさせる。そうしないと、チームは復活しないと思って入りました。個人的にはあまりよかったとは言えませんが、みんなに助けてもらって勝つことができました。あとは反省して、明日からの練習も頑張ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

真ん中の攻撃が飛躍的に向上。サイドからも気持ちよく攻められた

ミドルブロッカーの決定率が上がった。饒は前日の38.9%に対してこの日が47.4%。福山にいたっては12.5%から57.1%と大幅に改善されている。「はじめは真ん中の攻撃が通っていなかったので、僕が入ってからはその逆というか、真ん中を通してサイドの負担を減らし、チームをうまく回せたらと思っていました」。セッターの小林は試合後、こう振り返っている。確かに、相手の意識が真ん中に集まることで、空いたサイドから西田が気持ちよくスパイクを打っていた印象だ。コンビが噛み合わない部分も見られたが、そこは試合を重ねるごとに改善できる。優勝した昨シーズンのチームは、誰がどこから攻めても得点できる強さがあった。さらに連携を高め、あのときをしのぐ力を身につけてほしい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS FC東京
第1セット 25 - 23
第2セット 21 - 25
第3セット 25 - 23
第4セット 24 - 26
第5セット 15 - 13
日付 2020年11月29日(日)
試合 2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第1戦
場所 草薙総合運動場体育館
メンバー 藤中、福山、饒、フェリペ、西田、久保山 L本間
Photo