ジェイテクトSTINGS VS ウルフドッグス名古屋

セッター小林を軸に多彩な攻撃を展開。第1セットを失うも、ミドルの活躍などで粘り強く競り勝つ

 今シーズン最初の愛知ダービーだ。しかも、相手のウルフドッグス名古屋は首位。ここでつかむ勝利には大きな価値がある。金曜日のナイトゲームにもかかわらず、数多くのファンがウィングアリーナ刈谷に足を運んだ。最高の試合をして、上位追撃のきっかけにしたい。

 藤中のサーブで幕を開けた。しかし、立ち上がりはやや固さが見られた。西田のスパイク、饒のクイックなどでサイドアウトを切っていく。小林のブロックも飛び出した。最初のブレイクは福山のブロック。すぐに1点を返されるが、フェリペもバックアタックを決めて1点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 その後も、互いに一歩も譲らない展開。スタートから入ったセッターの小林が巧みにトスを散らし、相手のブロックに的を絞らせない。ミスで10−11と逆転を許したが、藤中がうまくブロックタッチを取って得点を重ねていく。しかし、2回目のテクニカルタイムアウトを挟んで3連続失点。13−17で1回目のタイムアウトを取った。
 しかし、流れは変わらず、サービスエースを決められてビハインドは5点に。西田、フェリペのスパイクで粘り強くサイドアウトを切るが、最後は藤中がサーブレシーブを大きく弾き、18−25で第1セットを失った。

 決して内容はよくなかった。第2セットも、サーブレシーブのミスから入っている。しかし、悪い流れを引きずらないのが、今シーズンのジェイテクトSTINGSの強みだ。気を吐いたのがフェリペだった。やや乱れたトスを強引に打ち抜いた。ネット際に上がったルーズボールを饒がダイレクトでたたいた。さらに2−4からフェリペのサービスエースなどで4連続得点。徐々にリズムをつかんでいった。
 その後も藤中、西田のスパイクで確実にサイドアウトを切っていく。要所でセンター線のクイックを駆使して相手の守備に揺さぶりをかけた。コンビネーションが合わない場面もあったが、勝負どころで西田の左腕が火を吹いた。一進一退の展開。2点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 攻撃の手を緩めない。西田は守備でも活躍し、16−14から3連続得点。相手のミスもあり、一気に引き離しにかかった。試合の進め方にも落ち着きが出てきた。金丸を投入して、フロントを高くした。3点差に詰められたものの、福山のブロックでラリーを制しセットポイント。福山のクイックで25点目を奪ったジェイテクトSTINGSが、相手を21点に抑えてこのセットを奪い返した。

 セットカウントを振り出しに戻した。第3セットの序盤はジェイテクトSTINGSがリズムをつかんだ。西田にトスを集めた。西田、饒のブロックもあった。5−4と1点差に迫られるが、饒のクイックでサイドアウトを切ると、西田が決めてブレイク。8−5とリードを広げた。
 一時は同点に追いつかれるが、福山のブロックや西田のスパイクなどで3連続得点。さらに饒がタテのBクイック、Aクイックと多彩な攻撃を展開して16−11とリードを広げる。終始、ジェイテクトSTINGSがペースをつかんでいた。西田のサーブも機能していた。
 小林と饒のコンビネーションも機能していた。選手同士が交錯するなどもったいない失点もあったが、チームは集中力を欠かなかった。西田も気持ちよくスパイクをたたき込んだ。
 20−17から3連続得点。福山のクイック、西田のブロックが決まった。これで勝負あった。WD名古屋のクレクが放ったスパイクを小林がよく拾った。本間が上げたハイセットを西田が決めてセットポイント。最後は饒のクイックで25−19。逆転で勝利に王手をかけた。

 第4セットの立ち上がりは、西田が大暴れ。小林が託したトスを確実に決めた。パワーは衰え知らず。小林がワンハンドで上げたボールをたたき込んで、7−5とリードを奪った。
 その後も西田にトスが集まった。しかし、11−8から3連続失点。同点に追いつかれる。髙橋監督はここでタイムアウトを要求すると、さらにセッターを小林から久保山にスイッチ。落ち着きを取り戻し、フェリペ、福山とトスを散らして、得点を重ねていく。
 もしかしたら、ここが勝負の分かれ目だったかもしれない。14−14の場面、西田のスパイクがブロックタッチによって得点になったかに思われた。ここでWD名古屋がチャレンジを要求。最後に西田がボールに触ったと判定され、一旦はスコアがWD名古屋へ移った。すかさず髙橋監督もチャレンジを要求。WD名古屋にタッチネットがあり、ジェイテクトSTINGSのスコアになった。
 そして、15−15から怒涛の8連続得点。フェリペ、西田のブロックがあった。福山のサービスエースも決まった。再び西田のブロックが決まった。福山も2本目のサービスエース。23−15とし、ゲームの行方を決定づけた。西田が決めてマッチポイント。最後も西田がストレートに打ち込んで、25−18としたジェイテクトSTINGSが3ポイントを奪った。

 価値ある勝利だ。コンビネーションの乱れも、試合の中で改善していった。見応えのある一戦だった。勝利者インタビューで主将の本間は「第1セットは全員に固さがあったが、第2セットからよく立て直した。ベンチからベテランの選手が声をかけてくれたので戦いやすかった」と話した。
 明日は年内最後のV.LEAGUEだ。今日のような会心の内容で勝利を奪い、翌週からの天皇杯につなげたい。

髙橋慎治監督

タフな試合になることは予想していました。第2セット以降は選手たちが気持ちを切り替えて、自分たちのペースを作ってくれたことが大きいと思います。(WD名古屋の)クレク選手にどれだけ対応できるかも重要だし、速いコンビバレーに対応できるようにミーティングで対策を立ててきました。ただし、同じことをやって、明日も勝てるとは限りません。気持ちを切り替えて、スタートから走れるようにしたい。また、コロナ禍で大変な状況の中、たくさんのお客様に足を運んでいただき、熱い試合ができたことを嬉しく思います。この感謝の気持ちを忘れずに、明日以降も取り組んでいきます。

小林光輝

第1セットは固さがあったり、相手のサーブがよかったこともあって、崩れた場面も数多く見られました。ただ、それ以降はブレイクが取れていたので、セッターとしては非常にやりやすかったです。心がけていたのは、Aパスはもちろん、乱れたところからでもしっかりミドルを使っていくこと。個人としてではなく、チームとして取り組んできたことを発揮しようと思っていました。ミドルをしっかり使えていた場面もあったので、ここからさらに詰めていき、精度を上げていきたい。勝つことはできましたが、個人的にもチーム的にも詰められるところはもっとある。そういうところを修正して、明日の試合に臨みます。

西田有志

第1セットは取られましたが、第2セット以降を取り返せたことがよかったと思います。サーブは、スピードがあるからではなく、しっかりコースを突いていくことで効果を出すことができました。ただし、いろいろなシチュエーションで、もっと打たせるトスを上げられると思っています。例えば、ハイセットのクオリティやAパスからのコンビを上げていけば、もっと強いチームになるでしょう。明日はWD名古屋さんも違ったチームになってくると思う。今日とは違った試合展開になると思いますが、自分たちもしっかりと変わって、いい準備をして臨みたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

チームのブロックがリーグ首位。守備全体が向上している

ブロックがうまくハマっている。セット平均2.63本は、今日の試合を終えた段階でリーグ首位だ。個人でも福山、西田が2、3位につけている。この日のブロックポイントはトータルで11本。そのうち4本のブロックポイントを奪った西田が言う。「昨シーズンから変わったのは、相手を見る時間が増えたこと。さらに、その選手がどう打ってくるのかを、自分の中でデータを取っています。ブロックは駆け引きでもあるので、フェイクを入れたりすることはあるけど、まだ100パーセント引っかかったわけではない。もっと止められたボールはあったし、ワンタッチを取っていい展開に持っていける場面もたくさんありました。そこを修正して、明日はもっといいブロックにしないといけないと思います」。ブロックが機能することで、ディグをはじめ守備全体が向上している。ここからさらにコンビネーションを高め、手堅いチームを構築していきたい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS ウルフドッグス名古屋
第1セット 18 - 25
第2セット 25 - 21
第3セット 25 - 19
第4セット 25 - 18
第5セット
日付 2020年12月4日(金)
試合 2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第13戦
場所 刈谷市総合運動公園体育館
メンバー 藤中、福山、饒、フェリペ、小林、西田 L本間
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