ジェイテクトSTINGS VS 筑波大学

セット序盤は拮抗しながらも、西田の活躍などで後半に引き離す。途中出場の郡も躍動し、粘る筑波大に競り勝った

 天皇杯のファイナルラウンドが開幕。ジェイテクトSTINGSは初戦で筑波大学と対戦した。試合開始は9時45分。試合の入り方が、一つの見どころになった。

 最初の8点までは一進一退。先制点は筑波大。福山のクイックが相手のレシーブを弾き、返ってきたボールが自チームのコートにポトリと落ちた。さらに西田のスパイクはアウト。一瞬、嫌なムードが漂った。流れを変えたのがフェリペだ。落ち着いてスパイクを決めてブレイク。西田も続いて3連続得点を奪った。4−3で西田にサーブが回ってくると、ノータッチエースで追加点を獲得。1点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えたが内容は悪くなかった。
 中盤は点の取り合いが続いた。7−8から4連続得点。西田が1枚で相手のスパイクをシャットアウト。小林が相手のスパイクをつなぐと、福山が冷静に相手のコートを見て柔らかいボールを落とした。しかし、すぐに3連続失点を喫して同点に追いつかれる。1点を返したものの、そこから4連続失点。福山のクイックが止められるなど、12−15と追い込まれた。
 ここで気を吐いたのが西田だ。強烈なスパイクを相手の喉元に突き刺した。フェリペのブロックで1点差。西田が決めて15−15の同点に追いつく。さらに15−16から4連続得点。饒のクイックが機能し、フェリペのスパイクで加点。西田のサーブも火を吹いた。饒がダイレクトでたたき込み、試合のペースを一気に引き寄せた。
 その後は1点ずつを取り合う展開。ワンポイントで入った伏見もチームを勢いづけた。フェリペのブロックでセットポイント。1点差まで詰め寄られたが、最後はネット際で西田が競り勝ち、25−23で第1セットを先取した。

 第2セットの立ち上がりは筑波大のペースで進んだ。サービスエースを2度取られて2−5。西田のスパイクでサイドアウトを切ると、フェリペがサーブ、バックアタックで連続得点を奪う。すぐに5−5の同点に追いついた。饒のサーブが相手のミスを誘い、8−5で1回目のテクニカルタイムアウトを折り返した。
 その後もセッターの小林が多彩なトスワークで相手のブロックを翻弄する。小林はブロックでも加点。藤中もブロックでブレイクポイントを奪った。さらに藤中の強烈なスパイクを皮切りに、フェリペのスパイク、西田のブロックなどで5連続得点。16−8と大きくリードを広げた。
 スコアが開いてくると、気をつけなければいけないのが油断だ。しかし、この日のジェイテクトSTINGSは落ち着いていた。郡、浅野を立て続けに投入。郡が21点目を決めて渾身のガッツポーズ。この得点をきっかけに小林のサービスエースなどで4連続得点。危なげない試合運びを見せたジェイテクトSTINGSが25−17で2セットを連取した。

 一発勝負のトーナメントに、決して楽な戦いなどない。第3セットは久保山と柳澤がスタートから入った。しかし、1回目のテクニカルタイムアウトを1点のビハインドで迎えた。序盤こそ西田のスパイク、饒のブロックで先行したが、そこから3連続失点。柳澤のスパイクなどで2点を取り返したが、なかなかリズムをつかみ切れなかった。
 圧巻だったのが、西田のパフォーマンスだ。これ以上ない落ち着きを見せていた。5点目はバックアタックをストレートにたたき込んだ。プレーだけでなく、その立ち居振る舞いでチームを勢いに乗せた。藤中がうまくブロックアウトを取って7−6。そこから連続失点を喫したが、主導権はジェイテクトSTINGSが握っていた。
 西田がスパイク、ブロックを決めて11−9。13−11となったところで郡が再びコートに入る。久保山のブロックで14−12。我慢の時間が続くが、ジェイテクトSTINGSは集中力を切らさない。3点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 郡が立て続けにバックアタックを決めてサイドアウトを切った。渾身のガッツポーズでチームを盛り上げる。西田が決めて20−16となったところで筑波大がタイムアウトを要求。袴谷、小林を時間差で投入した。一時は23−22と1点差に詰められたが、タイムアウトで嫌な流れを断ち切った。
 相手のミスでマッチポイント。最後は藤中のブロックで締めくくり、ジェイテクトSTINGSが25−22で勝利を奪った。

 難しい初戦だったが、ストレートで勝てたことが何よりの収穫だ。明日の準々決勝は、ヴォレアス北海道と対戦する。タフな一戦になることは言うまでもない。決して引くことなく、チャレンジャー精神を持って臨みたい。

髙橋慎治監督

なかなか自分たちのリズムが作れない状況で多くの選手をコートに送り出しましたが、少し課題が残る試合になりました。スタッフにも反省が残る試合内容でした。試合開始が9時45分と今まで経験したことがない早さでしたが、選手たちはそこに合わせて朝早く起き、体も起こしていました。そうした準備に関しては、しっかりやってくれたと思います。明日はヴォレアス北海道さんとの対戦ですが、とにかく自分たちのプレーを出すだけ。相手に関係なく、そこに全力を注ぎたいと思います。

柳澤広平

Aパスは少なかったけど、サーブレシーブに関しては大きく崩れることがなかったと思っています。ただ、腕が振り切れていなかった。スパイクも仕事のうちなので、準備ができていなかったことが反省点として残りました。天皇杯の目標はもちろん優勝です。また、年明けからリーグ戦が再開するので、そこにつながる試合がしたいと思っています。自分の役割は、チームを円滑に回すこと。チームに不安要素があると、どうしても前に進めません。攻撃も守備もバランスよくこなし、点を取って円滑にチームを回していきたいと思います。

郡浩也

ずっとコートに立って戦いたいと思っていました。途中からの出場になりましたが、めちゃくちゃ嬉しかったです。これまで練習してきたいいスパイクも打てたので、練習の成果が出せたと思っています。特にバックアタックは僕の武器。セッターにも「トスを上げてくれ」と言っていたので、よく決まってよかったです。課題はサーブレシーブです。もっとアピールして、再開後のリーグ戦でもコートに立てるように頑張りたい。そういう意味でも、天皇杯は僕にとって、とても大切な大会。明日以降も、スパイクを決めたら全力で喜びます。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

難しい初戦も、西田がいつも通りのプレーでチームを引っ張った

いつもながらトーナメントの初戦は緊張を強いられる。しかも、今回は新型コロナウイルスの影響でリモートマッチ。いつも背中を押してくれる応援団はいない。案の定、立ち上がりは僅差の展開だった。しかし、今日のジェイテクトSTINGSは落ち着いていた。チームを引っ張ったのが西田だろう。相手にリードされても攻め急がず、いつも通りのパフォーマンスを披露した。スパイクが決まったら渾身のガッツポーズでチームを鼓舞。西田の背中を見て安心感を覚えたチームメイトも少なくないはずだ。途中から入った郡も、得意のバックアタックで積極的にアピール。久保山、柳澤もチームをうまく回していた。苦戦しながらもストレートで勝った。そうした試合運びの妙は、昨シーズンの優勝で自然と身につけたものに違いない。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 筑波大学
第1セット 25 - 23
第2セット 25 - 17
第3セット 25 - 22
第4セット
第5セット
日付 2020年12月11日(金)
試合 令和2年度 天皇杯 1回戦
場所 武蔵野の森総合スポーツプラザ
メンバー 藤中、福山、饒、フェリペ、小林、西田 L本間
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