ジェイテクトSTINGS VS ヴォレアス北海道

ミスが続いて第1セットを失セット。本間を中心に声をかけ合い、第2セット以降は本来のバレーを取り戻した

 負けたら終わりの一発勝負。この日もトーナメントの怖さを感じることになった。準々決勝の相手は、V2男子で上位争いを演じているヴォレアス北海道。かつて共に戦った古田、元日本代表の越川など錚々たるメンバーをそろえる強豪だ。立ち上がりは、そのヴォレアスがペースを握る形でスタートした。

 藤中が相手のジャンプサーブをうまく取り、フェリペが決めてジェイテクトSTINGSが先制した。ブレイクを取られたが、西田のスパイクですぐに取り戻す。しかし、ここからはヴォレアスのペースだった。フェリペのスパイクがアウトになり、西田がアタックラインを踏んで失点。饒のクイックでサイドアウトを切ったものの、4−6から4連続失点を喫した。コンビが合わず西田がミスを連発。4−10となったところで髙橋監督はタイムアウトを要求した。
 嫌な流れを切ったのも西田だった。相手コートの奥に決めて5−10。さらに藤中のブロックでブレイクポイントを奪う。西田が鋭角に決めて加点。福山もクイックを決めた。セッターの小林もようやく落ち着きを取り戻した。
 しかし、序盤に開いた点差を縮めることができない。西田のサービスエースで2点差に迫ったが、12−16で2回目のテクニカルタイムアウト。その後も3連続失点を喫するなど、なかなか安定しなかった。福山がBクイックを鮮やかに決めるが、反撃もここまで。フェリペのスパイクが止められて、第1セットを20−25で落とした。

 逆襲がはじまったのは、第2セットに入ってからだ。連続得点を重ね、序盤で9−3とリードを広げた。ブロックが機能した。フェリペが1枚でシャットアウト。相手のスパイクミスを誘うと、3枚でヴォレアスの張を止めた。ここでヴォレアスは早くもタイムアウト。しかし、フェリペは攻撃の手を緩めない。サーブで攻めると、直接返ってきたボールを饒がダイレクトでたたき込んだ。さらにドライブがかかったサーブを相手の前に落とし、追加点を奪った。
 一時は2点差まで詰め寄られ、嫌なムードが漂った。10−8となったところでベンチが動く。タイムアウトで流れを変えた。西田に負担がかかっているのは一目瞭然だった。このセットのスタートから入った久保山が巧みにトスを散らした。藤中のスパイクでサイドアウトを切った。福山がブロックでプレッシャーをかけ、相手のスパイクが立て続けにミスになった。福山のBクイックに続いて、フェリペがハイセットを決めてブレイク。16−11で2回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 後半もジェイテクトSTINGSが粘り強く戦った。フェリペ、饒が確実に決めた。西田が1枚でブロック。福山のスピードのあるクイックでセットポイント。25−16でこのセットを奪い、セットカウントを1−1のタイに戻した。

 第3セットもジェイテクトSTINGSが走った。西田の強打で先制。さらに西田、饒、フェリペが連続でブロックを決めるなど、圧巻のスタートとなった。相手のミスもあり、5点を先行した。その後も西田のサービスエースなどでリードを守り、8−2で1回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 要所で藤中が決めた。西田も勢いに乗ってきた。リベロの本間を軸に、安定した守備も見せた。ブロックとレシーブの関係も機能し、中盤まではジェイテクトSTINGSのペースで試合が進んでいた。
 ここから百戦錬磨の選手をそろえるヴォレアスが粘りを見せる。一時は16−15と1点差まで詰められた。しかし、チームに焦りはない。藤中がサーブで崩し、ネット際に上がったボールを西田がたたき込んだ。19−16。大きな1点だった。
 1点を返されたが、西田がつないだボールをフェリペが決めてブレイク。サーブレシーブが安定し、饒がクイックを決めて23点目。藤中が強烈なスパイクをクロスにたたき込み、25−22でこのセットを奪った。

 第4セットの立ち上がりは、フェリペ、饒の2人で得点を重ねていった。難しいトスをフェリペがうまく決めた。藤中のサーブレシーブも安定していた。饒のサービスエースで6−5。西田が立て続けに決めて8−6で1回目のテクニカルタイムアウトを迎える。その後は1点ずつ取り合う展開となったが、本間のファインプレーで西田の得点につなげるなど、ジェイテクトSTINGSが攻守ともに安定した。
 西田はプレーだけでなく、声でもチームを盛り上げた。無観客のアリーナに、選手の声が響きわたる。13−10からフェリペのスパイク、饒のブロックなどで4連続得点。藤中のブロックも決まった。
 その後もブロックでペースをつかんだ。福山のブロックで19−11。西田も高い打点からスパイクをたたき込んだ。饒のブロックでマッチポイント。最後はフェリペがネット際で押し込んでフィニッシュ。25−14とこのセットを圧倒し、ジェイテクトSTINGSが逆転勝ちした。

 立ち上がりこそ苦戦したが、終わってみれば3−1。第2セット以降は久保山がトスを散らし、落ち着いた試合運びを見せた。
「昨日、今日以上にしっかり準備をして、自分たちのバレーをやれば僕たちは負けない。今からの過ごし方がとても大切になってくると思います」
 JTとの準決勝に向けてこう話した本間。ここから一気にギアを上げて、ファイナル進出を勝ち取りたい。

髙橋慎治監督

いつものリーグ戦なら自分たちのバレーを意識して試合に入るのですが、今日は立ち上がりから攻め切れていない部分がありました。少し受け身になっていたのかもしれません。小林選手のプレーが悪かったわけではなく、流れを変えたくて第2セットから久保山選手を投入しました。久保山選手は落ち着いてプレーし、チームにリズムをもたらしてくれたと思います。徐々に自分たちのバレーが展開できるようになりました。天皇杯は負けたら終わりです。勝たないと次はない。明日も攻める気持ちを忘れずに戦います。

本間隆太

西田中心の攻撃になるのは仕方ないのですが、彼にストレスなく打たせてあげる工夫が必要でした。他のスパイカーもコンビネーションが合っていないところがあったので、改善しなければいけません。僕としては、いいパスを返すことだったり、決まったときも決まらなかったときもしっかりとチームの中で声がけをすること。いつもやっていることだけど、そう考えると、今日は試合を通してかなり疲れました(笑)。リーグ戦につなげるためにも、この大会を通してコンビネーションの精度を上げていきたいと思います。

藤中優斗

第1セットはサーブが弱く、ラリー中もバタバタして、一つのボールに全員が入るなど声がけができていませんでした。第2セットからは本間選手、西田選手を中心に攻撃が機能し、そこでサイドアウトが取れたのでよかったと思います。個人的には、ジェイテクトSTINGSに入って初めての天皇杯になるので、しっかりと覚悟を持って臨みたい。守備で心がけているのは、一番にコミュニケーション。攻撃に関しては、(相手のブロックが)1枚で打たせてもらうケースが多いので、確実に決められるように突き詰めていきたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

苦戦したサーブレシーブも試合の中で修正。守備に自信を持ち、多彩な攻撃につなげたい

ヴォレアスがサーブで揺さぶりをかけてきた。想定していたはずだが、間に落とされるなど、立ち上がりは少し苦戦した。セッターにパスが返らず、トスが西田に偏る場面もあった。「相手は『サーブで攻めないと勝てない』というくらい、全員がジャンプサーブを打ってきた。試合の中で修正できたけど、もう少し耐えられる部分もあったと思います」と本間。しかし、第1セットの不安は、杞憂に終わった。これがV1を勝ち上がってきた自信か。第2セット以降は大きく崩れることがなく、藤中も「相手がいいサーブを打ってきたのでプレッシャーはありましたが、声をかけ合うことで修正できました」と手応えを語っている。安定した守備は、多彩な攻撃につながる。日本一まであと2つ、全力で駆け上がりたい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS ヴォレアス北海道
第1セット 20 - 25
第2セット 25 - 16
第3セット 25 - 22
第4セット 25 - 14
第5セット
日付 2020年12月12日(土)
試合 令和2年度 天皇杯 準々決勝
場所 武蔵野の森総合スポーツプラザ
メンバー 藤中、福山、饒、フェリペ、小林、西田 L本間
Photo