ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ

立ち上がりは上々。西田、フェリペの活躍などで得点を重ねる。スコア以上に内容は僅差だった

 2021年最初のゲームは、2020年の最後に行われた天皇杯の決勝と同一カードになった。緊急事態宣言の発令によって、1週間遅れで再開したV1男子。ジェイテクトSTINGSは敵地、パナソニックアリーナに乗り込んだ。

 入り方は悪くなかった。フェリペのスパイクで先制。西田も最初のサーブでエースを取った。藤中もブロック、スパイクで加点。福山がクイックでサイドアウトを切り、西田が決めてブレイクポイントを奪った。2点のリードで1回目のテクニカルタイムアウト。パナソニックパンサーズのサーブに苦しめられる場面はあったが、ゲームの主導権はジェイテクトSTINGSが握っていた。主将の本間も「僕らのバレーができた」と振り返っている。
 明暗を分けたのは、勝負どころの決定力だ。精度の高いバレーを展開するパナソニックに対して、ジェイテクトSTINGSには細かいミスも出た。西田が2本目のサービスエースを奪うが、ゲームの流れがつかめない。中盤の連続失点で逆転を許すと、西田のスパイクが止められて16−19。ここで高橋監督は2回目のタイムアウトを要求した。
 西田がフェイント、プッシュを駆使して得点を重ねた。藤中も積極的にトスを呼ぶ。セッターの久保山は要所でセンター線を使い、饒のクイックなどで粘りを見せた。最後は金丸を投入してネット際に高さを生み出したが、ペースを取り戻せず22−25で失セットを喫した。

 第2セットもパナソニックに先行を許した。2−5で早くも1回目のタイムアウト。チームを救ったのは饒だ。2本連続でブロックを決めると、藤中も続き、4連続得点で7−6と逆転に成功した。
 我慢の時間が続く。要所で福山がクイックを決めた。大事な場面では西田にトスが集まった。フェリペが決めてラリーを制すと、西田のサービスエースで3連続得点。饒がクイックを決めて、2点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 ベンチも動いた。フェリペがバックに下がったところで、浅野を投入。フロアディフェンスを強化し、地上戦で優位に立った。しかし、得点を奪えず4連続失点。16−18となったところで2回目のタイムアウトを要求した。
 ジェイテクトSTINGSは諦めない。18−20の場面では、福山がブロックでうまくタッチを取り、それを西田が決めた。1点のビハインドをキープ。西田が連続で決めて22−22の同点に追いついた。最後は23−25でこのセットを失ったが、終盤の粘りは第3セットの逆襲につながった。

 反撃の口火を切ったのは、やはり西田だ。第3セットの先制点を決めた。饒のクイックに藤中が続いてブレイク。フェリペのバックアタックでサイドアウトを切るなど、セッターの久保山が巧みにトスを散らして攻撃に変化を加えた。福山、フェリペが決めて8−6。リベロの本間を軸に、サーブレシーブも安定感を取り戻した。
 西田が尻上がりに調子を上げていく。13−11から一人で4連続得点。空中で反転して背中越しに決めるなど、豪快なスパイクだけでなくテクニックの高さも見せた。サーブレシーブの乱れから連続失点を喫したが、タイムアウトで嫌な流れを断ち切った。西田のスパイクが止められても、下を向く者は一人もいない。西田がフェイントでサイドアウトを取り返した。
 チャレンジの使い方も効果的だった。21点目、22点目と2度スコアが覆った。リリーフサーバーの袴谷を投入。ブレイクポイントは奪えなかったが、相手のサーブミスでセットポイント。最後は福山が決めて25−22。このセットを取り返した。

 しかし、第4セットは終始、苦しい展開に。フェリペが攻守にわたって意地を見せるが、4−3から4連続失点。饒がブロックで止められ、西田のスパイクもアウトになった。さらに1回目のテクニカルタイムアウトを挟んで3連続失点。藤中のスパイクが止められるなど、5−10となったところで早くも2回目のタイムアウトを消化した。
 8−12でミドルブロッカーを饒から金丸にスイッチ。久保山が身を挺してつないだボールを西田が決めてチームの熱量は一気に上昇した。しかし、大事なところで得点が奪えない。終盤はミスが続いた。西田のスパイクも止められて万事休す。17−25で敗れた。

 アリーナ全体で作り出すパナソニックのムードに押された。実力に大きな差はない。第4セットを除けば、全てが僅差だった。
「内容はそこまで悪くなかった。相手にずっと攻撃されるのではなく、自分たちの持ち味であるサーブから攻めていけば、もっといい試合ができるし、もちろん勝つチャンスもある。明日に向けて修正していきたいと思います」
 試合後の会見でこう語った本間。連敗して帰るわけにはいかない。絶対に。

髙橋慎治監督

年末はギリギリまで試合が続いていたので、3日くらい使ってコンディションを整えました。その後は個々のプレーの精度を上げ、本来であれば次の週にはリーグが再開される予定だったので、そこに向けてチーム練習をしてきました。新年の1試合目ということで、勝ちたい試合でした。いいプレーもたくさんありましたが、細かいところでパナソニックさんが精度の高いバレーをしてきた印象です。点が取りたいときに取らせてくれなかったり、相手は大事なところで取り切っていたところが勝敗につながりました。そのあたりをしっかりと詰めて、明日は気持ちを切り替えて勝ちにいきます。

本間隆太

天皇杯の決勝以来で久しぶりの試合になりました。パナソニックさんのホームゲームということもあって、受け身のバレーになってしまった印象です。よかった点としては、クビアク選手や大竹選手、清水選手のジャンプサーブを最低限に抑えられたこと。また、パナソニックさんはいろいろなところをサーブターゲットにしている傾向があって、試合がはじまるまでどこを狙ってくるのかわからないところがあります。ただし、今日は「このポジションではショートサーブ」「このポジションではフェリペと藤中の間」など徹底して打ってきました。コミュニケーションを取って守備範囲の確認をすることで、第3セット以降は修正できたと思います。

西田有志

いいバレーができたし、いいところもたくさんありました。ただ、あと2点の踏ん張りや詰めの甘さが出た試合だったと思います。今日はパナソニックさんのホームで戦っているという感覚で、自分たちの方に少し狂いが出たように思います。フロアディフェンスで優位に立てたら勝てる試合だったと思うし、もっとデータを見てポジショニングやブロックの位置などを調整していかなければいけません。それでも、今日はサーブをしっかりと打ち切れたし、相手にAパスを返させないようにすることはできた。細かいところを調整して、明日の試合につなげていきたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

僅差の敗戦も、目の前の課題が見えていれば大崩れすることはない

「内容は悪くなかったけど、負けた」。どの競技でも同じだが、そういう試合ほど気をつけなければいけない。目の前の課題が見えなくなり、ずるずると負けを引きずるケースが多いからだ。しかし、今のジェイテクトSTINGSにそれは当てはまらない。「自分の状態が悪くても、フェイントやプッシュで点が取れていることは自信につながっています。確かにミスもあったけど、打つだけじゃないというところを見せられた」。こう振り返ったのは西田だ。チームとしての課題もはっきりしている。今日の立ち上がりは、パナソニックのサーブに揺さぶられた。「フローターサーブを打つ選手が、ショートサーブをうまく使って厳しいところを狙ってきた。チームとして、試合の中で対応しなければいけなかった」と本間。明日の試合、相手は戦い方を変えてくるかもしれないが、慌てる必要はない。目の前の課題を落ち着いてクリアしていけば、必ず勝機が見えてくるはずだ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ
第1セット 22 - 25
第2セット 23 - 25
第3セット 25 - 22
第4セット 17 - 25
第5セット
日付 2021年1月16日(土)
試合 2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第15戦
場所 パナソニックアリーナ
メンバー 藤中、福山、饒、フェリペ、西田、久保山 L本間
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