ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ

1セットビハインドから、フェリペの活躍などで逆転に成功。饒も調子を取り戻し、パナソニックを最後まで追い詰めた

 前日は1−3で敗れ、仕切り直しの一戦となった。パナソニックパンサーズとのレギュラーラウンド第4戦。同じ相手からこれ以上負けるわけにはいかない。威信をかけた戦いは、フルセットにもつれ込む大熱戦となった。

 藤中のサーブでゲームがスタート。タフな戦いを予感させる白熱した立ち上がりとなった。セッターの久保山は西田にトスを集めて得点を稼いでいく。フェリペのスパイクはアウトになったが、西田がバックアタックで加点。さらに饒がブロックで相手のスパイクをシャットアウトして点差を縮めた。受け身に回ることなく、攻める姿勢を貫いた成果が現れた。
 中盤は一進一退。フェリペが高い打点からスパイクをたたき込み、福山のクイックで粘り強くサイドアウトを切っていく。守備ではリベロの本間が抜群の反応で味方の攻撃をカバー。饒もクイックを決めて、逃げるパナソニックを追いかける。しかし、西田がブロックされたボールに対して誰もカバーに入れず失点。12−17となったところで髙橋監督は1回目のタイムアウトを要求した。
 勢いを取り戻し、ここから3連続得点を奪った。饒のブロックで得点を重ねると、藤中のサービスエースで点差を縮めた。特に前日の試合で悔しい思いをした饒が奮起。リリーフサーバーの袴谷を送り込むと、ブレイクポイントを奪って1点差まで詰め寄った。
 さらに19−20になったところでミドルブロッカーの金丸を投入。本間のハイセットを西田が決めて、ついに20−20の同点に追いつく。
 浅野をコートに送り込んで守備を固めた。パナソニックのブレイクポイントで20−22。すかさずタイムアウトを取るが、悪い流れを断ち切れない。20−23。饒のクイックなどで粘りを見せるが、最後は西田のスパイクがネットにかかり、23−25でこのセットを落とした。

 ジェイテクトSTINGSの逆襲は、第2セットからはじまった。序盤は6−8と追いかける展開。西田、フェリペのサーブが1本で切られるなど、得意の形に持ち込めない。逆に守備から攻撃の切り替えが速いパナソニックにペースを握られる。それでも、饒のブロックで5−5の同点に。2点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 さらに西田が空中でバランスを崩して転倒。ヒヤッとする場面だったが、大事には至らずすぐにプレーは再開された。
 ここで気を吐いたのがフェリペだ。立て続けにスパイクを決めて、8−10から4連続得点。福山もブロックを決め、一気にゲームのイニシアチブを握る。さらに復活した西田も連続でスパイクを決めて15−12。藤中も積極的にトスを呼び、要所でキレのあるスパイクを決めた。
 16−15の場面では、一度、プレーがノーカウントに。しかし、選手たちは集中力を切らさない。西田がフェイント、強打を織り交ぜて得点を重ねていく。18−15となったところでパナソニックが2回目のタイムアウト。ここからジェイテクトSTINGSがラッシュをかける。
 フェリペがパナソニックの大竹をシャットアウト。西田がインナーに決めてサイドアウトを切ると、福山のブロックで点差を5点に広げた。1点を返されたが、フェリペのスパイクで23点目。あとは西田がサーブで魅せた。ストレート側を狙って相手のサーブレシーブ を崩し、久保山のダイレクトスパイクをお膳立て。最後は本間のハイセットをストレートにたたき込み、25−18でこのセットを取り返した。

 第3セットもパナソニックに先行を許した。藤中のサーブでスタート。饒がネット際で強さを発揮して先制点を奪う。フェリペのスパイクはアウトと判定されたが、チャレンジが成功してスコアが覆った。西田のサービスエースも決まった。フェリペがバックに下がれば、藤中がスパイクをたたき込む。6−8で1回目のテクニカルタイムアウト。しかし、内容は紙一重だった。
 中盤に入って、一気にギアを上げた。藤中がレフトから決めると、相手のスパイクがアウトになって9−9の同点。さらに西田が決めて10−9と逆転に成功した。なおも攻めるジェイテクトSTINGSは、フェリペの巧打をきっかけに4連続得点。西田、フェリペが立て続けにブロックを決めると、フロントからプレッシャーをかけて相手のミスを誘う。
 ここからは一進一退。フェリペ、藤中が確実に決めてリードをキープ。ブロックも機能し、パナソニックの久原のスパイクを饒がシャットアウト。セッターの久保山は勝負どころでセンター線のクイックを駆使して確実にサイドアウトを切っていく。2点差にされたところで、髙橋監督はタイムアウトを要求。これでチームは落ち着きを取り戻した。
 フェリペが勝負強さを発揮して23点目を奪った。藤中がうまくブロックアウトを取ってセットポイント。クビアクにサービスエースを決められるが、受け身にはならなかった。最後はクビアクのサーブがネット。ジェイテクトSTINGSが25−23でこのセットを制した。

 第4セットは、3人を入れ替えてきたパナソニックに押し込まれた。サーブレシーブを崩され、0−3で早くも1回目のタイムアウト。セッターの久保山が巧みにトスを散らし、それにアタッカー陣が応える。ミドルブロッカーも積極的に使い、要所でブロックも機能した。決して悪い内容ではなかった。しかし、序盤に開いた点差を最後まで覆せず、21−25で落とした。
 第5セットは立ち上がりが全てだった。1−1から5連続失点。フェリペが徹底してサーブで狙われた。西田のスパイクも、ブロックで止められた。スキル云々ではない。パナソニックの気迫と勢いに圧された。
 浅野を投入して守備を固める。金丸をワンポイントで送り出したが、1本で切られた。西田が連続で決めて、このセット初めてブレイクポイントを奪う。8−12でリリーフサーバーの袴谷が入ると、福山のブロックで再びブレイク。相手のスパイクがアウトになり、10−12と点差を縮めた。
 ここでパナソニックがタイムアウト。重要な局面だったが、袴谷のサーブはアウトになった。フェリペが決めて再び2点差。西田にサーブが回ってきた。自ずと期待が高まる。しかし、ボールはアウト。最後も西田のスパイクがラインを割り、11−15で敗れた。

 悔しい敗戦だ。しかし、選手は皆、前を向いている。藤中が言う。
「昨日の試合も、チーム全体としては悪くなかった。ただ、二段トスなど、細かいミスが多かったので、そういうところを修正して今日の試合に臨みました。昨日よりはいい内容だったと思うけど、もっと詰めて来週の試合を迎えたいと思います」
 順位は4位のままだが、3位のサントリーとの差は広がった。来週のWD名古屋との一戦は、V・ファイナルステージに進むための一つの試金石になりそうだ。

髙橋慎治監督

悔しい気持ちでいっぱいです。昨日に引き続き、タフな試合になることは想定していました。どちらが勝ってもおかしくない展開でしたが、結果的に負けてしまったのは、今のジェイテクトSTINGSの実力です。パナソニックさんは、大事な場面やフルセットになったときの取り方がしっかりしています。特に清水選手や白澤選手、渡辺選手など途中から入ってきた選手をなかなか抑え切れませんでした。対応できなかったところは、私の反省点でもあります。今回は負けてしまいましたが、これを糧にして次のゲームにしっかりと向かっていきたいと思います。

福山汰一

ブロックのタッチの本数や決定本数は昨日とは違ったと思います。ブロックの間を抜かれるケースも多かったけど、今日は修正できました。昨日よりも、相手のレセプションアタックにはついていけたと思います。昨日は饒がサーブレシーブで狙われ、自分で打ちにいったときに決まらないケースが多かった。そこは。ミドルブロッカー全体としても修正できました。来週のWD名古屋戦は、1日目から全員がエンジンをかけていけるようにしたいと思います。天皇杯の方が全員のパフォーマンスが圧倒的によかったので、そこに近づいてさらに上に行けるように日々の練習を頑張ります。

藤中優斗

セッターの久保山さんがいい形でトスをあげてくれるので、今までより打数が多くなっていることは自覚しています。ただし、まだまだ合格点には至らないので、もっと攻撃でも貢献しなければいけません。しっかりスパイクがたたけているという点では、自分の攻撃も決まることがわかりました。もっとトスを呼んで、他の選手の負担を減らしたい。サーブレシーブに関しては、今回、パナソニックさんがすごく効果的なサーブを打ってきました。本間さんとしっかり守備範囲を確認して、もっと確実に取っていきたいと思います。来週も試合は続くので、しっかりと切り替えて臨みます。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

饒の活躍などポジティブな要素も多かった一戦。今日の借りは、次の試合で返す

敗れはしたが、前日の戦いと比較すればポジティブな要素が多かった。その一つが、饒の活躍だ。前日はパナソニックにショートサーブで揺さぶられ、ボールを取りにいった饒がそのままクイックに入り、相手に止められるシーンが目立った。しかし、今日も積極的に入り、12本中8本のスパイクを決めている。ブロックポイントも3本。頼もしい饒が戻ってきたと言っていい。髙橋監督も210センチのミドルブロッカーを称えた。「よく切り替えて、あれだけのプレーをやってくれました。昨日の試合後は、饒も自分のプレーに歯がゆい思いをしていたようでした。今日は試合前からモチベーションが高く、その中でいいプレーを見せてくれた。やはりすごい選手だなと思いました」。敗戦は悔しいが、勝ち上がればパナソニックと対戦するチャンスは残されている。今日の借りは、そのときに返せばいい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS パナソニックパンサーズ
第1セット 23 - 25
第2セット 25 - 18
第3セット 25 - 23
第4セット 21 - 25
第5セット 11 - 15
日付 2021年1月17日(日)
試合 2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第16戦
場所 パナソニックアリーナ
メンバー 藤中、福山、饒、フェリペ、西田、久保山 L本間
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