ジェイテクトSTINGS VS ウルフドッグス名古屋

第2セットの途中から入った郡が躍動。しかし、セット前半の連続失点が響き、完敗を喫する

 この試合の大切さは、誰もが知っていたはずだ。油断があったわけではない。天皇杯で優勝したことによる慢心もなかった。年明けの東京大会が中止になったことは、心身のコンディションを整える上で多少なりとも影響があっただろう。
 だが、条件はどのチームも同じ。残念ながら、今週のジェイテクトSTINGSは、全員の気持ちが一つになっていなかった。

 第1セット、最初の8点を先に取ったのはジェイテクトSTINGSだった。福山のクイック、饒のダイレクトスパイク、さらに西田が決めて序盤で3連続得点。フェリペのスパイクはアウトになったが、饒が決めて嫌な流れを断ち切った。相手のミスが続いて逆転に成功。西田が強烈なバックアタックを決めて、1点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 しかし、ここから流れはウルフドッグス名古屋へ傾く。9−8から5連続失点。フェリペがサーブで狙われた。リベロの本間が抜群の反応でボールをつなぐが、なかなかラリーが奪えない。西田のスパイクも立て続けにブロックでワンタッチを取られた。
 フェリペが気迫のスパイクで取り返すが、得点は散発。セッター久保山はセンター線のクイックを選択して、饒、福山が得点を重ねる。しかし、西田のスパイクが止められると、そこから3連続失点。互いに1点ずつ取り合い、ジェイテクトSTINGSは18−23で金丸を投入。流れを変えることができず、18−25でこのセットを失った。

 同じ布陣で臨んだ第2セット。フェリペのスパイクなどで2点を先行した。西田もブロック、スパイクで得点を重ねる。しかし、またも前半で5連続失点。饒のクイックがコミットで止められ、西田のスパイクもレシーブで拾われた。藤中のスパイクは立て続けにアウト。6−10とビハインドが広がった。
 ベンチが動いた。7−10になったところで藤中に代えて郡を投入。その郡が持ち前の明るさでチームを鼓舞、一時は点差を2点に縮めた。サイドアウトの応酬が続いた。久保山は郡だけでなく、フェリペのスパイクや福山のクイックを駆使。サービスエースを決められて点差が再び4点に広がったが、チームは諦めない。
 終盤は西田が本来の高さを取り戻す。19−23から2連続得点。ここでWD名古屋が初めてタイムアウトを取った。金丸を投入。福山のクイックで相手のセットポイントを一度はしのいだ。しかし、取ったかに思われた23点目は、WD名古屋のチャレンジによってノーカウントに。22−25でこのセットを落とした。

 第3セットは、WD名古屋の一方的な展開になった。立ち上がりこそ、福山、西田の得点でサイドアウトを切るが、一気に6点を失う。饒のスパイクはアウト。決まったと思った郡のブロックアウトも、ビデオ判定によって相手の得点になった。
 5−10で髙橋監督はタイムアウトを要求。ここで饒に代わって金丸がコートに入る。攻撃の活性化が求められた。西田の強烈なスパイクがWD名古屋のクレクを弾いた。しかし、ペースは依然としてWD名古屋。郡、福山が決めるが連続得点につながらない。8−14で早くも2回目のタイムアウトを消化した。痛恨のお見合い、サーブレシーブのミスもあって、9−14から3連続失点を喫した。
 これで大勢が決まった。郡のブロック、フェリペのバックアタックなどでサイドアウトを切った。しかし、13−20から5連続失点。開いた点差を取り返す力は、もはや残されていなかった。

 スコア以上の完敗だ。完膚なきまでにたたきのめされた。
「この苦しい時間をチーム全員で乗り越えて、チームとして一つでも二つでもステップアップしていきたい」
 試合後の会見で髙橋監督は言った。そう。チームはトップリーグに昇格する前から、何度も艱難辛苦を味わってきた。だからこそ、勝つことの難しさも、そこから這い上がることの喜びも知っている。
 今のチームは天皇杯を制した強いジェイテクトSTINGSではない。チャレンジャーとして再出発を切ることが何よりも重要だ。

髙橋慎治監督

昨日に引き続いて相手のエースを押さえられず、悔しい敗戦になりました。どのプレーも相手の方が勝っていて、力のなさを感じました。途中、藤中選手のスパイクが決まっていなかったので、そこを補ってもらうために攻撃力のある郡選手を投入しました。また、ミドルブロッカーがバタバタしている場面があったので、そこを落ち着かせてもらおうと金丸選手を送り出しました。苦しい状況ではありますが、来週になれば次の試合は必ず訪れます。まずは来週の大分三好戦に向けて集中し、100%の力が出せるように準備していきたいと思います。

本間隆太

今が一番しんどいというのが素直な心境です。年明けから上位2チームとの対戦が続いたので仕方がないのですが、特に今日は一番よくない負け方でした。僕の思い込みかもしれませんが、「これがダメだから、これもダメ」というところが個々に少しずつ感じます。バレーボールはチームスポーツなので、負けるときはチームとして負ける。誰かのせいで負けるということはありません。そこはキャプテンとして、修正しなければいけないところだと思います。昨シーズンも苦しい時期はあったけど、連敗することはありませんでした。悪いときも「このままじゃダメだ」という思いがチームの中にあり、そこで立て直せたのが去年の強さです。まずはしっかり準備することが大事で、来週の大分三好戦は天皇杯の決勝くらいのモチベーションを持って戦い抜きます。

久保山尚

この2日間、攻撃面ではいい部分もありました。ミーティングでも言われたのですが、ABパスからのアタック決定率があまりよくなくて、逆に崩された状態からの決定率は高かった。自分自身も、ABパスになったときはスパイカーに気持ちよく決めさせなければいけないという思いがあります。ただ、データを取られているので、今日は昨日と違う組み立てをしていこうと思っていましたが、それがうまくハマっているところがあれば、逆に連続失点によって単調になってしまうところがありました。そういうときこそ、しっかり攻め切れるようにならなければいけません。リーグ戦は続くので、相手がどこであれ、しっかりと自分たちのバレーをすることが大事です。1勝することで流れも変わると思うので、コンディションをしっかり調整して次の試合に臨みたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

8点前後に連続失点。どのセットも前半の戦い方に課題を残す

前日の試合は、全てのセットで先に8点を奪われた。今日の試合は、全てのセットで8点の前後に連続失点を喫している。意識しすぎているのか、セットの前半で流れをつかめない。本間が言う。「昨日のミーティングでも、8点、16点、21点を先に取っているセットは、8割を越える確率で勝っているというデータをもらっていました。確かに意識しすぎたのかもしれませんが、チームとしては絶対にわかっていること。特にそこでつまらない点の取られ方をしている印象があります。相手がよくて点を取られているというよりは、こっちが崩れる場面が今日は特に多かった。そこは改善しなければいけません」。優勝した昨年のチームは、立ち上がりからアグレッシブに攻めていた。たとえ相手に先行を許しても、終盤で逆転する安定感があった。もちろん、昨年と全く同じバレーはできないかもしれない。しかし、リーグ戦は半分が過ぎたばかりだ。立て直す時間は、十分にある。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS ウルフドッグス名古屋
第1セット 18 - 25
第2セット 22 - 25
第3セット 13 - 25
第4セット
第5セット
日付 2021年1月23日(土)
試合 2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第18戦
場所 豊田合成記念体育館
メンバー 藤中、福山、饒、フェリペ、西田、久保山 L本間
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