ジェイテクトSTINGS VS 大分三好ヴァイセアドラー

フェリペが覚醒、76.0パーセントのアタック決定率をたたき出す。センター線のクイックが機能し、サーブレシーブも安定。会心の勝利を奪う

 待ちに待った瞬間が訪れた。2021年の初白星だ。第3セットの25点目が入ると、全員の笑顔が一斉に弾けた。ここまで4連敗と苦しい試合が続いたが、ようやくトンネルの先に光が見えた。

 会心の入り方だった。西田が21歳になって最初のスパイクを決めた。フェリペがブロックで相手のスパイクをストップ。さらに西田がネット際で押し込んで、3連続得点を奪った。その後もペースをつかんだ。相手の攻撃をブロックとレシーブでつないだ。饒のクイックでサイドアウトを切ると、セッターの久保山がブロック。西田のサービスエースで6−2と引き離した。
 サービスエースを決められる場面はあったが、藤中のスパイクですぐに嫌な流れを断ち切った。8−5。中盤は西田、フェリペ、藤中のサイドにトスを集めて得点を重ねていく。リベロの本間は精度の高いハイセットで、藤中の得点をお膳立て。3連続得点を奪い、5点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 セッターの久保山がアタッカーに気持ちよくスパイクを打たせていた。高いトスを藤中がストレートに決める。勝負どころで、リリーフサーバーの袴谷を投入。ここは1本で返されたが、フェリペのバックアタックで18点目を奪った。フェリペのサーブレシーブも安定していた。
 嫌な点差だった。サービスエースを決められて、18−16になったところでタイムアウトを要求する。さらに2点を追加されて同点に。しかし、下を向く者は、今のジェイテクトSTINGSにはいない。
 フェリペのブロックでブレイクポイント。再び同点に追いつかれるが、タイムアウトで流れを引き戻した。サイドアウトの応酬から、饒が決めてセットポイント。最後は相手のスパイクが失敗となり、ジェイテクトSTINGSが25−23で第1セットを先取した。

 第2セットも、8−5で1回目のテクニカルタイムアウトをリード。1−2から4連続得点。藤中がうまくブロックアウトを取り、フェリペがノータッチエースを決めるなど、完全に主導権を握った。西田もバックアタックを決め、勝負どころで存在感を発揮した。
 中盤はフェリペが大爆発だ。高い打点から次々と強打をたたき込み、大分三好ヴァイセアドラーのブロックに脅威を与えた。10−7の場面では、レフトから強打を放ち長いラリーに決着をつけている。饒のダイレクトスパイクが決まり、大分三好のタイムアウトを挟んで4連続得点。攻守が噛み合い、完全にリズムをつかんだ。
 この日の主役を一人だけ決めるとすれば、間違いなくフェリペだろう。この日の決定率は実に76.0パーセント。強烈なスパイクだけでなく、狙いを定めたサーブも機能した。確実にバックアタックの助走に入り、相手のブロックを翻弄した。
 福山のBクイックなどでサイドアウトを切っていく。リベロの本間も、スパイクレシーブで驚異の反応を見せた。フェリペが1枚になったブロックをことごとく抜いていく。最後もフェリペのサービスエースで決着。ジェイテクトSTINGSが25−16で2セットを連取した。

 第3セットもフェリペのスパイクで幕を開けた。西田がサーブで攻め、饒のダイレクトスパイクでブレイク。西田のサービスエースで4−1とリードを広げた。セッターの久保山がツーで返してサイドアウトを切る。福山も難しいトスを決めて得点。2点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 リードが心の余裕を生み出したか。西田が立て続けに決めて、リードをキープ。強烈なスパイクをたたき込むと、続くサーブでエースを奪った。ここからはフェリペがトップフォームを取り戻す。強烈なバックアタックで加点。フェリペのスパイクで16点目を奪い、4点のリードを広げた。
 ジェイテクトSTINGSが完全に流れを掌握した。フェリペが相手コートの空いたスペースにボールをポトリと落とす。19−13。ここで大分三好は2回目のタイムアウト。さらにフェリペのブロックで20点目に乗せた。
 あとは落ち着いて試合を進めていくだけだった。饒が立て続けにサイドアウトを切った。伏見を送り込んで、ネット際に高さが増した。リリーフサーバーの袴谷が入ると、藤中が決めてマッチポイントを奪った。金丸がコートに入り、相手のスパイクがアウトになってゲームセット。ジェイテクトSTINGSが25−17で勝利をつかんだ。

 久しぶりの勝利に選手の顔も明るかった。しかし、リーグはまだ半分を折り返したばかり。本間は「明日はまた違う展開になると思うので、明日は明日で自分たちのバレーをしっかりやりたい」とすぐに気を引き締めた。今日の勝利をきっかけに、ここからさらに勢いを加速していきたい。

髙橋慎治監督

年が明けてから連敗が続いておりメンタル的にも苦しい状況でしたが、今日はチーム全員が強い気持ちを持ってスタートから臨んでくれました。第1セットは大分三好さんの攻撃力に苦しんでギリギリの展開になりましたが、そこを我慢して取り切ってからは、自分たちのペースで試合を進めることができました。フェリペ選手は練習から常に高いパフォーマンスを発揮しており、それが今日の活躍につながったと思います。一人ひとりが普段から試合を想定した練習に取り組んでいて、今日も強い気持ちが全面に出ていました。このいいリズムを忘れずに、しっかり準備していきたい。明日もスタートから行けるように頑張ります。

本間隆太

今日の一戦にかける思いがチームとして強く、何としても2021年の初勝利をあげようという気持ちでした。練習もいつも以上に緊張感を持って取り組んでおり、いい形で試合が進められたと思います。サーブレシーブに関しては、フェリペ選手と藤中選手と僕で、ビデオを見直しながら、間に落ちるボールや連携の修正について確認してきました。その意味でも、今日はスムーズにできたと思います。バレーボールは雰囲気を作らないと勝てません。特に先週は雰囲気が絶望的に悪かったと反省しているので、この1週間、僕と西田が中心になって練習からいい声がけができたと思います。ただし、雰囲気がいいだけでも勝てません。プレーのクオリティも求めながら、しっかり戦っていきたいと思います。

西田有志

今年初めての勝利ということで、僕たちはここから這い上がっていくだけです。今年はリーグのシステムもこれまでと違っているので、何もかもうまくいくわけではありません。そういうことを心得ながら、試合に臨んでいくことが大切になると思っています。確かに4連敗は久しぶりでしたが、僕たちにとっては必要な負けだったかもしれません。ここから積み重ねていくことが大事で、そういう意味では練習のクオリティも見直せたと思います。コンビの精度など、一つひとつ確認する時間を取ることができました。今日の試合に勝てたことはよかったし、リーグの後半戦に向けて、ここから全ての試合に勝つ気持ちで練習から取り組んでいきます。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

溢れていたコート内での笑顔。雰囲気づくりが今後の勝利の鍵を握る

勝因は数多くある。一つはフェリペの復調だ。76.0パーセントの決定率は脅威と言えるだろう。リベロの本間を軸にサーブレシーブも安定していた。饒がクイックで80.0パーセントの決定率をたたき出しているのも好材料だ。中でも、チームの雰囲気がよかったことが、一番の勝因だと思っている。リードしていることもあってか、コートの中で笑顔が溢れていた。プレーの一つひとつに余裕が生まれ、落ち着いて試合を進めていた印象だ。西田の言葉が核心を突いている。「僕たちがホームゲームのときに聞いている音響が、アウェイになると一切聞こえません。だけど、それがアウェイでしか感じられないこと。今シーズンは、1点が決まってもアクションがなく、ファンの皆さんも声が出せない中、シーンとしたまま次のプレーに入ることが多かった。1点の重みは、喜んだりして自分たちで作るしかありません。これから大事にしたいのは、そういうところ。そこを大切にしていけば、雰囲気は崩れないと思います」。難しいことではない。今日のような雰囲気づくりをしていけば、白星も自然とついてくるはずだ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 大分三好ヴァイセアドラー
第1セット 25 - 23
第2セット 25 - 16
第3セット 25 - 17
第4セット
第5セット
日付 2021年1月30日(土)
試合 2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第19戦
場所 サイクルショップコダマ大洲アリーナ
メンバー 藤中、福山、饒、フェリペ、西田、久保山 L本間
Photo