ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ

西田がスパイクだけで最多27得点。途中、久保山が積極的にクイックを使い、攻撃のリズムをつかんだ

 およそ2カ月ぶりのホームゲームだ。声は出せないが、たくさんの手拍子とハリセンの音がチームの背中を押した。馴染みの音響も選手の心を奮い立たせた。苦しい場面はあったものの、ジェイテクトSTINGSが本来の持ち味を存分に発揮した。

 序盤はサイドアウトの応酬。セッターの久保山はフェリペにトスを集めて得点を重ねていく。フェリペはブロックでも加点。西田も強烈なスパイクをバックライトからストレートにたたき込む。さらに真後ろからきたトスをうまく決めて、存在感を発揮した。
 しかし、1点のリードでテクニカルタイムアウトを迎えると、そこから流れが一気に堺ブレイザーズへ傾く。もったいないミスが続いて4連続失点。8−11となったところで高橋監督は1回目のタイムアウトを要求した。反撃は西田のスパイクからはじまった。粘り強くボールをつなぎ、西田のバックアタックでラリーを制した。さらに饒がサービスエースを決めてブレイク。久保山、藤中がブロックで続き、15−13と逆転に成功した。
 後半も激しい点の取り合いになった。西田がフェイントをサイドラインの上に落とす。本間の好レシーブからフェリペが強烈なスパイクをたたき込んだ。19−17で西田にサーブが回ってくると、ここがこのセットのポイントになった。堺のタイムアウトを挟んで2本連続でサービスエース。21−17とリードを広げた。
 22−18から3連続失点を喫したが、高橋監督はタイムアウトですぐに流れを引き戻す。ワンポイントで伏見を投入すると、西田が難しいトスを決めてセットポイント。堺は3枚ブロックで西田にプレッシャーをかけてきた。しかし、最後は西田がフェイントを落として25点目。ジェイテクトSTINGSが25−23で第1セットを先取した。

 続く第2セットも点の取り合い。クイックを多用するなど、久保山が攻撃の組み立てを変えてきた。フェリペのスパイクで先制すると、饒のクイックでサイドアウトを切っていく。藤中もキレのあるスパイクをたたき込んだ。福山のブロックでブレイク。フェリペのバックアタックでラリーを制した。これで1点をリードすると、西田が決めて8−7で1回目のテクニカルタイムアウトを折り返した。
 中盤は苦しい展開が続いた。フェリペ、西田とサイドにトスを散らして得点を重ねるが、11−10から3連続失点。サーブレシーブのミスが続いた。饒がネット際で強さを発揮すると、セッターの久保山は真ん中の攻撃を選択。福山のクイックでサイドアウトを切っていく。15−17の場面では福山がサービスエース。西田がブロックを決めて、ついに同点に追いついた。
 ここからジェイテクトSTINGSが勢いづいた。1点を返されたが、17−18から4連続得点。西田がサーブで攻め、返ってきたボールを饒がダイレクトでたたき込んだ。コーナーいっぱいに決めてサービスエース。フェリペも決めて21−18と引き離した。
 金丸を投入してネット際に高さを生み出した。藤中が決めて23点目。西田が決めて25−22とし、ジェイテクトSTINGSが2セットを連取した。

 しかし、第3セットは堺に奪われた。内容が悪かったわけではない。粘り強い守備でボールをつなぎ、西田にトスを託して得点を重ねた。饒、福山のブロックも機能。西田もトップフォームを披露した。リベロの本間を軸にサーブレシーブは安定していたし、福山のクイックで24−23と先にマッチポイントも奪っている。厳しい見方をするなら、このセットで試合を終わらせておかなければいけなかった。

 早く気持ちを切り替えたことが、勝因の一つと言えるだろう。第4セットは、立ち上がりに3点を先取。西田がスパイク、ブロックで得点を重ねた。ここからは互いに1点を取り合う展開。藤中がターンしながらストレートに決め、フェリペのバックアタックでブレイク。フェリペのトスを西田が決めて3連続得点を奪う。10−5と主導権を握った。
 藤中の好レシーブから西田が決めて12−8。軟打をうまく織り交ぜて相手の守備を翻弄する。西田がサーブで相手を崩して饒が加点。14−9となったところで、堺は2回目のタイムアウトを使い切った。
 西田が強烈なスパイクを決めて16−11。17−12で金丸を投入するなど、早くも試合を決めにいく。一進一退の展開。久保山がワンハンドで上げたトスを福山が決めて18−13。饒のクイックで22−18とすると、ここで藤中に代わって郡が送り込まれた。郡が相手のサーブをうまくさばき、西田が決めて23点目。最後は相手のサーブがネットにかかり、このセットを25−20でものにしたジェイテクトSTINGSがセットカウント3−1で勝利を奪った。

 終始落ち着いた試合運びで3ポイントを上乗せした。久保山が言う。
「試合内容はそれほどよくなかったけど、3−1で勝てたことはよかったと思います。でも、このままだと明日の堺戦を含め、この先も苦しい試合が続く。個人的にはコンビの部分などを修正していきたいと思います」
 西田、フェリペらアタッカーの持ち味を最大限に生かし、要所でクイックを使って攻撃のリズムを生み出した。攻撃は形になりつつある。このまま調子を上げ、勝利を積み重ねていきたい。

髙橋慎治監督

堺さんの強力なサーブやアタックに押される場面もありましたが、選手がよく耐えてくれました。第3セットは取られましたが、しっかりと切り替えて第4セットのスタートから戦えたと思います。サーブが効果的に打てているとき、ミスが少ないときは、ブレイクが取れたりチャンスが生まれています。しかし、サーブが弱くなったりミスが多くなると、苦しい展開になる。今日は全員がいいサーブを打てていたと思います。最近はアウェイでの試合が続いていましたが、今日は点を取ったら音響がかかって盛り上がり、お客さんも背中を押してくれました。改めてホームの力はすごいと感じました。

久保山尚

堺さんのブロックのつき方はある程度把握していて、理想とするコンビネーションの組み立てはありましたが、今日はサーブを打たれてからの返球が乱れるところがありました。その中でも、いいパスが返ってきたときに、逆に決めきれないところがあり、そこは修正しなければいけません。ラリー中、チーム自体に余裕がないところもありました。明日は1本目をしっかりつなぎつつ、そこからの速い展開を意識してやっていきたいです。アウェイのときは盛り上げるために自分たちでしっかり声を出さないといけないのですが、今日は手拍子やハリセンの音が加わって、いつもよりリズムがつかみやすいと感じました。

藤中優斗

勝てたことはよかったけど、内容としてはブレイクが取れるところで取り切れないなど、そこがずるずるいった原因になりました。個人的にもサーブレシーブをもっと返さないといけません。しっかり練習してきた自覚はありますが、試合の中で強いサーブがきたりプレッシャーがかかると崩れる場面が多くなります。コミュニケーションの質は上がっているので、気持ちで受け身にならず、試合の中でもっと調整していきたいと思います。今日はすごくやりやすく、ホームの温かさを感じました。昨シーズンほどの声が出せないのは仕方がないけど、点が決まったときの拍手など、いい状態でプレーさせてもらっています。これからも、そうした応援を力に変えていきたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

サーブで攻めて主導権を握った。ミスをなくし、得点のチャンスをつかみたい

サーブが効果的だった。西田が3点、福山が2点、饒が1点と得点こそ多くはないが、特にフローターサーブが相手の守備を崩していた。藤中が言う。「僕が意識しているのは、ビッグサーバー(西田、フェリペ)に気持ちよく打ってもらうために、まずはミスをしないこと。チームとしては、ファーストサーブのミスをなくすことを課題にしています。ただし、入れていくだけでは簡単にサイドアウトを取られてしまうので、雰囲気が悪くならないように、ミスをしないことだけでなくポイントを狙っていくことを意識しています」。サーブで攻めることができれば、間違いなくチャンスも生まれる。チームのサーブ効果率は現在リーグ6位だが、ここから調子を上げて上位に食い込んでいきたい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ
第1セット 25 - 23
第2セット 25 - 22
第3セット 25 - 27
第4セット 25 - 20
第5セット
日付 2021年2月6日(土)
試合 2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第21戦
場所 ジェイテクトアリーナ奈良
メンバー 藤中、福山、饒、フェリペ、西田、久保山 L本間
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