ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ広島

サーブレシーブが乱れて第1セットを失セット。第2セット以降はサーブで攻め、最後は西田にトスを集めて試合を締めくくる

 4連続失点からのスタートとなった。サーブレシーブを崩されて、攻撃につなげることができない。0−4となったところで早くもタイムアウトを要求した。饒のクイック、久保山のブロックなどで点差を縮めるが、3点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 西田の調子が上がらないことも、苦戦した要因だ。JTサンダーズ広島のエドガーが西田の前に立ち塞がり、確実にコースを押さえにくる。それでも、福山のブロック、フェリペのバックアタックなどで徐々に点差を縮めた。西田がサーブで攻め、フェリペがダイレクトスパイクを決めて12−13。西田がようやくスパイクで初得点を奪い、13−16と拮抗した展開に持ち込んだ。
 フェリペのバックアタックが高い確率で決まった。18−22で西田にサーブが回ってくると、内定の宮浦を久保山に代えて投入する。宮浦にとっては、これがVリーグデビューだ。1点で返されたが、そのままコートに残り、本間が上げたハイセットを決めてサイドアウトを切った。20−25で第1セットを落としたが、最後は宮浦の投入などでムードは高まった。

 藤中のサーブではじまった第2セットは一進一退。フェリペのスパイク、福山のサービスエースなどで粘り強く得点を重ねる。フェリペ、本間を軸にサーブレシーブも安定しはじめた。西田がバックライトから強烈なスパイクをクロスにたたき込むと、藤中のブロックも成功。福山がクイックを決め、1点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 その後は、互いに1点ずつを取り合う展開。一気に抜け出したのは中盤だ。西田のバックアタックでブレイク。アウトになったかに思われた饒のサーブは、チャレンジによって得点が認められた。西田のスパイク、フェリペのブロックなどで徐々に点差を引き離す。18−14となったところでJT広島が1回目のタイムアウトを要求。試合の主導権を完全に握った。
 一時は2点差まで追い上げられたが、藤中のスパイクで嫌な流れを断ち切った。ここで伏見をワンポイントで投入。西田の好レシーブからフェリペがバックアタックを決めてブレイクポイントを奪う。最後は福山のスパイクでラリーを制し、ジェイテクトSTINGSが25−21でこのセットを奪った。

 セットカウント1−1で迎えた第3セット。相手に先制点を与えたが、そこから5連続得点。福山のサービスエース、フェリペのブロック、西田のフェイントなどで一気に走った。JT広島の新井に徹底してボールを集めるなど、福山のサーブも機能した。さらに饒、フェリペが立て続けに決めて7−2。試合の主導権を完全に握った。
 久保山のトスワークも冴えていた。クイックの決定率が上がってくるとジェイテクトSTINGSのペースだ。要所で饒が決め、確実にサイドアウトを切っていく。藤中のスパイクもチームを勢いづけた。
 相手のミスが続いて、13−7とリードを広げた。JT広島は早くも2度のタイムアウトを消化。攻撃の手を緩めないジェイテクトSTINGSは、フェリペのスパイク、福山のノータッチエースなどで7点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを奪った。
 17−10となったところで藤中に代えて郡を投入。さらに18−13の場面で宮浦をリリーフサーバーとして送り込む。ここで宮浦はノータッチエースを獲得。郡のスパイクも決まって20−13と引き離した。
 久保山のサービスエースでブレイク。そのあとはサイドアウトの応酬となった。郡がライトから決めて23点目を奪った。フェリペのスパイクでセットポイント。最後は相手のサーブがアウトになり、ジェイテクトSTINGSが25−17で2セットを連取した。

 第4セットは、西田がトップフォームを取り戻した。まずはブロックで存在感を発揮。さらに真後ろから上がったトスを、トスフェイントのような形で相手コートにポトリと落とす。フェリペの強打、藤中のフェイントで続いた。ブロックでワンタッチを取って返ってきたボールを西田が決めて6−7。1回目のテクニカルタイムアウトは取られたが、チームのムードは極めて高かった。
 その後もサイドにトスを散らして得点を重ねる。西田が1枚で相手のスパイクをブロック。西田が体勢を崩しながら決めて9−10。1点を返されたが、そこから3連続得点。西田がフェイントを落とすと、饒のブロックで同点に。福山がサービスエースを決めて、12−11と逆転に成功した。
 西田にサーブが回ってくると、ここから一気に攻め込む。西田がこの試合最初のサービスエースを決めて15−12。終盤は拮抗した展開が続いた。存在感を発揮したのが西田だ。強烈なスパイクを次々と決めていく。あとは落ち着いて得点を重ねていくだけだった。ワンポイントで入った伏見がレフトから3枚ブロックを打ち抜いてマッチポイント。最後はやはり西田だ。本間の丁寧なハイセットを豪快に決めてフィニッシュ。25−21でこのセットを奪い、逆転勝ちを決めた。

 不安な立ち上がりから一転、会心の勝利となった。後半はサーブレシーブも安定し、本来の調子を取り戻した。ルーキーの活躍も光った。
「新しいメンバーが活躍することで、他のメンバーの刺激にもなる。また切磋琢磨して、全員の力を上げていきたい」
 試合後にこう話した髙橋監督。V・ファイナルステージに進むためにもここからは全ての試合が重要になる。まずは明日の一戦だ。確実に勝利をつかみ、上位との差を縮めたい。

髙橋慎治監督

中盤くらいまで西田選手の調子が上がらなかったが、第2セット以降は周りのメンバーがしっかり決めてくれました。西田選手も調子を取り戻し、最後はチーム全員で勝てた試合になったと思います。途中から出てきたメンバーも、しっかりと得点に絡むプレーを見せてくれました。いつも言っていることですが、今日の試合に勝てたからといって、明日も同じことをしていたら勝てません。今日の試合を振り返り、明日はまたしっかりと相手の対策を練って、自分たちのバレーを再確認する。また新たな気持ちで臨みたいと思います。

饒書涵

前回の試合から2週間空いたので、立ち上がりは少し集中力を欠く場面もありました。それでも徐々に本来の状態に戻すことができたと思います。今日も全員がよく頑張りました。個人的にはここまでコンディションをいい状態で保っているので、自信を持って試合に臨むことができています。今日は第1セットを落としましたが、第2セット以降は落ち着いてプレーできました。ただし、今シーズンは昨シーズンに比べて細かいミスが多く、それによって難しい試合が続いています。明日の試合も勝てるように頑張ります。

宮浦健人

先輩から「何も考えず、思い切りプレーしろ」と言われました。少し緊張はありましたが、その言葉のおかげでサーブもいい感じで打つことができたと思います。普段からコミュニケーションもしっかり取れています。今日の試合に向けて、自分の武器でもあるサーブで出番はあるのかなと考えていました。サーブは精度を意識しながら打つようにしていて、今日はしっかり打てたことがいい結果につながりました。明日以降も、自分の役割をしっかり果たすこと。少しでもチームのプラスになるような行動をしていきたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

ルーキーの宮浦がスパイク、サーブで活躍。チームを勢いづけた

西田のデビューも広島だったことを思い出した。新しく加入した選手の活躍は、チームにとっても明るい材料だ。この日は途中から入った宮浦が躍動。得意のサーブでエースも奪うなど、チームのムードを盛り上げた。「すごいの一言。練習でもいいサーブが入っていたが、本番でもしっかり決めてくれて、さすがは大学チャンピオンのエースだと感じた。これからも、チームが勝つために、彼の力を借りながら戦っていきたいと思います」と髙橋監督は太鼓判。宮浦も「とにかく新人らしく思い切りプレーしようと思った」と安堵の表情を見せた。リーグ戦の終盤はルーキーの力が必ず必要になる。その意味でも、今日の一戦が一つの試金石になったと言えよう。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ広島
第1セット 20 - 25
第2セット 25 - 21
第3セット 25 - 17
第4セット 25 - 21
第5セット
日付 2021年2月20日(土)
試合 2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第23戦
場所 エフピコアリーナふくやま
メンバー 藤中、福山、饒、フェリペ、西田、久保山 L本間
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