ジェイテクトSTINGS VS VC長野トライデンツ

立ち上がりから全員の集中力が高かった。サーブレシーブも安定し、クイック、パイプ攻撃で高い決定率を残した

 前日の試合はセット中盤の戦い方に課題を残した。連続失点から逆転を許す場面もあった。一夜明け、チームのムードは悪くない。果たして課題は改善できたのか。テーマは限りなく絞られていた。

 第1セット、1回目のテクニカルタイムアウトを8−6で奪った。試合の入り方がよかった。西田もいきなりエンジン全開。アウトになったかに思われたフェリペのスパイクが、チャレンジによって得点が認められた。フェリペのサービスエースでブレイクも奪った。ミドルブロッカーの伏見も積極的にクイックに入り、サイドアウトの奪取に成功した。
 勢いに乗ったのはここからだ。8−6から伏見、西田が続けてブロックで得点。VC長野トライデンツはここでタイムアウトを要求する。しかし、ジェイテクトSTINGSは攻撃の手を緩めない。伏見の2本目のブロックでトータル6連続得点。完全に主導権を握った。
 前日のようなセット中盤の連続失点もなかった。リベロの本間が声でチームを引き締める。西田、フェリペが確実に加点。福山もフェイントで続いた。
 17点を奪ったところで郡が、さらにフェリペが後衛に下がったところで興梠がコートに入った。これでチームが活性化。リードをキープしたまま第1セットの終盤を迎える。フェリペが正確なサーブレシーブから助走に入り、自らスパイクを決めて23−16。本間のバックトスを藤中が決めるなど、鮮やかな攻撃を連発した。
 圧巻の試合運びを見せたジェイテクトSTINGSが、このセットを25−17で先取した。

 続く第2セットも攻めた。西田がサーブで相手の守備を崩した。フェリペのスパイクでブレイク。好調の藤中がバックアタックで続いた。福山のブロックで5−2。幸先のいいスタートを切った。ここでVC長野がタイムアウト。その後も西田が連続で得点を決め、3点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 セッターの久保山が巧みにトスを散らした。フェリペのバックアタックも機能。打数こそ多くはないが、ミドルブロッカー陣も高い決定率でスパイクを決めた。西田のブロックなど2回目のテクニカルタイムアウトを挟んで4連続得点。さらに西田のスパイク、フェリペのブロックなどで3連続得点を奪う。19−8で藤中から郡にスイッチ。西田が落ち着いてフェイントを決め、20−8と大量リードを奪った。
 22−10で小林と宮浦を同時に投入。ジェイテクトアリーナ奈良のスタンドが拍手に包まれた。福山が強打で相手のブロックを弾き飛ばして23点目。郡が決めてセットポイント。最後は宮浦がバックライトから豪快に決めてフィニッシュ。相手を13点に抑え、このセットを圧倒した。

 もはや完全にジェイテクトSTINGSのペースだった。前日と同じように、第3セットから伏見に代わって村山が入った。フェリペのスパイクで先制。西田がサービスエースを決めるなど、4−1と突き放す。早くもVC長野がタイムアウトを取った。藤中もキレのあるスパイクをストレートに決めた。西田のブロックで8−4。このセットの主導権も握った。
 中盤は1点を取り合う展開。全員が高い集中力を発揮して、粘り強く得点を重ねていく。サーブレシーブも不安はない。西田、福山のスパイクでサイドアウトを切ると、福山のブロックでブレイクポイントを奪い16−13。ここで一歩、抜け出した。
 その後も、福山、西田が得点を重ねていく。フェリペのサービスエースで20−16。VC長野は2度のタイムアウトを消化した。相手にサービスエースを取られても慌てない。髙橋監督はすかさずタイムアウトを取り、嫌な流れを断ち切った。
 終盤の気力も凄まじかった。1点差に迫られるが、福山がうまく相手コートにボールを落として22−20。フェリペがハイセットを決めてマッチポイント。最後は西田のスパイクで25−22とし、ジェイテクトSTINGSがストレート勝ちを決めた。

 落ち着いた試合運びで、2連勝を果たした。2日間で1セットも落とさなかったことは大きな収穫だ。
「昨日は僕自身、内容があまりよくありませんでした。今日は修正してチームに貢献したいと思っていました。昨日は僕のブロックの形がよくなくて失点する場面もあったけど、うまく修正できたと思います。まだまだ厳しい戦いが続きますが、チーム一丸となって最後まで全力で戦います」
 勝利者インタビューに呼ばれた伏見は、こう試合を振り返った。内容が伴った勝利で、来週の試合につないだ。チームもようやく本来の明るさを取り戻した。

髙橋慎治監督

全員が得点に絡むプレーをして、終始、自分たちのペースを作ることができました。先週の負けから1週間、選手たちは気持ちを切り替えて、一日一日を大切に練習に臨んでくれました。それが今週の結果につながったと思います。セッターの久保山選手は印象に残るようなトス回しをしていて、そこはよかったと思います。もちろん修正しなければいけないところも残りました。村山選手に関しては、高い能力を持っているし、これからチームに溶け込んでいけば大きな戦力になります。ミドルブロッカーの層も厚くなってきました。選手たちはたくましく、こうして力も持っているので、この力を来週以降も発揮できるように次の1週間も大切に過ごしたいと思います。

本間隆太

昨日、今日としっかり3−0で勝ち切ったことは、チームにとってプラスになります。先週はホームゲームで負けてしまいましたが、修正すべきところは修正することができました。リーグ戦も終盤になってきましたが、ここからチームをまとめるのがより難しくなってきます。特に今年は内定選手の力が大きい。仕方がないことですが、それによって出番が少なくなってしまう選手もいます。ですが、試合に出ていないメンバーが日頃の練習で頑張ってくれないと、いい練習はできません。全員の力がここからは必要になります。僕自身は、Aチームに入っていない選手とコミュニケーションを取りながら、モチベーションをもっと気にしていけたらと思います。

フェリペ・フォンテレス

先週はホームゲームでFC東京に負けてしまいましたが、この1週間、みんなで一生懸命取り組んできました。誰か一人というよりは、チーム全員が自分のプレーを反省したと思います。昨日、今日の試合は満足しているので、この調子で来週以降も戦いたいと思います。新しい選手が入ってきましたが、チームが勝たなければいけない状況の中でいいプレーをしていると思っています。チームに貢献してくれているし、練習に取り組む姿勢も素晴らしい。私がチームに来たときもみんなが温かく受け入れてくれましたが、やはりチーム力を上げていくためには時間が必要です。とにかく時間をかけて、チーム力を上げていかなければいけません。残りの試合も、一生懸命取り組んでいきたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

サーブレシーブが安定し、攻撃の選択肢が増えた

昨日の試合は、VC長野のリヴァンに18.1パーセントものサーブ効果率を与えてしまった。連続失点の大きな要因になった。しかし、今日はリヴァンのサーブ効果率を−2.8パーセントまで抑えている。与えたエースは1本もなく、終始、ジェイテクトSTINGSのペースで試合を進めることができた。どこを修正したのか。本間の言葉は的確だ。「リヴァン選手は西田選手のような速いサーブではなく、すごい回転をかけてきます。だから、思ったよりも落ちたり、左から右に切れていく。今日は守備位置を全体的に半歩もしくは一歩前に出て対応しました。最初は僕が真ん中で、そのあとはポジション1(後衛ライト)にいたので、切れていくサーブに対して『自分が取るよ』と隣の選手に声をかけていました。エースを取られなかったのでよかったと思います」。サーブレシーブが安定することで、攻撃の選択肢も増えた。攻守において、前日の課題を修正した一戦だった。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS VC長野トライデンツ
第1セット 25 - 17
第2セット 25 - 13
第3セット 25 - 22
第4セット
第5セット
日付 2021年3月7日(日)
試合 2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第28戦
場所 ジェイテクトアリーナ奈良
メンバー 藤中、伏見、福山、フェリペ、西田、久保山 L本間
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