ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ

袴谷、興梠らベテランの投入で流れを変えて第1、2セットを連取。第3セットの序盤はミスでリズムを崩したが、全員の力で立て直した

 負けられない状況の中、会心の試合運びで堺ブレイザーズにストレート勝ち。選手一人ひとりがコートの内外からそれぞれの役割を果たし、秋田で開催される来週のホームゲームに向けて弾みをつけた。

 スタートから気迫がみなぎっていた。西田がネット際で競り勝って先制。フェリペにトスを集めて得点を積み重ねていく。西田のバックアタック、藤中のブロックなどで3連続得点。5−1とリードを広げた。なおも勢いは止まらない。福山がブロックで相手にプレッシャーをかけ続けた。西田のブロックなどで1回目のテクニカルタイムアウトを挟んで3連続得点。9−4と主導権を握った。
 その後もサイド陣を中心に攻め込む。サーブレシーブが崩れても、決して慌てない。西田のハイセットをフェリペが決めた。西田がサーブで攻め、返ってきたチャンスボールをフェリペが決める。得意のパターンに持ち込んで、堺から体力と集中力を奪っていった。西田が連続でサービスエースを決め、フェリペのスパイクでラリーを制して5連続得点。16−8とし、大きくリードして2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 セット後半は小林と宮浦を投入。さらに18−10の場面でリリーフサーバーの袴谷を送り込むと、この采配が見事に的中した。キレのあるサーブで相手の守備を崩し、宮浦の得点をお膳立て。20−10となったところで、堺は二度目のタイムアウトを消化した。さらに袴谷がノータッチエースを決めて21点目。このセットの行方を決定づけた。
 藤中が決めて22−11とすると、ここで郡を投入する。宮浦のサービスエースでブレイク。1点を返されたが、最後は伏見がクイックを決めて、ジェイテクトSTINGSが25−13でこのセットを圧倒した。

 フェリペが実に好調だ。第2セットに入っても、託されたトスを確実に決めていく。4−5から3連続得点。西田のフェイントも冴えていた。8−6で1回目のテクニカルタイムアウト。順調に試合を進めていく。
 サーブレシーブが乱れる場面もあったが、粘り強く攻撃につないだ。均衡を破ったのは中盤だ。13−12から3連続得点。藤中が落ち着いて相手コートにボールを落とし、伏見がブロックでプレッシャーをかけて相手からミスを誘う。ネット際に上がったボールを伏見がたたき落として得点。16−12と優位に立った。
 後半は一進一退の攻防が続いた。伏見のBクイックが効果的に決まった。西田もフェイントで相手の守備を翻弄した。間隙を縫って、フェリペが強打をたたき込む。リリーフサーバーの袴谷が入った。福山もクイックを決めて、先に20点に乗せた。フェリペが相手の3枚ブロックを打ち抜いて21−17。ここで藤中を下げて、郡がコートイン。その郡がレフトから決めてブレイクポイントを奪う。堺はここで1回目のタイムアウトを要求。1点を返されたが、フェリペに代わって入った興梠が守備を安定させた。郡が立て続けに決めてセットポイント。金丸の投入も効果的だった。
 最後は久保山のブロックでフィニッシュ。25−19としたジェイテクトSTINGSが2セットを連取した。

 セット間のイベントを経て、迎えた第3セット。ジェイテクトSTINGSは入り方に苦しんだ。サーブレシーブの失敗が続いて1−5。髙橋監督は早めにタイムアウトを取って、リズムを取り戻す。西田のスパイクなどで3連続得点。しかし、3点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 福山がクイックでサイドアウトを切るが、苦しい状況が続いた。サービスエースを決められて6−10。西田が連続でスパイクを決めるが、なかなか点差は縮まらない。福山がこの試合最初のブロックを決めて11−13。これでチームのムードが好転する。
 12−15となったところで、小林と宮浦が同時にコートイン。ここからジェイテクトSTINGSの反撃がはじまった。堺のノータッチエースは、ジェイテクトSTINGSのチャレンジが成功してスコアが覆った。さらに相手のスパイクがアウト。今度は堺がブロックタッチに関するチャレンジを要求するが、これは失敗。点差を2点に縮めた。
 しかし、連続で失点し14−18で髙橋監督は2回目のタイムアウト。流れを取り戻し、宮浦のスパイクで粘り強くサイドアウトを切っていく。16−21からフェリペ、宮浦のスパイクなどで3連続得点。袴谷のサーブも功を奏した。
 西田をコートに戻すと21−21の同点に。一度は相手にセットポイントを許したが、西田のスパイク、藤中のブロックが決まり、土壇場で同点に追いついた。デュースに持ち込むと、西田が確実に決めて相手のセットポイントを3度しのいだ。
 27−27の場面、フェリペが1枚で相手のスパイクをシャットアウト。28−27。ついにマッチポイント。最後は福山が相手のクイックをコミットでブロック。勝負強さが光ったジェイテクトSTINGSがストレート勝ちを決めた。

 追いかける展開となった第3セットも、チーム全員でしのぎ切った。若手もベテランも力を出し切った会心の勝利だ。試合後の会見で、宮浦はこう話した。
「第1、2セットは比較的楽な展開で勝つことができましたが、第3セットは苦しみながらも2点差で勝ち切れたことは、チームにとって大きな自信になったと思います。来週のホームゲームも今日のような厳しい試合になると思いますが、しっかり練習して、自分たちにできることを出し切れるように頑張ります」
 いい形で秋田でのホームゲームを迎えることができる。「一戦一戦が決勝だと思ってみんなで取り組んでいきたい」とフェリペも言った。目の前の試合を全力で戦う。それが今のチームに共通する思いだ。

髙橋慎治監督

第1、2セットは終始自分たちのペースで進めることができましたが、第3セットから少し自分たちのミスからリズムを崩し、相手に先に走られる展開になってしまいました。それでも、代わって入った選手、それまで入っていた選手、チーム全員が劣勢をはね返して3−0で勝ち切ることができました。特に袴谷選手はいいところでいいサーブを打ってくれました。また、興梠選手はレシーブのスペシャリストとして、フェリペ選手の代わりに入って活躍してくれました。宮浦選手も、結果も出してくれて、期待以上の働きをしてくれています。来週は秋田でホームゲームをやらせてもらえるということで、我々のバレーで秋田を盛り上げられるように頑張りたい。いろいろなところでバレーをさせてもらっていますが、その感謝の気持ちをコートの上で表現し続けたいと思います。

興梠亮

負けられない状況が続いていますが、今日は自分たちの持ち味であるサーブ&ブロックが機能して、いいリズムで第1、2セットを取ることができました。第3セットは入り方がうまくいかずバタバタすることもあったけど、最後の勝負強さがしっかり出て、チームとしてうまく機能したと思います。(コートに入るときは)まずは自分の役割をしっかり考えて、チームの雰囲気が悪くならないように盛り上げていこうと思っていました。ミスをするとムードも悪くなるので、ミスをしないように心がけてプレーしていました。普段の練習でも、Bチームが雰囲気を作っていけるように意識しています。来週は秋田でホームゲームですが、JTさんはブロックが高いので、フォローなど細かいプレーが大事になってきます。そうしたことを練習の中からできるように、意識してやっていきたいと思います。

袴谷亮介

ギリギリでV・ファイナルステージが狙える中、チームがストレートで勝てたことはよかったと思います。たくさんの選手がコートに入って活躍できたので、こういうゲームを続けていきたいと思います。チームとしてはファイナルをあまり意識せず、目の前の一戦に集中して勝っていく方向で進んでいます。特に僕たちベテランには、途中からコートに入ってリズムを作るという仕事があるので、チームに勢いをつけるプレーをしなければいけません。それ以外のところでも、チームがうまくいっていないときに声をかけたり、練習のときから若手と一緒にいい流れが作れるように意識しています。来週は秋田のホームゲームでJTさんと対戦しますが、一戦必勝ということで、まずは土曜日の一戦を勝ち抜くために普段の練習からしっかりと取り組んでいきたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

頼れるベテランの存在がリーグ終盤の鍵を握る

ベテランが元気だ。袴谷はサーブで第1セットの流れを生み出した。サービスエースも決め、勝利のきっかけを作ったと言っていい。第2セットの終盤は、興梠が入って守備を安定させた。今シーズンはワンポイントで入る機会が多い金丸も、ブロックで相手にプレッシャーをかけ続けている。ベンチ外の浅野も懸命に声を出してチームのサポート役に徹している。試合だけではない。何より、普段の練習のムードを作っているのはベテランに他ならない。袴谷は言う。「普段の練習がしっかりできていないと、いい試合につなげられません。Bチームの選手が簡単にAチームの選手に決めさせないことが重要で、それによってAチームの調子が上がっていけるようにしていきたい」。V・レギュラーラウンドも残り4試合になった。逆転でのV・ファイナルステージ進出に向けて、ベテランの存在が大きな鍵を握っていると言えよう。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 堺ブレイザーズ
第1セット 25 - 13
第2セット 25 - 19
第3セット 29 - 27
第4セット
第5セット
日付 2021年3月14日(日)
試合 2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第30戦
場所 堺市金岡公園体育館
メンバー 藤中、伏見、福山、フェリペ、西田、久保山 L本間
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