ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ広島

反撃は第3セットから。途中から入った郡、小林が躍動し、チームに流れを引き寄せる。終盤は西田が気迫のスパイクを見せた

 ホームゲームとして初めて開催される秋田大会。会場となったCNAアリーナ★あきたは天井が高く、空間が広く感じられる。迎えるのはJTサンダーズ広島。14時、熱戦の火蓋が切られた。

 2セットダウンからのスタートとなった。第1セットはスタートから苦戦を強いられた。サーブレシーブは悪くなかったが、うまく得点につなげられない。早くもベンチが動いた。8−14でセッターを久保山から小林にスイッチ。西田、フェリペにトスを集めて得点を重ねるが、14−18から3連続失点。タイムアウトでもマイナスの連鎖を断ち切ることができなかった。終盤は西田がサービスエースを含め一人で3点を決めた。しかし、反撃及ばず19−25で失セットを喫した。
 続く第2セットも序盤はJT広島のペース。1−5。伏見のクイックやフェリペのブロックで一時は10−9と逆転に成功したが、中盤以降は再びJT広島に流れを与えてしまう。それでも、終盤は福山、フェリペが連続でブロックを決め、少しずつ追い上げを見せる。金丸、袴谷を投入するが。序盤に開いた点差は大きく、21−25で敗れた。

 反撃がはじまったのは第3セットからだ。チームに下を向く者はいなかった。西田のスパイクで先制。フェリペが続いて4−1とリードを広げた。藤中が決め、福山のクイックで8−4。好スタートを切った。
 一時は1点差まで詰め寄られたが、福山のブロックなどで再び突き放す。西田がネット際で強さを発揮し、プッシュ、ブロックで連続得点。ここでJT広島がタイムアウトを要求する。さらに西田のサービスエースを含め3連続得点。このまま走るかに思われた。しかし、相手は試合巧者のJT広島。簡単には勝たせてもらえない。エドガーにサービスエースを決められるなど3連続失点。西田のスパイクでサイドアウトを切ったが、試合の流れは五分五分の展開だった。
 ここで藤中に代えて郡を投入。西田のスパイクなどで確実にサイドアウトを切っていく。20点目を奪うと、リリーフサーバーの宮浦が入った。これは1本で切られたが、このセットのスタートから入っている村山がここで存在感を発揮。クイックを決めると、一番の山場が待っていた。
 まずは西田がサーブで相手を崩し、返ってきたボールをフェリペがダイレクトスパイク。22−19。そして、西田の3本連続サービスエースで決着をつけた。会心の試合運びを見せたジェイテクトSTINGSが25−19でこのセットを取り返した。

 第4セットは、JT広島に先行を許した。西田がスパイク、サービスエースで得点を重ねるが、7−5から3連続失点。西田のスパイクも止められた。
 さらに10−10から4連続失点。フェリペのスパイクが止められ、サービスエースも決められた。立て続けにタイムアウトを消化。しかし、流れを取り戻すことができない。10−14になったところでフェリペに代えて郡を投入。長いラリーを郡のスパイクで制し、これでペースをつかんだ。11−16で2回目のテクニカルタイムアウト。ここから西田のスパイクなどで確実にサイドアウトを切っていく。
 藤中の得点で14−18としたところでリリーフサーバーの宮浦を投入。しかし、1本で返され、15−20と追い込まれた。
 圧巻はここからだ。福山が決めてサイドアウト。サーブを打つ藤中が、相手の守備を崩した。福山のブロックでブレイク。郡も強烈なスパイクで続いた。ここでJT広島がタイムアウトを要求。なおもジェイテクトSTINGSの攻勢は続く。福山が連続でブロック。ついに20−20の同点に追いついた。
 小林の好レシーブを西田が決めてブレイク。22−21。先に出た。郡が決めてサイドアウトを切った。西田のスパイクが止められたが、相手のマッチポイントを2度しのいだ。西田が決め。相手のスパイクがミスになり逆転。セッターの小林は西田にトスを託した。西田はその期待に応えていく。28−27。3度目のセットポイントを奪い、ジェイテクトSTINGSがこのセットを29−27で制した。

 痺れるような展開だ。第5セットは郡がスタートから入った。セッターの小林が巧みにトスを散らして得点を積み重ねていく。郡がスパイク、ブロックで得点。村山のクイックでサイドアウトを切った。西田も高い打点から左腕を振り抜いた。6−5となったところでJT広島がタイムアウトを要求した。
 しかし、ジェイテクトSTINGSは攻撃の手を緩めない。郡、西田が気持ちのこもったスパイクを見せる。福山のブロックで10−8。
 会場の熱気を味方につけたのはジェイテクトSTINGSのほうだった。郡が決めて12−10。ここで藤中に代えてフェリペを、小林に代えて伏見を投入。フロントを厚くした。西田が決めてブレイク。相手のスパイクがアウトになった。西田が決めて15−10、ジェイテクトSTINGSが熱戦を制した。

 劇的な勝利だった。殊勲の郡は、「自分は出場機会がそれほど多くないので、今日の試合に勝てたことは自信になりました。これからもっとアピールして、チームの底上げにつなげたい」と目を輝かせた。
 V・レギュラーラウンドも残り3試合。V・ファイナルステージの進出に向けて、総力戦で挑む。

髙橋慎治監督

何もできないまま第1、2セットを取られ、自分たちのバレー云々ではなく、バレーそのものができていませんでした。第3セットからは全員が奮起してくれて、さらに第4セットはリードされた状態から追い詰めて、最終的に逆転することができました。それが第5セットを取るきっかけになったと思います。何より、途中から入った選手がチームを勢いづけて、チームが本来持つスタイルを出してくれるきっかけになりました。小林は途中から入ってリズムを作ってくれたし、郡はチームを盛り上げてくれました。秋田大会に足を運んでくださった方の多くが盛り上がってくれたと思います。濃い試合になってしまいましたが、それでも途中からはいいバレーを見せることができました。明日も勝ち切るという気持ちを前面に出して、新たな気持ちで戦っていきたいと思います。

郡浩也

苦しい戦いになりましたが、チーム全員が諦めずに最後まで戦い抜いた結果だと思います。勝因は僕ですかね(笑)。今日はいい部分がすごく出せました。具体的には、フェリペ選手の攻撃がなかなか通っていないというデータが出ていたので、「そこをお前が変えてこい」と言われてコートに入りました。そこでスパイクを決めることができてよかったです。第5セットはスタートから入りましたが、特別な感情はなく、どう1点を取るか、1点を取ったらどう喜ぶか、とにかく1点に集中しました。フルセットまできたら盛り上がった方が勝つと思っていました。秋田大会は、お客さんの反応がすごくよくて、僕が観客席を煽ってもすごく盛り上がってくれました。一体感があって、とても戦いやすかったです。明日も全力で盛り上げて、チームの勝利に貢献できるように頑張ります。

小林光輝

個人的には、いい意味で課題が残った試合になりました。でも、チームが勝ててよかったです。早い段階でコートに入りましたが、状態がよかったし、普段の練習から手応えを感じていました。スタッフもそういったことを考慮して早い段階から起用してくれたと思うので、その期待に応えようと思っていました。まずは得点源の西田選手を中心にうまく(トスを)散らしていこうと考えていました。第5セットも偏らないように、序盤で先に出ることを意識していました。勝因は、全員が諦めなかったことだと思います。負けている状況でも、みんなが前を向いて、声をかけ合っていました。コミュニケーションが取れて、雰囲気もよかったです。秋田大会は、会場の雰囲気があったかいなと感じました。もう一度切り替えて、明日も勝てるように今から準備していきます。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

注目すべきは終盤の戦い方。粘り強く戦って逆転勝ちにつなげた

落とした第2セットの終盤、17−22になった時点でほとんど勝負は決まっていたかもしれない。しかし、チームに諦める者は一人もいなかった。福山、フェリペのブロックでブレイク。3点差に縮めたところでJT広島がタイムアウトを要求した。西田も続いた。失セットを喫したが、スコアは21−25。この終盤の追い上げがなかったら、第3セット序盤の好スタートもなかったと思う。反撃の大きな布石になった。第3セットも、西田の3連続サービスエースでフィニッシュ。第4セットも終盤の連続得点で突き放した。「確かに終盤の追い詰め方はよかったと思います。しかし、逆に序盤の戦い方がよくなかった。序盤からいいスタートが切れていたら、試合を通して自分たちのペースで進められたと思います」。試合後にこう振り返った髙橋監督。それでも、今シーズンのジェイテクトSTINGSには終盤の粘り強さを感じさせる。最後まで諦めず、気迫を持って戦い続けることが、ここまで白星を積み重ねてこられた要因だろう。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ広島
第1セット 19 - 25
第2セット 21 - 25
第3セット 25 - 19
第4セット 29 - 27
第5セット 15 - 10
日付 2021年3月20日(土)
試合 2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第31戦
場所 CNAアリーナ★あきた
メンバー 藤中、伏見、福山、フェリペ、西田、久保山 L本間
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