ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ広島

2セットダウンからの第3セットは攻守がかみ合い完勝。途中出場の郡、久保山も機能した。第4セットは序盤のミスが響き、苦しい展開に持ち込まれた

 劇的な逆転勝利から一夜、立役者となったセッター小林がスタメンに名を連ねた。V・レギュラーラウンドも残り3戦。ジェイテクトSTINGSの集中力は最大限に高まっていた。

 スタメンに入ったセッター小林の最初の選択肢は西田だった。その西田が、相手コートの空いたスペースに強烈なスパイクを突き刺す。その後も、フェリペ、西田を軸に得点を加算。激しい主導権争いを展開した。2点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えたが、徐々にペースを取り戻す。
 西田のブロックでラリーを制し、フェリペのスパイクで3連続得点。この日が初スタメンの村山もブロックを決めた。村山が縦のBクイックを決めてサイドアウトを切る。ネット際に上がったボールを、小林が2本目で相手コートに落とした。勝負どころでは西田にトスを集める。一時は18−15とリードを広げた。
 後半はJTサンダーズ広島に徐々に点差を詰められた。小林が西田にトスを託し、西田がその期待に応えた。リードをキープしたまま終盤まで持ち込んだ。郡に続いて、守備のスペシャリスト興梠が送り込まれた。西田のスパイクで22−22とすると、ここでリリーフサーバーの宮浦が登場。福山のブロックでリードした。
 点の取り合いが続いた。西田のスパイクで先にセットポイントを奪う。しかし、連続失点で逆に相手にセットポイントを与えた。一度は郡が決めてサイドアウトを切った。ここで藤中とフェリペをコートに戻す。最後は相手のサービスエース。惜しくも25−27でこのセットを落とした。

 第2セットも同じメンバーでスタート。ジェイテクトSTINGSはフェリペのブロック、西田のプッシュで得点を重ねていく。小林の好レシーブも光った。村山もフェイントを相手コートにポトリと落とし、4−2とリードを広げた。しかし、ここから4連続失点。フェリペのスパイクが止められ、4−6となったところで早くもタイムアウトを取った。
 苦しみながらも、西田のスパイク、福山のブロックで7−7の同点。しかし、なかなかリズムをつかむことができない。8−9となったところで、小林に代えて久保山を投入。しかし、ここから3連続失点。8−12で早くも2回目のタイムアウトを要求した。
 福山のブロックなどでチームは盛り上がりを見せた。西田がサーブでプレッシャーをかけ、相手からミスを誘った。14−16。この日もジェイテクトSTINGSが凄まじい追い上げを見せた。
 途中から入った郡が攻守両面で活躍する。西田がレフトから決めた。さらに本間のトスを西田が決めて18−20。福山のサーブが直接返ってくると、西田がダイレクトスパイク。さらに西田が真ん中に返したボールを郡がバックアタックをたたき込み、21−21の同点に追いついた。
 なおも福山がサーブで崩し、西田が決めて逆転に成功。村山のクイックで23点目。24−23と先にセットポイントを奪う。しかし、郡のスパイクが止められて1点のビハインド。一度はしのいだが、最後はサービスエースを決められて25−27で失セットを喫した。

 2セットを落としたが、内容は悪くない。下を向く選手もいない。第3セットは終始、ジェイテクトSTINGSのペースで試合が進行した。郡、久保山がスタートから入った。サーブレシーブを安定させるために、フェリペのポジションが入れ替わっていた。
 福山のクイックで先制。村山もクイックを決めた。セッターの久保山が真ん中の攻撃を積極的に使った。郡がサーブを相手レシーバーの前に落とす。フェリペのフェイントが決まって3連続得点。西田のスパイクはアウトになったが、ここからジェイテクトSTINGSが5連続得点を奪った。郡のバックアタックが機能。フェリペもスパイク、ブロックで得点を重ねていく。10−3とリードを広げた。
 その後も4連続得点と3連続得点が続いた。村山がクイックを決めた。西田が高い打点からスパイクを放ち、強烈な縦回転がかかったサーブで相手のリベロを弾き飛ばした。
 ジェイテクトSTINGSが完全にペースを取り戻した。宮浦、小林を続けて送り込み、攻撃の厚みが増す。リリーフサーバーの袴谷を投入。本間のハイセットを宮浦がネット際で押し込んだ。西田、久保山をコートに戻し、相手の得点を14点に抑え、次のセットに望みを託した。

 ここまでは前日の試合とほぼ同じ展開。しかし、第4セットはJT広島に走られた。サーブレシーブを崩され、スパイクミスが続いた。タイムアウトでも流れを取り戻すことができない。それでも、西田のノータッチエースなどで徐々に点差を詰めていく。西田が強烈なバックアタックでチームを奮い立たせた。
 中盤はJT広島にペースを握られた。決まったかに思われた西田のスパイクは、JT広島のチャレンジが成功してアウトの判定。ビハインドが5点に広がった。さらに7−13になったところで髙橋監督は2回目のタイムアウトを要求する。しかし、9−14から4連続失点。なかなかサイドアウトが切れない。
 郡に代えて藤中を戻した。西田のスパイクがアウトになる。フェリペ、村山が決めて粘り強く戦った。宮浦を投入してフェリペのブロックでブレイク。西田がレフトから強烈なスパイクをたたき込んだ。フェリペがサービスエースを決めた。しかし、反撃もここまで。最後はフェリペのスパイクがアウトになり、19−25で敗れた。

 悔しい敗戦となった。この後の試合でWD名古屋がパナソニックに勝ったため、この時点でジェイテクトSTINGSのV・ファイナルステージ進出は消滅した。
「私たちは一試合一試合を全力で戦わなければいけません。練習してきたことを信じて、それを全て出すという気持ちで来週も臨みたいと思います」
 次の試合に向けて力を込めた髙橋監督。徳島で開催されるホームゲームは、V・レギュラーラウンドの最終週である。集大成の一戦で全ての力を出し切り、笑顔で今シーズンのVリーグを締めくくりたい。

髙橋慎治監督

悔しいです。第1、2セット、あの接戦を取り切れなかったことが全てだと思います。細かいミスが多く、得点がほしいところで取れないというケースが数多くありました。それが第1、2セットを取れなかった要因だと思います。セッターを途中で小林から久保山に代えたのは、レフト側の攻撃が機能していなかったからです。幅広く攻撃を機能させたいと思っていました。残り2試合になりましたが、このような大変な状況でも試合をやらせてもらっていることに感謝し、目の前の試合に100パーセント全力で臨みます。

本間隆太

タフな試合になりましたが、取らないといけない場面で得点が取れなかった印象です。ただ、自分たちが特別悪かったわけではない。逆に相手が昨日よりもいいバレーをしてきました。サーブレシーブに関しては、郡選手はいいパイプ攻撃を持っているので、ショートサーブはなるべく自分が取りにいくようにしていました。郡選手が入って、フェリペ選手も守備範囲を広げてくれたので、そのあたりの連携はよかったと思います。僕としては、若い選手が活躍してくれたことが、この2日間の収穫だと思っています。昨年の徳島大会は、サントリーと対戦して苦しみながら勝った印象が残っています。あの1勝がチームをさらに強くしました。そういう意味でも、しっかり準備して、いい形で迎えて、いい結果で終わりたいと思います。

村山豪

初めてのスタメンということで、とにかく全部の力を出し切ろうと思ってコートに入りました。今日は久保山選手も小林選手も、どちらもいい場面で使ってくれました。決められたところもあったけど、決め切れなかったところもあったので、そこで1点が取れていたらもしかしたら流れが変わっていたかもしれません。ブロックに関してはまだまだ課題が残っているので、これから試合を重ねてVリーグの速さに慣れていけたらいいと思います。今日はBパスからでも何本か通っていたところがあるので、自分の武器である速さのあるクイックをどんどん強くしていきたい。まずはしっかり切り替えて、来週の徳島大会は、ジェイテクトSTINGSらしいバレーをして、いい形で終わりたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

新たなオプションが機能。来週も、未来につながる戦いを見せてほしい

第3セットのスタート、フェリペのポジションが前後入れ替わり、もとの位置に郡が入った。前日は出場機会がなかったJT広島の中島に、この日はサーブレシーブを崩されていた。「郡を入れてもサーブレシーブが安定してできるようにポジションを入れ替えました。相手が強いサーブを打ってきたけど、本間選手を中心に3人でよく我慢してくれました」と髙橋監督。このポジションチェンジが功を奏して、第3セットは25−14と圧倒した。リベロの本間を軸に守備のコンビネーションを高め、郡のバックアタックも前日に比べて増えている。郡、西田と続くサーブも悪くない。しかし、大事なところで相手のサーブがよく決まった。それでも、郡の活躍は秋田大会の2日間の大きな収穫だ。来週の徳島大会はいよいよV・レギュラーラウンドの最終週。来シーズンにつながる戦いを見せてほしい。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ広島
第1セット 25 - 27
第2セット 25 - 27
第3セット 25 - 14
第4セット 19 - 25
第5セット
日付 2021年3月21日(日)
試合 2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第32戦
場所 CNAアリーナ★あきた
メンバー 藤中、福山、フェリペ、村山、小林、西田 L本間
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