ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ

福山、西田がブロックで得点を量産。第2セット以降は、粘り強い守備から多彩な攻撃を披露。最後は西田のスパイクで締めくくった

 勝って泣き笑い。ジェイテクトSTINGSにとっての「2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 MEN」は今日のサントリーサンバーズ戦をもって終了した。最終順位は23勝11敗で4位。ディフェンディングチャンピオンとしては悔しい結果になったが、チームは全ての力を出し切った。シーズンを通して出た収穫も課題も、1カ月後の黒鷲旗、そして来シーズンにつながるに違いない。

 第1セットは、福山、村山の速攻で勢いをつけた。フェリペも強烈なスパイクをたたき込む。悪くないスタートを切った。相手のミスがあって6−2とリードを広げた。しかし、ここからサントリーがムセルスキーのサーブで襲いかかってくる。5連続失点で6−7。ようやく1点を返したが、今度は秦にサービスエースを許すなど3連続失点。7−10と追いかける展開になった。
 セッターの久保山はトスを西田に集め出す。サイドアウトの応酬が続いた。西田がサーブで相手を崩すと、自らのバックアタックでブレイクポイントを獲得。さらにフェリペもサービスエースを決めて14−14の同点に追いついた。
 しかし、ここから流れがつかめない。失点が続き16−19。ここで髙橋監督が2回目のタイムアウトを要求する。福山がBクイックで悪い流れを断ち切り、西田も強打をたたき込んだ。宮浦、伏見を投入するが、サントリーに落ち着いて試合を進められ、21−25で第1セットを失った。

 第2セットは拮抗した展開。フェリペのスパイクに続いて西田のブロックでブレイク。さらに西田がフェイントでサイドアウトを切ると、ここで回ってきたサーブを決めて4−2とリードを広げる。福山のブロックも飛び出し、藤中もスパイクを決めた。ジェイテクトSTINGSが幅のある攻撃を展開し、8−5で1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 ここからは互いに1点ずつ取り合う展開。しかし、我慢の展開にも、ジェイテクトSTINGSは集中力を切らさない。セッターの久保山はセンター線のクイックを軸に、要所で西田にトスを預けて得点を積み重ねる。藤中も大事な場面で得点を奪った。16−13で2回目のテクニカルタイムアウト。サントリーはムセルスキーをベンチに下げたとはいえ、ジェイテクトSTINGSがわずかにゲームを支配していた。
 しかし、サントリーの反撃がはじまる。ジェイテクトSTINGSは1点のリードをキープ。西田のブロックでラリーを制した。本間の好レシーブもチームを救った。一時は同点に追いつかれるが、村山がダイレクトで落として再び突き放す。20−19から西田のブロックでブレイク。リードを2点に広げると、一進一退の展開が続き、最後は西田がフェイントを決めて25−23でこのセットを制した。

 第3セットの序盤はジェイテクトSTINGSがリード。サントリーは大幅にメンバーを入れ替えてきたが、やるべきことは変わらない。フェリペ、西田が得点を重ね、8−4とリードを広げる。藤中が相手のスパイクをシャットアウトするなど、1回目のテクニカルタイムアウトを挟んで4連続得点を奪った。
 さらに福山がブロックポイント。西田、藤中がスパイクで続いて12−5と大量リードを奪う。攻撃の勢いが衰えない。西田、フェリペが立て続けに決めてブレイク。村山が決めて、16−8とダブルスコアで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 西田がサーブで攻めた。相手を崩し、フェリペが決める。19−11の場面で郡がコートに入り、攻撃の厚みが増した。3連続失点は喫したが、チームに大きなダメージはなかった。郡が決めてサイドアウト。ここで、金丸、袴谷がコートに入る。1本で切られたが、フェリペがすぐに流れを取り戻した。
 郡、西田が立て続けに決めて23−16。フェリペのスパイクでサイドアウトを切ると、最後は西田のブロックで25−17。ジェイテクトSTINGSが勝利に王手をかけた。

 第4セットもジェイテクトSTINGSが走った。西田が要所でスパイクを決めた。福山もノータッチエースを決めた。一度は逆転を許したが、6−7から4連続得点。村山のサーブが機能し、福山がダイレクトスパイク、ブロックを決める。藤中もうまくブロックアウトを取った。西田の身を挺しての好レシーブも光った。
 こうなると、ジェイテクトSTINGSの得意な展開だ。藤中のスパイクに続いて、福山がブロック。本間のジャンプトスを西田がうまく決めて得点を重ねる。さらに西田が高さのあるブロックで、相手のスパイクを仕留めた。
 西田が17点目を決める。リリーフサーバーで入った宮浦がボールをつなぎ、フェリペが決めて18−10。19−12になったところで、セッターの小林が入った。西田が気持ちよくスパイクを打ち、藤中のブロックで22−14。福山が決めてマッチポイント。
 最後はやはりこの男だ。西田が強烈なスパイクを決めてフィニッシュ。25−18としたジェイテクトSTINGSがセットカウント3−1で逆転勝ちした。

 長いリーグ戦が終わった。最後は勝って締めくくることができた。試合後の記者会見で西田はこう話した。
「相手がメンバーを入れ替えて全員で戦ってきている中、どういう状況でも勝つことが重要でした。結果を求められる立場なので、そこでしっかり勝てたことは来シーズンにもつながる。こうしてバレーボールができることは幸せだし、シーズンを戦い抜けたことをうれしく思います。皆さんに感謝します」
 まずは無事にリーグ戦を終えられたことに安堵し、しばしの休息のあと、1カ月後に開幕する黒鷲旗に向けて再びチーム一丸となって前進していきたい。

髙橋慎治監督

前日の敗戦から全員が気持ちを切り替えて戦い、最後はいい形で締めくくることができました。選手にも感謝していますし、スタッフや関わってくれた全ての人に、リーグ戦が無事に進められたことを感謝します。相手がサーブやスパイクで強気な攻撃を仕掛けてきても、選手がそれを耐えしのいで得点につなげてくれた。相手の攻撃に対して、ディフェンスで対応できたと思います。今シーズンは追われる立場になり、今までとは異なるプレッシャーがかかる中、選手たちは本当に頑張ってくれました。最終結果の4位は、現時点での我々の実力。これからデータや映像を分析して課題を明確にし、1カ月の黒鷲旗に向けて一つでも二つでもクリアして、チームとして成長できるようにしたいと思います。これからもたくさんの人に自分たちのバレーを見て楽しんでもらったり、勇気を届けられるように頑張ります。

本間隆太

今週はすでに順位が確定している中での試合だったこともあり、モチベーションの持ち方が難しい選手もいたと思います。昨日は特に、不甲斐ないプレーをしてしまいました。ただ、これもチームにとって、あるいは一人のアスリートにとっていい経験になりました。今日はファンの方々や応援してくださる方々への感謝の気持ちを込めてプレーできてよかったと思います。リーグ戦を振り返ると、こういう環境で生活をするのは全人類にとって初めてのことであり、アスリートとしては正直、大変なこともありました。バレーボールはあの狭いコートに6人が密集してプレーしなければいけません。その中でこうして戦えたことは、今後、必ず生きてくると思います。ただ、自分がもっとチームをまとめていけば、もう一つ、二つ順位を上げられたと思う。リーグ戦で出た反省を今後に生かしたいと思います。

藤中優斗

昨日、不甲斐ない試合をしてしまい、個人としても反省しています。今日は泣いても笑ってもこのメンバーで戦える最後の試合。その思いもしっかり持って臨みました。第2セット以降、サントリーさんはメンバーを代えてきましたが、僕たちは自分のことをしっかりやるだけ。強い気持ちで戦い、結果的に勝つことができてよかったと思います。今シーズンにかける思いは強かったのですが、終わってみれば技術面や精神面など、自分の未熟さが出てしまいました。もっとやれるという思いは強く持っていますが、それでも、チームメイトや僕を信じて使ってくださったスタッフの方々にはとても感謝しています。その分、結果で返すことが役目だと思っています。大事なのは、明日からの過ごし方。具体的には、サーブレシーブで貢献することは大前提として、攻撃面でもっと貢献できるように頑張ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

ブロックランキングは福山が2位、西田が3位。大きな自信につながるシーズンになった

ブロック賞の行方は最終戦までもつれ込んだ。前日の段階で、福山がJT広島の小野寺をセット平均0.01差で上回り首位に立っていた。今日のサントリー戦でも4本のブロックを決めた。しかし、小野寺が今日のVC長野戦で7本のブロックポイント。福山は初のブロック賞にわずかに届かなかった。それでも、今シーズンのチームの成長を語る上で、ブロックは欠かすことができない。好調の要因について福山は、ステップと手の出し方に取り組んできた成果と前日の記者会見で話している。髙橋監督はブロックについて、こう話した。「フェデリココーチが練習のときからしっかりチェックして、アドバイスをしてくれています。それに加えて、個別練習でもブロックをやっている選手がすごく多い。今シーズンは全体的にブロックに対する意識が高く、こうして数字にも表れたことで大きな自信になったと思います」。ジェイテクトSTINGSにとって、新境地を切り拓いたシーズンになった。1カ月後の黒鷲旗、そして、来シーズンに向けて、楽しみはますます膨らむばかりだ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ
第1セット 21 - 25
第2セット 25 - 23
第3セット 25 - 17
第4セット 25 - 18
第5セット
日付 2021年3月28日(日)
試合 2020-21 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第34戦
場所 徳島県立産業観光交流センター
メンバー 藤中、福山、フェリペ、村山、西田、久保山 L本間
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