ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ広島

都築が第2セット終盤から出場。勢いを取り戻したが、第4セットは相手のブロックにつかまり序盤からリードを許す

 東京五輪が終わり、いよいよ「2021-22 V.LEAGUE DIVISION1」が幕を開けた。昨シーズンは4位に終わったが、若い選手が台頭した今シーズンはさらなる飛躍に期待がかかる。新たに指揮を執るファジャーニ監督のもと、若手とベテランの融合も一つのポイントになるだろう。まったく新しいジェイテクトSTINGSが見られるかもしれない。
 開幕戦の相手はJTサンダーズ広島。エドガー、小野寺ら高さのある選手を揃える強敵だ。
 しかし、ジェイテクトSTINGSの布陣に不安はない。キャプテンはリベロの本間。アウトサイドヒッターは昨年と同様、フェリペと藤中が入った。ミドルブロッカーは、日本代表の福山とルーキーの村山が対角を組む。セッターは久保山。オポジットは、アジア選手権で自信をつかんだ宮浦だ。今いるベストの7人が、スターティングラインナップに名を連ねた。

 第1セットは硬さが見られた。最初の1点はJT広島に入った。フェリペのスパイクがブロックされた。難しいハイセットだったが、いきなり出鼻をくじかれた形だ。さらにフェリペのフェイントがキャッチの反則を取られた。その後もコンビネーションが合わず、なかなかきっかけがつかめない。宮浦が反撃の一打を浴びせ、ようやく5−5の同点に追いついた。
 JT広島に10点目が入り、ビハインドが3点に広がったところでファジャーニ監督はタイムアウトを要求する。福山がジャンプサーブを打つなど相手に揺さぶりをかけるが、流れは大きく変わらない。宮浦のスパイク、村山のクイックもリズムをつかむには至らず、2回目のテクニカルタイムアウトを4点のビハインドで迎えた。
 サーブのエラーも悪循環を招いた。15−22で2回目のタイムアウト。宮浦が相手コートにうまくボールを落とすが、反撃もここまで。18−25で第1セットを失った。

 第2セットもJT広島のペースで進行した。立ち上がりから5連続失点。1−6となったところで、セッターを久保山から小林に代えた。これで流れが変わった。宮浦、村山が立て続けに決めてブレイク。フェリペのサービスエースも決まり2点差に迫った。3点のビハインドで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えたが、反撃の兆しが見えてきた。
 宮浦の好レシーブから藤中が決めて7−8と1点差。サイドアウトを切られたが、ここから宮浦のバックアタック、藤中のブロックなどで3連続得点を奪う。10−9とついに逆転に成功した。小林はサイドに偏ることなく、福山、村山のクイックをバランスよく使った。ギアを上げてきた宮浦の活躍もあり、16−15で2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 しかし、終盤はJT広島の一方的な展開。17−17からタイムアウトを挟んで4連続失点。JT広島がセットポイントを迎えたところで、ルーキーの都築を投入する。さらにリリーフで送り込まれた道井のサーブがアウトになり、19−25で失セットを喫した。

 ジェイテクトSTINGSの反撃は、都築がスタートから入った第3セットに訪れた。福山のクイックで先制。アウトかと思われた宮浦のスパイクは、チャレンジが成功して相手のタッチネットと判定された。さらに宮浦のバックアタック、都築のサービスエースでブレイク。藤中のスパイクでラリーを制して6−3。小林が2本目でスパイクを打ち、宮浦のスパイクなどで着々と得点を重ねる。8−5とリードを奪った。
 宮浦が攻撃の中心としてチームを引っ張った。ラリーになれば、藤中が高い決定力を発揮した。本間の声がけも、チームが前を向くきっかけになった。しかし、福山のクイックが止められて同点に。小林のトスが乱れ、15−16と逆転を許した。
 終盤は我慢比べとなった。ジェイテクトSTINGSはルーキーの活躍が光った。都築のスパイクでサイドアウトを切ると、宮浦も力強いバックアタックを放った。さらに村山が値千金のサービスエース。21−19とリードを広げた。23点目を取ったところで、ワンポイントブロッカーとして金丸を投入。この采配が功を奏した。福山のブロックでフィニッシュ。25−20でこのセットを取り返した。

 しかし、第4セットの序盤はJT広島の高いブロックが襲いかかってきた。都築、宮浦が止められ、2−5となったところで1回目のタイムアウト。ここからセッターの小林は調子を上げてきた都築にトスを集める。都築はその期待に応え、確実にサイドアウトを切っていく。中央からのバックアタックも効果的だった。福山もクイックを決め、7−8と1点差に詰め寄った。
 後衛に回った藤中に代えてフェリペを投入するなど変化も見せた。相手のミスが続いて3連続得点を奪い、12−14と点差を縮めた。しかし、この日はサーブミスが最後まで響いた。4点のビハインドで2回目のテクニカルタイムアウト。興梠を投入して守備を固めた。宮浦が難しいトスを決めたが、JT広島の勢いは止まらない。14−20とビハインドが広がった。
 ジェイテクトSTINGSの集中力は最後まで途切れなかった。福山が高い打点からクイックを決めた。村山のクイックに続いて、宮浦がサービスエース。しかし、これ以上点差を縮めることができず、19−25で敗れた。

 開幕戦を落としたが、内容は悪くなかった。何しろ、宮浦、都築をはじめとする若手に可能性の高さを感じることができた。長いリーグ戦、巻き返しのチャンスは十分にある。
「まずはJT広島の素晴らしいプレーを讃えたいと思います。ジェイテクトSTINGSにとって今日の試合は、スターティングポイントです。このチームのプロジェクトのはじまりで、いいプレーを見せることもできました」
 ファジャーニ監督も試合後の会見でこう話している。「2021-22 V.LEAGUE DIVISION1」はまだはじまったばかり。ここから徐々に上げていけばいい。

フェデリコ・ ファジャーニ監督

今シーズンは個別の練習とチームの強化が必要だと思っています。それらを同時に行っていかなければいけません。もちろんレシーブシステムにも力を入れなければいけないし、個別のスキルを上げていくことも重要です。その上で、チームとして自分たちのプレーを生かすことが重要になってくる。これからもチームの質を上げていきたいと思っています。今日は第1セットからコンビが合わず、途中で選手を交代しました。サイドアウトのパーセンテージも低く、今後はもっとサイドアウトに力を入れていかなければいけないと思っています。

宮浦健人

入りの部分で悪いところもありましたが、第3セットから都築選手が入り、そこで修正できたことはよかった点だと思います。また、第4セットは、序盤で粘れなかったことが、敗因につながりました。まだまだコンビも噛み合っていない部分があるので、そこは自分たちの課題にしながら、長いリーグ戦の中で徐々に合わせていけたらと思っています。第3セットまでは通過点を意識して打てていましたが、第4セットになって通過点を落としてしまい、相手にブロックされるケースが増えました。そこは今後の課題になります。また、終盤の粘りというところで、体力面でももっとレベルアップしなければいけないと思います。

村山豪

初戦の難しさを改めて感じました。ここまで練習ではコンビを意識してやってきたけど、うまくいかなくなったときにコミュニケーションが取れず、お互いに「どうしよう」と不安になってしまいました。今シーズンはサーブを武器の一つにしていますが、そのサーブが今日は機能しませんでした。例え入ったとしても、JT広島さんのレセプションがよく、そこからコンビを組み立てられてしまった。相手に気持ちよく決められてしまいました。また、サーブで流れがつかめず、ブロックも機能しなかった。そこがJT広島さんとの差になって現れたと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

若手の成長に期待。今シーズンのチームカラーが見えてきた

ファジャーニ監督は試合後の記者会見で英語と日本語を交えながら「lots of 我慢」と言った。「若い選手を育てるためには我慢しなければいけない」ということだ。「このチームには、若くてポテンシャルの高い選手がたくさんいます。ジェイテクトSTINGSの未来だけでなく、日本代表でも活躍できるでしょう。今日は負けましたが、落ち込むことなく、常に前向きな姿勢でハードワークし続けることが大事だと思います。もちろん、若い選手とベテランを融合させることも重要です」とファジャーニ監督。勝敗に一喜一憂することも大事だが、それ以上にチームの成長を見守る視点も忘れてはいけない。その意味では、都築がVリーグデビューを飾り、宮浦、村山も課題を口にした。チームのベクトルを合わせる上で、非常に重要な一戦になったと言える。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS JTサンダーズ広島
第1セット 18 - 25
第2セット 19 - 25
第3セット 25 - 20
第4セット 19 - 25
第5セット
日付 2021年10月15日(金)
試合 2021-22 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第1戦
場所 ウィングアリーナ刈谷
メンバー 藤中、福山、フェリペ、村山、宮浦、久保山 L本間
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