ジェイテクトSTINGS VS FC東京

コンビがかみ合わず第2、3セットは失速。袴谷、小林、都築ら途中から入った選手がチームを勢いづけた

 会心の立ち上がりだった。フェリペが球足の長いスパイクを決めて先制。宮浦がフェイントを相手コートにポトリと落としてブレイクポイントを奪う。福山がサーブで相手を崩し、フェリペがうまく決めて4−0。FC東京はここで早くもタイムアウトを要求した。攻撃の手を緩めないジェイテクトSTINGSは、その後も福山のクイックなどで確実にサイドアウトを奪取。3点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 さらに久保山のサービスエース、宮浦のブロックで連続得点。リベロの本間が守備を固め、試合の主導権を完全に握った。要所で藤中、フェリペのサイド陣が高い決定力を発揮。久保山のブロックを皮切りに、フェリペのサービスエース、村山のブロックで3連続得点を奪い、16−10とリードを広げた。
 終盤も落ち着いた試合運びを見せた。宮浦が高い打点からスパイクを放ち、久保山がネット際で強さを見せた。18−11でFC東京は2回目のタイムアウトを要求。レセプションが乱れても、お構いなしとばかりに宮浦が強打をたたき込んだ。21点目を取ったところでリリーフサーバーの道井がコートイン。村山のスパイクなどで連続得点を重ね、フェリペが決めてセットポイント。第1セットを25−17と圧倒した。

 しかし、第2セットは22−25、第3セットは23−25と僅差で落とした。ジェイテクトSTINGSが何かで劣っていたわけではない。ましてや油断していたわけでもない。パイプ攻撃も機能していたし、サーブも走っていた。確かにFC東京は気持ちをむき出しにしてきたが、これまで何度もそうしたプレッシャーに打ち勝ってきた。
 第2セットは追いかける形でゲームが進行したが、終盤は途中から入った興梠が守備を固め、宮浦、藤中が立て続けに決めて22−23。リードしているFC東京を慌てさせた。
 第3セットも中盤まで一進一退。しかし、徐々にコンビネーションが合わなくなり、セッターを久保山から小林に、オポジットを宮浦から袴谷にスイッチ。道井のサービスエースで18−19と1点差に迫った。逆転のチャンスがなかったわけではない。袴谷の好レシーブからフェリペが決めて22−22の同点に追いついている。最後は連続失点でこのセットを落としたが、下を向く者はチームに一人もいなかった。

 反撃がはじまったのは、久保山、宮浦をコートに戻した第4セットだ。序盤からサーブが走った。エンドラインを超えたが、福山が鋭いスピンがかかったサーブを放った。宮浦がサーブで攻めて、久保山のダイレクトスパイクをお膳立て。フェリペもサービスエースを決めるなど、5−2とリードを奪った。
 藤中のスパイクが立て続けに止められたところで、ファジャーニ監督は都築をコートに送り込んだ。この采配が功を奏した。福山のクイックなどで3連続得点。高さのある都築がネット際でプレッシャーをかけ続けた。前衛に上がってきたフェリペが難しいトスを決め、確実にサイドアウトを切っていく。村山はブロック、クイックで加点。2回目のテクニカルタイムアウトを3点のリードで制した。
 後半はサイドアウトの応酬となった。一時は4点のリードを奪ったが、スパイクミスなどもあり19−15から4連続失点。タイムアウトでも流れを変えることができず、同点に追いつかれた。
 ここからは意地と意地のぶつかり合い。気迫を見せたのがフェリペだ。ネット際に上がったボールを相手コートにたたき落としてブレイク。そして、土壇場で対角の都築が大車輪の活躍を見せた。高い打点から思い切って右腕を振り抜き、着々と得点を重ねていく。ジュースにもつれ込んでも、度胸満点のプレーでチームを牽引した。フェリペが決めて3度目のセットポイント。最後はフェリペのブロックで、勝負の行方をフルセットに持ち込んだ。

 運命の第5セットは、互いに1点ずつ取り合う展開。セッターの久保山が巧みにトスを散らし、フェリペ、都築、福山、宮浦が決めて粘り強くサイドアウトを切っていく。
 流れをつかんだのは、6−8からだ。相手のサーブミスでサイドアウトを切ると、宮浦がサーブで攻め、村山がブロック。フェリペもブロックで続き、さらに宮浦のサービスエースで10−8とリードを広げた。
 最後は都築が見せ場を作った。高さのあるトスにタイミングを合わせて得点。キレのあるスパイクでコートの奥を突くと、うまくブロックアウトを取ってマッチポイント。最後は福山がネット際を制して15点目。相手の得点を11点に抑え、熱戦に終止符を打った。

 文字通りの総力戦だった。タフな試合で粘り負けしなかったことは大きな収穫だ。福山はコートインタビューで「苦しい展開だったけど、代わりに入ってきた(小林)光輝や袴谷さん、そして(都築)仁が最後まで仕事をしてくれた」と語った。
 来週はアウェイで昨シーズンの覇者、サントリーと対戦する。さらなる高みを目指して、一歩ずつ成長していきたい。

フェデリコ・ ファジャーニ監督

FC東京は昨日の試合に比べてリアクションがあり、難しい試合になることはわかっていました。一つ一つのボールに対して我慢し続けたことで、勝利という結果を得られたと思います。チームワークと諦めない精神、それが第5セットに持ち込むことができた要因です。例えば、相手に2点のリードを許しても、最後まで諦めずに戦った。また、途中から入った選手の活躍も、勝利につながったと思います。勝ちたいと思う気持ちは昨日と一緒で、第3セットも勝てるチャンスはありました。今日はサイドアウトで苦戦しましたが、全ての面でこのチームは伸びる可能性があると思っています。

袴谷亮介

僕自身は途中から入ってすぐに下がってしまいましたが、総力戦で勝てたので、次につながるいい試合になったと思います。昨日の試合は、相手がブロックでプレッシャーをかけてきても、3本目に打つ選手がしっかり決めていました。しかし、今日はFC東京さんのほうが拾ってつなぐプレーが多かったし、自分たちが決め切れなかったことで苦しい展開になったと思っています。若い選手の中でも、宮浦選手や村山選手は早稲田大でレベルの高いバレーをしてきました。意識も高く、見習うところはたくさんあります。ベテランがどうフォローしていくかを、金丸さんや興梠さんとよく話しています。監督もリーグ終盤に向けてチームを完成させていきたいと言っているので、僕たちもそれに応えられるように頑張ります。

都築仁

攻撃やブロックが評価されていると思うので、コートに入るときはそれらを発揮して流れを変えることを意識しました。僕はそれほど盛り上げるタイプではありませんが、コート内の雰囲気がちょっと沈んでいたので、プレーで盛り上げようと考えていました。第4セットはそれほどよくなかったけど、第5セットは上がってきたトスをしっかり打ち切れたと思います。また、第5セットは宮浦選手がいいサーブを続けて、そこで得た3連続得点が大きかった。僕も調子は悪くなかったので、気持ちもだいぶ楽になって、スパイクを積極的に打てるようになりました。これからどういう形で試合に出るかわかりませんが、コートの外にいても気持ちを切らさず、常に準備をしてチームに貢献できるように頑張ります。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

ルーキーの都築が本格始動。チームの完成に向けて、期待が膨らむ

第4セットの途中から入った都築が11本のスパイクを放って7得点。63.6パーセントの決定率をたたき出した。思い切りのいいスパイクでチームを牽引。高さのあるブロックも見せた。溌剌としたプレーで流れを引き寄せ、フルセットの勝利に貢献した。何より、攻撃面で数多くの見せ場を作っている。「トスが上がってこなかったら、僕が入っている意味がありません。ブロックやオフェンスで評価されていると思うので、トスが上がってくることは想定していました」と堂々たるプレーぶりだ。「まだまだ伸びる可能性がある」と太鼓判を押すファジャーニ監督も「特に攻撃面でのパフォーマンスがよかった。できるだけ出場機会を与えて、今シーズンを通して成長させたい」と目を細めた。宮浦、村山に加えて、同期の都築も本格的に始動。道井もコートに立つ機会が増えてきた。シーズンが終わる頃に、チームはどこまで完成に近づくのか。期待が膨らむ。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS FC東京
第1セット 25 - 17
第2セット 22 - 25
第3セット 23 - 25
第4セット 27 - 25
第5セット 15 - 11
日付 2021年10月24日(日)
試合 2021-22 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第4戦
場所 パナソニックアリーナ
メンバー 藤中、福山、フェリペ、村山、宮浦、久保山 L本間
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