ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ

宮浦の活躍で第1セットを先取。陳もVリーグデビューを果たした。しかし、第5セット終盤に引き離されて惜しくも敗戦

 4試合を終え、早くも全勝のチームが消えた。今シーズンのV1男子は例年以上に混戦が予想される。逆に言えば、全てのチームにチャンスがあるということだ。立ち止まることなく、最後まで前進を続けたい。

 3連勝で乗り込んだ丸善インテックアリーナ大阪。相手は昨シーズン覇者のサントリーサンバーズ。出端をくじきたいジェイテクトSTINGSは、立ち上がりから一気呵成に攻め込んだ。宮浦のスパイクで先制。福山のノータッチエースもあり、幸先よく3点を奪う。その後もフェリペのスパイク、ブロックで着実に得点を重ねた。セッターの久保山は巧みにトスを散らし、村山のクイック、藤中のスパイクなどで1回目のテクニカルタイムアウトを3点のリードで奪った。
 中盤は一進一退。ここで久保山が選択したのは宮浦だ。強烈なスパイクでラリーを制したかと思ったら、難しいS1ローテでもレフトから相手コートの奥にたたき込んだ。村山のサーブで相手を崩すと、フェリペがネット際で強さを発揮して12−8。さらに1点を積み重ねたところで、サントリーが1回目のタイムアウトを要求した。
 要所で決めた藤中のバックアタックも効果的だった。5点のリードで2回目のテクニカルタイムアウトを迎えると、久保山のブロックでブレイク。完全にゲームの主導権を握った。明暗を分けたのはサーブだ。ジェイテクトSTINGSのサーブが機能し、相手から攻撃の選択肢を奪うことに成功。サイドアウトも確実に切っていた。
 フェリペの強烈なバックアタックで19点目。22−17となったところで、合流したばかりの陳がワンポイントブロッカーとしてコートに入る。すぐに1点を返されたが、相手のサーブミスが続いてセットポイント。最後も相手のサーブミスで、このセットを25−21で制した。

 第2セットは14−25、第3セットは19−25で失セットを喫した。
 第2セットは、サーブレシーブが乱れて序盤に6連続失点。1−7とリードを許した。都築、袴谷、小林が途中からコートに入ったが、大きく流れを引き寄せることはできなかった。
 巻き返したい第3セットは、宮浦の活躍などで前半をシーソーゲームに持ち込む。要所で村山がブロックポイント。相手の連携にミスが出て、一時は9−8と逆転に成功した。しかし、なかなか流れがつかめない。9−11となったところでファジャーニ監督は1回目のタイムアウトを要求する。苦しい場面は、藤中のスパイクでサイドアウトを切った。興梠を投入するなど守備の安定を図ったが、終盤は一方的に攻め込まれて19−25で敗れた。

 反撃の第4セットは、小林、都築がスタートから入った。攻撃のリズムを取り戻し、決定率が落ちていた宮浦の調子も上がってきた。都築のバックアタックでサイドアウトを切ると、福山のブロックでブレイク。1点のリードで1回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 その後も拮抗した展開が続く。ジェイテクトSTINGSは村山が本領を発揮。ブロック、クイックで得点を重ねていく。宮浦のスパイクでサイドアウトを切り、藤中のブロックで14−12。このセット、初めて2点のリードを奪った。途中から入った興梠が好レシーブを連発し、リベロの本間とともに守備面で貢献した。大事な場面でスパイクを決める宮浦の働きも大きい。
 コートに戻ってきた都築がネット際で押し込んで18−17。ここで入ったリリーフサーバーの道井が値千金のサービスエースを決める。一時は21−22と再び逆転を許したが、タイムアウトで嫌な流れを断ち切った。宮浦がすぐさま決めて同点に。陳の投入もチームを勢いづけた。
 相手のサーブミスで23−23。ここで福山が会心のブロック。先にセットポイントを奪った。小林がサーブで相手を崩し、返ってきたチャンスボールを宮浦が決めて25点目。試合の行方を第5セットに持ち込んだ。

 先に抜け出したのはジェイテクトSTINGSのほうだった。村山のブロックなどで2−0。小林はブロックでもチームに貢献し、序盤のイニシアチブを握る。小林が再びブロック。宮浦もうまく相手の指先を狙って得点を重ね、サントリーの先行を許さない。ジェイテクトSTINGSに8点目が入ったところでコートチェンジ。試合を優位に進めた。
 8−9と相手にリードを許したところで、ファジャーニ監督は早めのタイムアウト。村山のブロックで9−9の同点に追いついた。さらに相手にミスが出て1点を先行したままゲームが進行する。
 ベンチも動いた。藤中に代えてフェリペを投入。さらに興梠を送り込んで守備を固めた。しかし、土壇場で宮浦が止められて11−12。1点を返すものの、村山のサーブはわずかにアウト。タイムアウトでも相手の流れを止められず、12−15で敗れた。

 フルセットの接戦を落とした。ダメージは小さくないが、しかし、下を向く必要はない。
「最後に勝ち切れなかったことは、シンプルに悔しいです。個人的にも課題が残り、チームに貢献できなかった。悔いが残る試合になりました」
 試合後にこう振り返った都築。もとより簡単な相手などいないことはわかっている。仲間を信じて、一戦一戦を全力で戦うのみだ。

フェデリコ・ ファジャーニ監督

アップダウンの多い試合でしたが、自分たちの存在は見せつけることができたと思います。私がいる間のジェイテクトSTINGSの目標の一つが若手の育成です。今シーズンのスローガンは「GOOD. BETTER. BEST(良い、より良い、最善な)」で、ポテンシャルの高い若い選手に出場機会を与えたいと思っています。そして、一戦一戦を決勝戦だと思って戦うのが、もう一つの目標です。陳選手は、まずはベストなコンディションに持っていくことが重要です。今はワンポイントブロッカーとしての起用ですが、私が必要とするときに出していきたい。明日はより良い試合ができるように頑張ります。

小林光輝

第4セットからでも巻き返して逆転できると思っていたので、自分が今までやってきたことを全部出そうと思ってコートに入りました。チームとしては、サーブで崩していたときは、ブロックが機能して得点が取れていたと思います。逆に相手に攻められたときはサイドアウトが取れず、ブレイクもできず、うまくいかないことが多かった。勢いのある後輩が多いので、その勢いに乗っかりながらチームを盛り上げていきたいと思っています。リーグ戦はまだはじまったばかりですが、リーグ優勝はチームの目標でもあるので、そこに貢献できるように日々の練習から100パーセントを出し続けられたらと思います。明日の試合は、まずは勝ち切ること。同じ相手と試合をするので、データを頭に入れて頑張りたいと思います。

宮浦健人

少しのミスが響いて、フルセットの試合を落としてしまいました。もったいないという印象です。確かに、自分の中で通用すると感じているところはありますが、まだ荒削りなプレーが多く、課題もたくさんあります。まだまだ未熟な部分があるので、同期と支え合いながら頑張っていきたいと思います。サイドアウトに関しては、相手がサーブで攻めてくることを想定し、パスが返ったときは周りの選手がクイックやパイプを決めてくれると思っています。それに対して、Cパスが増えてくると、やはり自分が得点を決めなければいけません。オポジットはそれを決めないといけないポジションなので、自分の課題として取り組んでいきたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

ポイントはサイドアウト。MBがどれだけOHを楽にできるか

ファジャーニ監督が重視しているのがサイドアウトだ。今日の試合に限らず、サイドアウトが取れているときは、優勢に試合を進めている。しかし、取られたセットのほとんどが終盤に連続失点。ファジャーニ監督はこう説明した。「今日はいつも通りにサイドアウトが切れなかったことが多かった。それでも、第4セットは若い選手がいい試合を見せてくれた。ただし、キーポイントになるサイドアウトの数字をもっと上げていかなければいけない」。サーブレシーブの安定、真ん中からの攻撃など課題は少なくない。ミドルブロッカーの村山は「アウトサイドヒッターが相手の強烈なサーブを受けて、それをABパスにしてくれています。やはり真ん中のクイック、パイプ攻撃を軸にして、そこでサイドアウトを取らないと後々苦しい展開になる。アウトサイドヒッターをどれだけミドルブロッカー陣が楽にできるかがサイドアウトだと思っているので、そこを詰めていきたいと思います」と話した。大事なのは、一人ひとりがそれぞれの役割を果たすこと。それを認識し、遂行することができれば、大崩れすることはない。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS サントリーサンバーズ
第1セット 25 - 21
第2セット 14 - 25
第3セット 19 - 25
第4セット 25 - 23
第5セット 12 - 15
日付 2021年10月30日(土)
試合 2021-22 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第5戦
場所 丸善インテックアリーナ大阪
メンバー 藤中、福山、フェリペ、村山、宮浦、久保山 L本間
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