ジェイテクトSTINGS VS 大分三好ヴァイセアドラー

我慢の時間も全員が高い集中力を発揮。セッターの久保山を軸に多彩な攻撃を展開し、相手に付け入る隙を与えなかった

 内容が伴った会心の勝利だ。前日の試合で負けた大分三好ヴァイセアドラーにストレート勝ち。敗戦のショックを一掃した。年に一度の秋田大会を、あふれんばかりの笑顔で締めくくった。

 立ち上がりはジェイテクトSTINGSが3点を先行した。ブロックでワンタッチを取ってボールをつなぎ、宮浦のスパイクでラリーを制した。この日も村山のブロックが機能。大分三好のエメルソンのスパイクを止めて勢いをつかんだ。フェリペもハイパフォーマンスを発揮。うまく相手コートにボールを落とすと、サイドラインいっぱいにサーブを決めて主導権を握った。
 サイドアウトも確実に切った。セッターの久保山が積極的にクイックを使い、それに村山が応えた。フェリペのバックアタックで8−4。順調に得点を重ねていった。
 抜け出したのは第1セットの中盤にさしかかった頃だ。12−9で大分三好のサーブ、藤中が真上に上げたパスを久保山がアンダーでレフトにトス。フェリペが柔らかいボールを相手コートにポトリと落とした。さらに宮浦がつないだボールを自ら決めてブレイクポイント。ここで大分三好は1回目のタイムアウトを要求する。しかし、相手のミスが続いてジェイテクトSTINGSが加点。4連続得点を奪い、16−9で2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 あとは確実にサイドアウトを切っていくだけだ。久保山はセンター線を積極的に起用。福山とのコンビで確実に得点を重ねていく。終盤は落ち着いてゲームを進めた。宮浦がバックライトから決めて22点目。陳がコートに入り、ネット際を固めた。村山もブロックで相手のスパイクをたたき落とした。
 藤中のスパイクでセットポイント。最後は相手のスパイクがアウトになり、25−18で第1セットを先取した。

 第2セットも我慢の展開が続いた。1−4と相手に先行を許したのだ。しかし、ジェイテクトSTINGSの集中力は高く、ここから確実にサイドアウトを切っていく。フェリペのサービスエースもあって、4−5と1点差に迫った。福山がクイックで相手コートのど真ん中にボールを突き刺し6−8。ジェイテクトSTINGSに慌てる者は一人もいなかった。
 中盤も一進一退。宮浦の強打が炸裂し、藤中からの難しいトスをフェリペがたたき込んだ。サイドを中心に攻めると、セッターの久保山は要所で村山のクイックを使い相手のブロックに揺さぶりをかける。これで10−10。藤中が決め、村山のサービスエースでついに13−12と逆転に成功した。しかし、その後は3連続失点。2回目のテクニカルタイムアウトを14−16で失った。
 福山が縦のBクイックでサイドアウトを切ると、フェリペがブロックでブレイク。16−16と再び同点に追いついた。ラリーになれば、リベロの本間が精度の高いトスを上げ続けた。福山がうまく相手コートにボールを落として17−17。さらにジェイテクトSTINGSが1点を加算したところで、大分三好が1回目のタイムアウトを要求する。
 21−21の場面、ファジャーニ監督はワンポイントで陳と道井を同時に投入。勝負をかける。ここは一本で切られたが、前衛に上がってきた藤中に代えて都築をコートに送り込んだ。
 宮浦が土壇場で連続得点。福山がブロックでワンタッチを取ったことも大きかった。しかし、大分三好も粘りを見せる。ジェイテクトSTINGSにとって、4度目のセットポイントだった。最後は相手のスパイクがアウト。ジェイテクトSTINGSが28−26で競り勝った。

 2セットを連取した。10分のインターバルを経て、キャプテンの本間は第3セット直前のコートでチームに集中をうながした。
 これでチームが締まった。大分三好の山田の強烈なサーブを、本間が身を挺して上げた。フェリペのスパイクは拾われたが、ネット際に上がったボールを福山が押し込んだ。サイドからの攻撃が対策を取られると、村山の強烈なBクイックでサイドアウトを切った。6−8で1回目のテクニカルタイムアウトを取られたが、内容は決して悪くなかった。守備でプレッシャーをかけ続けた。
 8−10から村山、久保山のブロックで4連続得点。宮浦がサーブで攻めた成果でもあった。逆転に成功すると、フェリペ、宮浦にトスを集めて加点。福山が高い打点から思い切って打ち込み、先に16点目を奪った。テクニカルタイムアウト開けのプレーで、久保山がコーナーいっぱいに決めてサービスエース。福山はこの日、12本中9本を決めるなど高い決定率を残している。体勢を崩しながら強引にボールをねじ込むなど、勝負強さも見せた。
 フェリペのブロックで20−15としたところで、大分三好は2回目のタイムアウトを要求。これで試合の趨勢は決した。宮浦のサービスエースで23−16。フェリペのスパイクでマッチポイントを奪うと、最後は宮浦が柔らかいボールを相手コートにポトリ。このセットを25−18で制し、セットカウント3−0で勝利をつかんだ。

 選手は皆、安堵の表情を浮かべていた。しかし、ファジャーニ監督は気を引き締めた。
「ブレイクポイントやサーブマネジメント、コンビを合わせること、それからハイボールの練習もしなければいけません。いろいろなコンセプトがありますが、このチームはすごいポテンシャルを持っているという認識を持って練習に取り組んでいきたい」
 来週は松本大会でVC長野と対戦する。もう立ち止まる必要はない。ただ前進あるのみだ。

フェデリコ・ ファジャーニ監督

昨日に比べてリアクションがあり、自分たちのバレーが展開できました。集中力もあり、重要なところで我慢強くプレーすることができました。第2、3セットは1点1点の争いになりましたが、最後まで集中することができたと思います。ミドルブロッカーとのコンビもよかった。バレーボールで一番大事なことはサイドアウトです。Vリーグでは、60〜70パーセントの得点がサイドアウトによるものです。サイドアウトをしっかり切っていれば20点までは取れますが、終盤はディグを1本でも上げればブレイクポイントが取れて試合にも勝つことができます。これからも、サイドアウトの練習に力を入れていきたいと思います。

本間隆太

昨日もデータ上は悪くないプレーをしていました。そのため、今日も「ここは取られちゃいけない」「ここは絶対に取ってリズムに乗らないといけない」というポイントをしっかり取れば何も問題ないということを、選手間で共有していました。そこがよかったのと、サイドアウトをしっかり取れば、パナソニックに勝ったときと同じようなゲームができると思いました。個人的には、まずはレセプションで大きく崩されないこと。ABパスでなくても、しっかり納めるところに納めてスパイカーが攻撃できるところに置いておけば、最後はいいスパイカーが決めてくれる。あとは、ブロックとディグの関係で福山選手や村山選手とコミュニケーションを取り、1本でも2本でも上げれば、それが点数に結びつかなくても相手にプレッシャーがかけられます。そういう点で、今日の試合は昨日よりもプレッシャーがかけられました。

福山汰一

今日は、セットを取るまでしっかりとサイドアウトを切り続けられたのでよかったです。サーブは昨日もよかったけど、今日も相手を崩す場面が何度もあり、そこからブレイクポイントを奪うこともできた。いいバレーができたと思います。やはり宮浦選手とフェリペ選手がサーブを打つときのローテーション、僕が後衛のときは一番サーブが強い選手に順番が回ってくる。そこで崩したときは、リーグがはじまった頃よりも、相手のスパイカーに寄れていると思います。村山選手は昨日も7本止めていましたが、あそこの2ローテは、ブレイクするにあたってすごく大事なところ。それが試合を重ねるごとに数値になって表れていると感じます。逆に僕が前衛にいて、フェリペ選手がブロックにいないときは、少し手を出すのが遅れてブロックアウトを取られることが多い。基準と形、タイミングをもっと詰めて、表と裏で差がない状態にしてブレイクが取れるようにしたいと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

2セットを取ったあとの入り方に、チームの成長を感じさせた

前日の試合は、第4セットの入り方に苦しんだ。2セットを連取して、一歩リードした直後のセットだった。それだけに、今日の試合も、2セットを連取したあとにどういう入り方をするのかに注目していた。すると、10分のインターバルのあと、第3セット直前のコート上でいつもより長く円陣を組んでいた。会話の中心にいたのはキャプテンの本間だ。そのときの様子を聞いた。「第2セットの最後は、取り切れなかった点数がいくつかありました。取らなければいけないポイントが2つくらいあったけど、それを相手に取られてしまった。最後はたまたま相手のスパイクがアウトになりましたが、これからも競った状態になればプレッシャーもかかってくるでしょう。そんなのは当たり前。でも、ストレスがかかることを想定してプレーすれば、ドタバタしないで済みます。タフなゲームになるから、第3セットもそういうことを想定してプレーしようという話をしました」。果たして、チームは抜群の集中力を見せた。大分三好の山田の強烈なサーブを、本間がうまくさばいて得点につなげた。その後も粘り強くサイドアウトを切っていった。同じ轍は踏まない。シンプルだが、チームの成長を感じさせる一戦だった。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS 大分三好ヴァイセアドラー
第1セット 25 - 18
第2セット 28 - 26
第3セット 25 - 18
第4セット
第5セット
日付 2021年11月21日(日)
試合 2021-22 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第10戦
場所 CNAアリーナ★あきた
メンバー 藤中、福山、フェリペ、村山、宮浦、久保山 L本間
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