ジェイテクトSTINGS VS VC長野トライデンツ

新加入の陳がスタートから躍動し、全員で我慢強く得点を重ねていく。終盤はフェリペが獅子奮迅の活躍を見せた

 タフな一戦だった。もちろん、楽な試合などないことは誰もが理解している。全員が最後まで集中力を切らさずに戦った。スタートの7人だけでなく、代わって入った選手も活躍したことが、何よりもそのことを証明していた。

 陳が加入後、初めてスタメンで入った。立ち上がりはフェリペにトスを集めてサイドアウトを切っていく。宮浦がバックライトから強烈なスパイクをたたき込んだ。相手に傾きかけた流れは、福山のクイックで断ち切った。宮浦の強打でブレイク。徐々に流れを取り戻すと、陳のブロック、フェリペのバックアタックなどで3連続得点。9−5とリードを広げた。
 陳はこの日、トータルで5本のブロックポイントを決めている。ファジャーニ監督も「1試合目であることを考えると、すごくいいプレーをしてくれた」と評価した。
 宮浦も高いパフォーマンスを発揮した。一時は1点差まで詰め寄られるが、サービスエースを決めて再び引き離した。さらに宮浦が好レシーブでつないだボールを福山がトス。それを藤中が決めてチームを勢いづける。フェリペがサービスエースを決めて16−11で2回目のテクニカルタイムアウトを迎えた。
 後半もセッターの久保山はサイドを軸に攻撃を組み立てる。フェリペ、宮浦が着実に加点。20−14となったところでVC長野トライデンツが1回目のタイムアウトを要求する。しかし、ジェイテクトSTINGSの集中力は途切れない。道井、都築を送り込んで試合を活性させると、福山のクイックでセットポイント。陳が高い打点からクイックを決めて25−20で第1セットを先取した。

 続く第2セットは落としたが、内容は決して悪くなかった。宮浦がスパイク、サーブで活躍した。陳がブロックで相手にプレッシャーをかけ続けた。リベロの本間を軸にサーブレシーブは安定していたし、セッターの久保山も巧みにトスを散らしていた。21点に抑えられたが、次につながる貴重なセットになった。
 第3セットからはリベロ登録の興梠が、本間と入れ替わりながらコートに立った。本間はサーブレシーブ、興梠はディグが主な役割だ。長いラリーをフェリペのスパイクで制して4−1。さらに宮浦のスパイクなどで3連続得点を奪う。8−3とこのセットの主導権を握った。
 セッターの久保山は中盤、ミドルにトスを集めて確実にサイドアウトを切っていく。陳、福山が高い決定率を残した。クイックにつながるパス力の高さも光った。藤中が難しいトスを決めて4連続得点。16−9とリードを広げた。
 19−11となったところで、オポジットを宮浦から袴谷にスイッチ。藤中がライトから決めると、陳のブロックで21−12。VC長野が2回目のタイムアウトを要求した。ここから我慢の時間が続いた。相手にブレイクされる場面が続いたのだ。3連続失点で24−19となったところで、ファジャーニ監督は1回目のタイムアウト。最後は久保山のブロックポイントでしのぎ切った。

 第4セットは文字通り、サイドアウトの応酬となった。床に落ちそうなボールを久保山がワンハンドでつなぎ、陳が丁寧にバックトス。フェリペが決めてブレイクポイントを奪った。その後もトップフォームを取り戻したフェリペが硬軟織り交ぜたスパイクで相手を翻弄する。相手のブロックをサイドに集め、陳が真ん中から強襲。確実に得点を積み重ねる。
 VC長野も粘り、点差がなかなか離れない。僅差のままゲームは中盤まで移行。息の詰まるシーソーゲームとなった。宮浦のパフォーマンスが上がっていく。勝負どころは、14−14の同点に追いつかれたあとか。フェリペのブロックで長いラリーを制した。さらに相手のスパイクがアウトになって16−14。流れをつかんだ。
 ワンポイントで村山を投入、ここで一気に走りたかった。しかし、再び1点ずつを取り合う展開。福山のクイック、フェリペのバックアタックで加点。VC長野の戸嵜にサービスエースを決められて、ついに21−21と同点に追いつかれた。
 ここでタイムアウト。一息つくと、陳のクイックでサイドアウトを切った。藤中の好レシーブからフェリペが決めてブレイク。ここからはフェリペの独壇場だ。真後ろから来たトスを鮮やかに打ち抜いた。マッチポイント。最後はフェリペの強打が相手を弾き25−22。ジェイテクトSTINGSが3−1で勝った。

 久保山は試合後の勝利者インタビューで「出だしからいい状態でバレーができた。全員で拾って、全員で決めることを意識している。ベテランとしてこれからも若手を引っ張っていきたい」と話した。
 明日もVC長野との対戦となる。今日の勝利で勢いに乗り、さらにハイレベルなバレーボールを展開したい。

フェデリコ・ファジャーニ監督

陳選手が日本に来てから1カ月は、とにかく調子を上げる時間を与えました。6対6の練習で少しずつ彼を使うようになり、今日の試合でスタートから起用することを決めました。ポジティブな評価です。また、興梠選手も練習のときからすごくディグを上げており、試合でもクオリティを上げてくれると思いました。相手のホームゲームということで難しい試合になることは予想していましたが、攻撃の面は悪くなかったと思います。ただ、トランジション(相手のアタックをレシーブしてからの攻撃)に関してはもう少し修正しなければいけません。明日の試合はもう一度、細かいところにこだわっていきたいと思います。

興梠亮

第1セットはいつも通りのプレーができましたが、第2セットは出だしが悪く、そのまま引きずってしまったように思います。ただし、そこを修正して、第3、4セットを取れたことは収穫です。自分の役割はボールを拾うこと。つなぎのボールも意識して、積極的に取りにいくようにしていました。体育館が寒く動きづらかったけど、その中でもボールを拾うことができたのはよかったと思います。監督に求められているのは守備なので、そこでしっかり貢献できるようにしたい。チームとしては、いいときと悪いときの波があるので、そこを修正すること。明日もスタートから勢いに乗り、そのままストレートで勝てるように頑張ります。

久保山尚

合流が遅れたため陳選手とコンビを合わせる時間が取れていない中で、先週の練習からこっちのメンバーに入って積極的に合わせていました。今日の試合でいい結果が出たと思います。サーブレシーブも安定していたし、相手のマークもそこまで厚くなかった。1対1だと抜けるミドルブロッカーがそろっているので、信頼してトスを上げることができました。第4セットはサイドアウトの応酬になりましたが、守りに入らないでできるだけ攻めていくこと。先手を打つことを意識してプレーしていました。(リーグ戦は混戦ですが)1敗するとあとから響いてくると思います。目の前の試合を一つ一つ勝っていき、結果的にファイナル3につながればと思います。

スポーツライター 岩本勝暁のココ!

ミドルブロッカーの熾烈なポジション争いがチームを強くする

新加入の陳が初めてスタートから入った。はじめは少し硬さが見られたが、徐々にフィット。アタック決定率は57.1パーセントをたたき出し、5本のブロックポイントを決めた。福山、村山、陳、そして金丸。4人のミドルブロッカーの起用法について、ファジャーニ監督に聞いた。「まずはチームのことを優先しなければいけません。コンディションを見ながら、ベストな選択をしたいと思います。もちろん、金丸選手も必要です。リリーフブロッカーとしてだけではなく、戦略的なサーブを打つこともあるでしょう。コートの中で周りの選手にアドバイスをしてくれるので、とても貴重な存在です。対戦相手によっても、どの選手を起用するかを考えていきたいと思います」。サイドアウトを得意とする村山も欠かすことのできない戦力だ。陳が本格的に戦列に加わったことで、ますます攻撃の幅が広がるだろう。ミドルブロッカーの競争が激しいチームは間違いなく強い。

【スポーツライター 岩本勝暁】

1972年生まれ。大阪府出身。2002年にフリーランスのスポーツライターとなり、主にバレーボール、ビーチバレーボール、サッカー、競泳、セパタクローなどを取材。2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで3大会連続で現地取材するなど、オリンピック競技を中心に取材活動を続けている。

詳細
対戦カード ジェイテクトSTINGS VS VC長野トライデンツ
第1セット 25 - 20
第2セット 21 - 25
第3セット 25 - 19
第4セット 25 - 22
第5セット
日付 2021年11月27日(土)
試合 2021-22 V.LEAGUE DIVISION1 MEN 第11戦
場所 松本市総合体育館
メンバー 藤中、陳、福山、フェリペ、宮浦、久保山 L本間
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